処女作なのであまり期待しないで下さい。
俺は必死に生きていた。
だけど、それを嘲笑うかのように運命は、残酷だった。
◆◆◆◆◆◆
「ここは……どこだ?」
死んで、目が覚めると、そこはどこまでも真っ白な空間。
それが最初に思ったこと。
上も、下もどこまでも真っ白。
もはや上を向いているのか、下を向いているのかさえもわからない。
変な空間。
そう思った。
でも、何故か俺は、安らぎを感じていた。
ずっと、ここに居たかった。ずっとこの温もりに抱かれていたかった。
何日も何十日経ったわからない。
だけど、飽きるなんて事はなかった。
しかし、それは突然終わりを告げる。
「ーーーっ! な、なんだ……!?」
大きな水の流れが体を押しているかのように、体が引っ張られていく。
抗おうと必死に抵抗しても、それは弱まるどころか抵抗するにつれてドンドン強くなっていく。
どこに引っ張られているのかと見てみると、そこにはついさっきまで存在していなかったヒビのようなものが存在していた。
それがダメだった。
そのヒビを見て少しだけ油断してしまった。
それを、絶対に逃さないと言わんばかりに水の奔流は一気にヒビのあるところへ引っ張った。
「く、くそ……」
そして、視界に光が溢れた。
◆◆◆◆◆◆
「……うぅ…ーーーっ! こ、ここは……?」
視界に光が溢れたと思ったら意識を失っていたみたいだった。俺はゆっくりと体を起こす。
目を開いてここはどこかと確認しようとしても、まだ光に目が慣れていないのか朧げにしか見えなかった。
だが、それだけで十分だった。
朧げな視界に映ったのは今までいた真っ白な空間ではなかった。
灰色の何かがそびえ立っているようだ。
そして、俺は今、
懐かしい、アスファルトの感触。
「まさか、戻ってきた……? ーーーうわッ!?」
少し呆然としていると、背中に衝撃が走りゴロゴロと転がってしまう。
『直撃を確認』
『当たった……? ーーーいや、ダメージはゼロか。分かってはいたがな。まぁ、イイ』
『どうしますか?』
『動かないのであれば格好の的だ。総員、全弾ぶち込め』
『『『ハッ!!』』』
後ろから物騒な会話が聞こえたと思うと、再び背中に衝撃が走る。
しかし、今度は一回ではない。
何回も衝撃が走る。
「ぐぅぅぅ……!! な、なんなんだよ!」
何回も喰らってたまるかと衝撃に耐えながら起き上がる。
徐々に戻ってきた視界に頼り、目の前にあった崩壊しかけたビルに逃げ込む。
すると、先ほどまで襲っていた衝撃も止んだ。
ホッとして、座り込む。
とんだ災難だった。外に出たと思ったらいきなり衝撃が襲ってきたのだから。
少しすると、完全に視界も戻った。
そして見た。先ほど俺を襲っていた衝撃の正体を。
「な、なんだあれ……。ひ、人が……浮いてる?」
比喩ではなく、まさにその通り。
人が浮いている。もっと詳しくいえば機械のようなモノを纏ってだが。
だが、それでも人が浮いているという事実には何らか変わりはない。
オカシイ。俺はあんなモノは知らない。
人が浮くなんて………。
「ーーーって、まさか、あれが俺を襲っていたのか…?」
あんなモノに勝てるわけない。
だって、俺はただの人間。相手は機械を纏って空を飛んでいる。
勝ち目はゼロ。
「だけど……死ぬわけに、いかない。二度も死んで、たまるかッ!」
自分に活を入れる。
勝てないからといって必ず負けるというわけじゃない。
勝てないのなら逃げればいい。
わざわざ勝てない相手と闘う必要なんてない。
俺はそう決断して、立ち上がり走ろうして気づいた。
随分と目線が低いなと。
俺は生きていた頃は180cm以上はあった。
しかし、今俺の視界は明らかに前とは低かった。
だから、気づいた。
自分の身体の変化に。
綺麗な、シミ一つない肌。
絹のような肌触りの、美しい金色の髪。
手は小さく、腕は少し力を入れただけで折れてしまいそうに細い。
声は綺麗なソプラノボイス。
そして、胸部に感じる確かな膨らみ。
あるはずがなかった。そんなこと、嘘だと思った。
そう思い何度も確認した。
そして、わかった。
「お、女に………なってる……?」
次回から本編へ。