ボク、ツインテールにされました。   作:大木桜

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お久しぶりです。原作やほかの方とかぶらない属性力を考えるのは難しいですね……


第六話:僕とツインテールと新しい日常

 

 

考えられた最悪を現実は凌駕していく。一時間目中止にしての朝の全校集会で、僕はスクリーンに写された映像を見ながらそう思うのであった。

 

 

朝から教室の様子が変だったのは、まぁ仕方ない。

 

誰も彼もテイルレッドとテイルシャイニングの話をしてるのは、昨日のリフエットの上げた動画再生回数を見ればわかることだ。

 

可愛い女の子が怪人退治。文章だけ見ればどこの日曜朝八時半なのかと言わんばかりだ。

 

テイルレッドたんかわいいよテイルレッドたん、とかいう妄言が聞こえる度に総二がげんなりしていくのは可愛そうだけど。

 

そう思っていたら突然の全校集会。当然昨日の事件のことだろうと当たりをつけて静かにしていたら。生徒会長が現れ演説が始まる。

 

「皆さん。知っての通り昨日、謎の怪物たちが暴れまわり、町は未曽有の危機に直面しました。」

 

そうだね、ツインテールが奪われるっていうのは未曾有の事件だよね。

 

宇宙人がツインテール奪うためだけに侵略してくるとかが未曾有の事件でなかったならば、未曾有の事件のハードルが上がり続けてもはやくぐるレベルだよ。

 

「実は、このわたくしも現場に居合わせ、そして狙われた一人なのです」

「なっ……!!」

「なんだってーーーー!!!」

 

にわかにざわめき立つ観衆。君たちノリがいいね。

 

怒りを露わにする生徒達、愛され生徒会長に人気はとどまるところを知らない様である。

 

「許せねぇ!」「この身に変えても倒してみせる!」「野郎ぶっ殺してやる!」

 

様々な怒りの言葉とともに竹刀やバットを持ち出し暴徒になりつつある生徒たち。

 

わぁ、みんなアクティブだなぁ。クナイとか隠し爪とか出してきた人もいるぞー。君らは何に備えていたんだ。テロか?事件か?

 

「皆さんのその正しき怒り、とても嬉しく思いますわ。他人のために心を痛められるのは、素晴らしいことです。まして、わたくしのような先導者として未熟者のために」

 

会長はその小さな体を身振り手振りして、熱く、熱く語る。その姿に多くの生徒が賛同していく。途中途中に入る会長かわいい~の声はなかった事とする。

 

「しかし、狙われたのはわたくしだけではありません。この中にも何人かいらっしゃるでしょう。まして目を学校の外に向ければ、さらに多くの女性が、危うく侵略者の毒牙にかかるところだったのです。」

 

その発言に再び生徒たちはどよめくが、それをさえぎるように、会長は続ける。

 

「今こうしてわたくしは無事ここにいます。テレビではまだ情報は少ないですが、ネットなどで知った人も多いでしょう。あの場に風のように現れた……2人の正義の戦士に助けていただいたのです。」

 

おや?話が怪しくなってきたぞ?僕の第六感がこれはあかんやつだと言っている。的中率90%を超える僕の第六感は厨二の母によって鍛えられたものだ。つまりどういうことかといえば僕の精神にダメージのくるものであろうという勘である。

 

「わたくしは、あの少女達に、心奪われましたわ!」

「その言葉を待っていたんだ会長!」

「よかった……胸を張って小っちゃい子ペロペロハスハスと言うのに、正直引け目を感じていたんだ! だけど、それは決しておかしな感情じゃなかったんだね!」

「私はもう一人の戦士のほうが好み! あの美しいスタイルに鮮やかな戦い方! まさしくお姉さまと呼ぶにふさわしいお方!」

「私もテイルレッドのようによしよしして頂きたいですわ!」

 

地響きにも似た雄叫びが体育館に響いた。なんでこんな映画の終盤のワンシーンみたいに皆湧いてるんだろうなぁ。変な発言も聞こえるし。

 

あっ、わかったZO☆皆頭が湧いてるんだな?

 

と現実逃避してるうちに、スクリーンが用意され、映像が映し出される。

 

そこには白と赤の戦士が映っていた。

 

「「「「「「「ウオオオオオオオオオッッ!!」」」」」」」「オア―――ッ!!」

 

殆どの生徒が歓声を上げるところ、近くの総二は正反対の叫び声をあげていた。僕はといえばなんとなく予想していたので叫ぶほどのショックはない。魂は抜けそうだけど、あっまずい膝に来た。なんかよくわからないけど体が震える。

 

映しだされているシャイニングの映像は昨日リフエットのアップした動画シリーズだろう。見覚えあるし。

 

流し見はしたけど改めて見ると、顔から火が出そうなほど恥ずかしい。これが黒歴史か!

 

そしてこれから先、さらにこの手の映像が露出していくのが確定的で鬱だ。だって映像を提供するのが身内にいるんだもの。

 

「神堂家は、あの方たちを全力で支援すると決定しました!皆さんもどうか、わたくしと共に新時代の救世主達を応援していきましょう!!」

 

窓も割れそうなほどの爆音の歓声が上がる。

 

自分のことは諦めて、総二はどうしたかと思えばからは自分の頬を殴っていた。これは夢だと思って目覚めるために殴ったのだろう。

 

まぁ、夢であってほしいよね。殴るのはやり過ぎだろうけど。

 

 

これでテイルレッドとテイルシャイニングが生徒に認知され、神堂家がバックアップ宣言するという最悪の全校集会が終わったのだった。

 

 

 

 

一部の人間を絶望にたたき落とした全校集会から半日。

 

昼休みに僕らは集まって食事をとっていた、入学式の次の日だ。知り合いどうしでグループを作ってしまうのは仕方ないと思いつつお弁当をつまむ。

 

「そうだ千歳、今日放課後開いてるか?」

 

総二が思い出したかのように話しかけてくる。

 

「開いてるけど、何か用?」

「いや、昨日の話でさ。その、えっと。ちょっと耳かしてくれ」

「内緒の話?珍しいね。」

 

そういいながらも会話の内容は見当がついているため素直に近寄る。

 

肩と肩が触れ合う距離でひそひそ話。悪巧みっぽいね。

 

「昨日、俺達が光に包まれたこととかの説明するから後で家に来てくれ。」

「了解。気になってたんだけど、あまり人目のあるところで聞くことでもないかと思って黙ってたんだ。詳しい話は後だね?」

「助かる。きちんと話すから。あとできれば百合華さんも連れてきてくれると助かる。」

 

それに首肯して僕は昼食に戻る。

 

 

最後の一口を口に入れお茶をのみこむと、教室の隅っこに集まった男子が騒がしいのが目についた。

 

そしてそのタブレット端末を見ていた男子からとんでもない世迷い言が飛び出した。

 

「決ーめた!今日から俺がテイルレッドたんのお兄ちゃん!」

「ッブーーーーーーーーーー!!!」

 

あ、総二が愛香ちゃんにぶっかけた。フルーツオレを。

 

遠目からでもあの赤の幼女はわかる。テイルレッドの画像を眺めているんだろうけど、何故その結論に辿り着いたのか。

 

総二と愛香ちゃんが頭寄せあってヒソヒソしてるうちに男子は盛り上がっていく。

 

うん。テイルレッドなら総二の問題だし、僕関係ないよね。と思い意識を別方向に向ける。

 

「決ーめた!今日から私テイルシャイニング様の妹になる!!」

 

聞こえない聞こえない。同級生の女子から妹になる発言なんて聞こえません。

 

男子学生と対になる位置に集まってる集団からの声なんて聞こえないよ。

 

「美しい……」

「私目覚めましたわ!真の理に!」

「シャイニング様の画像だけでご飯二膳はいけます!」

 

美しいと言って呆けてる女の子はともかく、もう一人はどうしたんだ。何が見えたんだ。最後はもう何を言っているのか理解を放棄した。

 

「愛の前に性別なんて関係ない!もう我慢できません!」

 

そう言ってタブレットに顔を近づける女の子。逆では阻止した総二が騒いでいたけど、女子だったらどうするんだろうと思いながら僕は視線を外し見なかったことにした。

 

超法規的措置です。僕の弱い心を守るためには仕方ないんだ、笑わば笑え。

 

そんなカオスな昼休み、これが日常となっていくのは嫌だなと思いながら窓の外を眺める。

 

空はいつもと変わらずに青かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「疲れた……」

 

そして訪れた放課後、僕らは家路につく。

 

他愛もない話をしながら家路につくだけで、総二の顔色が良くなるというのが今日の彼の精神的苦労を物語る。

 

「そういえば部活ってどうするの?総二、ツインテール部とかかいてて有耶無耶になってたよね。」

「あー、どうすっかな。」

「悩むことじゃないでしょ、普通に選べばいいんじゃない?」

「そうは言ってもだな……」

 

といったところで総二の言葉が止まる。その目は空に釘付けになっていたので、僕も同じ方向を見るとそこには超巨大なスクリーンがあった。

 

『この世界に住まう全ての人類に告ぐ! 我らは異世界より参った選ばれし神の徒、アルティメギル!』

 

そして映しだされる黒き鎧の異形。それはまるで龍を思い浮かばせる。

 

『我らは諸君らに危害を加えるつもりはない! ただ各々の持つ心の輝き(ちから)を欲しているだけなのだ! 抵抗は無駄である! そして抵抗をしなければ、命は保証する!!』

 

命だけあっても無気力、無感動、無関心になってしえばそれは死んでいるのと変わらない。そんなの絶対に許せない。だから僕は選んだんだ。戦うことを。

 

たとえそれがツインテールであったとしても、どんな属性であっても失われて良いものではないんだ。

 

そう決意を新たにしている間にも演説は続く。

 

『だが、どうやら我らに弓引く者がいるようだ……。抵抗は無駄である! それでもあえてするならば……思うさま受けて立とう! 存分に挑んでくるがよい!!』

「これ、全世界に配信してるのか!?」

 

という総二の問に耳をすませば、住宅地の家々からも聞こえて来て、まさかと思いワンセグを確認しても同じ。

 

ワールドワイドな悪の組織。ワールドスリーかな?

 

「あいつら本気で地球まるごと侵略するつもりなのか!?」

「本気っぽいねぇ。それにしても自信満々だこと。それだけの力の差があると思ってるってことか……」

 

そう言っている間にも映像は流れ、別の怪人が映る。亀みたいなやつだ。

 

『ふはは、わが名はタトルギルディ! ドラグギルディ様のおっしゃる通り、抵抗は無駄である! 綺麗星と光る青春の輝き……体操服ブルマの属性力を頂く!!』

 

ブルマ、ブルマねぇ。その属性元って今この地球でも稀有なものなんだけど、と思っていたら戦闘員がタトルギルディに耳打ちする。

 

『……何、この世界では、今はほとんど存在せぬだと! おのれおろかなる人類よ、自ら滅びの道を歩むかああああああああ!!』

 

予想通りのリアクションである。うーんこの真面目に不真面目な感じが、いまいち緊迫感を感じない。相手の作戦なんだろうか?

 

『おい、タトルギルディ。俺の番はまだか?』

『おぉすまん、イグアナギルディ。つい熱くなってしまった。』

 

そう言って交代したのはイグアナを想起させるエレメリアンであった。

 

『我が名はイグアナギルディ。美しき足を彩るタイツの属性力を奪わせていただく。』

 

それだけ言ってさっさと通信を切る。必要最低限飾らない奴だなぁと思う。

 

抵抗するなとは言われたが、ハイそうですかと言って属性力くれてやる理由もないわけで。

 

 

腕輪に軽く振動が走る、リフエットからの合図だ。エレメリアンがもうどこかに来たのか。

 

総二は掛かって来た電話を取り何やら思案している。

 

なにか決めたのか覚悟を決めた表情で手を掴み、僕を人気のない方へ連れて行く。

 

「総二、どうしたのさ。」

「聞いてくれ千歳。信じられないかもしれないけど、今から俺の言うことは本当なんだ。」

「うん。戦いに行くんだね。あのアルティメギルとかいうのと。」

 

その言葉に総二が驚き、後ろからついてきていた愛香ちゃんが納得とともに少しの疑問の表情をしていた。

 

「ちとせ、あんた知ってたの?」

「知ってたも何も……昨日のことに、今日のテイルレッド関係での総二の反応見ればなんとなく見当付くでしょ。」

「そんなわかりやすい反応してたか?俺……」

 

若干落ち込んでいる総二。普通の人にはばれないけど、あんな反応したら長い付き合いの人ならバレると思うよ?

 

「人が目の前で消えるとか言う超常現象を目の当たりにしてなければ、気が付かなかったかもだけどね。友人がいきなり目の前から消えて、その後に現れたあいつらと戦える戦士と結びつけてもおかしくないでしょ?しかも狙いがツインテールときた。」

「そうね。私も巻き込まれないで、ちとせと同じ立場だったらそーじに問いただしてたわ。」

 

確認完了、総二がテイルレッドで確定だ。

 

ありえないだろうけど、知らない人だったらどうしようかと思ってたけど。やっぱり知り合いならあんまり気負わなくていいね。

 

「まぁいいや、大したことでもなさそうだし。」

「大したことだからな!?大事だぞ!?」

 

そう言って僕の肩をつかんで揺さぶる総二。

 

ええい揺らすな。頭壁にぶつけちゃうでしょ狭いんだからここ。

 

「や、僕に実質被害がなければ、総二がテイルレッドでも関係ないし。総二は総二の思うままツインテールを守ればいいじゃない。そこに何か問題でもあるの?」

 

これは本音。総二がテイルレッドだったからって僕らの関係に何か問題があるわけじゃない。まぁ、世間体的には正体バレたとき面倒だろうけど、女体化してるのは僕も一緒だし。

 

「いや、ない。けど。」

「けど何?もしかしてもっと驚いたほうが良かった?まじでーそうじがているれっどだったなんてー」

「棒読みやめなさいよ。ていうかちとせ驚かないのね。」

「驚いてはいるよ?それで何って感じ。総二は総二だし、人格変わったり洗脳されてるわけでもなさそうだし。総二が悩んで決めたことを僕は否定しないよ、せいぜい背中を押すぐらいでしょ?友達が出来る事って。」

 

正直な所、総二に対しての擁護の言葉を言えば言うほど自己保身につながってるんだよなぁ。なんだろう総二を励ます度に自己暗示してる気分。

 

それでもなお悩む総二に言ってあげよう。母から学んだ説得系の言葉を。

 

「あのさぁ、何悩んでるのかしらないけどさ。総二にとってツインテールは何?あいつらみたいに奪う物?そうじゃないでしょ?守れる力があってそれで女の子になったとしても、僕はそれを見て総二を軽蔑したりしないよ。変身後に望まずにそうなったのかもしれないし。」

 

自分が同じような境遇だから言える台詞だなこれ。しかし、興が乗ってきた。もうちょい言ってやろう。

 

「総二がツインテールを守るって道を決めたなら後はもう走るだけでしょ。迷っても良い、戸惑っても良い、でも足だけは止めないで。総二が走る道は厳しいかもしれない、けど困ったら相談して?僕だって愛香ちゃんだって居る。」

 

僕の横で愛香ちゃんが大きく頷く。

 

僕は総二の肩を掴み返し、視線を合わせて言う。

 

「大きな力は使い方次第だよ?奪うも守るも人次第、総二はその力を何のために使うの?」

「そうか……そうだよな。俺がツインテールを好きで、それを守ること、守れる力を恥じることってないんだよな……!」

「ないない。自信持ちなよ。考えようによっちゃ変身ヒーローだよ?きゃー総二くんカッコイイー」

 

そう言っておちゃらけるぐらいでいいだろう。張り詰めすぎると糸は切れちゃうんだよ。余裕持たないとね。

 

「ありがとな、千歳。なんか吹っ切れた気がする。」

 

ちょっと顔を赤らめながら、スッキリした顔をする総二。まぁこういう悩みを友人に言うの恥ずかしいよね。

 

迷いがあるから強くなれる。僕の知ってるヒーローはいつだっていいことを言う。

 

ところでなんで愛香ちゃんは僕を睨んでるんですかね。やめてくれません?人を殺せそうな視線浴びせるの。

 

「んじゃこれ頼む。行くぜ!テイル、オン!!」

 

カバンを綿され、総二が変身のキーワードを言う。

 

そして光の繭が現れ、次の瞬間に総二はテイルレッドになって飛び立っていった。

 

 

 

「ねぇ、なんでちとせはそーじが女の子になるの気にしないの?」

 

路地裏から出て、改めて帰路についたところで愛香ちゃんが潜めた声で質問してきた。

 

「なんでって言われてもね、総二はどんな姿になっても総二でしょ?」

 

ツインテール馬鹿。たとえ総二が女の子に生まれてきてもきっとそれは変わらなかった気がする。

 

いや女の子だったらもっとひどかったかもなぁ。自分の理想のツインテールを求めてひたすらツインテールを眺めてそう。

 

「中身は変わらないよ、外見が変わってもきっと総二はツインテールだけ考えて生きてるでしょ。テイルレッドに変身したんだってツインテールがらみでしょどうせ。」

「そのとおりよ、ツインテールで怒りに燃えてって感じだったし。」

 

あの場にいて変身したならなんとなく予想の付く理由だ。

 

「やっぱりね。あれ?なんか騒がしくない?」

「そうね?どうしたのかしら。」

 

まばらだったはずの通りがにわかに騒がしくなる。凄い嫌な予感がする。

 

「ねぇ、愛香ちゃんもしかして、さ。」

「やめてちとせ、言ったら真実になりそうだからやめて。」

 

残念、現実は非情である。

 

『フン、大したタイツの存在はおらんな。真にタイツを愛するものはおらんのか。』

 

悠然と品定めしながらこちらに這ってくるのは、さっき映像に映っていたイグアナギルディであった。

 

その周りには何人かのアルティロイドが居る。

 

これはまずい、僕が変身して戦ってもいいのだけれど絶対に正体がバレたくない相手が真横にいる。

 

胸のこと気にしてる愛香ちゃんに巨乳に女体化するとかバレたら殺されかねない、それだけは阻止したい。バレたらい殺意の波動に目覚めて瞬獄殺ぐらいやってきそうだもの。

バレるにしてもせめて総二が側にいないと。愛香ちゃん止められるのは総二ぐらいだからな、僕はまだ死にたくない。

 

結論。

 

 

「とりあえず逃げよう。目を合わせないようにね。」

「そうね、関わり合いにならないようにしましょ。」

 

なんか変質者を見る人みたいな会話になったけど、実際アルティメギルは変質者で変態なので間違っていない。

腹ばいになって移動して、ぎょろぎょろと下半身を観る人型とかどう考えても変質者です。おまわりさーん。

さてどうしよう。変身するのは愛香ちゃんがいて無理だし、総二はもう一人のエレメリアンの方に向かっている。

あっ、そうだ。

 

「そういえばトゥアールさんだっけ?昨日の変な人。」

「そうだけど、どうしたの急に。」

 

こそこそと隠れて移動しながらだから自然と声も控えめになる。トゥアールさんのこともできれば知られたくないだろうから好都合だろう。

 

「いや、なんとか総二が来るまで足止めだけでも出来ないかなぁと思ってさ。その人って総二に変身アイテム渡した人なんでしょ?なんかあいつに一泡吹かせるアイテム持ってないかなーって。」

「考えても見なかったわ……ちょっと待ってて、聞き出しててくるわ。」

 

そう言って鞄を持って猛ダッシュする愛香ちゃん。僕はその速度についていけないのでおいて行かれたわけだけど、予想通り。そしてそのツインテールを靡かせて走る背中が見えなくなるのを確認。

よし、追い払い成功。もうこの手は使えないだろうけど。

そのままこそこそと僕は路地裏の人気のない場所に移動する、そして人の視線がないのを確認して。

 

「転身!」

 

僕は光に包まれテイルシャイニングになり、スケールの小さな世界規模の侵略をつぶしに行く。

変質者退治とか警察が何とかしてくれないかなぁと思いつつ。

 


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