とある兄妹の武偵暮らし   作:祇風

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今回すごく長いです

切りどころが分かりませんでした汗


四発目 狙撃科の問題児、姉襲来

武藤が工場の入り口の近くに車を止める

 

「それじゃあ、やるか」

 

と俺は車から飛び出す、それに習いキンジ、鈴、蘭と続く

 

「俺は荷物下ろせる場所確保してくるから後は任せた!」

 

と武藤が移動する、多分近くにある倉庫に行くのだろう

 

「……輝、狙撃科の奴らはいつ来る?」

 

キンジが少し冷や汗をかきながら聞いてくる、体調でも悪いのか?

 

「もう少しすれば来ると思う…がキンジ?気分が悪いなら待機しててもいいぞ?」

 

「い、いや大丈夫だ…」

 

大丈夫といってる割には顔色が青い…、例えで言えば浮気がばれた夫並みに悪い

 

ブロロロロロォ…

 

そうこうしているうちに狙撃科のヘリが来たようだ

 

「お、来た来た。ここだー」

 

と支給されている誘導棒で着陸地点を指定すると

 

ん?コ コ カ ラ カ ッ ク ウ デ イ キ マ ス ?と返答が来た

 

……まさか!?

 

「おい!今すぐ付近の索敵をしろ!あいつら飛び降りる気だ!」

 

大声でキンジ、鈴、蘭に指示を出す。

 

最悪見つかれば打ち落とされるのは間違いない。その前に少しでも危険は排除せねば!

 

それを聞き、鈴と蘭が近くの建物の屋上目掛けて走り出す

 

「レキちゃん無茶するねー」「…多分、もう一人の方の指示だと思う」

 

気の軽い会話をしているがしっかり屋上へ向かい索敵を開始していた

 

「くそっ…仕方ない。これを使うしか!」

 

キンジは胸ポケットから一本の注射器を取り出していた。あの柄は確か…モルヒネ!?

 

「おい、キンジ!こんなときに悪事に手を染めるな!落ち着け!」

 

今モルヒネは医療の免許が無いものが使うと犯罪になってしまうだからキンジを止めようと走り出すが距離があったためキンジは腕にもう押し当てている

 

「安心しろ!これを使えば問題ない!」

 

と腕に刺し、モルヒネを注入する。すると

 

「……ふう、さて輝、俺は少しだけ動けなくなるその間頼んでいいか」

 

どこか落ち着いた声になる、何時もの雰囲気とは違う…

 

「お、おう。いいけどキンジはどうするつもりなんだ?」

 

「俺はここでもうすぐ来るお客様にお帰りいただくよ」

 

何を訳分からないことを言っているんだ?後口調どうした

 

「ほら来たよ」

 

キンジの目線の先には三台ほどの車、大人数が乗るためのワゴン車の部類か?

 

中から十数人の武装集団が出てくる、思ったんだけどよくその人数乗れたね

 

「警告する、これ以上の進入をするな。了承出来ない様であるならば即刻排除を行う」

 

出てきた集団の中で一際重武装の男が撤退を命じてきたが

 

「はっ、武偵が正式な軍でも無い奴に命令される義理は無いね。あんた達こそさっさと親玉の場所白状しな」

 

相手が上空にいるヘリに気付かないように視線をこちらに集める

 

「こらこら、女の子がそんな口の利き方しちゃ駄目だよ?後そちらもこの場所は進入禁止ですよ?なのでお縄についてくれるとうれしいですが?」

 

おいキンジ俺は男だあとほんとに口調どうした?キザっぽいぞ

 

こちらの要求を聞いた重武装の男は仲間に合図を送る

 

「構え、最後の警告だ。今すぐ引き返せ 我々も子供を殺すほど堕ちてはいない」

 

その指示を聞き、相手は一斉に銃を構える

 

「輝、ここは俺がやるよ。君はいたずら好きな二人の方を頼むよ」

 

とキンジはベレッタとバタフライナイフを取り出す

 

「その行動、敵対と見なす。全員撃て 殺す気でやれ」

 

相手からの銃撃が始まる、俺はそれに背を預け鈴と蘭が入っていった建物へ向かう

 

「キンジ!死んだらお前の銃貰うからな!覚えとけ!」

 

その言葉を聴いたキンジは小さく「じゃあ、この銃は貰えないね」と呟いていた

 

 

 

__________________

 

 

 

こちらはヘリ、中で待機するレキ、そしてキンジが苦手とする青年、雑賀 蒼(さいか そら)彼は狙撃科の問題児

 

「さてレキ、行動を開始する時間通りに頼む」

 

「……はい」

 

とレキが頷き、ドラグノフを構え、狙いを定める

 

蒼はパラシュートを背負い扉を開ける、その手に持っているのはバレットM82A1のロングマウントレール装着タイプ

 

この銃は対物ライフルであり、普通は銃検でもめったに通らない銃である

 

「よし、蒼からパイロットへ。ここまでご苦労、あとは頼みます」

 

と耳につけていたヘッドレスマイクに言うとヘリから飛び降りる

 

高度は約400m、少しの間スカイダイビングのようにバランスをとりながら下を確認する

 

するともう始まっているようだ

 

「ちっ、予定より二分三十秒ほど早いぞ…、輝の野郎しくじったな…」

 

パラシュートを広げ空中で銃を構え狙う

 

「角度よし、……鈴、蘭聞こえるか?返答求む」

 

[もしもーし、鈴だよ~。今屋上、蘭と一緒に目視で確認できたよ]

 

と下に見える建物の屋上の何処にいるか探すと確かに少し低めの建物から誘導等灯の明かりが光る

 

[…蒼、また変な事してる。レキ可哀想]

 

蘭は俺のことを心配するどころか何故か悪者扱いだ、お前兄貴といるときと違って毒舌だな

 

「そこから俺に対してステルスは使えるか?」

 

[出来なくは無いけどミスしたら死んじゃうかもよ?]

 

鈴は何事も無いかのように言い放つので

 

「かまわん。五秒でいい足場を作ってくれ」

 

[おっけ、タイミングはそっちに任せるね~、蘭は下階の警戒をよろしく~]

 

そういうと鈴は黙り込み、蘭は無造作に通信を切ったようだ

 

「装填よし、狙いは…、逃げ足でも塞ぐか。鈴、ワゴンを全て潰すが乗ってる奴は居ないな?」

 

[大丈夫、見たところ乗ってない…]

 

集中してるのか返す言葉が短調になっている

 

「いくぞ、3…2…1!」

 

0と同時に落下が止まる。狙いを定め第一射、ボンネットを突き破り炎上 …残り四秒

 

すぐに装填し第二射、しっかり覗いて狙わなかったせいで狙いがずれボンネットの左端にあたり左タイヤの当たる …残り二秒

 

「レキ、残りの一台を頼む。エンジンは前ボンネットの若干左だ」

 

短く通信を飛ばしながら装填、はずした二台目の今度は右側を狙ってトリガーを引く

 

それと同時にレキが撃ったようだ、レキに頼んだ三代目は寸分違わずエンジンのある場所に突き刺さる

 

俺の放った銃弾も予定より若干ずれたがしっかりと右タイヤを潰す ジャスト0秒

 

「レキ、ナイスショット。後は好きにしろ」

 

[…了解]

 

[蒼~、大丈夫~?死んでない~?]

 

レキから何時もどおり短い返答を貰い、鈴から通信が入る

 

「大丈夫だ問題なく生きてる、これから本格的な降下に入る。すまんが出迎え頼む」

 

[ほいほーい了解したよ~、降下するなら隣の屋上でお願いね。私達は今ので場所が割れたみたいで迎撃に入るよ]

 

と言われ降下予定地を隣の指定された屋上にする。M82A1を首から吊るし胸のホルスターからチーター(正式名称 ベレッタM84)を抜き、もしもの為に構える

 

地上からの射撃も無く残り100m近くのところで異変は起きた

 

[蒼!今何処だ!]

 

いきなり輝から通信が入る、声には何か焦りが見える緊急事態か!

 

「どうした、まだおれは上空だ。どうかしたのか」

 

[キンジと蘭が確保された!鈴が今一人で相手してるらしいが間に合いそうに無い!そこからいけるか!?]

 

んな無茶な!!そんな離れ技出来る奴なんて居るわけねぇだろ!!

 

「高度が高すぎて無理だ!もう少し時間を稼げないか!?せめて一分!」

 

そう通信で言うとあちら側から銃撃音がした、急がなければと急降下する

 

すると建物の窓から銃弾が飛び出すのが見えた。あそこか!

 

チーターを構えながら飛び出すのが見えた建物にたどり着く

 

[蒼さん、どうかしましたか]

 

レキから通信が入る、一通りの事情を説明すると

 

[分かりました、増援がそろそろそちらに着くと思いますのでそれまで耐えてください]

 

「増援…、お前そんな知り合い居たのか?」

 

レキが増援?レキのやつそんなに知り合いいないだろ…となると思いつくのは………やばい!

 

「レキ!まさかお前先輩を呼んだな!?」

 

[はい、この依頼を受けた際に遭ったので連絡先を教えてもらいました。それにあの人が依頼主ですので]

 

こいつ、性懲りも無くあの人を呼ぶなんて!作戦自体が無駄になるじゃないか!というか依頼主ってどういう事だ!?

 

レキとの通信が終わると同時に下階から破砕音が聞こえた。まさか!

 

「輝!返事しろ輝!」

 

通信機に叫ぶも返答は帰って来なかった

 

 

________________

 

 

キンジと分かれた俺は鈴と蘭が入っていった建物を目指して走っている

 

そのついでに武器を変えようと思い武藤を探している

 

確かこの辺に武藤がいるはず。この体じゃ満足に銃も撃てない

 

「輝!こっちだ!」

 

武藤が倉庫の奥に車を止め、コルト・パイソンを抜きながら周りを警戒していた

 

「銃撃音が聞こえたが大丈夫か?」

 

「いまキンジが一人で相手してる!鈴と蘭も別行動中だ!もう少しで狙撃科が来るのに!」

 

愚痴を漏らしていると突然の爆発音、遅れて響く発砲音。それも立て続けに四発

 

「何の音だ!?」

 

「っ!!おいアレ見ろ!!黒煙が上がってるぞ!」

 

武藤が指を指した先は先ほどキンジと別れた場所とほぼ同じ

 

「パッケージDを投げてくれ!すぐに向かう!」

 

「了解!ほら受け取れっ!!」

 

武藤が車の荷台からひとつのジュラルミンケースを投げ渡してくれる

 

「よっと、助かった!悪いが頼むぞ!」

 

それを受け取り走る。中身はグロッグ30、小型で撃ちやすいいい銃であり反動も少なく軽い、問題点とすれば装填できる数が少ないということだ

 

だがそれでも今の俺には撃てるぎりぎりなのだが四丁とマガジンが予備で四つ入っている

 

走りながらグロッグを取り出しホルスターに二丁仕舞いマガジンを腰につけた防弾バックに予備を全て仕舞い込み残り二丁を手に持ちジュラルミンケースを捨てる

 

「いたぞ!あいつの仲間だ!」

 

武装集団の一部に見つりかり後ろから銃弾が飛んでくる、防弾制服は着ているが当たれば痛いのに変わりはない

 

だから俺は壁を蹴り体を宙に浮かす。そのまま相手に向かってグロッグを撃つ

 

ろくに狙いを付けていないから見当違いのほうへ飛ぶも相手は体を守るため腕で顔を隠す

 

一時的にだが目を眩ませることが出来た。その隙を突き、相手に近づく

 

「はっ!!」

 

顔を隠して俺のことを見ていなかった手前の二人の胸に手を置き白打で衝撃を与え一時的に体を麻痺させて気絶させる

 

これで二人!残りは三人!

 

「くそが!」

 

一人が銃を乱射しこちらの行動を制限してくる

 

「オラァッ!!」「セイッ!!」

 

残りの二人がナイフを抜き斬りかかる

 

まずは近距離のこいつらから叩く!足に巻き付けたサバイバルナイフを引き抜き逆手持ちで切り結ぶ

 

「あんた達何者だ!?」

 

おかしい!依頼内容と情報が合わない!!

 

「知りたくば俺達を逮捕することだなっ!!」

 

一人の男が腰から拳銃を取り出しガンエッジの構えを取る

 

もう一人の男の方はもう一本ナイフを取り出し俺と同じ構えをする。くそっ!挑発のつもりか!?

 

後ろで銃を乱射していた男は撃つのをやめ正確に狙いを定めようとしていた。まずい!

 

「これでも!喰らえ!」

 

撃たれては一巻の終わり、手に持っていたナイフを投げつける!

 

一本は打ち落とされてしまったがもう一つのナイフが銃に突き刺さる、これで撃たれることはないがその男は即座に銃を棄てナイフを取り出し襲い掛かってくる

 

「こんな所で負けるか!」

 

ガンエッジの男目掛けて走る、そのままグロッグを抜き腹部に狙いを定めフルオートで全弾打ち込む

 

「ゴフッ!?」

 

それでガンエッジの男は沈んだ。

 

男からナイフを剥ぎ取りナイフ二本持ちの男と向き合いガン=カタと同じ状態になるが相手のナイフを弾き懐にあるホルスターからグロッグを抜き撃つ

 

運良く胸に吸い込まれ気を失う男。

 

最後に襲い掛かってきた男は焦りでナイフを振るう手がぶれていたので武藤直伝の背負い撃ち(背負い投げの要領で叩きつけた後銃を押し付け撃つだけのこと)をやってやった

 

「はぁっはぁっ…、こいつら本当に何者なんだ…」

 

動きが訓練され過ぎている。本当に民間の組織か?

 

「急がないと…」

 

倒した奴らを結束バントで親指を結び動けないようにする

 

 

それからキンジのところを目指して走る、まだ銃声が聞こえる間に合え!

 

黒煙が舞い上がっている場所に着いたがキンジは其処にいなかった

 

「キンジー!!何処だー!!」

 

叫ぶも返事はなく先程まで聞こえていた銃声も鳴り止んでいる

 

「くそ!!鈴!蘭!居ないのか!」

 

[お前が指揮官か?]

 

突然知らない声が通信に入る、この回線は蘭!?

 

「だれだ!?この通信機の持ち主はどうした!?」

 

[なに、傷はまだ付けてない。お前の回答次第になるがそれにもう一人少女ももう確保出来るぞ]

 

鈴も捕まりかけているのか!?

 

「ならば男はどうした!」

 

[男?…ああ、彼なら眠ってもらった。彼も今のところは無傷だ]

 

ということは今のところ全員無事か…、蒼の奴はどうなったんだ!?

 

[貴様が指揮官ならそこの通りにある一番高い建物の最上階に来い]

 

その一言を最後に通信を切断された、まずは安否確認のため蒼に通信する

 

「蒼!今何処だ!」

 

[どうした、まだおれは上空だ。どうかしたのか]

 

と帰ってくる。どうやらこいつは無事のようだ

 

「キンジと蘭が確保された!鈴が今一人で相手してるらしいが間に合いそうに無い!そこからいけるか!?」

 

[高度が高すぎて無理だ!もう少し時間を稼げないか!?せめて一分!]

 

高度!?てことはこいつまだ降下中か!!

 

空を見上げると確かに一つパラシュートを開いてこちらに向かってくる。あれか!

 

そんなときに横から銃弾が眼前を通り過ぎる

 

「!?誰だ!!」

 

と撃ってきた方へグロッグを向けるも人影は無いが指定された建物から撃たれことが分かる

 

「さっさと来いってことか…」

 

グロッグのマガジンを引き抜き残りの弾数を確認する。

 

あと二発…、それと予備マガジンの残りが二つ…完全装填済みのグロッグが三つだからのこり47発か、相手の数が五人倒して車降りてきた数が15~19人当たりだから多くて残り14人か…少なくて11人…

 

弾をとりに戻ってもいいが人質を取られていてはどうしようもない、このまま突入しよう

 

建物に足を踏み入れ、グロッグを構えながら少しずつ階段を上がる

 

「……やっぱりおかしい、どうして襲い掛かってこない」

 

こいつら、何か目的でもあるのか?ただの民間組織が出来る動きじゃない。それにこいつらの装備だって軍が使用しているものと同等のものだ

 

最上階まであと一階に迫ると

 

「流石にここまで出てこなかったからまさかとは思ったけど全員一箇所に居るとは…」

 

10人ほどの武装した男が徘徊していた

 

一人ずつ倒すのが妥当だが俺は急いでいるんだ、総急に通らせてもらう

 

腰のバックから閃光玉、催涙ガス玉を取り出し投げ込む

 

ピカッ!!ぶしゅぅぅぅ…と言う音と共にガスが振りまかれ近くに居た男五人ほどが巻き込まれる

 

「グワッ!!なんだこれは!?目が開けてられない!!て、敵襲…か…」

 

五人が倒れる、このガスには睡眠効果が含まれているため一呼吸するだけで眠気が引き起こされ、二呼吸するだけで強烈な睡魔が遅い来る、三呼吸目で像でも眠りに落ちるという

 

そして仲間の声に引き寄せられてきたほかの男達も同様ガスを吸い眠りに落ちる

 

そして最上階に向けて全速力でダッシュする、ガスマスクを持っていないため自分も吸ってしまうかもしれないからだ。

 

そして最上階に着いた瞬間銃撃、顔を出そうとした位置に大量の弾痕が付く

 

その弾は壁を抉り窓を割る、そして破片が飛び散ってくる

 

「約束どおりちゃんと来たな、ツラ見せてみろ」

 

‐ここで従わなければ仲間の命は無いぞ‐ということか

 

グロッグを仕舞い両手をあげて階段から体を晒す、今撃たれれば命は無いだろう

 

相手は最初に見た重武装の男と顔を隠した二人

 

「この女が指揮官とは、情報と違うぞ」

 

俺の顔、体を眺め後ろで銃を持った二人に聞く重装備の男

 

右側にいたアサルトライフルを持つ奴が

 

「いえ情報どおりです、彼が花厳 輝です。その証拠として血族特有の白髪になってます」

 

白髪が血族特有?俺は元々黒髪だぞ、それに血族特有なら鈴と蘭も白髪になるはずだぞ

 

流石にこの状態で口に出すことが出来なかったが彼らの後ろ、元は保管庫だろう部屋にキンジの制服が見えた。

 

少し顔を動かせばもがいている鈴の姿も確認できた。全員無事か良かった

 

「そう、彼が教授の求める新たな入学者」

 

今度は左側に居た等身ほどの大太刀を抱えた人は女性だと分かった

 

「じゃあ花厳 輝、私達とともに来い」

 

重武装の男が俺に手を向けながら言う

 

「せめて説明とそこの奥に居る仲間の処遇を聞かせてくれたら考えよう」

 

どう考えても罠だろ、いきなり仲間になれ的なそれはもうちょっと勧誘の仕方変えた方が良いと思う

 

「説明か、我らが教授が貴様を欲している。だから我らについて来い」

 

「貴様の仲間は貴様の回答次第による」

 

つまりこいつらの親玉は俺が欲しいとなんでだ?この能力というか体質に興味でもあるのか?もしくはほm

 

「先に言っておくが教授は貴様の持つ体質に興味があるようだ。決して不純な理由など無い」

 

思考を読まれるのは気に食わないな、そういえばキンジにも読み取られたっけ…。

 

そんなに顔に出てるか?一応ポーカーフェイスは出来てるはず…いやそんなことより

 

「お前らについていけば仲間には手を出さないんだったら付いていってもいいぞ」

 

自分の要求を突き通せれば一先ずどうにかなる、最悪同士討ち覚悟で重装備の奴をやれればいい

 

それにそろそろ下階の奴らも目を覚ます、そうなれば全員お陀仏間違いなしだ

 

「そんなことさせないわよ?輝?」

 

と聞こえた瞬間、窓を突き破って入ってくる人影が見える

 

どこかで聞いたことあるような声がする、だがそんなはずは無い。だってこの声の人は今ナゴジョに行ってるはず…

 

念のため、声がした方に目を向ける。そこに立っていたのは

 

「友里姉さん…なんで、あんたがここに…」

 

「あら、なんでって失礼ね。レキちゃんにこの依頼を頼んだのは私よ?」

 

俺達兄弟の姉であり、東京武偵高三年、衛生、救護科の両方に在籍する俺の知る限りの最凶の化け物。花厳 友里

 

「貴様、何者だ」

 

重装備の男が銃を構える

 

「危ない!」ととっさに男に向かって叫んでしまった。あ、敵に情けを掛けちゃ駄目か

 

だが次の瞬間には男は膝から崩れ落ちる。あちゃー、遅かったか

 

「人に銃を向けるなんていけない人ねぇ…」

 

そう言いながら手に持っているのはピースメーカー

 

昔からだけど抜いて撃つまでの動作が見えない、どういう動きをしてるんだこの人は…

 

それをみた顔を隠していた二人が口を開く

 

「花厳 友里 Sランクの衛生学科生か。動きが強襲学科並み…、いやそれ以上か」

 

大太刀を片手で持ち、肩に置くと敵意が無いことを示すように座り込む

 

「ですね。情報によれば現在二年の半分を一人で倒したそうです。我々では手に負えないでしょう」

 

アサルトライフルを持っていたほうも敵意が無いようで銃を降ろす

 

「あら、一人で半分も倒したなんて尾ひれが突き過ぎよね」

 

何を言う半分じゃなくて全滅させただろうに…、流石にそれがばれると強襲学科自体に衛生学科に負けたというレッテルを貼られるのを阻止するために半分ということにしてあるんだよ…

 

「争う気が無いならお帰りいただけますかぁ?あたしまだこれか依頼が残ってますので~」

 

とピースメーカーを仕舞いながら平然と敵に背中を晒す姉さん、もうちょっと危機感持ってくれないかな…

 

「そう、だな…、では花厳 輝だけ連れて行かせてもらおう」

 

大太刀の女が突然立ち上がり俺に向かってくる、迎撃の態勢をとったが胸に強い衝撃が走り眩暈を起こす

 

「っ!!」

 

姉がそれに気付き、発砲するが大太刀の女はいとも容易く全てを弾き返す、刀を抜かずにだ

 

「どうやらここは逃げるしかありませんね」

 

いつの間にか近づいていたアサルトライフルの男に銃床で殴られてしまった

 

くそ…意識が遠退く…、キンジ…鈴、蘭…すまない…

 

 

 

 

俺はそのまま意識を手放してしまい、その後のことは分からないが目が覚めると

 

「…ここは、どこだ…」

 

体を持ち上げ、周りを見渡す。

 

俺が寝かされていた部屋は牢獄ではなく、普通の部屋だった

 

キンジは?鈴と蘭は?心配する必要は無いと思うが友里姉さんは?俺の武器は?

 

体の様子を確認するといままで女の体だったのが自分の体に戻っていた

 

「やあ、お目覚めかな?」

 

後ろから声がする、身の危険を察した俺は振り返り白打の構えを取る

 

「そんなに警戒しなくてもいい、僕はただの老兵さ」

 

帽子を深く被り杖を持った老兵と名乗る男

 

「君とは話しておきたくてね、手荒な真似をしてすまなかった」

 

口では謝っているが肝心の誠意などは全く篭もっていない…

 

「貴方は誰ですか」

 

相手が老兵と言っているがその身から感じる気配はどう考えても現役の武偵、それ以上のものだ

 

「いやぁ、自己紹介がまだだったね。君は僕の事を知っているだろう。こう思うことを決して傲慢ではないことを理解して欲しい。なにせ僕という男は、いやというほど書籍や映画で取り上げられるのだからね。でも僕はこれを言わなければ気が済まなくてね」

 

そう言いながら帽子を外す男の顔を見て俺は驚愕する。

 

なぜならその顔は武偵を目指す者全てがしっており、最初の武偵と言われる男

 

「始めまして、僕がシャーロック・ホームズだ」

 

とうの昔に死んでいるはずのシャーロック・ホームズだった


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