アクセル・ワールド ~黒い獣~   作:けんぱ

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お久しぶりです^^
更新遅くなってすみません><
最近、温度差が激しいですけど体には気を付けて下さいww
では、本編へ^^


#5 獣

「コオオォォォ・・・」

 

 

奇妙な息を吸う音と共にライガーの周りの空気が痺れ出した。

徐々にライガーの腕の剣から手まで、そして膝から脚までが紫色の光に包まれ、アーマーのようになった。足から鉤爪が生えて、膝は尖がった。腕と同じようにアーマーに包まれる。昨日使っていた移動能力拡張心意技『スペース・ジャンプ』と同じ形だった。

 

 

「くわぁ!!」

 

 

ライガーの口が開いたと思うと、ギザギザな歯が現れた。さらに、尻尾が現れまるで黒い獣ようだ。しかし、その姿は獣というよりも人に近い姿だった。

 

 

「ふぅ・・・」

 

 

「それが、ライガーさんのアビリティ・・・」

 

 

「そうだ。名は“獣アビリティ”。本来ならここまで時間はかけないが、お前には今回だけ特別に見せてやるさ。だが・・・」

 

 

ライガーはゆっくり立ち上がり両手を広げた。

 

 

「あまり獣には見えないだろう?」

 

 

「え・・・まぁ・・・獣というかなんていうか・・・」

 

 

あまりにも突然だったからクロウは言葉が出なかった。

 

 

「“獣人”みたいだろう」

 

 

「そうですね。まるで“獣人”みたい・・・」

 

 

クロウは、ふと疑問に思った。

 

 

(ちょっと待て。じゃぁ何で『不完全獣(パーフェクトミス・ビースト)』って呼ばれてるんだ?まさか!?)

 

 

「どうやら気付いたらしいな」

 

 

「!!」

 

 

突如、ライガーに心を読まれ、動揺を隠し切れなかった。

 

 

「そうだ。“獣アビリティ”とか言いながら完全な獣じゃない。パドみたいに完全な獣になれなかった。人と獣の間。いわば、“獣人”だ。悲しいねぇ。パドが羨ましいよ」

 

 

「ライガーさん・・・」

 

 

「ま、別にそこまで悔いてないけどよ」

 

 

「え?」

 

 

「だって、この通り名で有名になってるから別によくね?気にする事ないじゃん」

 

 

クロウは、唖然とした。

 

 

「あの、ライガーさん・・・何かギャップ激しくありません?」

 

 

「ん?まぁ~よくレギオンメンバーにも言われたな」

 

 

「・・・」

 

 

クロウは、呆れて何も言えなかった。

 

 

「さぁさぁ、お喋りはこれぐらいにして・・・」

 

 

ライガーは、右手を地面に着き、腰を低く落とした。

 

 

「早く対戦の続きしようぜ」

 

 

「では、最後に教えて下さい。何故、『高速の獣人』と呼ばれているのですか?」

 

 

「それは、今見せてやるよ。それよりも、しっかり防げよ。じゃないと、即死するぞ」

 

 

クロウは、いつでも防げるように構えた。そして、翼も羽ばたけるように準備した。

お互い動かなかった。ただただ時間が減るだけだった。

ライガーの顔が、先ほどより近くなり・・・

 

 

(さっきより近いような・・・)

 

 

と思った瞬間、ライガーがクロウの顔に向けてラリアットした。

 

 

「ぐわぁ!!」

 

 

そのまま吹き飛ばされたクロウに対し、ライガーはさらに距離を詰めた。

クロウは、翼を震わせ体勢を整えたが既に、ライガーの姿はなかった。いや、クロウの真下にいたのだ。

 

 

「らぁっ!!」

 

 

「ぐっ!!」

 

 

腹を殴り、真上に飛ばした。

 

 

(く・・・速い!!)

 

 

「これが『高速の獣人』と呼ばれた理由だ!!」

 

 

ようやく理解出来た。先ほどのライガーの顔が瞬時に自分の目の前に現れた事、そして、自分の真下にいた事。黒雪姫が言っていた『加速世界で、地上で最も速いバーストリンカー』の意味。つまり、全てライガーの“獣アビリティ”だったのだ。ライガーのアビリティは脚力が上がり瞬時に移動出来るのだ。

 

 

クロウは、再び防御体勢に入ったが目の前にライガーがいた。

 

 

「遅い!!」

 

 

「くっ!!」

 

 

どうにか防御出来たが、パンチの反動で後ろに吹き飛ばされた。

体勢を保とうとしても・・・

 

 

「まだまだ!!」

 

 

既に背後におり、再び蹴られて飛ばされた。そしてその繰り返しに。

ライガーはビル壁を利用して飛ぶ向きを変え、クロウに突っ込んでいたのだ。

 

 

(まずい、このままじゃ・・・)

 

 

ライガーの攻撃止まず、HPは徐々に減りだした。

 

 

「らぁ!!」

 

 

顔面を殴られ、地面に叩き付けられた。

 

 

「どうした?諦めたか?」

 

 

クロウはゆっくり起き上がり呟いた。

 

 

「いえ、ライガーさんの攻撃が速すぎてなかなかチャンスがつかめなかったんです」

 

 

「だろうな。こんなんで諦められたらこっちが困るさ」

 

 

そう言いつつ、後方に飛び、ビルに張り付いた。

鉤爪を食い込ませ、尻尾を刺し、見事に張り付いている。

 

 

「俺の最大の必殺技を見せてやるよ」

 

 

ライガーの必殺技バーを見ると既に満タンだった。

 

 

「かわすなら今のうちだぞ」

 

 

「!!」

 

 

ライガーは右腕をゆっくりひいた。

 

 

『破壊の拳(ディストラクション・パンチ)

 

 

装甲が開き、紫色の光を発した。そして、体を後ろに引き、クロウに勢いよく突っ込んで行った。

クロウは、翼を全力で震わせ、後ろに下がった。

 

 

「らああああぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

ライガーの必殺技が地面に着弾し、巨大なクレーターが出来た。

 

 

「ぐわぁ!!」

 

 

その勢いでクロウは吹き飛ばされた。

 

 

「なんて威力だ。あんなの食らったらこっぱみじんだ」

 

 

「大した物だ。綺麗にかわすとはな」

 

 

(これ以上地上にいたらヤバいな。そろそろ飛んで攻撃を仕掛けないと・・・!!)

 

 

腹部に痛みがあると思い、見ると黒い針状な物が刺さっていた。後ろを向くと、その針状は地面から出ている。そして、それを追うとライガーから始まっていた。刺さっていたのはライガーの尻尾だったのだ。

 

 

「く・・・」

 

 

尻尾を抜くと、クロウは地面に跪いた。

 

 

「ふん、油断したな。尻尾ってのは、こういう風に活用出来るんだよ」

 

 

クロウは、自分のHPバー見た。残り1割を切っていた。

あと一撃でも強力な攻撃を受けたらおしまいだ。

 

 

「いつまで跪くつもりだ?」

 

 

慌てて顔を上げると、ライガーが突っ込んできた。そして、クロウの首に噛み付いた。

 

 

「ぐわあぁぁ!!」

 

 

悲痛の叫び声が響いた。

ライガーは、徐々に顎の力を入れた。HPはじわじわ減っていった。

振り払おうとしても、ライガーがクロウをしっかりホールドしている。

 

 

(ぐ・・・負けてたまるか!!)

 

 

クロウは翼を震わせ、ライガーにホールドされたまま高く飛んだ。

 

 

「ふぁがふるふおりふぁ?(何するつもりだ)

 

 

そのまま逆さまになり急降下した。

 

 

「ふぁ・・・ふぁがふぁがふぁが!!(ま・・・待て待て待て)

 

 

ライガーがバタついたのを見逃さず、クロウは膝蹴りを食らわした。

クロウから離れたライガーは、そのまま落下。

 

 

「のわあああぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

地面に着弾。HPが減り、こちらも残り1割を切った。

クロウは、体勢を戻し、ゆっくり下降した。

 

 

「ぐ・・・この、ガキが!!」

 

 

そのまま、勢いよくクロウに突っ込んで行った。

 

 

(落ち着くんだ。ライガーさんの動きをよく見るんだ)

 

 

すると、あんなに速かったライガーの動きがゆっくりになった。

そのまま、左にスライドした。

 

 

「何!?」

 

 

ライガーは、ビルに突っ込み、ビルは崩壊した。

 

 

「ほう、俺の攻撃をかわすか。舐めるな!!」

 

 

さらに突っ込んできたが、クロウはひたすらかわし続けた。

クロウは、再び空高く飛んだ。

 

 

「逃げる気か?」

 

 

クロウは、ライガーに向きを変えて。

 

 

「くらえ!!『ダイブ・アタック!!』」

 

 

「決着付けるつもりか?上等だ!!」

 

 

ライガーの必殺技も8割強溜まっていた。そして、あの必殺技を出した。

 

 

『破壊の拳!!(ディストラクション・パンチ)

 

 

そして、お互いの必殺技がぶつかり、巨大なクレーターが出来た。

 

 

「うおおおおぉぉぉぉ!!!!!!」

 

 

「てああああぁぁぁぁ!!!!!!」

 

 

すると、クロウの腕にヒビが入った。

 

 

「くっ!!」

 

 

「悪いが、この対戦は俺の勝ちだ!!」

 

 

クロウは、どんどん押されていった。

 

 

「負けてたまるかぁ!!」

 

 

クロウも押し返した。

ライガーの腕にもヒビが入った。

 

 

「うおおおおおおおぉぉぉ!!!!!」

 

 

「でりゃあああああぁぁぁ!!!!!」

 

 

ライガーの腕は砕けた。

 

 

「何!?」

 

 

そのまま、腹に蹴りが入り押されていった。

 

 

「ぐわああああぁぁぁ!!!!!!」

 

 

腹を貫通し、ライガーのHPは尽きた。

 

 

「はぁ、はぁ」

 

 

「まさか、負けるとはな・・・」

 

後ろを振り向くと、ライガーは立つ竦んでいた。

 

 

「勝てたのも奇跡ですよ」

 

 

「フフ」

 

 

ライガーも振り返った。

 

 

「一番隅っこで窓の付近に座ってる」

 

 

「え?」

 

 

「現実(リアル)だよ」

 

 

クロウは、すっかり忘れていた。

 

 

「すみません、対戦に夢中になってて・・・」

 

 

「別に謝る必要ねぇよ。じゃ、待ってるぜ」

 

 

「はい!!」

 

 

「じゃあな」

 

 

あいさつ共のライガーは爆散した。

 

 

【YOU WIN!!】という文字と共に現実世界に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現実世界に戻ったハルユキは横断歩道で立ち止まった。

加速世界は現実世界の1000倍なのだ。つまり、加速世界での1800秒は現実世界(こちら)でいう1.8秒しかたっていないのだ。

 

 

ハルユキは、ライガーがいる建物に向けて走り出した。

 

 

「いらっしゃいませ、お客様何名でしょうか?」

 

 

受付のお姉さんに話しかけられ、慌てて腕を振り話した。

 

 

「あ、いえ!!待ち合わせしてました」

 

 

「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」

 

 

ライガーに言われた席に向かうと、そこに1人の少年・・・いや、青年が外の景色を見ながら座っていた。

ハルユキは、深呼吸し歩き出した。

 

 

「君が、シルバー・クロウだね」

 

 




次回、ついにライガーのリアルと対面します

字が間違ってたらすみません><
感想、質問お待ちしております(^O^)

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