アクセル・ワールド ~黒い獣~   作:けんぱ

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あけましておめでとうございます。
更新遅れてごめんなさい><
ちょっといろいろありまして・・・
では、本編へどうぞ!!


#4 挑戦

「加速した!?」

 

 

突然、視界が対戦フィールドに変わり、ハルユキは状況が理解出来なかった。

今回の属性は、《黄昏》だった。空が薄黄色の淡い夕陽がさし、乾いた風が吹く風化したギリシャ神殿の用に変化する。

【HERE COMES A NEW CHALLENGER!!】という文字と共に現れたHPバーを見ると、シルバー・クロウへと変わったハルユキは愕然とした。そこには、『ノワール・ライガー』の名前があった。

 

 

「何で、あの人が・・・」

 

 

【FIGHT!!】と共に、目の前の建物が上から順に崩壊していった。いや、崩壊というより斬り刻まれていった。

 

 

「な・・・何だ!?」

 

 

崩壊した建物からその正体がだんだん見えてきた。やはり、ノワール・ワイガーだ。

 

 

「よぉ、シルバー・クロウ」

 

 

「ライガーさん、どうしてですか?どうして、僕を・・・」

 

 

クロウは、あまりのショックで言葉が出なかった。

 

 

「安心しろ、別にお前のポイントを狩るつもりはないよ」

 

 

「え?」

 

 

クロウには理解出来なかった。

 

 

「ただ単に、お前の実力を知りたかっただけだよ」

 

 

「え・・・え!?」

 

 

さらに、理解出来なくなった。

 

 

「今日、ロータスが遅れて来るのは知ってる」

 

 

「そうなんですか!?」

 

 

「聞いていないのか?」

 

 

「そうだったかもしれません」

 

 

ライガーは、呆れながら話した。

 

 

「どうせ、あいつが来るまで時間あるし、お前と1回対戦してみたかったんだよ」

 

 

「そうなんですか・・・」

 

 

「ああ。すまなかったな、いきなり対戦を仕掛けて。」

 

 

「い・・・いえ!!別に気にしてませんよ!!ただ、突然だったのでびっくりして・・・」

 

 

「ふん、相変わらず面白い奴だな」

 

 

ライガーは、腕を組みながら軽く笑った。

 

 

「あ・・・あの、そろそろ始めませんか?」

 

 

クロウは、戦闘の構えになって話した。

 

 

「そうだな。手加減せずに来い」

 

 

「分かっています」

 

 

ライガーは、膝から薄緑の過剰光(オーバーレイ)を放った。

 

 

『スペース・ジャンプ』

 

 

徐々に膝を覆い、巨大な鉤爪など生えていた。昨日使っていた心意技だ。

 

 

「心意技!?大丈夫なんですか!?」

 

 

突然、叫んだクロウに対し、ライガーはキョトンとなってしまった。

 

 

「何がだ?」

 

 

「だってここ通常対戦フィールドですよ!?」

 

 

「大丈夫だ。ギャラリーはいねぇよ」

 

 

「へ?」

 

 

「まず、俺を登録してる奴はほとんどいないし、いるとしてもネガ・ネビュラスのメンバーぐらいさ。それに、お前を登録してる奴らは、大半がレオニーズとかグレウォだろう?しかも、今日は領土戦の日だからさすがにここまで来ないだろう?」

 

 

「確かに・・・」

 

 

クロウは、納得するかのように腕を組んだ。

すると、何かを思い出したかのように顔を上げた。

 

 

「そういえばその心意技は・・・」

 

 

ライガーは、察したかのように答えた。

 

 

「そう、昨日使った心意技だ」

 

 

「自分で編み出したですよね?」

 

 

「まぁな」

 

 

「凄いじゃないですか!!」

 

 

ライガーは、少し照れながら答えた。

 

 

「別に大した事じゃねぇよ」

 

 

「いつ編み出したのですか?」

 

 

「ネガ・ネビュラスにいる時さ」

 

 

「え?でも、師匠は・・・」

 

 

「ほとんど使わなかったんだよ。別の心意技(・・・・・)を使ってたんだ」

 

 

「別の?」

 

 

「ああ。だが、まだそれを見せる時じゃないさ」

 

 

「見せる時・・・」

 

 

クロウには理解出来なかった。

 

 

「さ、お喋りこれぐらいにしてさっさとデュエルしようぜ」

 

 

「はい!!よろしくお願いします!!」

 

 

クロウが挨拶した瞬間、ライガーと高く跳んだ。

 

 

「って、あ!!ちょっと!!」

 

 

「早く捕まえないと逃げられちゃうぞ~」

 

 

ライガーは、空気を蹴りながら移動した。

 

 

「待て!!」

 

 

クロウは、ひたすら追いかけた。

翼を展開させる事は可能だが、まだ必殺技ケージがたまってないから高く飛ぶ事が出来ない。そのため、しばらく走り続けないといけないのだ。

ライガーが曲がり、クロウも曲がるとそこにはライガーの姿はなかった。

 

 

「どこに行った?」

 

 

周りを見渡したが見つからなかった。

すると、ふと黒雪姫にアドバイスされた事を思い出した。

 

 

『ライガーは、あの移動能力拡張心意技を使うと必ず逃げ回る。絶対に見失うなよ。もし、見失ったら周りよく探すんだ。きっと建物に隠れているはずだ。』

 

 

(と、言っても・・・どこに隠れているんだ?)

 

 

一方、ライガーは、黒雪姫が言ってた通り、建物の中に隠れていた。

 

 

(これで、俺の勝ちだ。一度見失うとこっちのもんだ)

 

 

ライガーは、両腕の剣をはずし、それを弓に組み立てた。

そして、静かに発した。

 

 

『破壊の矢(ディストラクション・アロー)

 

 

薄緑の光線が、クロウに向けて放たれた。

だが、クロウは立ったままだった。

 

 

(かわさないのか!?上等な奴だ)

 

 

だが、予想外の事が起きた。

クロウが、突如真上に跳んだのだ。

 

 

「ここだー!!!」

 

 

「何!?」

 

 

さすがのライガーも驚きを隠す事が出来なかった。

 

 

(だが、甘い!!)

 

 

破壊の矢(ディストラクション・アロー)は、直線から徐々に曲がっていき、そのままクロウの腹部を貫通した。

 

 

「ぐっ!!」

 

 

さらに、地面に着弾すると激しい爆発を起こし、クロウを吹き飛ばした。

 

 

「ぐぁ!!」

 

 

「大したもんだ・・・」

 

 

後ろを振り向くと、ライガーがいた。

 

 

「ホーミング付きだったんですか?」

 

 

「そうだ。しかし、よく分かったな、俺が建物に隠れて事を」

 

 

「先輩からのアドバイスです」

 

 

「なるほど・・・だが、こっから先はアドバイスは貰ってないだろう?」

 

「・・・」

 

 

クロウは、何も言えなかった。

 

 

「図星だな」

 

 

「でも、あなたもこれで逃げ隠れは出来ませんね」

 

 

「“出来ない”じゃない。“しない”だ」

 

 

「どういう・・・」

 

 

「どうせ何やってもばれるしな。だったら正々堂々戦おうぜって感じだ」

 

 

「は・・・はぁ・・・」

 

 

「・・・」

 

 

突然、ライガーは、クロウに突っ込んで行った。

 

 

「え・・・ちょ!!」

 

 

「でりゃああああ!!!!!」

 

 

「わああああーーーーー!!」

 

 

クロウは、ライガーの蹴りを必死でかわした。

 

 

「いきなり何するんですか!?」

 

 

「いや、お前の反応がイマイチだったし・・・」

 

 

「そんな事で蹴るんですか!?」

 

 

「うるせぇ!!デュエルだから文句言うな!!さっさとかかってこい!!」

 

 

「分かりました・・・行きます!!」

 

 

クロウとライガーは、お互前進した。

 

 

クロウは、右拳を構え、ライガーも同じく右拳を構えた。

お互いの拳がぶつかり空気が揺れた。

 

 

「やるじゃねぇか」

 

 

「ライガーさんこそ」

 

 

2人は、激しくぶつかり合い、攻防を繰り返した。

 

 

「・・・っつ!!」

 

 

ライガーの剣が、クロウの肩をかすめた。

 

 

「さすが、メタルカラーだ。これじゃなかなか斬れねぇや」

 

 

「せい!!」

 

 

クロウは、足払いをしたがライガー見事にかわした。そして、そのまま空中で180°時計回りした。

 

 

「くらえ!!」

 

 

クロウは、上手く防げたが、ライガーの蹴りは遠心力を利用してるから数メートル飛ばされた。

 

 

「この蹴りを防ぐとはな・・・。なかなかやるじゃねぇか」

 

 

「く・・・」

 

 

「必殺技ケージも溜まったし、そろそろ使うか」

 

 

「どんな必殺技だ?」

 

 

「それは、見てからのお楽しみだ」

 

 

ライガーは、右足を前に出した。

 

 

『レッグ・ソード』

 

 

膝から剣が現れた。

 

 

「行くぞ」

 

 

ライガーは、空高く跳んだ。

 

 

(ヤバい!!あれに斬られたらメタルカラーでも真っ二つにされちゃう!!)

 

 

クロウは、必死にかわし、どうにかライガーの必殺技から逃れた。

しかし、ライガーが斬った建物は、見事に真っ二つに斬られていた。

 

 

「な・・・なんて切れ味だ・・・」

 

 

クロウは、唖然とするしかなかった。

 

 

「言っておくけど、この必殺技は出した瞬間ケージは減らない。出してる間に減るんだ」

 

 

そう言われてライガーの必殺技ケージを見ると、確かにケージがじわじわ減っていた。

 

 

「余所見してる暇はあるのか!?」

 

 

「!?」

 

 

すぐに前を見ると、ライガーが突っ込んで来た。

慌てて両手をクロスさせ、防御体勢に入ったが、左足で蹴飛ばされ防御を崩された。

 

 

「もらった!!」

 

 

そのまま斬られて、3割弱減った。

 

 

「やっぱ一気に減らないよな」

 

 

ライガーは、剣をしまい、溜め息混じりで話した。

 

 

「じゃ、そろそろ僕の番ですね」

 

 

「何?」

 

 

クロウは、翼を展開させた。

 

 

「それが、噂の飛行アビリティーか」

 

 

「行きます!!」

 

 

クロウは翼を勢いよく震わせ、ライガーに突っ込んだ。

 

 

「真っ直ぐ来るとはな・・・舐められたもんだ」

 

 

クロウは、右翼を震わせ、左にスライドした。

 

 

「な・・・」

 

 

そのまま、左手でパンチした。

 

 

「チィ!!」

 

 

今度は左翼を震わせ、ライガーの真反対に移動した。さらにパンチと見せかけて、ライガーの顔に膝蹴りを喰らわした。

 

 

「がっ!!」

 

 

この動きが読みづらい技こそが、クロウが生み出した『空中連続攻撃(エアリアル・コンボ)』だ。これを喰らう限り、相手は防ぎ続けるしかないのだ。

 

 

「ぐっ・・・くそ!!」

 

 

ライガーのHPは、徐々に減っていった。

 

 

「これが、エアリアル・コンボか・・・。確かに動きが読みづらいな。だが、先読みをすればどうなるかな?」

 

 

そう言い、クロウの動きを先読みし蹴りを加えた。

しかし、クロウにとってはすでに計算済みだった。

 

 

「甘い!!」

 

 

そのまま、膝を掴んだ。

 

 

「な!!離せ!!」

 

 

「嫌です・・・よ!!」

 

 

そして、足バージョンの背負い投げをした。

 

 

「ぐぼっ!!」

 

 

顔面を打った。

 

 

「ぐ・・・ほざくなよ!!小僧が!!『延長の剣(レンクス・ソード)』!!」

 

 

『光線剣(レーザソード)!!』

 

 

お互いの心意技がぶつかり激しい耳障りの音がした。

 

 

「もういっちょくらえ!!」

 

 

「僕も負けませんよ!!」

 

 

さらに、激しくぶつかり合った。そのたびに地面にクレーターが出来た。

 

 

「らぁ!!」

 

 

「ぐあ!!」

 

 

クロウは、吹き飛ばされた。

そのまま、真上に飛んで行った。

 

 

「逃げるつもりか?クロウ!!」

 

 

『レーザソード』

 

 

クロウは、翼のスピードを利用し、ライガーに突っ込んで行った。

さすがのライガーもこれは、押し返せれなかった。

 

 

「ぐっ!!」

 

 

そのまま押され、建物を貫き続けられた。

 

 

「クソ・・・」

 

 

納まった時には、ライガーは倒れていた。

 

 

「やっぱ、これを使うか」

 

 

ライガーは、ゆっくり立ち上がり両手を剣に添えた。

 

 

(あの構えは!?)

 

 

『二刀流(ツイン・ソード)

 

 

両腕についていた剣は、手に持ち替えられた。

そして、クロウに突っ込んで行った。

 

 

『レーザソード!!』

 

 

「無駄だ!!」

 

 

激しくぶつかったが、クロウが押されていた。

 

 

「そんな素手の剣が、俺のこの剣に勝てる訳ないだろう!!」

 

 

レーザソードを弾き、右の剣をクロウの左肩に刺した。

 

 

「ぐぁ!!」

 

 

悲痛の叫びが聞えた。

 

「まだまだ!!」

 

 

左の剣でクロウを斬った。

右の剣を抜き、さらに斬り刻んだ。

 

 

「ぐわあああああーーーー!!!!!」

 

 

クロウのHPは半分をきった。

 

 

「さて、そろそろ終わりだ」

 

 

「それはどうかな?」

 

 

「何?」

 

 

『レーザソード!!』

 

 

クロウは、起き上がりライガーに斬りかかろうとしたが、すんなりかわされた。

 

 

「だから同じは2度も喰らわんって言ってるだろう!!」

 

 

「なら、これならどうです?」

 

 

クロウは、右腕を引っ込めた。

 

 

(何だ、あの構えは?まさか、あの距離から心意技を放つのか?無理だろう・・・)

 

 

『光線槍(レーザランス)!!』

 

 

腕を伸ばして、レーザソードのさらに距離が伸びた心意技『レーザランス』放った。

あまりの驚愕の技だったからライガーは防ぎきれなかった。

 

 

「がああああーーーー!!!!!」

 

 

(そういえば・・・昨日使ってたな・・・忘れてた)

 

 

ライガーの腹部に穴があいた。

今度は、2つの剣を1つにまとめた。

 

 

『ディエルム・ソード』

 

 

(来た!!あれをどうやって防ごう)

 

 

考える暇もなく、ライガーが突っ込んで来た。

 

 

「くらえ!!」

 

 

クロウは、レーザソードで防いだが押された。

 

 

「ぐ・・・重い・・・」

 

 

「だろうな。だが、この剣はそのために使うんじゃないんだ。しっかり剣術も学ばないとな」

 

 

そう言いながら、剣を回転させ、クロス斬りした。

 

 

「ぐあああああ!!!!!!!!!」

 

 

クロウは、そのまま倒れた。

 

 

「さて。そろそろ終わりに・・・」

 

 

突然、クロウは飛び立った。

 

 

「何だ?」

 

 

向きをライガーに向け、ありったけの心意を右腕に込めた。

 

 

『レーザソード!!』

 

 

「なるほどな」

 

 

ライガーも理解し、剣を構えた。

そして、剣の中央が開いて2つに別れて薄緑の過剰光(オーバーレイ)を放った。

 

 

『デストロイ・ビームソード!!』

 

 

紫色の光線が、クロウに向けて放たれた。

 

 

(集中するんだ!!何も恐れずに集中するんだ!!)

 

 

心意技同士がぶつかった。

 

 

(ぐっ!!自分を信じるんだ!!オレはあの人に勝てるんだ!!)

 

 

クロウの過剰光は激しく光った。

 

 

「やるじゃねぇか、だが、まだまだだ!!」

 

 

ライガーもよりいっそ過剰光強く輝かした。

 

 

「う・・・おおおおおおおお!!!!!!!!!!!!」

 

 

クロウの過剰光はライガーよりも輝いた。

そして、ついにライガーの心意技を破壊した。

 

 

「何!?」

 

 

「くらえーーーーーーー!!!!!!!!!」

 

 

(バカな・・・俺の心意技が壊されただと!!)

 

 

レーザソードは、ライガーの腹部を貫通した。

そのまま建物ごと吹き飛ばされた。

 

 

「やった・・・」

 

 

クロウは、地面に座り込みHPを見た。クロウは3割強、ライガーは2割弱残っていた。

 

 

(これで勝てる!!)

 

 

だが、安心もつかの間、突如、不気味な笑い声が聞えた。

 

 

「フフフ・・・ハハハ!!!!!!」

 

 

「!!」

 

 

「悪い悪い、久しぶりこんなデェエルしたから燃えてきたぜ」

 

 

ライガーは、ゆっくり起き上がりクロウに近づいて行った。

 

 

「しゃーない、あのアビリティ(・・・・・・・)使うしかないか・・・」

 

 

そう言って、四つん這いになった。

 

 

「アビリティだと?」

 

 

「そうだ。それにここまで来たらいろいろ秘密を話していくか」

 

 

「秘密だと?」

 

 

「そうだ。何で俺が『高速の獣人』と『不完全獣(パーフェクトミス・ビースト)』と呼ばれてるか教えてやるよ」

 

 

 




次回、ライガーのアビリティが明らかになります!!

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