内容がめっちゃ長くなってしまいました(汗)
ごめんなさい><
足音と共に目を開けるとそこは、鉄板だらけのマンションだった。
今回の属性は《鋼鉄》だった。あらゆる地形がリベット打ちの鉄板へ変貌し、足音が異様に響く属性だ。
銀色のボディを持ち、ひょろ長いデュエルアバター、シルバー・クロウ。それが、有田春雪のデュエルアバターだ。リアルとあまりにもかけ離れていて、本人はまだそれを気にしている。
しばらく、左右を見渡すと外から唸り声が聞こえた。ステージ全体が見える所まで行くと、あまりにもありえない光景だったから、驚愕してしまった。
「何だよ、これ・・・」
そこには、普段見慣れたステージは無く、代わりに黒い物がステージを埋め尽くしていた。そして、その黒い物こそが、『クロム・ディザスター・モドキ』だ。
あまりにも驚愕な光景で思考回路が停止している間、後ろから冷静な声が聞こえた。
「これほどの数がいるとはな・・・。さすがの私でもびっくりだ」
思考回路が、復活して後ろを振り向くと、全身が黒で手足が剣のデュエルアバター、ブラック・ロータスこと黒雪姫がいた。
「先輩、これは」
「うむ、はっきり言って私もびっくりしている。こんなに多いとは・・・」
「そして、姿は四代目に似てますね」
「確かにそうだな。私も生で見るのは初めてだ」
クロム・ディザスター・モドキの姿は、頭は四代目クロム・ディザスターだが体はまだ見た事のないフォルムだった。頭と体は、やけにバランスがおかしくかけ離れていた。頭は、細いのに体はごつく違和感がある。
「でも、何でこんなに大量発生したんですか?そもそも、なぜ、クロム・ディザスター・モドキが現れたのですか?」
「私にもよく分からない。他のバーストリンカーの話しによると、エネミー狩りをしていたメンバーの目の前に1体のクロム・ディザスター・モドキが現れた。まずいと思ったんだろう。すぐに、反撃したら簡単に倒せた。安心して、エネミー狩りを続けていたが、クロム・ディザスター・モドキはどんどん増えていって・・・」
黒雪姫は、そこで一旦話すのをやめた。ハルユキは、唾を飲み込みながら恐る恐る聞いた。
「そのバーストリンカーは、どうなったのですか?」
「見事に狩られたさ。ポイント全損にはならなかったらしいが、かなりヤバかったらしい」
「そんな・・・」
あまりの恐ろしさに、足がすくみそうになった。だが、そんな恐怖を消してくれるかのように黒雪姫は、優しく話しかけた。
「大丈夫だ、ハルユキ君。君に何があっても、必ず私が守る。それに、襲われたバーストリンカーは、大してレベルは高くなし、人数も少なかった。だが、我々は違う。人数もまあまあ多いし、
「はい」
しばらく、2人は見つめ合った。だが、次の瞬間、その雰囲気を台無しにするような大声が響いた。
「わー、すごい数!!」
「チーちゃん、声が大きいよ!!」
緑系の色で、魔女みたいな帽子を被っていて、左手には巨大なベル型強化外装『クワイアー・チャイム』を装備しているライム・ベルこと倉嶋千百合と青色系で、重量級並みの体格を持ち、右手にはパイルドライバーを装備しているシアン・パイルこと黛拓武が外を見ながら話していた。
「そういえば、全員で入ったんだな。」
ハルユキは、頭の中で黒雪姫がつぶやきをリピートさせた。
(全員・・・まさか・・・)
背後から異様な殺気を感じ、恐る恐る後ろを向いた。そこには、白いつば広帽とワンピースを着たスカイ・レイカーこと倉崎楓子と巫女のような姿をしたアーダー・メイデンこと四埜宮謡がいた。
フーコは、いつも以上の満面な笑顔と共に、ハルユキに真空破レイカースマイルを浴びせた。
「大丈夫ですよ、鴉さん。何も見てないので、続けてもいいですよ」
「いや・・・その・・・えっと・・・」
そして、謡も加速世界でしか聞けない可愛らしい声で、フーコに続けて言った。
「クーさん、そのままで大丈夫なのです」
「ちゃうんです・・・」
再び、思考回路が停止するハルユキであった。
すると、後ろから黒雪姫の凛とした声が聞こえた。
「そろそろ始めるぞ」
ハルユキは、すぐに思考を復活させ、返事をした。
「あ、はい」
全員で、ステージ全体が見渡せる所まで行った。
「あれが、クロム・ディザスター・モドキなのですね?」
「そうです。ですが、これほど数が多いとは思っていませんでした」
「今さらごちゃごちゃ言っても意味がないぞ。レイカー、メイデン」
黒雪姫は、後ろに下がり、凛とした声で話した。
「では、これよりミッションを開始する。作戦は、さっき説明したとおり、固まって戦うのみだ」
「「「「「はい!!!!!」」」」」
全員で声をそろえ、そして・・・
「行くぞ!!」
黒雪姫の掛け声と共に飛び降りた。
相手は、まだこっちの存在に気付いていなかった。そのまま、落下と共に蹴り上げた。
「うおおおおおおぉぉぉぉ!!!!!!!!」
「グル?」
1発蹴りを入れただけで倒せた。
「あれ?たいして強くない」
「だから言ったでしょう、鴉さん。ですから、どんどん倒しちゃって下さい♡」
「は・・・はい」
笑顔で、クロム・ディザスター・モドキを倒すフーコを見て、ハルユキは身震いした。
「皆!!広場まで行くぞ!!」
黒雪姫は、掛け声と共にクロム・ディザスター・モドキの間を突っ走った。もちろん、斬りながらだ。
「マスター!!」
すると、タクムが近づいてきて質問した。
「何だ?」
「あの、心意システムは使っても・・・」
質問するよりも早く、黒雪姫は答えた。
「もちろん使ってもいいぞ。普通に戦ってもきついかもしれないからな。だが、無茶だけはするな」
「了解です」
「グルッ!!」
タクムの背後からクロム・ディザスター・モドキが襲ってきたが、すぐに振り返り、パイルドライバーを構えた。
「くらえ!!」
パイルドライバーは、クロム・ディザスター・モドキの顔を粉砕し倒した。
広場に着いたハルユキ達は、背中合わせの状態になった。その周りには、大量のクロム・ディザスター・モドキが囲んでいた。
「では、作戦どおりで倒すぞ」
「「「「「はい!!!!!」」」」」
「ルオオオオオオオオオオォォォォ!!!!!!!」
クロム・ディザスター・モドキも攻撃開始のような雄叫びと共にハルユキ達に襲いかかった。そして、それぞれ四代目クロム・ディザスターの斧、五代目クロム・ディザスターの剣を二刀流で装備して攻撃してきた。
「『疾風召喚』《コーリング・ゲイル》」
レイカーの全身が水色の二条の光に包まれ、背中に強化外装《ゲイルスラスター》が装着された。装着と同時に、勢いよくクロム・ディザスター・モドキに突進し、次々撃破した。
ゲイルスラスターは、必殺技ケージは使用されずにゲイルスラスター自体のケージが使用される。減ったとしてもチャージされるが、それには少々時間がかかるから1度広場の中央に戻って、再度チャージする。その間に、クロム・ディザスター・モドキは襲いかかるが、レイカーには手も足も出なかった。
メイデンは、パイルやベルなどの接近型の援護をしていた。弓矢を撃ち続けて、焼き倒した。
『スプラッシュ・スティンガー!!』
パイルの胸に複数の穴が現れ、弾丸が飛んだ。
「グルオオオオォォォ!!!!!!」
すると、1体のクロム・ディザスター・モドキがパイルの背中を斬り付けた。
「ぐっ!!」
一瞬ぐらついたのを見落とさずに集団で襲いかかった。
「ぐああああ!!!!!」
だが、次の瞬間・・・
『デス・バイ・ピアーシング!!』
紫色の光線が、クロム・ディザスター・モドキを貫いた。
「大丈夫か?」
ロータスの必殺技だった。
「ルオオオオォォォ!!!!」
怒りの咆哮と共に、ロータスに襲いかかった。
「甘いな」
その言葉と同時に、クロム・ディザスター・モドキは斬られて瞬刹された。
「すみません」
「気にするな」
すると、ベルが近づいてきて、クワイアー・チャイム2回転させた。
『シトロン・コール!!』
パイルは、みるみるうちに回復した。
「グルッ!!」
またしても、ベルの背後に現れた。
「ベル!!伏せて!!」
「了解!!」
ベルは瞬時にしゃがみ、パイルはパイルドライバーを構えた。
『ライトニング・シアン・スパイク!!』
通常の伸びよりも倍の伸び、次々貫通させた。
一方、クロウは翼を展開していた。
「くらえ!!ダイブ・アタック!!」
高高度からの蹴りによりクレータが出来た。
「ルオオオオオォォォ!!!!」
背後から攻撃してきたが、すぐに斬り裂いた。
メイデンが、勢いよくクロウに近づいてきた。
「クーさん、足止めお願いします」
クロウは、すぐにその意図を理解した。
「分かりました!!」
メイデンは、弓矢を扇子に変えて舞始めた。
しばらく、足止めしてると、メイデンの舞の声が聞こえた。
『少し涼しき三熱の苦しみを免るそれのみか』
突如、天に届かんばかりの紅蓮の炎が八方から吹き上がった。
メイデンの心意技は、発動時間は遅いがその分、威力はかなりある。
クロム・ディザスター・モドキには、まったく痛みがなく、そして、徐々に燃やされていった。
それでも、クロム・ディザスター・モドキの数は減らなかった。いや、むしろいろんな所からどんどん出てきている。
「もう嫌!!多すぎるよ!!」
ベルは、ついに限界に達してしまった。
だが、ロータスは諦めなかった。そして、厳しくて優しい凛とした声で言った。
「諦めるな!!諦めたら、全ておしまいだぞ!!」
「先輩・・・」
「ロータス・・・」
クロウとレイカーは、心配そうにロータスを見た。だが、すぐにクロウにもその火がついた。
「そうですよね。こんな所で諦めちゃいけません。例え、倒されたとしても、僕はこのミッションをクリアするまで諦めません!!」
「よく言ったぞ、クロウ」
「さすが、鴉さん」
「あの、お話し中すみません。引き続き、3分の足止めお願いします」
「あ、はい!!」
再び、メイデンは舞始めた。
3分というのは、長いようで短かった。
『あわれくるしき瞋恚の炎、土中の塵にとぞなりける』
今度は、マグマが現れた。クロム・ディザスター・モドキは、次々落ちて行った。
「メイさんの心意技凄いですね」
「凄いですけど、結構疲れるのです」
「無茶しないようにね」
「クーさんこそ、無茶しないで下さい」
『シトロン・コール!!』
『スパイラル・グラビティ・ドライバー!!』
『デス・バイ・バラージング!!』
数は、だいぶ減った。だが、その奥から、明らか巨大なクロム・ディザスター・モドキが現れた。
「何だ、あれは・・・」
「おそらくボスでしょう」
「え?ボスなんて存在したの!?」
「分かりません。そんな話し聞いてませんよ」
「ルオオオオオオォォォォォ!!!!!!!」
「まあいい。ボスを集中的に狙うぞ!!周りの敵には気を付けて攻撃しろ!!邪魔するなら倒しても構わん!!」
「「「「「了解!!!!!」」」」」
パイルは、左手をパイルドライバーに構えた。
攻撃威力拡張系の心意技で、心の傷の象徴とも言えるパイルを取り出し剣を装備し、クロム・ディザスター・モドキを倒して行った。
「うおおおおおぉぉぉ!!!!!!!」
「ルオオオオォォォ!!!!!」
そして、ボス型のクロム・ディザスター・モドキも集団リンチされていた。
「先輩、たいして強くないでね」
「油断は出来ないぞ、クロウ。いつ、何が起こるか分からないからな」
だが、ロータスが言った事が、本当に起きてしまった。
突然、ボス型のクロム・ディザスター・モドキは振り払いだした。
「何するつもりなのよ」
「分からない。油断は出来なよ」
そして、さっきまで雄叫びだったのが突然声に変わり、コマンドを唱えた。
「『ISモード』起動」
「!?」
「え・・・」
「何だと・・・」
それが、連鎖されるかのように他のクロム・ディザスター・モドキも『ISSキット』を装備した。
「なぜ、クロム・ディザスター・モドキがISSキットを・・・」
「そんなの有り得ない!!」
そんな、叫んでる中でパイルだけ大人しかった。
「パイル?」
クロウは、心配そうに声をかけた。
「・・・」
「ど・・・どうしたんだ、パイル?」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
大人しくしてた訳じゃなかった。怯えていたのだ。パイルは、過去にISSキットのトラウマがある。それによって、封印状態でも逃げ出していたが、今は逃げ出すよりもさらに上の状態だった。
「や・・・やめろ・・・」
「パイル、落ち着け!!」
「やめろーーーーーーー!!!!!!!!!!!」
突然、叫びだし、全員が振り返った。
「ど・・・どうしたんだ?」
「パイルが、ISSキットを見た瞬間・・・」
「僕の前で、それを使うな!!!!!!!」
パイルは、剣を構え、クロム・ディザスター・モドキに突っ込んで行った。
「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!!!!!!!!」
「よせ!!パイル!!」
『ダーク・ブロウ』
クロム・ディザスター・モドキの攻撃が、パイルの腹に命中した。
「ゴフっ・・・」
さらに、上から4体分の攻撃が来た。
『『『『ダーク・ブロウ』』』』
「パイルーーーーー!!!!!」
パイルは、倒れていた。青い光が見えないから死亡ではなかった。それでも、かなりヤバい状況だった。
「や・・・め・・・ろ」
「パイル!!」
「まずいわね」
「ああ」
ロータスは、すぐに次の行動をした。
「皆!!パイルを守りながら戦うんだ!!」
「分かりました・・・」
「く・・・うおおおおぉぉぉぉ!!!!!!!」
クロウは、翼を全力で震わせて突進した。
『レーザーソード!!』
クロウは、暴れまくった。
「消えろ!!消えろ!!消えろ!!消えろ!!」
「クロウ!!落ち着くんだ!!」
「落ち着けませんよ!!だって・・・加速研究会が・・・」
怒りと悲しみが同時に溢れ出した。
だが、次の瞬間・・・
『ダーク・ショット』
「!!」
「クーさん、危ない!!」
メイデンは、クロウの盾になって直撃した。
「メイさん!!」
「ち・・・スターバーストストリーム!!」
ボス型のクロム・ディザスター・モドキも暴れていた。
「あなたの相手は、私です」
レイカーは、突進した。だが直線ではなく、ジグザグなどいろんな方向に飛んだ。飛びながら蹴りを加えた。
だが、目の前に斧の側面が現れた。
「!?」
さすがのレイカーもこれには驚き、止まり切れなかった。そして、そのまま地面に叩き落とされた。
「くっ!!」
「姉さん!!すぐに回復させます!!」
ベルは、レイカーの側に行こうとしたが、目の前にクロム・ディザスター・モドキが現れた。
「邪魔よ!!この・・・」
攻撃しようとした瞬間、斬られてしまった。
「あっ!!」
『ダーク・ブロウ』
もろ命中した。
「あう・・・」
ロータスもまた、ボス型のクロム・ディザスター・モドキを攻撃していた。
「うおおおおおおぉぉぉぉ!!!!!!!!」
斧を防いだが、とてつもない力だった。
「く・・・重い・・・」
何度も打ち続けられた。そして、また斧が上がった。だが、ロータスはこの時を狙っていた。
『ヴォーパル・ストライク!!』
見事、顔に命中した。
だが・・・
「ルルル・・・」
「効いてないだと・・・」
『ダーク・ショット』
『ヴォーパル・ストライク!!』
防ぐことは出来、威力も半減出来たが、右腕はやられてしまった。
「くそ・・・」
『ダーク・ブロウ』
左手で防いだものの叶わずやられてしまった。
「先輩!!」
クロウは飛びながら攻撃していた。だが、その光景を見た瞬間、もう自分を止めれなかった。
「うおおおおおぉぉぉぉ!!!!!レーザーランス!!!!!」
当たったものの、クロム・ディザスター・モドキに囲まれてしまった。
「どけ!!今俺は、お前達の相手している暇はないんだ!!」
『ダーク・ショット』
四方八方から来た。直撃し、意識がもうろうしていた。飛べるのもやっとだった。
「レーザー・・・」
『ダーク・ブロウ』
地面に叩き落とされた。
残りHPは1割だった。
(もう駄目だ・・・勝てないや・・・皆に諦めるなとか言いながら、僕が諦めてるよ・・・もう無理だよ・・・)
諦めようとした瞬間・・・
突如、薄緑の光線がボス型のクロム・ディザスター・モドキの首を貫いた。
「グルっ!!」
「な・・・何だ・・・」
そして、聞き慣れない少年の声が聞こえた。
「何やってんだよ、ロータス。こんな奴ごときに、何ボロボロにされてるんだよ」
ロータスは、声のするほうの顔を向けた。
「き・・・貴様は!!」
次回、オリジナル主人公登場です^^
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