前回のは深夜テンションでふざけすぎてましたが今回は控えめです(´Д`)
「……朝か。」
「ええ、朝よ。」
……どうやら寝ぼけているらしい。
ベッドで横向きに寝ていた自分の背後から叔母の声が聞こえた気がした。
そう、聞こえた気がした。
確かに昨日は入学祝いということで真夜が家に来て小さなパーティーを催し、妹を先に寝かせた後、自分は真夜と話をしていた。
それで……いや、そこからがどうしても思い出せない。
寝落ちしてしまったのだろうか?
「せっかく二人きりになれたのに達也さんたら先に眠っちゃって!大変だったのよ?リビングからあなたの部屋まであなたを運ぶの。」
「その点についてはご迷惑をお掛けしました叔母上。ですが、一言よろしいでしょうか……?」
どうやら幻聴ではなかったようだ。
いや、そんなことよりも……。
「どうして俺は叔母上と並んで布団の中にいるのでしょうか……?」
「どうしてって、寒いじゃない。達也さん、私に床で寝ろって言うの?私も姉さんもあなたをそんな風に育てた記憶はないのだけど。」
「そうではなくて!叔母上には家に泊まる間の部屋を用意していたはずですが。」
「ああ、そんなこと。あなたと一緒に寝たかったからそうしたに決まってるじゃない。」
「なっ……!」
……流石は母さんの妹か。
いまだに『達也、お風呂よ!お風呂に入るわよ!』などとバスタオル一枚で俺を風呂場へ連れて行こうとする母さんにも困ったものだが、この人もこの人である。
達也の倍は生きているこの姉妹、しかしながら20代後半と言ってもおかしくないほど若々しく美しい。
もはや習慣ともなった度重なる二人の誘惑?は今でも慣れないものだ。
「ふふっ、いつまでたっても慣れないのね達也さんったら。私や姉さんのせいで年上はトラウマかしら?」
「……同年代相手には大分耐性がついたので助かってはいます。」
実は俺は小さい頃、深雪以外の女の子には全く免疫がなかったのだ。
覚えていないのか、"覚えていたくない"から無理やり忘れたのかは分からないが、それが発覚したのは黒羽家が開催したパーティーでだったらしい。
当時頻繁に遊んでいた文弥が『会わせたい人がいる』と言って亜夜子を連れてきた際に何かあったらしい。
何も覚えていないのでその時その場にいた人物に事の顛末を聞こうにも皆目を反らして、曖昧な返事しか返ってこない。
亜夜子に関しては顔を赤らめ、艶やかな笑みを浮かべながら『秘密です♪』と言うだけだ。
ともかくその時に女耐性がゼロだった俺を見かねて?母と叔母が画策した結果がこれである。
まぁ、分かりやすく二人に言わせてみれば『女の子を克服して、どうせならハーレムでも築き上げちゃいましょう作戦』。
長いので四葉内では『四葉達也人造ハーレム計画』と呼ばれている。
女性を克服するための作戦内容はいたって簡単。
身の回りの大人組(女性)がひたすらくっついてくるだけ。実を言えば文弥と亜夜子も会うたびにくっついてきた。
深雪はというと俺が誰かと一緒にいる度に機嫌を悪くして宥めるのに一苦労だった。
「まぁ、私たちにまで慣れてしまったら面白くないものね。」
「というかさりげなく首に手を回してくるのは止めてください……」
「あら、嫌なの?」
「嫌というわけではありませんが、そろそろ朝食の時間ですので深雪が呼びに来るかと。」
ちょうどその時。
バタン。
「お兄様、朝食の用意が……。」
『……。』
沈黙。
まさに最悪のタイミングだった。
「お兄様、覚悟はできてますか?」
「深雪さん、達也さん。気が済んだら早めにリビングに来るのよ。」
えっ……。
背後から抱きついていた真夜はいつの間にか部屋の扉付近に立っている。
待て……!俺をこの場に一人置いて行かないでくれ!
「わかりました叔母様。……ではお兄様?」
「……はい。」
入学初日、しかも家を出る前からこれとは先が思いやられるな……。
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