魔法少女リリカルなのは~Nameless Ghost~ 作:柳沢紀雪
「クロノ君って、ひょっとしてすごく優しい?」
というなのはが残した言葉によるクロノの狼狽ぶりはアースラの一種の名物となっていた。
アリシアもその場に居合わせ、それを直に目にしたわけだが、ひとしきり馬鹿笑いをして悶絶して、呼吸困難に陥ったあげく医務室の急患になるという事件を彩った当事者となってしまっていた。
まあ、そのためになのはの肩の上でクロノを親の敵を見るような目でにらんでいたユーノの存在は(フェレットの表情が人間では読み取れないことも相まって)華麗に無視されてしまったのだが、それはまた別の話だ。
「うん、おいしいお茶だ」
アースラで連日話題になっているその事件のあらましを一通り説明し終わり、アリシアはようやく自由になりつつある腕で紅茶の入ったカップを傾けていた。
「あんた、何でこんなところで茶なんてしばいてんだい?」
牢獄という名目でフェイトとアルフに宛がわれた部屋のベッドに腰掛けながら、いきなりやってきた招かれざる客であるところのアリシアをアルフはうさんくさそうに睨み付けた。
牢獄と表現したが、その内装はいわゆる鉄格子に周囲を囲まれたものではなく、アースラの一角に設えた客室に少しだけセキュリティーの高いロックが施されただけのものだ。よって、その風景は落ち着いた寝室そのものであり、フェイトもアルフも連れてこられた当時は拘束されている気分にならず少し当惑していたものだった。
「アルフも飲まない? 厨房で見つけた結構いいやつなんだ。しかも、料理長が隠していた極上のシングルモルトを少し垂らしてあるんだ。風味といい味といい、最高だよ。まあ、入れ方は適当だけどね」
アリシアは物には拘るが、手段には拘りを見せない質のようだ。
本来なら、しっかりとした温度管理と蒸らす時間を調整して慎重に点てるべきヴィンテージティーを実にずさんな方法で抽出しているため、味も香りも随分崩れ去ってしまっている。
それでも、安物より遙かに上質な味と香りを保ち続けるそれは、さすがヴィンテージの許容力と言うべきか。
「そんな事じゃないよ!」
と、アルフはベッドをたたきつけた。
アリシアもアルフが言いたいことはよく分かっているつもりだった。フェイトの言うとおり、アルフはアリシアと会いたくなかった。それでも、フェイトのいない状態で部屋に入れてくれたということは、それほど拒絶もされていないのかとアリシアは思っていたが、どうもこの手合いは持久戦が強いられる様子に見える。
「あのときは悪かったと思ってる。私も頭に血が上っていたせいで、君や君のご主人様にかなり辛辣な事を言ってしまった。どうか許してくれないかな」
「それは、良いんだよ。あたしだって、あのときあんたには酷いこと言っちまったわけだし、フェイトも気にしてないってんならあたしからどうこう言うわけにもいかないさ」
しかし、それでもアルフはうつむき、
「それでもさ、あたしの中ではまだあんたが元凶だ許せないって思う所があるんだよ。本当は違うって、あんたもプレシアの被害者だって事ぐらい分かってんだけどさ。あんたがいたせいで、フェイトはあの鬼婆から酷い事されてたんだって考えると駄目なんだ。押さえられないんだよ」
「そうか」
アリシアはそんなアルフの様子から彼女の事を、感情的になりやすいが、愚か者ではないという評価を下した。
理性的な部分がしっかりとしているのなら、後は時間の解決を待つのが常套手段だ。
しかし、アリシアは一つだけ言っておきたいことがあった。
「別に、君が私を怨むことを非難してるわけではないんだ。それは君達の当然の権利だと思ってるし、私もその恨みを受ける義務があるとも思ってる。まあ、責任を取れと言われては困るけどね」
アリシアは少し冷めた紅茶を飲み下した。
「フェイトは、あんたのことをお姉ちゃんって呼んでる」
「うん、そうだね」
「あたしはフェイトの使い魔だ。フェイトはあたしのご主人様だ」
「うん」
「だから、あたしも、出来る限りあんたとは仲良くなれるように努力する。すぐは無理かもしんないけど、頑張る」
「そうしてもらえると、私も嬉しい」
何よりも面倒が減る、という言葉を紅茶と共に飲み下し、アリシアはアルフにカップを手渡した。
アルフは何も言わずそれを受け取り、アリシアにされるままに紅茶を振る舞われ、そしてそれを飲み下した。
「ああ、ちょっと冷めてるけど美味いよ」
「それは、何よりだね。さすがヴィンテージ」
「葉っぱ、ちょっと分けてくれるかい? フェイトにも飲ましてやりたい」
「だったら、次はフェイトがいる時でどうかな? 料理長も当分は気づかないだろうし」
「はは、それ良いねぇ。だけど、ほどほどにしときなよ。ついでに次はあたしも誘いな。これでも鼻は効くんだ」
アルフの笑みはやはりぎこちなかった。当たり前だとアリシアは思う。そんな簡単に割り切れることなら、最初から感情的にはならない。感情によって吐き出された言葉は単純であるからこそ、根深い。
だが、アリシアは表面だけでも自分に合わせようとするアルフに、胸の内に安堵のため息をついた。
そう、アルフはフェイトのことを第一に考えていればいい、守られるべきはフェイトだ。出会ったときもそうだったが、アリシアの目からしてもフェイトは何処か脆く儚い。
最初から最後まで、全幅の信頼と下心の混じらない愛情を持って側にいる者が必要なのだ。そして、アリシアは自分ではそれは勤まらないということを知っていた。
(結局、私は必要なら人を騙し、信頼を裏切って仲間を見捨てる人間だからね)
ベルディナが生涯に買い取った恨みや憎しみ、復讐など星の数ほどに登る。それでいて、彼はそれに対して罪悪感を感じていたが、後悔をしたことがなかった。
(そんな私が、自分を信頼しろとか、仲間を信じろとか言えるわけがない。結局、最終的にはフェイトやアルフを裏切ることになるかもしれない)
《だめぇーーー!!》
一瞬、アリシアは目眩を感じた。
そして突如にわき上がる吐き気と頭痛に、アリシアは口元を押さえ身を縮め込ませた。
「あ、あんた、どうしたんだい?」
いきなり身を伏せたアリシアに当惑し、アルフは彼女に駆け寄り背中をさすり始めた。
「い、いや。何でもないよ。少しぶり返したかも……」
「あ?、えっと、だったらなにさ。先生呼ぶかい? それとも医務室まで送ろうか?」
こいつ、なんだかんだ言って面倒見はいいのだな。とアリシアは少しだけ口の端を持ち上げながら、呼吸を整え、何とか首を振って答えた。
「大丈夫。少し落ち着いた」
といってアリシアは車椅子の背もたれに深く背中を預けながら、ふう、と一息ついた。
「少しはしゃぎすぎたみたい。ごめん、そろそろ戻るよ」
「あ、ああ。大事にするんだよ、あんたがそんなだと、その、フェイトが心配するからさ」
「んん? アルフは心配してくれないの?」
「何であたしがあんたを心配しなきゃならないんだい!! さっさと行きなアリシア。さもないと先生にあること無いことチクルよ!!」
「無いことは言わないでね。ありがとう。フェイトによろしく」
アリシアはその言葉を最後にアルフに手を振って彼女たちの自室から立ち去った。
(今のはいったい何だ。まるで、誰かの意識が私の意識に介入してきたような感じがした。まったく、気分が悪い。後でクロノでもからかって憂さ晴らしでもしようかな)
******
二人の密かな茶会よりちょうど一週間前。なのはとユーノとの事実上の別れはそれほど感傷的なものにはならなかったとアリシアは記憶していた。
ユーノはフェレットの姿となってなのはと共に帰って行った。確か海鳴という街だったか。緑豊かでそこに住む人々は皆心優しいとユーノが話していたことを思い出す。
フェイトはその場に立ち会えなかった。名目上とはいえ拘束されている彼女がその場に顔を出すのは不適切だという配慮なのだろうが、それぐらいはかまわなかったのではないかとアリシアは思っていた。
そのため、なのはは管理局からの表彰を受けている時でもしきりに周りを気にしていた。
フェイトもそれ以来何処か惚けている場面が多くなった。
「こちらが落ち着けば特例で会わせることも出来る」
とクロノはその後そう言ってフェイトを説得していたが、それがいつになるかははっきりとは分からないらしい。
実直な男だ、アリシアはそう思った、そしてもう少し詭弁やリップサービスという言葉を覚えた方が良いとも思った。
アリシアも、アルフと表面的な和解をした後、割と頻繁にフェイトと会う機会があるが、やはり彼女は心ここにあらずといった塩梅だった。
「やっぱり、早めに会わせた方が良いいよ」
夕食後の珈琲を口にしながら、たまたま一緒になったクロノを正面に見据えながらアリシアはそう言葉を漏らした。
「僕もそう思ってるんだけどな。君がいれば大丈夫かと思っていたが」
クロノも、アリシアと同じく深煎りの珈琲を口にしながら答えた。
次元震が引き起こした影響は、まだ暫くアースラに地球周辺の海に停泊することを強いていた。管理局本局との通信ぐらいは出来るようだったが、航海をするには危険が多いという航海長の進言がそのまま通ることになっていたのだ。
そのため、アースラの生活レベルは引き下げられ、食事量の制限に嗜好品の制限、果てには消灯時間までもが引き上げられ、アースラは節約モードに突入している。
となれば、基本的に役立たずであり穀潰しである所の暇人アリシアにとって娯楽が必要になってくるのだが、クルーは全般的に忙しく、アリシアの暇つぶしも少し控えられているという状態だ。
ともあれ、閉鎖された空間では人はネガティブに陥りやすくなる。
クロノはたびたび武装隊やフェイトと共に戦闘訓練でそれを払拭しているようだが、フェイトはそれだけでは精神を保てていない様子だった。
「次に転送が可能になるのはいつだった?」
現在は、地球に対しても転送が使用できない状態だ。通信は可能だが、専用の設備のない地球では受信できず、当然ながら念話を通じさせることも出来ない。
「最短で一ヶ月だな」
クロノは話をしつつ、今回の事件に関する事後処理とフェイトの措置に関する書類を眺め、難しい顔をしていた。
「一ヶ月か。その時に会わせるのは可能かな?」
アリシアからはその書類の内容を伺うことは出来なかったが、その難しさは理解していた。
「正直難しいと言わざるを得ないな。フェイトは大人しくしているし、供述や事実確認に対しても協力的だ。だが、今回の事件は規模が大きすぎる」
確かに、とアリシアは頷いた。
アリシアに対する措置は、比較的簡単に終わることとなった。アリシアは、プレシアの違法実験の被害者である。たとえ事件の原因であるにしても、本人は眠らされておりそれを関知できなかった。そのため、管理局のどの法律に照らし合わせてたところで彼女が犯罪者として拘束されることは有り得ない。
しかし、問題はフェイトだった。フェイトは、確かにプレシアから何も知らされずに脅迫と虐待を持って無理矢理従わされていたという背景があるにしても、実質的な行動は彼女が行っていた。
管理外世界への無許可による渡航、ロストロギアの違法所持、管理局員に対する攻撃行為、次元災害級犯罪に対する間接扶助。この四つの罪状だけでも、100年近い禁固刑か、終身刑に処されても不思議ではない。
しかし、クロノとリンディはフェイトを助けたいと言った。
そして、そのためにはプレシアを最大の悪として位置づけなければならない。アリシアはそうでもないが、フェイトは未だに母親を慕っている。
故に、プレシアを希代の大犯罪者として仕立て上げる(実際にはその通りなのだが)事に嫌悪感や精神的疲弊を感じさせないかどうかが問題だった。
「母さまは、私からフェイトを作り出した。そして、母さまはフェイトを脅迫し虐待することで犯罪を行わせ、フェイトは自分の素性を知らなかった」
それが、この事件におけるフェイトのあらましだった。
そして、プレシアがこの事件を起こした動機は死んだ娘アリシアを復活させる、あるいはその過去を取り戻すことだった。
しかし、それは公にしてはならない。事実、プレシアはアリシアをいびつな形でしかならないが復活させてしまったのだ。
「そんなことが時空世界に広まったら、犯罪件数が激増して、君は管理局のラボに放り込まれたあげく、死ぬまでモルモットとして扱われるだろう」
というクロノの言葉通り、アリシアが死んだことになったのは、プレシアがアリシアを使用した違法研究を行うためのねつ造だったとするしかない。正式な死亡診断書が提出されてはいたが、それもデータ改竄でいくらでも出来るのだ。
「モルモットは嫌だな。篭の中で車輪を回すだけなんて、つまらなさそう」
砂糖を減量された珈琲は実に中途半端な甘みを醸し出すが、元の入れ方が絶妙なせいか嫌らしい苦みは無い。
それでも、アリシアはこの身体になって砂糖に対する嗜好が増大しているように思えた。
「モルヒネ漬けにされないよりはましだ」
クロノはそんなアリシアに目を向けずに、冷淡な口調で答えた。
つまらない、とアリシアは呟きながら、最近になってこういう受け返しが出来るようになったクロノの成長を憎々しく思った。
暇だからといって少し遊びすぎた。アリシアはそう反省すると共に、今度エイミィと一緒に新しいクロノでの遊び方を模索する必要があると考えていた。
良い迷惑である。
いや、最近のアリシアにとってははけ口というものが全くない状態なのだ。
以前、喫煙所に誰かが忘れていった煙草を見つけ、いつも通りの(ベルディナの)感覚でそれを吹かしていたところ、たまたま通りかかったリンディとエイミィに見つかり、その場で小一時間ほどどやされて以来監視が強くなってしまっていた。
当然、以前厨房からくすねてきていた料理長秘蔵のシングルモルトもあえなく没収となり、その罰としてリンディの自室で三日間ほど二人の愛玩物として扱われる始末だった。
その時に取られた画像や動画は、記録媒体諸共粉砕してあるが、僅かに残されたデータがいつの間にか流出し(絶対に二人の復讐だと睨んでいる)、今では男女問わずその手の趣味の者がアリシアがヒラヒラな服で身を飾った画像を持っているという状況だった。
アリシアがその記録を破壊した理由は非常に単純だ。幼く綺麗な自身の身体にそれらの服が吐き気を催すほど似合っていたのだ。
ちなみに、エイミィからそれを見させられたクロノがそれを見た瞬間、顔を真っ赤にしてあわてふためいていたという事実は無かったことにされた。
「こんなはずじゃなかったことだらけだね。まったく、クロノがおっしゃったことは全く真実だったよ」
もちろん、そのさらに復讐としてアースラの監視カメラに残された艦長と執務官補佐の丸秘お宝映像がばらまかれたのはアリシアの仕業だ。
復讐はさらなる復讐を呼び込み、悲劇は繰り返される。
アリシアは実際、リンディとエイミィからのさらなる復讐に戦々恐々と毎日を過ごしている。これは、彼女だけの秘密だった。
この一連の騒ぎにより、アリシアを初めいくつかの人間はその懐を大いに暖めたと言うが、それは別の話である。
「だが、まあ、フェイトに対する同情……というよりも、フェイトの有用さは管理局にも納得させることが出来たことだしね。後は、そのあたりをどうまとめていくかが問題だ」
アリシアはその管理局局員らしいクロノの言葉に大げさにため息をついた。
「管理局というのはいつになっても節操無しだね。私は、フェイトを管理局の犬にはさせたくないんだけど」
時空管理局、次元世界をとりまとめそれを統括し運営する統合組織は、その莫大な規模を運営するために常に人材を欠いている状態だ。
アリシアにしてみれば、優秀でない人材を上手く運用できない管理局のシステム自体に問題があると思うのだが、それを言っても所詮は無駄に終わることを良く理解していた。
所詮小さな自分が何をほざいたとしても体制に何ら影響を与えることはない。体制に影響を与える個人は現実を直視しなければならず、その現実はそうせざるを得ない現実を見せつける。
「それは、僕も艦長も思っているさ。だけど、管理局はあれだけの魔法資質を持った人間を野放しにはしておかない」
どちらにせよ、管理局がフェイトを釣り上げるのも時間の問題ということだ。ならば、せめて目の届くところに置いておきたいというのが、リンディとクロノ共通見解である。
「どちらにせよペナルティは受けないとダメか。私が文句言う筋合いじゃないね」
アリシアはそう言って肩をすくめるが、クロノは眉をひそめてアリシアに視線を送った。
「君以上に筋合いを持つ人間はいないはずだが、アリシア。自分の妹の人生が勝手に決められる事を良しとする姉はいないはずだ」
フム、といいながらアリシアはフェイトをユーノに置き換えて考えてみた。
「確かに、家族が勝手に連れ去られていくのは面白くないな」
「君が守っていくべきだ」
「こんな身体でどうやって守っていけばいいのか聞きたいよ。今はどっちかというと私の方が守られてるって感じだし」
まったくこの身を呪うよとアリシアは呟き、珈琲のお代わりを注文した。
「だったら、今は身体を治すことに専念した方が良い。リハビリの方は進んでいるのか?」
「経過は上々だね。後、一ヶ月もすれば歩き回る程度には回復するだろうと言われているよ」
実際、アリシアは無理をすれば今でも歩き回ることは可能なのだ。その無理というのは、他でもない、魔術神経を利用した身体強化によるものであり、彼女が目覚めた早々に時の庭園を歩き回れた理由にもなっている。
そう言えば、と、ユーノのことを思い浮かべた際にアリシアはずっと相談しようと思っていたことを思い出した。
「ねえ、クロノ。やっぱりユーノはあっちで過ごすつもりなのかな」
なのはとユーノがお互いただならぬ関係であることは、既にアースラ内では有名になっていることだ。
本人同士がどう考えているかはアリシアには分からなかったが、少なくともなのははこれからずっとユーノと過ごしていくつもりなのだろうということは想像に難くはなかった。
だったら、ユーノはどうするのだろうか?
あの調子でなのはの家に居候を続けるのなら、どうしても彼はフェレットの姿をしている必要があるが、本来なら人間である身の上ではいつまでもそれを続けていくことなど出来るはずがない。
本来の姿ではない形で生活するのは精神的に辛いものだ。
「なのはと一緒にいたいって呟いていたな。色ぼけフェレットめ」
クロノはなのはとユーノのことに関する話題には終始面白くなさそうな感情をあらわにする。
おそらく一目惚れだったんだろうなとアリシアは予想するが、終わってしまったことをあれこれほじくり返すのも面倒なので、それは保留とした。
アリシアは、そうか……、と呟き、それまでに考えていたアイディアをクロノに提案することとした。
話を終えた時、クロノはその案に目を丸くしていたが、アリシアが至って真剣な表情だったため、クロノは、艦長に相談してみると言って食堂を後にした。
「まあ、暇つぶしにはちょうど良いしね」
アリシアは夕食後に予定されている検査の事を思い、少し憂鬱気味に息を吐いた。