八つの房を虚ろの淵に-Fate/Phantasmagoria- 作:広野
皆様、どうか良いお年を。
そういえば前話が妙に長くてゴチャゴチャした印象になったな、と思ったんですがよく考えて見れば原作一巻の三分の一、アニメだと五話分くらいまで一話に凝縮してるようなもんだったので長くなって当然ですね。
そのうち書き直すかもしれませんが、ようやくFate側のキャラをちゃんと出せるようになったのでまずは話を進めていきたいと思います。
此度の聖杯戦争は、初戦から縺れに縺れた。
度重なる乱入者。重なる思惑。外れる予想。
そういった今宵の理不尽による最大の被害者は、紛れも無くセイバーだろう。左腕は使い物にならず、目の前には二人の強敵がすぐにも襲いかかろうとしている。
されど、高潔な騎士王は弱音の一つも零さない。セイバーが思うことは唯一つ。
なんとしてもアイリスフィールを護り抜く、その一点のみ。
この場で敗北するのは無念極まりないが、それ以上にアイリスフィールを守れないようでは己の信じる騎士としての誇りを汚す事になる。
自らの命と引き替えにしてでも、活路を開いてアイリスフィールを無事に切嗣の下へ返さなければいけない。
悲壮な決意をアイリスフィールに伝えるが、しかし彼女はかぶりを降って受け入れてくれない。
「アイリスフィール! どうか――」
セイバーの想いを汲みながらも、アイリスフィールもまたセイバーを死なせるつもりはなかった。
本来のマスターたる夫、切嗣を信頼するアイリスフィールは、彼の援護が必ずあると知らせる為に言葉を紡ぐ。
「大丈夫よセイバー。あなたの――」
マスターを信じて。そう言い終える前に。
――風が、吹き抜けた。
「小娘一人に大の男が二人がかりで襲いかかるなんぞ、ちぃとみっともなかろうよ」
突然掛けられた見知らぬ声に驚いて振り向くと、アイリスフィール達の背後にいつの間にか一人の男が立っていた。
黒髪に黒いコート、黒いスーツと頭の天辺から爪先まで黒尽くめの男だ。右目を覆い隠す眼帯まで黒い。
外見から推し量れる年の頃はセイバーより年上、ライダーより年下だろうか。ランサーとさして変わらぬ二十代の半ばを過ぎていると見受けられる。
「――アイリスフィール! 私の後ろに!」
不覚であった。前門の虎に気を取られるあまり、後門からの狼に気付けないとは。
慌てるアイリスフィールを庇って即座に男の前に出るが、それが悪手であることをセイバーは解っている。これで挟み撃ちの完成だ。しかし、アイリスフィールを守るためには他に選択肢がない。
この状況で姿を晒したのだから、目前の黒尽くめは十中八九サーヴァント――最後の一騎、キャスターであろう。とても魔術師のクラスとは思えない見た目に加えて、ある意味『最弱』とも言えるサーヴァントが最前線に出てきたのは違和感を覚えるが、他に考えようがない。何より、男から感じる強大な力こそがサーヴァントたる証であろう。
「……え?」
ライダーのマスターが男を見て呆けたように呟いたが、そのような些事に神経を回せる余裕は今のセイバーにはなかった。同じように、各サーヴァントのマスター達が驚愕の声を上げているなど、想像も出来なかったのだから。
「今の今まで様子見を決め込みながら、獲物が出来たと知るや喜び勇んで襲いかかるか。戦士ではないといえ下劣な考えだな、キャスター」
怒気をたっぷりと乗せて睨みつけてやったが、男の方は「あん?」と言って顔を顰めた。どうやらセイバーの言葉に困惑しているようだ。感じていた違和感が益々強くなる。
「おいおい、勘違いすんなよ。俺ぁたんなる通りすがりの暇人さ。生憎だが、英霊なんて御大層な代物じゃねーよ」
「何だと? この期に及んで虚言を弄するか」
「……いや、ソイツの言ってる事は本当だ」
つまらない嘘を、と吐き捨てたセイバーに対して、思いがけない方向から男の台詞を肯定する人物が現れた。誰あろうライダーのマスター――ウェイバー・ベルベットであった。
成り行きを見守っていたライダーも、これには面白そうに食いついた。
「ほほう? なんで断言できるんだ、坊主」
「無いんだよ! サーヴァントとしてのステータスが! バーサーカーみたいに読めないんじゃない! 最初っからステータス自体が存在してないんだよ!」
自棄糞気味に叫ぶウェイバーだったが、それも無理からぬこと。目の前の眼帯男はサーヴァントでないくせに、サーヴァントに見劣りせぬ強大な魔力を放っているのだ。噂に聞く聖堂協会の代行者ですら、相対してもこれほどの力は感じさせまい。
信じたくはなかったが、マスターの権限であるサーヴァントのステータス表示が表示されない以上、そう結論づけるしかない。
パニックに陥りそうなウェイバーを尻目に、ライダーは満面の喜色を隠そうともしないで謎の乱入者を観察している。
「なんと! 現し世にまだこれほどの益荒男が居ようとは。ううむ、世界を征服する楽しみがまた一つ増えた!」
呵呵と豪快に笑うライダーに、一同はまたもや言葉を失う。
「まあ、そういうことだ。俺がサーヴァントじゃないって解ったか?」
なあ? とセイバーに眼帯の男――虎蔵が意地悪く笑いかける。セイバーはアイリスフィールに確認しようとしたが、代行マスターである彼女にはステータスが見えない事を思い出して、既の所で思いとどまった。
真実であるかどうかは、この窮地を乗り切った後でゆっくり確認すればいい。現状確かめるべきなのは、この男が敵か否か。それだけである。
「貴公、サーヴァントでないなら何故この場に現れた? 聖杯戦争の関係者か?」
「うんにゃ、まさか」
「か、関係者ですらないの? じゃあ、一体どうして?」
事情が理解できずに困惑を深めるアイリスフィールを虎蔵は面白そうに眺めていたが、ついと視線を蚊帳の外に置かれていたランサーとバーサーカーに移す。
「だから、言っただろ? 小娘を盛りのついた猫みたいに襲おうとする野郎どもに――」
気配が、変わる。
「ちと、仕置きしてやろうと思ってな」
獰猛な猛禽類を思わせる、凶暴な笑み。
どこか気の抜けた印象から一転、暴風のごとく殺気をまき散らす虎蔵にサーヴァント達は即座に臨戦態勢を整える。殺気に当てられたアイリスフィールは、総身に冷たい汗をかき。哀れ凶相を直視してしまったウェイバーは腰を抜かす羽目になる。
「つーわけでおたくは色男、俺は鎧野郎。よろし?」
「ま、待て! まだ話は終わって――!」
一方的に話を打ちきると、セイバーの返事を待たずに虎蔵は動いた――まさに黒い疾風となって。
只人では指一つ動かせないであろう速さだが、当然のごとくバーサーカーは対応した。手に握る漆黒の鉄塊を横薙ぎに払い、虎蔵をひしゃげた肉の塊に変えんとする。
虎蔵は速度を緩めることなく前進を続け……ガギン、という硬質の物がぶつかり合う音が響いた。
巨大な数珠が、バーサーカーの鉄塊を弾いた音だ。その光景に、マスター達だけでなくサーヴァントまでが息を呑む。何故なら、つい先程まで虎蔵は確かに無手であり、そしていつの間に数珠を取り出したのか解らなかったからだ。
一瞬、空間転移によって出現させたのかとも思ったが魔術師達は即座にそれを否定する。そのような限りなく魔法に近い大魔術を、魔力を一切感じさせずに発動するなど不可能だ。
隠器術。それが虎蔵の使った技の正体である。
身体の至る所に物を隠し持ち、あたかも何もない場所から取り出したかのように見せかける――いわば手品や奇術の類。言ってしまえばそれだけのこと。
だが虎蔵ほどの遣い手が行えば、古今東西の英霊達の眼すら欺く秘術となる。取り分け、暗器術に馴染みの薄い西洋の英霊ならば初見で見抜くのは難しい。
理性がないとはいえ、大人の握り拳程の大きさで出来た珠を繋いだ数珠が唐突に現れたのは虚を突いたらしい。わずかにバーサーカーの動きが止まる。
その隙を見逃さず、虎蔵は数珠をすくい上げるように叩きつけてバーサーカーの手から鉄塊を跳ね上げた。黒く染め上げられていた鉄柱の残骸は、バーサーカーの手から離れた瞬間にただの鉄屑に立ち戻り、積まれていたコンテナを巻き込みながら吹っとんでいった。
取り出した時と同じく、まるで消滅させたかのように数珠を仕舞い込んだ虎蔵は、今度は右手を左の袖口に添え――握りしめた刀を勢い良く振りぬく。
狙いは、バーサーカーの首。例え全身鎧を纏っていようとも、衝撃で首の骨がへし折れる一撃。
だが、虎蔵は一つの重大な事実を見落としていた。
バーサーカーは怯むことなく疾駆すると、躊躇わず虎蔵の攻撃を受ける。
その光景と伝わってきた手応えのなさに、虎蔵は目を剥く。何ら痛痒を受けた様子のないバーサーカーは、両手で刀を掴むとそのまま身体を大きく捻り全身の力で虎蔵を投げ飛ばそうとする。
虎蔵は舌打ち一つを置き土産にすると、即座に刀を捨てて大きく飛び退る。バーサーカーは追撃せずに、ゆるりと虎蔵から奪った刀を正眼に構えた。
「手癖の悪いやっちゃな」
軽口を叩くが、内心ではバーサーカーの技量と度胸に舌を巻いていた。
否、度胸だけではあるまい。今のは致命傷にならないことを確信していた動きだ。
(霊力だの魔力だのを帯びてない物理攻撃は通らんな。何らかの『神秘』を付加してない攻撃は一切合切無効化とは、めんどくせー手合だ)
何の神秘も持たない数打ちの刀では、かすり傷すら付けられないのも道理だ。
聖杯戦争の関係者を散々驚かせてきた虎蔵が、今宵初めて驚かされる側になった。
とはいえ、タネが割れれば幾らでも手の打ちようがある。
「どれ、もう少しやる気を出すか」
その言葉に触発されたわけでもあるまいが、今度はバーサーカーから仕掛けた。セイバーより先に、この邪魔者を片付けてしまう腹積もりになったのだ。
路面を砕くほどの激しい踏み込みによる突進を、猛牛を往なす闘牛士のようにひらり、と躱した虎蔵は両掌を胸の前で打ち鳴らす。再び巨大な数珠を取り出すと、身体の周りで高速回転させる。
「我、雷牙雷母の威勢をもって五行六甲の兵を成す」
唱えるは道教の雷法。
「千邪斬断 万精駆逐 雷威雷動便驚人」
天の雷神とその兵の力を持って、あらゆる邪を滅する宣言。
虎蔵の内から大きな力が膨れ上がっていくのは、死闘を再開したセイバーとランサーにも感じ取れた。激しい剣舞を繰り広げながらも、両者の視界から虎蔵の姿が外れてはいない。
無論、直接戦っているバーサーカーがそれを感じ取れないはずもないが、より敏感に解き放たれんとする力の大きさを理解しているのだろう。逃げに徹しても避け切れないと判断し、発動前に叩き潰さんと疾く駆け抜ける。
見る間に両者の距離が埋まる。されど、あと三歩足らず。バーサーカーの刃が届くより早く虎蔵の術が完成した。
「神鳴る力を受けるがいい!!」
右掌から放たれた暴虐な雷が、バーサーカーの総身を叩く。
申し訳程度の対魔力スキルしか持たないバーサーカーでは、荒れ狂う雷光に抗するのは不可能だった。
いや、虎蔵に宿る『力』の性質を考えれば、例えランクAの対魔力を保有していたとしてもどれほど耐えられるだろうか。
光に飲み込まれたバーサーカーが背後の倉庫にまで吹き飛ぶと、更に大きな爆発が宵闇を震わす。
眩い閃光と爆発が収まった後に見えたのは、ほとんど倒壊した倉庫の跡地と、そこに倒れ伏すバーサーカーの姿だった。
勝敗は決したのか。
よもや。
あり得ないことだが――只の人間が、サーヴァントを斃してしまったというのか。
「仕損じた……か?」
マスターとサーヴァント問わず、聖杯戦争に関わる者達が抱いたある種の危惧は、虎蔵の呟きによって否定された。
同時に、ゆらり、と幽鬼のごとくバーサーカーが立ち上げる。決して小さいダメージではないはずだが、大気を震わせる怒りの波動が感じるはずの弱々しさを消し飛ばす。
憎しみを募らせた咆哮が夜気を切り裂く。痛みによる憤怒と憎悪が、バーサーカーから尽きぬ力を引き出しているのか。
「手負いの獣は厄介だな……ここで殺しきるか」
互いに睨み合いながら、もう一度激突しようとした間際。
猛々しい叫びが両雄の間に割って入る。
「
それだけに留まらず、神牛に引かれた戦車がバーサーカーに向かって突撃する。
静観を決め込んでいたライダーの、突然の参戦だ。
神牛の蹄の餌食にこそならなかったが、迸る雷撃と角を躱しそこねたバーサーカーはまたもや大きく弾き飛ばされる。
コンテナに頭から突っ込むと、崩落した貨物に押しつぶされて見えなくなる。
「どうだ? 余の
セイバーと虎蔵に向かって破顔するライダーは、お気に入りの玩具を自慢する子供のような無邪気な物だった。
実際には中々どころか、今回の聖杯戦争でも上から数えたほうが早い強力な対軍宝具なのだから、それに跳ね飛ばされたバーサーカーはたまったものではない。
「さぁて、黒いのには帰ってもらったことだし、そろそろ幕引きといこうではないか」
ライダーの言う通り、いつの間にかバーサーカーの気配は戦場から消え失せていた。虎蔵とライダーから受けた攻撃のダメージで、戦闘続行は不可能と判断したようだ。コンテナで姿が隠れたのを幸いに、霊体化して逃げ果せたのだろう。
「ランサーのマスターよ。魔術師なんぞに説教くれても通じんだろうが、下衆な手口で騎士の戦いを汚すでない」
人好きのする笑い顔を引っ込め、先程の虎蔵にも劣らぬ獰猛な笑みで姿を見せない魔術師を威圧する。
「ランサーを退かせよ。なおこれ以上そいつに恥をかかすというのなら、余はセイバーに加勢する。そっちの若いのも黙ってないだろうな。さて、我ら三人を向こうに回してランサーにまだ勝機があるか、試してみるかね?」
『――撤退しろランサー。今宵は、ここまでだ』
サーヴァント二体に、サーヴァントと互角の謎の男。序盤で敵対するには荷が重すぎる相手だ。
憤激を抑えこんで理性的な判断を下したランサーのマスターは、不承不承の体でライダーの言に従う。
令呪に縛られていたランサーも、ようやく己の体の主導権を取り戻せて安堵している。
「感謝する、征服王。そして名も知れぬ現し世の戦士よ」
「なぁに、戦場の華は愛でるタチでな」
「暇つぶしでやったことに礼言われてもな。こっちが困るわ」
二人の返事に苦笑するが、もう一度視線で謝意を伝えた。どこまでも生真面目で、礼節を守る男であった。
最後にセイバーと互いに頷きあって再戦を約束すると、美丈夫の姿は夜気に紛れて消えた。
ランサーと共に張られていた結界も消えたのだろう。夜の街の活気あふれる喧騒も、ようやく虎蔵達の耳に届くようになった。
長いようで短かった戦いが、ようやく終わろうとしている。
「……私も、貴方に礼を言わなければならないな」
「だから、暇つぶしだっての。あいつといいお前といい、真面目だねえ」
セイバーは虎蔵を見ながら、口元を綻ばせる。
暇つぶしとうそぶいているが、もし虎蔵の乱入がなければ、勝ち目のない戦いの中で脱落していたかもしれないのだ。
この窮地を救われた恩義は大きい、とセイバーは考える。
言葉よりも行動を持って己を示す戦士達をよく知るセイバーからすれば、例え素性が解らずとも虎蔵は好感を持てる人物として映った。
実際には照れ隠しでもなんでもなく、言葉通りに暇つぶしをしただけなのだが、ランサー同様に実直なセイバーにはそんな理由で命懸けの戦いに乱入する阿呆が居ると考えつかない。
「なんだ? 余には礼はなしか? 寂しいのう」
「そもそも、お前は何をしに出てきたのだ? 征服王」
「ただ気の向くまま、血の滾るまま、存分に駆け抜けただけよ。お前も同じだろ、ん?」
「まあなー」
拗ねたようにしていたライダーだったが、直ぐに楽しそうな顔になって虎蔵に話しかけてくる。
どうやら、さっきの一戦をつぶさに観察していた征服王は、虎蔵の事をいたく気に入ったらしい。
「おお、そう言えばまだ名を聞いておらなんだな。余はイスカンダル。マケドニアの征服王よ。良ければお主の名を聞かせてもらえんか」
「名前ねえ……えーと」
その場の気分で子渡哲也とか加藤鷲とか適当に名乗ろうかとも思ったが、ライダーの厳つい外見に似合わない子供っぽい笑顔を見ていると、まあきちんと名乗ってやろうかという気になった。
「エドワード・ロングだ」
「ほほう、日本人かと思ったが違うのか?」
「日本人の名前で呼びたいなら長谷川虎蔵だ。好きなふうに呼びな」
「名前を幾つも持っとるのか。益々面白い奴よ!」
気に入ってる名前の幾つかを教えてやると、愉快そうにライダーが喜んでいる。
虎蔵とライダーのやり取りにすっかり毒気が抜かれてしまったのか、セイバーの剣気もすっかり鳴りを潜めてしまった。
「虎蔵、余はお主を気に入ったぞ。我が臣下となって共に世界を征服せんか」
「お誘いはありがたいが、
「ふむ……ならば余が受肉し、再び一個の生命としてこの世に根を下ろせば、文句はあるまい?」
「ま、確かに。それならアンタと一緒に馬鹿やるのも悪かないかもな」
「確かに聞いたぞ? よおし、こうなれば何としても聖杯を掌中に収めねばなるまい」
セイバーとランサーとは違い、中々の好感触を得られて満足気にライダーは頷く。
虎蔵自身も不思議と悪い気はしない。征服した国の人々からも絶大な人気を集めていたライダーの
「んじゃ、俺はそろそろ帰るわ」
「虎蔵、聖杯戦争の間は冬木に居るのだろう?」
「そのつもりだけどな。また会ったらよろしく頼むわ」
「ええ。出来うるなら次もまた肩を並べて戦えるよう願います」
「さあて、どうなるかはその時にならんとわからんな」
セイバーとライダーに見送られながら、虎蔵も倉庫街から去っていく。
その背中にアイリスフィールが何事か声を掛けようかと思い悩んだが、言葉にする前に虎蔵は居なくなってしまった。
アイリスフィールだけでなく、切嗣と舞弥もじっと去りゆく背中を見つめ……ウェイバーは戦車の御者台で気絶していた。
大荒れに荒れた聖杯戦争の初戦は、これにて終幕となった。
魔女の望み通りに、正しい道から大きく外れながら。
今宵もどこかで、魔女が腹を抱えて嗤っている。
宵闇もFateZEROも最初の戦闘場所は倉庫街なんですよね。不思議な繋がりです。
虎蔵が何スロット相手に優勢でしたが、まだまだ本気出してないですし無双って訳ではないはずです。……虎蔵も全然本気じゃないですけど