とある最強の警備員   作:佐藤五十六

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第四話 ~三沢塾編1~

上条meets佐天

学園都市の裏路地のどこか。

「よぉ姉ちゃん。

こんなところ歩いてたら危ないでぇ。

わしらみたいなんに絡まれるから。

って事でわしらと楽しい事して遊ばへん?」

「ごめんなさい。

困ります。」

「ええやん。

楽しいことして遊ばへん。」

大人数が中学生を取り囲んでいた。

その事実だけで通り掛かった上条が介入するには十分であった。

「そこで何やってるんだ?」

「何や、姉ちゃん。

あんたも遊びたいんか。

キャハハ、キャハハ。」

品のない笑い声を耳にして上条の眉間にしわが寄る。

「いい加減にしろよ、ガキ共。」

低い声で言ったその一言はガキ共をキレさせた。

「調子に乗んのもこれまでや。

何やお前は、ヒーロー気取りか?

こんのクソアマ。

こう見えてもLevel4の発火能力者(パイロキネシス)なんやで。」

リーダー格の男がそう言った。

しかし上条には幻想殺し(イマジンブレイカー)が宿っているので、Level5であっても勝ち目などない。

だから、たかがLevel4では自慢にもならない。

男が炎を出現させ投擲しようが、上条には何ら効果が無いのである。

実際、投擲された炎は上条に届く前に雲散霧消した。

その光景にガキ共は皆腰を抜かす。

得体の知れない力を前にして心が折れかかっている。

「お前は一体なんなんや?」

リーダー格の男の問いかけに上条は答えた。

「えっと通りすがりの警備員(アンチスキル)候補生です。」

警備員(アンチスキル)という言葉で彼らは完全に心をおられたようだ。

「「「すみませんでした。」」」

全員が口を揃えて謝り、逃げ去っていく。

「助けていただいてありがとうございます。

私、さく川中学の佐天涙子といいます。」

「とある高校の上条当麻です。

何もされていないようで安心しました。

次からは裏路地には気をつけてくださいね。

完全下校時刻も近いです。

気をつけて帰りなさい。」

そう言って上条は表通りまで佐天を送っていく。

しかし上条と別れた佐天は無事に家に帰ることが出来なかった。

 

真実を追う者2

上条と別れた後に茶髪のショートの髪型をした女の子に絡まれたからだ。

「佐天涙子さんで良いのよね?」

「ハイ、そうですけど。」

「さっき接触した女性の事で話が聞きたいのだけれど、ちょっとついて来てくれる。」

「嫌です。」

「そう仕方ないわね。

痛い目にあっても知らないから。」

そう呟いてから佐天に電撃を浴びせ掛ける。

「えッ?」

驚いたまま佐天は電撃に捉えられた。

そのままそのまま御坂に抱えられたまま気絶する。

「黒子、聞こえてる?」

「ハイ聞こえておりますの。」

「重要参考人を確保したわ。

連行の手伝いに来てくれる?」

「了解しましたの。」

 

真実を追う者3

これはボイスレコーダーに残された音声記録である。

「佐天さん、この尋問に黙秘権は認められません。

また嘘を述べることも認めません。

それらの行為が認められた場合、私達の判断により厳罰に処します。

分かりましたね。」

「分かるわけじゃない。

これは犯罪だよ。

早く解放してよ、初春!」

「反抗的な態度を示したので、御坂さんお願いします。」

バチ。(御坂が弱い電撃を浴びせた音。)

「痛っ。

なっ何するんですか?」

「繰り返して言いますが、黙秘をしたり、嘘をついたり、反抗的な態度を取った場合こうなります。

分かってください。

佐天さん。」

「わかるわけないじゃない。

理由を教えてよ。」

「教えることは出来ません。

すみません。 佐天さん。」

「初春がそう言うなら、仕方ないかな?」

「協力感謝します。

では質問を始めます。」

「まず彼女はなんと名乗りましたか?」

「上条当麻。」

「では彼女は何と言っていましたか?」

「とある高校の人。

警備員(アンチスキル)候補生だと言ってました。」

「それ以上のことは?」

「何も聞いてません。」

「最後に一つだけ、彼女と会ったときの事で覚えていることはありますか?」

「自称Level4の発火能力(パイロキネシス)が効かなかった。」

「分かりました。

今日のところは結構です。

また伺いたいことができるかもしれません。

その時はよろしくお願いします。」

 

上条meetsステイル

「やあはじめまして。

申し訳ありませんが道に迷ってしまって、三沢塾というところに行きたいんですが道分かりますか?」

「三沢塾ですね。

案内しましょうか?」

「お願いします。」

「でどのようなご用件で行かれるのですか?」

「連れとそこで待ち合わせしてるんです。

ですがそこがどこが分からなくなっちゃって、情けない話です。」

移動中。

「ここが三沢塾です。」

「ありがとうございました。」

「どういたしまして。」

二、三言会話を交わして別れようとしたときである。

背後から声が聞こえてきたのだ。

「赤毛の男、間違いない。

イギリス清教、必要悪の教会()のステイル=マグヌスだ。

そこのお前ついて来てもらおうか。」

突如現れた黒服の男はステイルを見ながらそう言った。

渋々といった態度でステイルは歩きはじめた。

「ついでにお前もだ。」

そう言うと黒服の男は上条の腕を掴んだ。

そして三沢塾の扉にステイルと上条の姿は消えた。

 

第七学区にある窓の無いビル。

「アウレオルス=イザードだったかな。

全く馬鹿な奴だ。

我々の介入する動機付けをしてくれるとはな。」

科学側と魔術側にて取り決められた協定において、学園都市内における全ての魔術的事件は魔術側が対応するとなっている。

しかし例外がある。

それは学園都市内外において発生した魔術側の人間による科学側の人間の拉致監禁等が発生した場合である。

科学側の情報が漏れた場合、魔術側の情報をバーターで取得するためである。

これは団体に入っていない魔術師にも適用される。

「学園都市暗部組織全ての動員を完了しました。

必要に応じて周辺の警備員(アンチスキル)も投入できます。

彼らは今すぐにでも攻撃を開始できます。」

「待機を継続せよ。

全く魔術師の分際で私の庭に手を出そうとはな。」

 

三沢塾地下

「この女なかなかの美人だぜ。」

「ヒュー。 やりてぇな。」

「じゃあやろうぜ。」

黒服の男達は縛られた上条を見ながらそう言っていた。

 

アウレオルス=イザード 

少し勝手が違ってきた。

彼の計画(プラン)では、禁書目録(インデックス)を助けるために三沢塾が必要であり、さらにはそこに監禁されていた姫神あいさが必要であった。

神出鬼没な吸血鬼という膨大な魔力を有する対象物を捕獲するには、どうしても吸血鬼殺し(ディープブラッド)の能力を必要とする。

しかしその活動がイギリス清教に見つかり、今に至る。

三沢塾前にて、ステイル=マグヌスを発見確保したまでは良かった。

一緒にいたという女性までも連行するのは良くなかった。

学園都市に介入の根拠を与えてしまった事になるからだ。

おそらく周辺は学園都市暗部組織がひしめいているだろう。

警備員(アンチスキル)も出動しているかもしれない。

取り敢えずは、馬鹿な部下に責任を取らせよう。

 

真実を追う者4

特に分かったこともなく、寮への帰路についた白井黒子の前に金髪グラサンの"ザ・不良"といった風の男が現れた。

「白井黒子で合ってるのか?」

「ええそうですの。

あなたさまはどちらさまですの?」

「こりゃ失礼したにゃー。

俺はとある高校の土御門元春だにゃー。

こうみえて、上条当麻(かみやん)の同級生だぜい。

あんたらも、俺と同じ事を調べてるって聞いてな。

情報交換といこうぜよ。」

「情報交換ですか?

構いませんの。」

「じゃあ早速、こちらの情報だが、上条当麻(かみやん)は死んだらしい。

統括理事長の話によると、死因は何らかの爆発によるものらしいが詳しくは分かっていない。

幻想殺し(イマジンブレイカー)も他の宿主に移ったらしい。

その宿主を、全力で探してるにゃー。」

「あの上条当麻(類人猿)が死にましたか。」

「俺にはそれ以上のことは何も分かってないぜよ。」

「そちらの高校に新しい先生が来るでしょう。」

「おいおい、それのどこが情報なんだ?

まあ、確かにこの時期ってのは珍しいけどにゃー。」

「と・く・に、上条当麻という名前の女教師ですの。

警備員(アンチスキル)も兼務するそうですよ

さらには彼女も幻想殺し(イマジンブレイカー)に近い能力を使えるようですの。

もしかしたら、新しい宿主は彼女かもしれませんねぇ。

お分かりいただけましたか?」

「なるほどねぇ。

つまりは上条当麻(かみやん)の死亡と同時に現れた幻想殺し(イマジンブレイカー)を持った同姓同名の謎の女ってわけだにゃー。」

「そういうことになりますの。

これが、わたくしの連絡先ですの。

何か分かったら御一報下さい。」

「こっちが俺の連絡先だにゃー。」

最後に二人は互いの連絡先を交換して別れた。

 

上条の脱出。

縛られていた上条は、どうにかして脱出していた。

元々の縛り方が甘かったらしいのだ。

黒服の男は、一人しかいない。

脱出の好機である。

腕力では劣るが、どうにかするしかない。

男は上条が逃げだそうとしていることに、気付いているはずなのに動かない。

その理由は、簡単に分かった。

男は、何をする訳でもなく、死んでいた。

静かに、周りに気取られることなく、絶命していたのである。

少し進むと、そこには死体の山があった。

見渡す限り、死体、死体、死体である。

全員が、上条とステイル=マグヌスをここに連れ込んだ連中であった。

 

ステイル=マグヌス

アウレオルス=イザード、何を考えている?

彼女の事か、それなら止めといた方がいい。

とっくの昔に彼女は、救われている。

あの上条当麻(ウニ頭)にな。

彼女を救って死んだあの男……

 

 

 

 

 

 




後編で終わるかな?
どうなるか分かりませんが、全力で頑張ります。

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