とある最強の警備員   作:佐藤五十六

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第三話 ~研修~

制服の採寸。

警備員(アンチスキル)も行政機関である以上どうしても制服があるじゃん。

変に着崩したりすると、服務規定違反で免職じゃん。

まあそこらへんは研修の座学で説明するじゃん。

という事で採寸に行ってこよう。

というか業者が来ちゃってるじゃん。」

「分かりました。」

移動中。

業者が用意した試着室で

「何で試着室にまで入ってくるんですか?」

顔を赤らめた上条が問い詰めるも黄泉川は素知らぬ顔をしている。

「まあ良いじゃん。」

「良くありません。」

「にしても大きいじゃん。」

「何がですか?」

「いやあれじゃん、あれ。」

「あなたも大きいじゃないですか?」

「まぁ終わったじゃん。

というかとっくに終わってたじゃん。」

「なっなんですとー。」

上条は絶叫した。

 

研修1

「つーわけで、学園都市は日本政府より特別行政権を容認されてるじゃん。

その権限は、通常の都道府県よりも上じゃん。

だからこそ独自の治安維持機関を保有できてるじゃん。

上条、分かってるじゃん?」

黄泉川の授業はスパルタであった。

上条は頷いた。

「日本政府の影響は、我が警備員(アンチスキル)の装備にも現れてるじゃん。

警備員(アンチスキル)の正式採用のアサルトライフルは米軍のM4A1Cモジュラーウェポンズシステム(MWS)一式。

使用できるアクセサリーとかもいろいろあるじゃん。

これは陸上自衛隊採用の5.56㎜×45.SS109弾と使用する弾薬は同じじゃん。

また採用しているピストルは、SIG-SAUER.P-226じゃん。

これに使用する9㎜×19パラペラム弾も陸上自衛隊採用の9㎜拳銃に採用されている物じゃん。

ガキ共押さえ付けるのにこんなおもちゃはいらないと思うけどじゃん。

犯罪者が常にガキとは限らないじゃん。

それに通常使用するパトカーも日本警察の採用しているトヨタ・クラウンのライセンス生産モデルじゃん。

無論学園都市にて改造は施されているけれどもじゃん。」

「そうなんですか。

知りませんでした。」

上条は素直に頷く。

「取り敢えず座学はこれで終わりじゃん。

次は射撃じゃん。」

 

研修2

「これがM-4A1C。

学園都市でライセンス生産されたアサルトライフルじゃん。

つまり最新の反動抑制装置が組み込まれてるじゃん。

これの方が最初から撃ちやすいじゃん。

ってわけで撃つじゃん。」

黄泉川はそう言ってアサルトライフルを渡してきた。

「操作方法とか教えなくて良いんですか?」

黄泉川はついうっかりという顔を見せて言った。

「忘れてたじゃん。

そこにあるのが安全装置(セーフティ・ロック)、これをこう動かせば撃てるじゃん。

特に大文字のFと書かれてるのが、フルオート射撃のモード。

大文字のSがセミオート射撃のモード。

大文字でSAFEと書かれてるのが安全、つまり引き金にロックが掛かっている状態じゃん。

弾倉(マガジン)の交換はグリップの左側についてるボタンを押すと弾倉(マガジン)が外れるじゃん。

後に新しい弾倉(マガジン)を差し込むだけじゃん。

取り敢えずSに合わせて引き金を引くじゃん。

もちろんちゃんと的を狙うじゃんよ。」

「分かりました。」

上条はそう言って、銃を構えた。

ドンッという小気味よい発射音とともに5.56㎜高速弾が的に書かれた頭目掛けて飛翔する。

そして見事に頭に命中した。

「結構当たるもんじゃん。」

黄泉川の呟きは誰にも聞かれなかった。

上条は肩越しに伝わるはずの反動の無さに驚いていた。

「次はピストルじゃん。

特にこれも変わらないじゃん。

但し、手動の安全装置(セーフティロック)が無いから注意するじゃん。

百聞は一見に如かずって事でやってみるじゃん。」

と言って手渡してきた。

ゆっくり両手で構えて引き金を引く。

引き金自体が少し重いが力任せに引く。

パンッという破裂音とともに9㎜パラペラム弾が的に飛んでいく。

狙いは頭だったが少しズレて何も書いてないところに命中した。

「まぁ、ピストルはライフルと違って慣れるしか無いじゃん。」

「そうですか。」

「って事でどんどん撃つじゃん。」

 

第七学区にある窓のないビル。

「イギリス清教のステイル=マグヌス君だったね。」

「はい、そうですがなんですか?

学園都市統括理事長。」

ステイルは何度見てもその男の姿に嫌悪感を隠せなかった。

「もし彼女に接触した際に、不必要な特に彼女に元の素性等の情報を与えた場合。

僕は学園都市暗部組織を総動員してでも君をいや君達イギリス清教を潰しにかかるよ。

分かってるね。

彼いや彼女はやっと人並みの幸せを手に入れたのだからね。

その幸せを崩すものが出たら、僕はなんだってするよ。」

ステイルは頷くと去って行った。

そこに現れた影が一つ。

「統括理事長ともあろう方がそんなこと言ってて良いのかにゃー。」

「なんだ。

土御門か、何の用だ?」

「あの話は本当なのか?

上条当麻死亡というのは。」

「ああ、本当だ。

勿論君としては否定してもらいたかったのだろうが。

残念ながら真実だよ。」

「死因は何だったんだ?

答えやがれ。」

土御門は激情を見せていた。

「魔術によるものだと確認された。

詳細は分かっていないがね。

君も聞いたことがあるだろう?

イギリス清教が隠匿していた禁書目録(インデックス)に関する噂をね。

そこまで言えば分かるだろう。」

統括理事長は淡々とそれだけを言った。

「ああ。

10万3000冊の魔導書を記憶しているとか言う奴だろ。

それにしても大切な駒を殺されてよく冷静でいられるな。」

「幻想殺しについては、次の居場所(やどぬし)も特定できているからね。

駒は潰されていないよ。」

「じゃあ聞くが、お前は何を隠している?」

統括理事長はみるみる不機嫌になった。

「これ以上君と話すことは無い。

帰りたまえ。」

不機嫌を隠そうともせずに統括理事長はまくし立てた。

「俺がお前の素姓を知らないとでも思ってんじゃねーよな。

アレイスター=クロウリー。」

そう言うと土御門は立ち去る。

完全に立ち去ったのを確認して呟く。

「これは彼の元々の友人であっても教えるわけにはいかないのだ。

私の素姓以上の重要な機密事項。

第一級の機密事項だからな。」

 

研修3

次の研修は屋内の道場で格闘技であった。

「黄泉川先生。

ギブです、ギブ。」

試しに試合をしてみて、上条は開始3分で黄泉川に押さえ付けられ関節技をきめられた。

「全くだらしが無いじゃん。

まぁこれも毎日の鍛練の積み重ねじゃん。

って事で今日は基礎の基礎からやっていくじゃん。」

「分かりました。」

道場で上条はきっちり絞られた。

 

真実を追う者達。

いつものファミレスにて。

「それでどうでしたの?」

「追加の調査を行った結果。

判明したことはこれくらいです。

それ以上の情報となるとプロテクトが固くて、でその方は今ここに住んでるようです。」

住所の書かれた紙を差し出す。

「それは良くやりましたの、初春。」

白井が褒めたが御坂はさらに突っ込んだことを聞いた。

「それでここはどういうところなの?」

「教師用の賃貸マンションです。

特に大学で開発された新システムを試験しているようで、家賃も割に安いんですよ。

部屋自体が5LDKもあるんですが、これでなんとお家賃3万5000円ぽっきり。」

「そんなボケはいいから。

この部屋自体教師にしか借りられないのね?」

「はい。

そのはずです。」

「てことはその上条当麻を名乗る女が教師である事は間違いないのね。」

「確かに黄泉川先生が嘘をつくとは思えませんでしたし。

ただこれは厄介な問題ですの。

生徒であれば適当に事実をでっちあげていえ無理矢理にでも事情聴取出来ますのに、教師ですからそんなこと出来ませんの。」

「とある高校で教えるのよね?」

「何がですの?」

「授業よ、授業。」

「はい。

確かそうおっしゃられておりましたの。」

「どうにかしてそこの生徒を仲間に引き込む必要がありそうね。」

御坂の顔には笑みが浮かんでいた。

「次はそこの生徒で引き込めそうな人物をリストアップしてきますね。」

初春はそう言った。

 

その頃の佐天さん。

「最近、初春の付き合いが悪いなぁ。

スカートめくれてないなぁ。

だって放課後は直ぐに居なくなるんだもん。」

佐天さんはそんなことを考えながら、一人で裏路地を歩いていました。

学園都市の裏路地は治安の悪いことで有名です。

彼女の身に何も無ければ良いのですが……

 




レールガンの佐天さんを少しだけ出してみました。
もしかしたらフラグが立つやも知れません。
特に女体化してからの上条さんは無節操にフラグを立てそうですから。
次から三沢塾編に突入します。

登場した銃器の解説。
M4A1C・・・学園都市にてライセンス生産されているカービン銃。
原作ではスイス製のSG-550シリーズを採用していましたが、日本国内で使用されているライフルと弾薬に互換性を持たせるため変更しました。
スイスの5.56㎜弾はNATO弾つまり自衛隊採用の弾薬と規格が異なるみたいです。
SIG-SAUER.P-226・・・学園都市にてライセンス生産されているピストル。
原作では特に描写されていないので勝手に決めました。
海上自衛隊の特殊部隊SBUに採用されているらしいのでこれに決定しました。

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