とある最強の警備員   作:佐藤五十六

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第二話 ~研修前夜~

翌日の午前。

上条の入院している病院。

「上条いるじゃんね?」

黄泉川はそう声をかけた。

「はい。

おはようございます。」

「おはようじゃん。

今日は月詠先生を連れて来たじゃん。

挨拶するじゃん。」

遅れて現れた子供?

らしき女性がいた。

そして言った。

「おはようございます。

上条ちゃん。

私は、月詠小萌。

上条ちゃんの元担任です。」

「おはようございます。

上条当麻です。

またお世話になります。」

上条は頭を下げた。

「無事でよかったのです。

ほんとに無事で………」

月詠は嗚咽を漏らした。

「月詠先生、泣かないでくださいよ。」

困った顔をして上条は黄泉川に助けを求めるが面白がっているのか取り合ってくれなかった。

「先生は泣いてなんていませんよ。

上条ちゃんの目は節穴ですか?」

目に溜まった涙を拭いしっかりした目で上条を見つめる。

そこに黄泉川が割って入る。

「じゃあ引越しするじゃん。

退院の手続きをするじゃん。」

「分かりました。」

「その心配はいらないよ。」

横合いからカエル顔の医者が言った。

「全ての手続きは昨日のうちに終わらせてある。

後は退院するだけだ。」

 

黄泉川の運転する車中

「上条の研修は私が受け持つじゃん。

明日から徹底的に扱くから覚悟するじゃん。

でも今日はその前にセブンスミストに寄って上条の私服を調達するじゃん。」

セブンスミストを知らない上条に。

「女性向けのファッションショップです。

そこには可愛い物が沢山あるんですよ。」

とは月詠先生の言葉だ。

彼女はもう吹っ切れたらしく、笑顔を見せている。

「どうしましょう、黄泉川さん?

私お金持ってません。」

「それなら心配いらないじゃん。

学園都市から一時金がそれなりに出てるじゃん。」

「じゃあスーパーにも行って貰っていいですか?」

「いいじゃんよ。

料理でもするじゃん?」

「ええ。

そのつもりです。」

「私達の分も作るじゃん。

月詠先生も食べるじゃん。」

「はい。

みんなで食べましょう上条ちゃんの手料理。」

「はいはい。分かりましたよー。」

 

セブンスミストで買い物中

「黄泉川先生。

お久しぶりですの。」

常盤台中学の制服を着た女子生徒が黄泉川に声をかける。

「おう。

白井か、久しぶりじゃん。」

「ところでこちらの方は?」

「こいつは上条当麻。

とある高校で体育科教師をやってもらうじゃん。

あと警備員(アンチスキル)もじゃん。」

(あの類人猿と同じ名前。

ただの同姓同名?

まさか同一人物?)

白井黒子は心の中の疑問を押し殺し聞いた。

「こんな時期にですか?

もう夏休みですけど。」

「学校に赴任する前に、交通事故にあってだな。

まぁ色々あって遅れたんじゃん。」

その答えからは疑問に対する何の答えも返ってこなかった。

「へぇ、そうなんですの。

私は白井黒子。

常盤台中学の1年

風紀委員(ジャッジメント)をやっておりますの。

これからよろしくお願いいたしますの。」

「はい。

白井さんですね。

紹介にあった上条当麻です。

これからよろしくお願いしますね。」

「上条、次行くじゃん。」

黄泉川は次々に進む。

「黄泉川先生。

何を買うんですの?」

「決まってるじゃん。

こいつの下着じゃん。」

と言って上条を指さす。

「分かりました。

この不肖白井黒子が、上条さんお似合いの下着を探し出して見せましょう。」

拳を握り胸を張る白井黒子に負けて黄泉川は全てを任せた。

嫌な予感はかなりしていたものの。

「分かったじゃん。

好きにするじゃん。」

「では上条さん。

参りましょうか?」

それから上条が白井黒子の着せ替え人形となったのは想像に難くない。

しかし周囲の笑い者になってでも、それを見つめる影がいたことに誰も気付かない。

「くぅーろぉーこ。

何でこんなところにいるのよ。

ていうかあの着せ替え人形になっているのは誰?」

 

黄泉川と別れた後の白井黒子

携帯を取り出して何処かに電話をかける。

「もしもし、初春ですの?」

風紀委員(ジャッジメント)第177支部にいる初春だったようだ。

『はぁい、そうですけど白井さん?』

「至急書庫(バンク)で調べてほしい事がありますの。」

『分かりましたよ。

で何を調べれば良いんですか?』

「上条当麻っていう類人猿の事ですの。」

『その人って御坂さんの想い人の人ですよね。

白井さんもその人のことが好きだったんじゃ。』

「初春、貴女の目は節穴ですの?」

一段低い声になった白井に初春は気圧された。

『違いますよぉ。

まぁ取り敢えず調べ物に関しては、すぐ調べます。』

「お願いしますの。」

 

スーパーにて。

「上条、何を作るじゃん?」

「魚の煮付けと味噌汁です。」

上条は顔を綻ばせて答えた。

「分かったじゃん。

魚の種類は何にするじゃん?」

「安いのを選ぼうと思います。」

カゴの中には、白菜や人参、豚肉、味噌、インスタントだし等が入っていた。

「今日はぶりが安いんですね。

ぶりの煮付けにしますか。」

「それが良いじゃん。」

「上条ちゃん、これも良いですかぁ?」

月詠先生がお酒をカゴの中に入れる。

「良いですよ。

買い物もこれで終わりですし、会計を済ませて帰りましょうか?」

 

上条の部屋。

「ここが今日から上条の暮らす家じゃん。」

「結構広いんですね。

これで家賃はいくらくらい?」

「月3万5000円ぐらいじゃん。」

「お安いんですね。」

「まぁここ自体が学園都市の研究結果の試験場みたいなところじゃん。

だから安いんじゃん。」

かなりはしょった説明だったが理解できた。

「これから作りますんで、くつろいでお待ちください。」

「分かったじゃん。」

それを聞いて上条はキッチンに入って行った。

「ねぇ愛穂。

私は上条ちゃんがあんなことになったとは未だに信じられないんですよ。」

「まぁ信じるしかないじゃん。」

「それはそうですけど、」

「まぁこんな辛気臭い話は終わりにするじゃん。

ということで上条の料理が出来るまでTVでも見るじゃん。」

そう言ってチャンネルをいじくる。

~1時間後~

「黄泉川先生、月詠先生。

出来ましたよ。」

ダイニングの上からいい匂いが漂って来る。

「味付けは薄いですけどどうですか?」

「美味いじゃん。」

「美味しいです。」

「それはよかったです。」

「お金は出すから私に毎日作るじゃん。」

他愛のない会話をしつつ、ご飯は進む。

そして食事会はお開きとなった。

「明日からに備えて今日は休むじゃん。

あの件は考えておいて欲しいじゃん。

お休みじゃん。」

「上条ちゃん、お休みなさい。」

 

初春と白井黒子の会話

第七学区のファミレス

「白井さん呼んですみません。

これは会って話さなきゃと思ったんですよ。」

「まぁその事は別ですの。

で、結果はどうでしたの?」

「これを見てください。

コピーですけどね。」

初春は躊躇しつつ紙を差し出す。

「えッ、死亡?

どういうことですの?」

「私に聞かれても分かりませんよ。

私自体そこに書いてある事しか知らないんですよ。」

「へぇ、二人で面白いこと話してるじゃない。

私も混ぜてよ。

くぅーろぉーこそれに初春さん。」

「お姉様!」

「御坂さん」

「お姉様、どうしてここに?」

「私から逃げられると思わないことね。

特に黒子。」

「はいですの。

でも私の説明も聞いてくださいまし。」

「セブンスミストでのことなら見てたからいいわ。」

「お姉様、いつの間に。

まさかお姉様、私をストーキング?

そこまで私を愛してくれておりましたの。」

「それはまぁたまたまだったのよ。

で、どうだったのよ?」

御坂は冷や汗をかきながら聞いた。

「最初から聞いてましたよね?」

初春の問いに御坂は頷きを返す。

「上条当麻でもう一件検索でヒットしました。

それがこの人です。」

またまた紙を差し出す。

「この人は。」

「セブンスミストで私が会った人ですの。

とある高校で体育科教師をすると言っておりましたの。」

 

 

                              続く




何か中学生組は暗躍しはじめそうです。
しかし佐天さんは出て来ない。
すぐに出るとは思いますが…………
次からとても厳しい研修編に入ります。
合間に本編の三沢塾編、ついで超電磁砲(レールガン)のレベルアッパー編になります。
順序が変わっていますがまっいいかと開き直ります。

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