とある最強の警備員   作:佐藤五十六

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第一話 ~警備員《アンチスキル》にならないか?~

「とある高校の黄泉川先生でしたね。」

カエル顔の医者が静かに問う。

「そうじゃん。」

「彼の担任は月詠先生だったのでは?」

「あいつは気が滅入っちゃってるじゃん。

だから代わりに私が聞くじゃん。

さっさと話すじゃん。」

「分かった。

まず彼は記憶を失っている。」

「ばっ馬鹿な。

そっそんな話信じられないじゃん。」

「信じる、信じないじゃないんだ。

これはれっきとした事実だよ。」

カエル顔の医者は諭すように言う。

「そうだとして、記憶が戻る可能性はあるのか?」

口癖を忘れるほど我を忘れた黄泉川愛穂はカエル顔の医者に掴みかかる。

「この場合はありえない。

100%ね。

そしてもう1つ彼には大きな問題があってね。

それは見てもらった方が早いけど、どうする?」

「分かった。

行くじゃん。」

 

彼の病室の前。

「ここが彼の病室だよ。」

カエル顔の医者が指したのは、普通の病室だった。

ドアを開けて中に入ると、ベッドの上で一人の女性が眠っていた。

「これは誰じゃん?」

「見ての通り、上条当麻だ。

DNA型も一致しているし、100%本人だよ。

そして記憶を破壊されたことで、上条当麻の学力は大幅に向上している。

記憶や演算能力のキャパにゆとりが出たんだろうね。

昼前には大学卒業レベルの問題も余裕で解けていたしね。」

「それならこの状態の上条を生徒として迎え入れなくとも、教師として赴任させればいいじゃん。

警備員(アンチスキル)に勧誘するじゃん。」

「彼の右手に何が宿っていたか聞いてますか?」

幻想殺し(イマジンブレイカー)の事ですか?」

「そう。

だが、その反応が今は右手に見られない。

その意味が分かるかい?」

幻想殺し(イマジンブレイカー)の喪失。」

ポツリとつぶやいた黄泉川の言葉をカエル顔の医者は肯定した。

「でもね。

全身を対象に、精密検査を行った結果。

右目に異常が確認された。

幻想殺し(イマジンブレイカー)はより高次の能力へと進化したようなんだ。

任意による発動、範囲の設定、能力の発動源の感知など付随の機能が増えたみたいでね。」

「先生、急患が入りました。」

ナースが呼びに来た。

「分かった。

すぐ行く。

黄泉川先生失礼するよ。」

カエル顔の医者が出て行った直後に

「ふぁ」

上条当麻が目を覚ましたようだ。

黄泉川を見て声を上げる。

「あなたは誰なんですか?」

ナースコールを手に睨みつける。

「とある高校で教師をやってる黄泉川愛穂じゃん。

初めましてじゃん。」

それを聞いて警戒を解いたのかナースコールを素直に下げる。

「あなたは私が誰か知ってるんですか?」

「うん、そうじゃんよ。」

「教えてください。」

「特に教えるほど知ってるって訳じゃないじゃんよ。

ただ生徒を教師として知ってたってだけで。」

「そうですか……」

「今日は、お願いがあって来たじゃんよ。

上条、警備員(アンチスキル)になってくれないか?」

「私なんかでいいんですか?」

「体育の授業のときからずっと気になってたじゃん。

運動能力はもちろん、反射神経、いざという時の判断力。

こいつは警備員(アンチスキル)に向いてるんじゃないかとね。」

「そうなんですか、そう言っていただけて嬉しいです。

分かりました。なります。」

「ほんとにいいじゃんね?」

「はいっ」

満面の笑みでそう言った。

「分かった。

明日書類を持ってくるじゃん。

それまで良く考えるじゃん。」

「分かりました。」

 

翌日

「1晩考えて変わらなかったじゃん?」

「はいっ。

私、警備員(アンチスキル)になります。」

「よく言ってくれたじゃん。

後は契約書のこことここにサインするだけじゃん。」

「住居の事なんだが、取り敢えず私の家の隣になった。

生活必需品なんかは揃えてあるじゃん。

安心するじゃん。

明日退院じゃんね?」

黄泉川の確認に返事を返す。

「はいっ。」

「じゃあ明日迎えに来るじゃん。」

「はいっ。」

 

              続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




この話ではインデックスを助けた後、同居しません。
インデックス好きな人には申し訳無いです。
上条を得た第七十三支部が無双する話になるかもしれません。

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