Tail of Twin   作:グラコ口

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第5話:俺、そして紛い物のツインテール

 

「……うわぁ」

 

 

 翌朝は、俺の若干引き気味な呟きとともに幕開けた。

 

 

「なんというか、すごいですね…」

 

 

 俺を、そしてリィリアをも若干唖然とさせたのは、テレビである。

 なるほど世界電波ジャックなんてことをやらかしたアルティメギルの特番が組まれていても驚かないが、ニュース番組はなんとテイルレッド一色だった。

 

 しかも、一昨日とは比較にならないほど鮮明な映像で。

 

 

『名前を! 名前を教えて下さい!!』

『あ……テ、テイルレッドでs……うわ、ちょっと!?』

 

『素敵です、お姉さまと呼ばせてください!!』

『妹に決まってるでしょ! はぁはぁ、一緒にきがえっこしましょう!』

 

『わーっ帰るぅ~っ! 道あけてぇー!!』

 

 

 女生徒にもみくちゃにされ、涙目で手足をバタつかせるツインテールの幼女。

 なんというか、これ放送されてるの日本国内だけだよな…? それでも十分アウトだとは思うが、なにやら底知れぬ狂気を感じる映像である。

 

 ご丁寧に『テイルレッド』というテロップまで付けられてるし、なんというかご愁傷様という感じか。

 

 

「……ごめんな、テイルレッド。けど無駄死にじゃないぞ……」

「ホワイトは囲まれる前に離脱しちゃいましたからね。……せっかくのヒーローインタビューのチャンスだったのに」

 

 

 つーん、としながら不満げに呟くリィリアだが、正直勘弁してほしい。

 ……というか、スピードが売り(のつもり)のテイルホワイトでも1人で命からがら逃げるのが限界という女子高生の謎のバリタリティの高さはマジで怖かった。

 

 なんで無駄な連携力で包囲したり逃げ道を塞いで追い詰めたりしてくるのか。

 油断していたとはいえレッドがあっさり捕獲されてしまったのもなんとなく納得してしまうレベルだった。……左脚を痛めてなければ跳んで逃げられたんだが。

 

 

 そんなことを考えながらトーストを食べ終えて立ち上がろうとした瞬間。

 テレビから「そしてこちらがテイルホワイト―――」という声が聞こえてきて思わず振り返った。……すぐ逃げたつもりだったのに、撮られてたのか…。

 

 

『待って! 怖がらなくていいのよ! はぁはぁ』

『……か、帰る…っ』

 

 

 こうして映像で見ると、ホワイトの顔が若干引きつってる上に女生徒の呼吸が怪しい。……これなら逃げても仕方ない、と思ってくれるといいなぁ……。

 

 

『大丈夫、ちょっとだけ! ちょっと写真を取るだけだから! 痛くないよ!』

『………やだ』

 

 

『ほら、レッドちゃんも呼んでるから!』

『うわぁぁーん、たすけてくれホワイトぉぉぉぉっ!』

 

『……………ぅ』

 

 

 

 というか改めて聞いてもレッドの叫びが必死すぎるんだが。

 そしてそんなことをしているうちに遠巻きに女生徒が包囲網をつくり、ジリジリと校庭の真ん中のレッドが捕獲されているあたりにに追い詰められていく。

 

 

『きゃー! 涙目かわいいーーーっ!!』

『隙ありッ!』

 

『――――――…ごめん、レッド……生きてっ! 完全開放(ブレイクレリーズ)…!

 ホワイト……アーク!』

 

 

 

 咄嗟に完全開放した叢雲からドライアイスよろしく冷気を噴射して即席の煙幕にし、半泣きのホワイトが逃げ出す。

 

 校庭を覆いつくせ、とばかりに大量噴射したそれは、なんだかんだ近くにいたレッドの姿も覆い隠し。小柄なレッドはその隙に人の網を掻い潜り、タトルギルディがいたあたりに落ちていた菱型の石を拾ってから脱兎の如く逃げ出した。

 

 

 

「……わー、すげー、俺ファインプレー……レッドも逃げられてたんだな」

「……ごめんなさい、わたしも正直これは逃げたほうがいいと思います」

 

 

 分かってくれたみたいで何よりだよ…。

 と、そこでリィリアは何を思いついたのか、ものすごい勢いで俺のパソコンに何か打ち込み――――。

 

 

 

 ものの数秒で自慢気に画面を見せてきた。

 

 

 

「できました! テイルレッドWikiです!」

「はやっ!? というかなんで!?」

 

 

 

 しかも無駄にハイクオリティ!? 

 テイルレッドのこれまでの画像が集められ、躍動感あふれるツインテールが散りばめられた素晴らしいページだ……じゃなくて。

 

 何をWikiるんだ!? とも思ったが、テイルレッドの推定身長、必殺技の名称など、とりあえず公開して問題なさそうな情報は粗方載っている。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

テイルレッド

 

 異世界から来たというエレメリアンの侵略に対し、彗星の如く登場したツインテールが大好きだという少女。その名前の通り膝下まで伸びた赤毛のツインテールが特徴。推定身長は129センチメートルであり、B61 W48 H64(あくまで推定値)と、8歳児相当であると思われる。

 

 ヘンタイ怪人であるエレメリアンに時々怯えながらも力強く戦う姿勢が可愛らしいともっぱらの評判。武器は大きな剣(テイルレッドの身長には)であり、炎を操る。必殺技は完全開放(ブレイクレリーズ)からのグランドブレイザー。*1

 

 初登場は“マクシーム宙果”であり、相棒(諸説あるが)のテイルホワイトと共にリザドギルディと名乗る怪人をグランドブレイザーで撃破した。なお、この際ツインテールが好きだと公言した模様。*2

 

 某高校で起こったというタトルギルディを名乗る怪人との戦いでは危機に陥ったテイルホワイトをグランドブレイザーで救った。*3 

 

 

 学校の屋上から飛び降りても無傷だったり、強化服のようなものの効果なのか人間離れした身体能力を持つようだが、戦闘後の反応や怪人との戦いの様子などから歳相応の面も多く見られ、テイルホワイトともども暖かく、しかし紳士的に応援することが急務であると考えられる。

 

 また、強すぎる力のためか抱きつかれると非常に困っているようなので守ってもらう側として最低限のマナーは守ろう。

 

 

 

*1 参考動画(外部サイトに飛びます)

*2 居合わせたツインテールの女子高生の証言より

*3 参考動画

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

 なるほどつまり、最後の「マナーを守ろう」ってのを拡散させたいわけか。

 

 

「でもこれ、流石にテイルレッドが可哀想じゃないか…?」

 

 

 より注目を集めるためなのか、スリーサイズまで掲載されてるし…。

 いや、それで抱きつかれなくなるならレッドも少しは助かるかもしれないが。

 

 

「……まあ、その。あれです。本当は男の子なホワイトが抱きつかれるくらいならレッドに頑張ってもらいましょう。見てください、胸に顔を埋めさせられてます……」

 

「う、うわぁ……」

 

 

 

 再び画面に大写しになったレッドは、なんというか非常に危険な状態だった。何も知らずに襲われてる映像です、と言われたら信じてしまうだろう。戦闘シーンもセットで見ているから、一応もみくちゃにさえるヒーローという構図に見えるが。

 

 何はともあれ、そんな可哀s……可愛らしいテイルレッドはすっかり大衆的な存在になったわけだ。

 

 

「……ホワイトも無表情なのに涙目で逃げまわるのが可愛いって評判みたいですよ?」

「なんで俺の周りの方が危険そうな人が多いんだ!?」

 

 

「せっかくなので、テイルレッドのファンサイトや考察ページも作っておきますか?」

「止めてあげろ、可哀想だ」

 

 

 

 しかし、そんなことをするまでもなく学校に行くために家を出る頃には既にまとめブログやファンサイト、考察サイトは競うように乱立していた。……おまけでテイルホワイトのものも。

 

 

「神宮寺(ホワイト)さん、おまけじゃなくてテイルホワイトも、その、けっこう……」

「言わないでくれ頼むから」

 

 

 何故かテイルレッドのものより嗜虐的な意見が多いものの、それなりに人気はあった。……嬉しくないが。

 

 

「……やっぱり、逃げるからです?」

「…………」

 

 

 

 逃げるも地獄、残るも地獄じゃないか。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 一方。テイルレッドこと観束総二はリビングで血反吐を吐きそうな勢いでテレビを見ていた。

 

 

「何で、動画まで撮られてるんだよぅ……」

 

 

 おまけに、既に自宅で朝食を済ませながらもこちらのリビングでもトーストをかじる愛香の表情も徐々に険しくなってきていた。

 

 

「あっちにもおっぱい……こっちにもおっぱい……ふざけないでよ、貧乳が1人もいないじゃない!! さてはアルティメギルの仕業ね!?」

 

 

 そんなさも妖怪のせいみたいに…。

 

 

「他人のおっぱいを目の仇にすんなよ! 自分自身と向き合え!」

「その上で鉄拳!!」

 

 

「がばあ!!」

 

 

 眼前の映像から与えられるストレスのせいか、思わず言ってしまったセリフを都合よく見逃してもらえるはずもなく。朝から無駄に爽やかに血反吐が乱舞する。

 

 

 一気に片付ければ大丈夫かと思ったのにな……。と後悔しても、もみくちゃにされ、愛でるようにつつかれたり撫でられたりするテイルレッドの映像はなくならない。もしホワイトが煙幕を張ってくれなかったらどうなっていたのだろう。

 

 ああ、俺のツインテール……もみくちゃにされて―――はっ!? 危ない、何か危険なものに目覚めそうになっていた。

 

 

 

「総二様総二様、見てください! テイルレッドたんのまとめブログやWiki、ファンサイトに考察ページまでありますよ! ネットもこの話題で持ちきりです!」

 

 

 ノートPCを手にトゥアールは嬉しそうに走り寄って来る。が、こちらとしては全くもって嬉しくない。

 

 

「まだ二回しか変身してねーのになんだよこのラインナップはあぁぁぁぁっ!! 一体何をまとめるんだよ、Wikiるんだよ!?」

 

 

 

 世界が「女装」した俺を祭りあげていく……もう泣くしかない。そう思ったのだが、トゥアールがやけに驚いたような声をあげた。

 

 

「あ、ああー! なんということでしょう総二様! ここ、Wikiにテイルレッドのスリーサイズが!」

「ぎゃあああぁぁっ!? まじで何をWikiってるんだぁぁぁっ!?」

 

 

 というかどうやって測ったんだよぉぉぉっ!?

 

 

「とにかく一大事です、総二様っ! 認識撹乱装置(イマジンチャフ)に不備がないか調べる必要があります! 今すぐ服を脱いで下さい!!」

 

「え!? あ、ああ!」

 

 

 

 イマジンチャフの不具合は確かに一大事だ――――本当に何故かスリーサイズが書かれていたことから思わず頷いて服を脱ごうとしてしまい、愛香の手でトゥアールが宙を舞った。

 

 

 

「アンタは、朝から何やってんのよぉぉぉぉっ!」

「あびゃきし!? だって、テイルレッドのスリーサイズが測られたなら、私も総二様のサイズを測るしかないじゃないですか!!」

 

 

「サ、サイズ!? な、なにを測る気よ…っ!?」

「あるぇー? 顔が真っ赤ですよ愛香さん! 一体何を妄想したんですかねぇ!」

 

 

 

 ……ああ、平和だ。

 ここも、アルティメギルをほったらかしにしてヒーローばかりに注目が集まっている世間も。

 

 そのことに僅かな胸騒ぎを覚えながら、そっと惨劇に背を向けて席を立った。

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 そんなわけで葵はリィリアにネットでの過激派の牽制を頼んで学校へ登校し。悲しいことに既に慣れてしまったテイルレッドとホワイトに放たれる世迷言の数々は本当に目に余るものを除いて受け流し。

 

 それでもクタクタになって帰宅したところで、エレメリアン出現の連絡が入った。

 

 

「なんで律儀に毎日一体ずつ出てくるんだろうなぁ……テイル、オン!」

 

 

 

 極端な話、全戦力で一気に侵略してしまえば俺もレッドも恐らく為す術がないと思うのだが。情報が少なすぎて、変態たちの流儀と言われてしまえば納得するより他にないが。

 

 とか考えながら昨日と同じように路地裏でテイルホワイトに変身して屋根の上に飛び上がると、申し訳無さそうな声でリィリアから通信が入った。

 

 

『ごめんなさい、わたしが転送装置を完成させられていれば良かったんですが…』

「……だいじょぶ」

 

 

 

 まだ今日現れた地点はそこまで遠くはない。屋根を壊さないように細心の注意を払う必要はあるが、テイルレッドがワープでも使ったのか既に現場に到着しているらしいので――――リィリアとしてはそれが余計に気になるのかもしれないが、問題はないだろう。

 

 それに、慣れたからか変身していても一語くらいならつっかえずに喋れるようになったし! ……だからどうしたっていう話だが。

 

 と、そこで通信ごしにリィリアの驚く声が聞こえた。

 

 

『こ、これは――――っ!?』

「………ん」

 

 

『大変です、レッドが……っ!』

「……!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、人目を憚らず全力で現場に急行した俺が見たのは、地面に膝をついて苦しむテイルレッドと、そのテイルレッドにそっくりな――――まるで生きているかのような輝きのツインテールを持つ人形を抱く、狐のようなシャープな怪人……が、ダンスを踊っていた。

 

 

「―――――こ、れ…はっ」

 

 

 そのあまりに情感たっぷりな動作故に、目の前に広がるのは舞踏会の会場。舞い踊るテイルレッドの真紅のツインテール。それをリードする、優しさに満ち溢れた怪人(ヘンタイ)。

 

 ……あー、やっぱりダンスにはツインテールだな…。

 などと現実逃避してみるが、自分がヘンタイと仲睦まじくダンスする光景を見せつけられているに等しいレッドにとってはとんでもない拷問だろう。

 

 

「うっぎゃぁぁぁぁっ!!」

「……レッド、落ち着いて」

 

 

 とりあえず鎮静剤(ツインテール)だ、鎮静剤(ツインテール)を持て!

 近くにちょうどいいツインテールがなかったので、仕方なく自分の白いツインテールをレッドに手渡すと、レッドは今にも泣きそうな顔でそれを抱きしめて頬ずりした。

 

 

「う、ぅ、ホ、ホワイトぉ……っ」

「……ん。だいじょぶ」

 

 

 なんかハンカチ渡したら鼻をかまれたような気分を一瞬だけ味わったが、相手が幼女じゃ文句をいう気にもならない。ついでにこちらも変態で汚れた視界をレッドのツインテールを見て浄化しておく。

 

 

「――――おや、失礼しました。踊りに夢中になってしまっていたようです。お逢いできて嬉しいですよ、テイルホワイト」

 

「…………また、ヘンタイ…。」

 

 

 思わず呆れた目で見てしまうが、怪人はそれをそよ風でも浴びたかのように受け流し、一礼とともに名乗る。

 

 

 

「私はリボンに魅せられし者、フォクスギルディ。どうかお見知り置きを、美しき女神よ」

 

 

 思わず「だが断る」と言いたくなった(言えるか分からないが)のだが、その前に既にフォクスギルディは続きの言葉を放っていた。

 

 

「さあさあ、しっかりと挨拶をしなければ。おお、よくできましたね!」

 

 

 ぺこり、とテイルレッド人形が頭を下げる幻覚と共に、フォクスギルディが気味が悪いほど清々しい笑みで褒め称える。

 

 

 

「う、あぁぁぁぅぁぅぁぅぅぅぅぉぇぇぇぇ」

 

 

 

 まずい、レッドのSAN値が危険域待ったなしの勢いで低下している!?

 しかし、そんなことは知ったことではないとばかりにフォクスギルディの変態(こうげき)は止まらない。

 

 

「フッ……これ、まだ身体を拭き終わっていないのですから、走っては湯冷めをしてしますよ」

 

 

 その瞬間、目の前に広がるのはお風呂で無邪気に駆けまわるテイルレッドと、タオルを持ちながら孫を見守るような優しげな瞳でたしなめるフォクスギルディ。

 ……ああ、これ間違いなく入ってますね(一緒にお風呂に)。

 

 

「そ、想像の中で俺になにしてんだてめええぇぇぇぇぇっっ!」

 

 

 レッドの目が半分死んで、半分泣いている。

 小刻みに震えてしまっているあたりからもその恐怖のほどが窺える…。

 

 

「……まず。」

 

 

 このままだと、最悪レッドが精神をやられてしまうかもしれない。

 即座に止めさせなければ――――そう考え、ヤツの持つテイルレッドの人形を、そしてそのツインテールを視界に収めた瞬間、俺の手が震えた。

 

 

 

―――――どうやって、止めればいい?

 

 

 レッド人形のツインテールは、その見事なまでの長さまで再現され、妄想を続けるフォクスギルディによって縦横無尽に宙を舞っている。あのツインテールに、傷をつけずにヤツを倒すことができるか――――?

 

 

 

「………っ」

「ホ、ホワイト…っ」

 

 

 出現させた叢雲の柄を握りしめると、レッドが縋るような目でこちらを見てくる。

 

 なるほど本物の煌きを持ったレッドのツインテールが眼前にあるこちらからすればあの人形のツインテールは紛い物だ。しかし、人形としては十分すぎるほどのクオリティを誇っている。

 

 しかもそれだけではなく、フォクスギルディの闘気によって煽られてそよぐツインテールは、まるで生きているかのようで―――――。

 

 

 

 カタカタと、刀の鞘が音を立てる。

 知らず知らずのうちに、手が震えていた。ツインテールを切りたくないと叫ぶかのように、どんなに力をこめようとしても刀を抜くことができない。

 

 

「………ぅ、ぐ」

「で、できねぇ…っ! 俺には……俺達には、ツインテールを壊すなんてできねぇぇぇぇ!!」

 

 

 

 あれは、ツインテールだ。

 フォクスギルディの願いと、テイルレッドの理想が結ばれてできてしまった、紛れも無いツインテールなのだ。例え紛い物でも、レッドの愛しているツインテールと全く同じツインテール。

 

 その身に熱く燃え上がらせた、魂(ツインテール)なのだ。

 

 

 

「やはり、あなたたちは本物だ」

「……何!?」

 

 

「そう、これはただの人形です。ですが、あなたたちには破壊できない。ツインテールを愛する……最強のツインテール属性を持つあなたたちに、ツインテールを滅することなどできないのですよ!!」

 

「………っ」

「……くっ!?」

 

 

 

 

 反論、できない。

 折れかかった心の影響を受けてか、テイルギアにも力が入らない。俺は既に地面に手をついて苦しむレッドの隣に膝をついてしまい。

 

 直接妄想の被害を受けているわけではないにも関わらず精神を砕かんと猛威をふるうフォクスギルディの妄想の嵐に、レッドと共に震えることしかできなかった――――。

 

 

 

 

 

 

 


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