カンピオーネ!~Another Tales~   作:緑葉 青

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2種類の報告書より抜粋

【二十一世紀初頭、新たにカンピオーネと確認された日本人についての報告書より抜粋】

 

 日本神話に登場する神、月読命は月の属性を持つ、日本神話での代表的な神の内の一体です。

 日本では月の運行を基準にした暦、太陰暦をおよそ6世紀の頃から使用していました。それにより、後の時代の歌集には月の満ち欠けにより月日を数える動作を詠んだ歌が記され、「月を読む」事が広く普及していたことが分かっています。

 またそれと同時に月読命は漁民達にも深く信仰された神で、潮の高低が月齢と対応していたために豊漁の神、もしくは海人達の守護神としても崇められる様にもなりました。

 つまり月読命は月に関連して漁業を守護し、暦、更にそこから派生して時間を神格化した神だと言えます。

 南条新とは、この月の神を殺害し、カンピオーネとなった少年なのです。

 

 

 

【グリニッジの賢人議会により作成された、南条新についての報告書より抜粋】

 

 いくつかの報告が既に上がっている様に、南条新は既に2種類の権能を保有していると確認が取れている。

 この内我々は、月読命より簒奪した指定した対象の時間を操作する権能を『加減速制御(Accereduction)』、賀茂建角身命より簒奪した神獣、八咫烏を召喚して使役する権能を『天より降り立つ黒鴉(Daybreak Crows of Leading)』と命名する。

 南条新と彼とほぼ同時期に誕生したと思われるイタリアのカンピオーネ、サルバトーレ・ドニ卿は互いに手を組み、現存していた最古のカンピオーネであり、東欧を中心に世界に非常に強い影響力を誇っていたヴォバン侯爵をオーストリア、ハルシュタット近郊で殺害した。

 それが予め決められていたことなのか、現場で成り行きで決まったことなのかは不明だが、それにより2人の王は今現在も友好関係にあると思われる。

 したがって、今後その2名の動きを同時に注視していかなければならないだろう。


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