同情するならチャクラくれ   作:あしたま

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アニメオリジナルストーリーに関しては、整合性のとれない設定も多いためアニメとは異なる点が多々あります。あくまで原作遵守です。



014. 救出

  

ここ最近、紅の元気が無い。二十歳になってからは団子屋に誘われる事は無くなったが、代わりに暇な同期を見つけては居酒屋に入り浸っているようだ。ただ、紅が酒豪という事もあってか、一緒に飲むと泥酔してしまう為、そんな誘いも徐々に断られているようだ。

 

こうなってしまった原因はハッキリしている。アスマが守護忍十二士になると言って、里から離れてしまったからだ。とはいえ、もう一年が経とうとしている、そろそろ落ち着いて欲しいんだが……

 

実は今日の相手をしているのは俺なのだ。アスマが里を離れた頃には、既に猟犬部隊を任されていたから、どうにも機会が無くて俺は誘われずに済んでいた。しかし流石に一回も相手しないのは可哀想なので渋々付き合うことにした結果、クダを巻く紅が出来上がっていた。

 

「ヨフネわあ凄いよねえ。なんて言うか……自分を持ってるっていうか、信念?を持って行動してるように見えるう。そーれーにー比べアスマは……」

「はいはい、ありがとう。本当にアスマの事が好きだな」

「だ、誰があんな私を捨てて行った奴なんかあ!あいつなんか、優柔不断で照れ屋だし、そのくせプライド高いわ、ファザコンだわ良い所なんてえ……まあ気遣いとかは凄いしてくれるんだけどね。それになあんて言うかほっとけないっていうか……」

 

前世で鍛えた接待術のおかげで、どうにか俺は泥酔だけは逃れている。焼酎の水割りセットを持って来てもらい、二人の酒を作るフリをしつつ紅には濃い目の物を飲ませ、俺はほぼ水の様な物を飲んでいるのだ。もちろん紅のグラスを空にするような事はしていない。

 

しかし、おかげで先に酔いが回った紅の話が長いことこの上ない。まあおっさんの愚痴を聞かされるよりはよっぽどマシだけど。

 

「ていうか二人は付き合ってたの?さっき捨てられたって言ったけど」

「えっと付き合っては無かったんだけど……あいつが出て行く時に一緒にいてよって言ったんだよね。でもあいつはそれを無視して……」

「あーそうだったのか、辛かったな」

 

アスマが出て行ったのは父親の三代目との確執が原因だが、その確執にはどうにも俺も無関係ではないらしい。俺がいなくてもアスマは守護忍十二士になっていた筈だから、責任を感じてはいないが。

 

アスマは出て行く少し前に大名の護衛任務を隊長として受けていたのだが、そこで激しい戦闘が行われ三分の一が死亡、更に三分の一は重症という多大な犠牲を払う事となったのだ。

 

アスマとしては、そんな厳しい任務をやり遂げたと思って、意気揚々と三代目に報告したようだ。しかし任務を達成しても、そんな犠牲を払う事となったアスマを三代目は認めはしなかった。里長の立場からすれば当然だ。

 

しかし、どうもアスマは部隊を任されている俺や暗部にいるカカシの方が、三代目からの信頼が厚く感じて、嫉妬していたようだ。中々自分が父親から認められない現状に不満が溜まっていた時、大名からは先の護衛任務の功績を認められ守護忍として指名されたのだ。

 

ようやく認められたアスマは当然それに飛びついた。出て行く前には、大名中心の国づくりがどうとかと理想を語ってはいたが、結局はただの反抗期だと俺は思っている。

 

「色々聞いてくれてありがとう、ヨフネ」

 

正直、話半分に聞いていたのだが、どうやら紅は満足してくれたようだ。

 

「別に構わないさ、ただみんなに酒で絡むのは辞めろよ。お前の為にもなんないぞ」

「ふふふ、優しいのね」

「美人には優しくすると決めてるんでね」

「もう!いつもそんな事ばっかり言って……からかわないでよ……」

 

紅はアルコールのせいで赤くなった頬をさらに染めて顔をそらした。アスマもこんな良い女を置いて行くなんて馬鹿だよな。

 

「さて店も閉まるし、そろそろ出るか」

「そうね……っと!」

 

会計を済ませ立ち上がろうとした紅だったが、足元がおぼつかない様子で転けそうになったので、腰に手を回し支えてやる。

 

「あ、ありがとう」

「どういたしまして。家まで送るよ」

「うん!」

 

 

 

 

 

翌朝、目を覚ますと見覚えのない天井が見える。そして隣には未だあどけない表情で寝ている紅。なんとなしに紅の頭を撫でながら、自分の心を落ち着かせる。

 

何とか落ち着いたタイミングで、紅を起こさないようにベッドから抜け出し、なんとなく気まずい思いで紅の家から出た。今日は部隊で必要な道具を受け取りに行かなければならなかった。

 

(なんだろうな、この間男みたいな行動。はあ、しかしあんな事になるとは……)

 

せっかく待ちわびていた道具の受け取りだというのに、テンションが全然上がらない。

 

部隊の里での評判はみんなの頑張りもあって上々だ。決して慢心する事がないように扱いている事もあり、士気も練度も高い状態を維持できている。しかし、訓練のマンネリ化を打破する為にも新しい訓練も始めるつもりだった。

 

それは人質奪還の訓練という今までの忍では、決して特化してやる事の無かった分野だ。建物内へ侵攻する為の訓練は行われているが、忍は死して黙すべきという思想があるこの世界では、ある意味タブー視されている訓練だ。

 

そうは言っても単騎潜入などの任務もある忍にとって、人質となる機会は少なくない。そのため思想はあっても、実際には救出任務も数多く存在しているのが実情だ。

 

しかし当然任務の難易度はグンと上がる。人質を殺しては何の意味もない為、突入の際には細心の注意を払う必要があるからだ。それを実現するために音響閃光弾を特注してもらっており、今日がその受取日なのだ。

 

作って貰うのには、予想よりも時間がかかった。なにせ、この世界に光玉はあるが音を発する物は無い。こういう時に薬学等に詳しい綱手様を頼りたかったのだが、彼女も大蛇丸の里抜け後、シズネを連れて里から離れてしまっている。自来也様も大蛇丸を調査する為に里から離れており、今は木の葉の三忍は一人としていない。

 

そこで電磁砲用の弾丸製作で世話になっている街の老舗武具店“満点堂”に頼む事にしたのだ。少し偏屈なおっさんだが、新しい物を作るのが好きで嫌がらずに受けてくれる。すんなり完成とはいかなかったが、数回の試作を繰り返し、何とか今回完成に至ったのだ。

 

落ちていた気分を奮い立たせ、古びて立て付けの悪くなった引戸を思い切って開ける。

 

「おやっさん、来ましたよ!もう出来上がってます?」

「五月蝿い!もう少し静かに入って来やがれ!毎度毎度、馬鹿力で開けやがって、余計に立て付けが悪くなんだろうが!」

「ごめんごめん。で、どうです?」

「まったく……ほれ、お前さんの要望通りに仕上げたぞ」

 

そう言うとおやっさんはカウンターの後ろの壁に積み上げられた引き出しから、箱を取り出しカウンターに置いた。俺は待ちきれずに蓋を開けると、そこには筒状の手榴弾の様な形をした音響閃光弾が入っていた。

 

「へえー結局、こういう形になるもんなんだな」

「ん?まあ、ちょっと見慣れない形にはなったが、お前さんの要望通りに仕上げたぞ。ピンを抜いてから約二秒後に閃光と爆音が発生。相手は少しの間だが身動きが取れなくなるだろうよ。あと一番よくわかんねえ要望だった、爆発して破片が飛び散らないようにするのが意外と大変だったぞ」

「ありがと、裏で試しに使ってみても良いか?」

「いつもなら良いって言うところだが、こいつは駄目だ。試しに作っ出た時に裏で使ったら母ちゃんにえれぇ怒られちまった。今度使ったら殺されちまうよ。試すなら演習場でやんな」

 

どうやら、その反応を見る限り成功したと見ていいだろう。何も知らない部隊のみんなに使ったら流石に怒るかな?

 

「ただ大丈夫か?使ってみて分かったが、これを使うときはこっちも完全防備にしなくちゃならん。当然こっちも音が聞こえないから、意思疎通が出来なくなるぞ?」

「その点は大丈夫だよ。俺らの猟犬部隊は言葉に出さなくても行動できる」

「さすが噂に名高い猟犬だな。改良して欲しい所があれば言ってくれ」

「あいよ。ありがとね、おやっさん」

 

この後、早速演習場で試してみるとおやっさんの言葉通り、こちらの要望にキチンと答えてくれていた。まだコストがかかるが三代目に報告の上、予算をもぎとれれば問題ないだろう。

 

 

 

あれから二週間、紅の任務などもあり会う機会のないまま訓練を続けていたが、救出作戦を実践する機会が訪れてしまった。担当上忍が中忍試験に落ちた下忍を騙して、秘伝の巻物を盗んでいったらしいのだ。

 

主犯の担当上忍は緑青アオイ、騙された下忍は森乃イダテ。名前から分かるようにイビキの弟だ。イビキは弟を抜け忍としない為にも追跡したらしいが、同行していた暗部と共に捕らえられたようだ。巻物の解読の為には解析班のイビキの知識が必要だったらしい。

 

イビキの頭にはまだ拷問の跡はない。原作で見た時は衝撃的だったあの傷を残さない為にも、早くに助けてやりたい。

 

この事態を知らせて来たのは弟のイダテとイビキによって逃げ出す事の出来た暗部の一名だった。共に行動していたもう一人の暗部はまだ捕まったままらしい。

 

「そんなわけで、暗部から俺の小隊も一緒に参加させてもらうよ」

 

そう言ってひょっこりやって来たのは、同世代のエース、カカシだった。

 

「わざわざ暗部の若きエースがお出ましかよ」

「いや正直言うと捕まってるのは俺の部下なんだわ。俺と逃げる事が出来た部下、それにもう一人加えたこのスリーマンセルで参加させて欲しい」

 

最近も冷血カカシやら何やら言われているが、やはり仲間は大事にしているらしい。リンを殺した傷はまだ癒えてはいないらしい。

 

「良いけど条件がある。まず一緒に行動する以上、俺の指示は絶対だ。それと暗部として行動させるつもりもないから、その面も取れ。最低限の信頼を皆には見せて欲しい」

「ああ、俺はそれで構わないよ。ほらテンゾウ達も面を取れ」

 

カカシがそう言うと、逃げ出して来た忍ともう一人も面をとって素顔を見せた。連れていたもう一人は大きすぎる黒目をした無表情な顔にフェイスガードをしていた。名前を聞いた時に薄れ始めた記憶に引っかかる物があったが、彼は間違いなく後のヤマト隊長だろう。

 

「よろしく、テンゾウ」

「暗部でも噂されている猟犬部隊の隊長が、カカシ先輩の同期だなんて知りませんでした。勉強させて貰います」

 

 

 

二人と握手を交わした後、俺達はすぐに雨の国との国境付近にある、最初に監禁されていたという小屋に向かった。

 

案内に従い着いた小屋は既に全焼していており、既に周囲に人の気配などない。ただ、少なくとも二人は負傷したのか、その先の森に向かって僅かだが点々と血痕が残されていた。

 

「カカシ出番だぞ」

 

さすがにカカシは長い付き合いなだけあって、俺の言葉で亥、戌、酉、申、未と素早く印を結んでいく。こうやって肩を並べて任務をするのは久しぶりだが、印を結ぶ早さ一つとっても自分と同等以上に成長しているように見える。

 

「口寄せの術!」

 

印を結んだカカシが焦げた地面に手をつくと、ボフンッという音と共にフレンチブルドッグのパックンを始めとする忍犬達が姿を現した。

 

「よ!久しぶりじゃのヨフネ」

「久しぶりで悪いんだけど、早速この血の匂いを追ってくれない?」

「任せておけ!それに焦げた匂いも同じ方向に進んでおる。すぐに見つけてやるわい」

 

パックンのその言葉通り、追跡はすぐに開始され、連れてこられた先には二階建ての木造小屋があった。先ほどの場所から人質を抱えてだと約半日といった距離だろう。

 

「ホヘト、内部の様子を調べてくれ」

 

すぐに隣に控えていたホヘトに白眼で透視させる。人質や内部構造を白眼で確認しない事には作戦を立てることが出来ない。ホヘトに声をかけると同時に、俺とホヘト、タシにスクイを除いた隊員にハンドシグナルで指示を出し散開させた。サインに反応できず、暗部組の三人はぽつんと立ち尽くしていた。

 

「……カカシ先輩、ヨフネさんが出した今の合図はなんなんでしょう?」

「さあ正直俺にも分からない。でもまあ、見張りを確認しに行ったってとこでしょ」

「でもあれだけのサインでですか?斥候するにしても隊列だとか場所なんかの指示までは出たようには見えなかったんですが」

「それはあらかじめ一定のパターンは決めていて、後は現場で判断できるように訓練してるからだよ、テンゾウ」

 

後ろでコソコソと小声で話しているので、俺から説明してやった。普段は閉鎖的な環境でやっているから、他の忍からはどう見えているのか少し気になっていたのだ。今度、合同で模擬戦でもやろうかな。

 

『ヨフネ隊長、敵の見張りを確認しました。数は一個小隊です』

『よし、全員一旦戻って来い』

『『『了解』』』

 

サンタからの連絡で監視の数は判明した。急に黙った俺に不審な目を向けているカカシ達に振り返り口頭で説明してやる。

 

「今山中一族の者から心伝身の術で報告があった。また後で説明するが、お前達は見張りを倒してくれ。その後は小屋の表側に回って、出て来た敵を捕らえて欲しい。もし無理なら殺しても構わない」

「待ってよ、そこは俺達も突入組でしょ。こっちは仲間を人質に取られてるんだ!」

「……今回は人質の救出がメインだ。確実に助けたいなら、さっきみたいにサイン一つで全員が動かなきゃいけないし、それにお前達は装備も持ってない」

「装備なんて!そんなの最初に言ってくれれば良いじゃないか!つまりお前は最初から……」

 

耳栓はまだしも、対閃光ゴーグルなんてすぐに準備出来る物じゃない。カカシ達の準備を待ってはいられなかったから、しょうがないじゃないか。

 

「最初にヨフネ隊長が仰いましたよね?この隊においてヨフネ隊長の命令は絶対です。装備だって貴方達に言った所で揃えられる物じゃないんです」

「……タシやめろ」

「すみません、出過ぎたことを。しかし私を信じろとは言いませんが、我々の隊の事は信じて下さい」

 

相変わらず俺を盲信してくれているタシが堪らずといった具合にカカシ達に反論するので窘める。その様子を見て、カカシ達は渋々ではあるが納得してくれたようだ。

 

話がついたところで隊員達が戻って来た。ホヘトの方も中の確認は終わっているようだ。

 

「よし、敵の監視はどうだ」

「はい、サンタが報告した通り数は一個小隊。小屋を中心にして東西南北の位置で見張っています」

「次、ホヘト頼む」

「人質は見張りの二人と共に二階の西側の部屋にいます。その向かい側の部屋にも二人。一階は居間に四人、奥にある二部屋にそれぞれ二人がいます」

 

周囲を見て来た班からの報告によると出入り口は玄関と裏口の二つ。各部屋には窓が一つあるようだ。作戦を成功させるには十分のようだ。

 

「分かった。カカシ班は入口のある南側、第二小隊は東側、第三小隊は北側、第四小隊は西側の見張りを倒せ。見張りを倒したら第三小隊とカカシ班で小屋を包囲しろ。一人として敵を逃がすな」

「はい」

「分かった」

「見張りを倒したら第一小隊は入口、第二小隊は二階の東側の部屋、第四小隊は人質がいる部屋に突入出来るよう準備しろ。二階に突入した三秒後に第一小隊は突入だ。音響閃光玉を使用して人質は必ず生きたまま確保するぞ」

「「「はい」」」

「散!」

 

テンゾウは作戦に何か言いたいことがありそうな顔をしていたが、流石に黙っていた。

 

(まあ見ていろ二人とも助けてやるから)

 

配置についた俺達、第四小隊の前方には敵が真面目に見張りを続けていたが、石を投げて一瞬注意をそちらにズラす。その隙に背後に回り怪力をもって首の骨をへし折った。

 

その様子を見ていたタシ達と共に小屋に近づいて、二階の窓近くの壁にチャクラを吸着させて貼り付いた。全員がゴーグルと耳栓を装着したのを確認し、全体に連絡を取る。

 

『第四小隊準備完了』

『第一小隊準備完了』

『第二小隊準備完了』

『了解。カウントダウンを開始……5.4.3.2.1GO!!』

 

合図を出すと同時に窓から音響閃光弾を投げ入れる。次の瞬間、閃光が瞬き、轟音が肌を震わした。訓練で分かってはいたが十分すぎる威力だ。

 

中に飛び込むと主犯のアオイともう一人の敵は耳を抑えて蹲っていた。イビキ達も苦しそうに顔を顰めているが、それくらいは仕方がない。すぐにタシとスクイに人質を連れ出させ、俺はアオイを殴りつけ拘束、サンタは心転身の術で敵を拘束していた。

 

サンタが敵を拘束した次の瞬間、ホヘト達が突入したのか建物が揺れるのを感じた。つまりここまで時間にして約五秒である。

 

一階の敵は二階が攻撃されたと思い、迎撃態勢を整える為、一階に留まざるを得ない。そんな時にホヘト達を突入させることにより、挟撃を演出する事ができるのだ。

 

俺も素早くサンタに乗り移られた敵を拘束し、敵二人を連れて窓から飛び降りた。サンタも心転身を解いてすぐに付いて来た。二階からの攻撃はシスイ達が担ってくれる。

 

『人質を救出、首謀者ともう一名も確保した。残りは殺して構わん』

 

今は心伝身の術でそれだけ伝え、イビキの元へと向かう。

 

「イビキ大丈夫だったか?」

「ああん!!?なんだあれは!!おかげで今はまだ耳が聞こえん!!!」

 

耳鳴りのせいとは言え、イビキの野太い声で叫ばれるとビックリしてしまう。手当をしているタシに確認する方が良さそうだ。

 

「タシ、二人の怪我はどうだ?」

「二人とも身体に酷い傷を負っています。おそらく拷問されたのでしょうが、命に別状はありません」

「そうか、良かった」

 

見た所、頭部も無事なようだ。身体や顔の一部に切り傷が出来ているが、まださほど時間が経っていないから、タシの医療忍術で跡も残らず治るだろう。

 

「ヨフネ隊長、こちらも終わりました」

 

突入開始から五分、ホヘト達も敵を殲滅出来たようだ。初めての実践にしたら上出来すぎる結果だ。盗まれた巻物に関しても無事に回収出来ている。雨隠れにはまだ持ち込まれていなかったようで助かった。さて残るは後処理だ。

 

『第三小隊、作戦完了だ。小屋と中にある遺体の痕跡も残らないように破壊しろ』

『了解』

 

すぐに炎が小屋を包み込む。忍は死して遺体を残さず、が原則である。裏切ったとはいえ元は木の葉の忍、敵に情報が渡るのは避けなくてはいけない。

 

「カカシ、作戦終了だ。満足出来る結果だったか?」

「正直、此処までとは思ってなかったよ。すまなかったな」

「別に気にしちゃいないさ」

 

俺も今回の結果にはかなり満足している。後は里に戻ってアオイから経緯を聞き出せば終わりとなるだろう。尋問はイビキが頑張ってくれるはずだ。

 

ちなみに弟のイダテだが、現在は里で拘束されている。あくまで騙された立場であり、尚且つ救援を呼んだ点を考えると、甘い三代目の事だ、そう悪いようにはされないだろう。

 

 

 

しかし里に戻った俺達に知らされた報せは、そんな浮かれ気分を吹き飛ばした。

 

 

 

 

 

守護忍十二士にクーデターの動き有り

  


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