Kranteerl y io dyin 作:witoitaa
アルシーとラツは女子寮までの廊下を歩いていた。女子寮と男子寮は相当な距離が在るそうで3280ftaも在るらしい。さすがのアルシーも長いと思っていたころ、何かが飛んでくるのが確認できた。
「あ~もう~!何処行くの~!!!」
女子の声が聞こえる。と共に、白い物体がアルシーの頭に着地した。ふわふわもふもふしている。これはもしかして。
「あの時の……」
少女は白い物体をキャッチしてくるくると転がりながら着地しようとした。しかし、少女は姿勢を崩し。
「きゃっ!?」
「!?」
アルシーの上にのし掛かる形で少女は飛びついてしまった。そして、初めてアルシーは少女の正体を明確に認識した。
「ターフ・リーダさん?」
「っ!?」
リーダも自分の状況がやっとわかって頬を赤らめる。ラツがリーダの頬をつねった。薄笑いしながら、
「リーダ……貴様……もう外出禁止時刻だが……どういうことだ……男を探しに着たのか……」
きつい冗談だ。とりあえず、リーダにどいてもらおうと手を伸ばす。すると、リーダが暴れだした。
「あ!!!あ!!!!きゃぁ!!!!どこさわってぇ!!!!」
「お、おい、やめr、どいてk、れようっ」
リーダの暴れWPがラツに直撃した瞬間、そこにもう一人の少女の影が見えた。カメラを首に提げ、メモパッドを左手に持っている。
「お~っと~♪これはいい写真が撮れそうですぅ~♪いいですぅ~いいですぅ~♪」
リーダも真っ黒焦げのラツもなんだこいつと固まっている。そういえば写真とかメモパッドとかもしかとすると、もしかしたら。いや、もしかしなくても。
「あ~、自己紹介忘れてましたねっ☆私は医療科一年報道部所属のアレス・フェリーサですぅ~♪よっろしくー☆はい、笑って~!」
そういったフェリーサはぱちりと写真を撮って目をキラキラさせている。それを見ていた黒焦げのラツはフェリーサの頭を掴んで言った。
「フェリーサ、お前の部屋にアルシー君を泊める……いいな?」
「ふ、ふぇ?」
「いいな……?」
「あ、あい……」
なんか良く分らないがこのフェリーサとやらの部屋に止まるらしい。アルシーはフェリーサに手を引かれ女子寮まで行った。
「ね、ねえ?」
廊下を歩いているとフェリーサが話しかけてきた。
「アルシーっていうの?」
「そうだよ」
「どこから来たの?」
「は、ハタ王国から」
すると、フェリーサの足が止まった。
「やっぱりそうだったのね!」
突然手を叩いて閃いたかのような表情をした。アルシーは思わず驚く。
「じゃあ、アルシーって下の名前よね?名字は?」
「け、ケンソディスナル、アルシー=ケンソディスナルだよ」
「はーやっぱり長いわねー。私覚えられなーい」
こいつ、何なんだ。とはいってもこの人の部屋に泊めてもらうのだ。文句は言えない。
「留学してきたの?ていうかなんで女子寮に来たの?そういえばなんであのラツちゃんが来たの?」
「待て待て、質問が多い。一つずつにしてくれ」
「じゃあ、なんで女子寮に来たの?見た目男の子だけれど実は・・・」
「違うよ!男子だけれどあのラツ先生曰く俺の部屋がまだ取れてないらしいんだ。だからしばらく、他の人の部屋に行こうってなって。」
「ふーん、別に私の部屋は男子一人くらいだったらなんてことないわよ。よっぽど屈強な奴じゃない限りね。でも、なんで男子寮じゃないの?私今まであの中でホモを見たことはないなー」
歩いていると、ある部屋の前で止まった。
「俺、ここに来たばかりで知り合いがいないからさ。とりあえず教室で知り合って仲良くなったエレーナって娘に・・・」
途端にフェリーサが転ぶ。
「どうした?」
「い、いや・・・そのエレーナって娘のフルネーム分かる?」
フェリーサが起き上がりながら尋ねた。
「ん・・・ファリーア・カーナ・エレーナだったかな。」
「あーなるほど、私と同じ部屋よ。まあ、入って。」
フェリーサは部屋のドアを開けてアルシーを中へ入れた。すぐに玄関があり、靴を脱ぐ方式であった。
「みんなー!アルシー=ケンソディスナルだよー」
すごく声がでかい。すると奥から女子が二人近寄ってきた。
「わわっ、ここ女子寮だよ!?大丈夫なの?」
「えーだってラツちゃんに言われたのよーこの子をウチの部屋に入れろって」
「あ?あのラツの奴が?ってあれ、君は・・・」
「ん?」
よってきた女子のうち一人は眼鏡をかけており、見覚えがあった。
「あー!あなた、エレーナちゃんの連れ!」
「あ・・・ズュラファさん。」
そこへもう一人の女子が介入する。
「なんなの?ズュラファちゃん、この子知っているの?」
「ぼ、ボクのいるチェッカー部に仮入部してきた留学生じゃん!」
まさかこんなところで会うとは思わなかった。
あんまり女子三人がうるさくするので、アルシーはエレーナについて聞いてみた。
「で、エレーナは?」
「ああ、エレーナちゃんなら奥でもう寝てるよ。」
「早っ」
まだ9時である。これはさすがに早い。
「あの娘いつも8時にはおねむだもんねー」
とりあえずアルシーは女子三人に連れられて中に入った。