Kranteerl y io dyin   作:witoitaa

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狙い

「……ッ!」

アルシーはどうやって対処しようか悩んでいた。必死にこの場を切り抜ける策を探した。

「じゃあ、俺を狙う理由はなんだ。お前もリーダの手下だったら、目的も一緒で、俺を狙っているんだろう」

「……私は何も説明を受けていないわ。ただあなたを連れていけばあの人を、私の母親を復活させることができるとだけ言われた」

怪しい。怪しすぎる。いや、リーダがそれをするというのなら、思い当たる節がないこともない。今までリーダが驚くべきことに死体であれば操れるのだ。だが、流石に蘇らせることができるかまではわからない。いずれにしてもそれは嘘に違いない。

「そうか…それもあのリーダが吹き込んできたんだな?」

「そうよ。そんなことでもいわれないと協力なんてとてもできないわ。あなたなんて、どうしてXelken.valtoalと一緒にいるの?あなたはこれからどうしていくの?彼らにタダで協力するの?」

「違う」

アルシーは声の調子を落として強く否定した。さすがのティーアも言葉をやめて彼の話を聞こうとした。

「俺は奴らの人質にされた。あいつらが俺を捕えるのは、x.a.が俺を手中に入れることを避けるからに過ぎない」

「じゃあなんで飛行機に乗っているの?」

「ようやくあの国から逃れることができるからだ。ADKという国はあまりにも居心地が悪かった…そこから逃れて俺の予てからの夢だったデュインに行けば、また彼らに会う可能性が高くなるんだ」

ティーアは銃を向ける手を下ろさない。

「彼らって言うのは、あなたの友達?」

「そうだ、あの国に来てから俺が最初に知り合った仲間だ…」

ティーアは銃を下ろした。

「…?」

「今のあなたがとてもXelken.alesに拉致られたところで彼らに協力するとは到底思えなくなってきた……」

「上からの命令はどうするんだ?大切な人を生き返らせるんじゃなかったのか?」

アルシーはそのティーアの行為に疑問を抱く。彼にさえそんなことを言う余裕はなかったのだが。ティーアはスカルタンの袖を強く握りながら黙り込んだ。

「どんな立場であれ、敵意も背教の意志もない相手を誰かに言われて手を掛けることを、真っ向なトイター教徒は必ず躊躇う」

アルシーは閃いた。

「なるほど、それが奴らの狙いか」

 

――

 

「アルシー君、遅いですねえ」

「どうせ紙がないとかであわてているんだろう。さっきだってあまり得意げな表情はしていなかったしな」

「というと?」

「ビビッているんだよ。あいつも」

「彼は確か短期間ですが兵士にもなっていましたよね」

「関係ないさ。兵士だろうが何だろうが、危機的状況が全く怖くない人間がいるものか…それにしてもアルシーはまだ帰ってこないのか」

するとフェリーサが立ちあがった。

「じゃあ見てきますね♪」

「…どうせ冷やかしに行きたいだけだろ」

「もちろん」

長い通路を行きながら飛行機の端っこまで歩いていく。だがフェリーサはそのことをものともしない。

 

「誰か来る」

ティーアは警戒する。明らかに外からこちらに向かってくる足音をいち早く察知した。誰が来たのかはアルシーにも分からない。だが、次の一声ですぐに察知した。

「アルシー君~?まだトイレにいるの?大丈夫~?」

この話し声ですぐにアルシーは誰が来たのかわかってしまった。非常に分かりやすい。

「緊張感のない女……まずはあなたからね」

構えていた拳銃を持ち直して引き金に手を掛ける。銃口を彼に向けて強く睨みつけた。このままでは蜂の巣にされる。危機を感じてアルシーはどうにか動こうとするがシートベルトをされていることに気が付き動けない。外そうにも手が震えてちゃんと波を外すことができない。まずい、このままでは。

ティーアの覚悟は確かですぐに引き金が引かれ、乾いた銃声が部屋の中で鳴り響いた。銃弾は確かに体を貫いた。何発も銃声が鳴り響く。

「…銃声?アルシー君!大丈夫?」

唐突に銃声が聞こえて、ファリーアも急ぎ始めた。

「何も警戒せずにこの部屋に入って来るわね。入り際を狙ってやるわ」

アルシーを仕留めたことを確認してドアの前に待機する。気を付けなければならないのは相手がケートニアーであるということだ。ただの銃撃では仕留められないので、造発モーニ体に当たるように位置を調整する。相当な銃の自信があるらしい。

 

フェリーサがドアを開けた。そしてその瞬間に、さっき見かけた王国人がなんと銃を構えているのが見えた。フェリーサは一瞬危機を感じて避ける動作をとろうとする。なぜならケートニアーなら誰もが急所としている造発モーニ体にピッタリと銃を向けていたのだから。

「ッ――!」

銃弾が放たれたがその弾道は大きくずれていた。ティーアの銃はアルシーの手によって横に逸らされていたのだ。


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