Kranteerl y io dyin   作:witoitaa

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黒い影

「あ、ラツ先生。」

アルシーは最初に会った先生の姿を確認しその名前を言う。

 

「ああ、アルシー君。よりによってこの部を選ぶとは。まぁ、いい。一局対決しないか。」

ラツはそういうと椅子に座ってチェッカー台を準備していた。アルシーがそれに近づこうとした所、轟音を立てて、窓が爆裂した。それと共に誰かが血まみれになりながら転がり込んできた。

 

「痛ぇ……あの野郎……。」

転がり込んできた男子生徒がそう呟く。制服が赤色制服ということは多分戦闘開発科の生徒であろう。出血は特に腕が酷く制服の袖が濡れるほどであった。

 

「酷い……誰がこんな事を。」

そうエレーナが言うとズュラファがその男子生徒に近づいて手を翳す。すると、光が当たり出血が止まった。

「これでよし、とりあえず医療科の方へ運ぶから、ファリーアちゃん手伝って。」

「とりあえず、犯人を探し出さなきゃ。幾らあのイレーンでも此処まではやらないはずだ。」

そういって立ち上がったのは二年のフィシャであった。

 

「答えて、誰にやられたの。」

「く、黒い装束の……奴だ……一人不審にうろうろしていた所を職質していたらやられた……」

そういった男子生徒は担架に乗せられたままエレーナとズュラファに連れて行かれようとしていた。その時であった。

 

「アイツだ。」

 

男子生徒が指差した先には、真っ黒い服で身を包んだ男が割れた窓の先に立っていた。黒服男は自分達の方に手を向け黒い球をいくつか放った。窓を超えて弾が自分達に当たろうとした瞬間フィシャが手を翳す。爆破音と衝撃が地面を揺らしたが直撃はしていない。

 

「ズュラファ!早くそいつを運んで!!!」

フィシャが叫ぶ、黒服男は未だ球を投げ続けている。フィシャは私達を黒い球からWP防壁で守っていた。しかし、その防壁にもひびが入る。

 

「ッ!このままじゃ持たない……ファリーアちゃん、アルシー君を連れて逃げて!」

「でも、先輩」

「早くして!私は大丈夫、公安部だし任せて!行って!」

フィシャがまた叫ぶ。公安部、というとフェグラダにある警察組織、公安自治活動部のことだろうか。そんなことを考えているアルシーの手をファリーアは引っ張って部屋から脱出する。

 

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「さぁて、これからの相手は私よ。」

そういった先に黒服が居る。フィシャは黒服の攻撃を防壁で受けながら攻撃の策を練っていた。このままでは防壁が崩れ、攻撃が直撃する。しかし、ここから離れれば防壁は崩壊し結局の所攻撃を受けることとなる。威勢を張ったもののいい状況とはいえなかった。

 

どうする。どうする。どうする。

ここを突破されれば校内に被害が出かねない。その状況は公安部員として容認できるものではなかった。黒服はまだ攻撃をし続けている。その瞬間、防壁にひびが入る。だめだ。これ以上は持たない。やられる。

 

そう思って、諦めかけた瞬間目の前を光る閃光が通り抜けた。光の束はフィシャの防壁を破壊し通り抜け黒服を吹き飛ばし、向かい側の棟に衝突させた。

 

「先輩、遅れてすいませんでした。俺が片付けますから。」

「キーア……」

背後に立っていたのは、後輩のキーアであった。吹き飛んだ黒服を追撃しようとキーアが窓から飛び降りる。

 

「待てぇ!」

黒服が逃げてゆく。その先は、行き止まりであった。黒服は止まり、キーアに振り向く。

「もう逃げられないぞ。」

「ふふふっ」

しかし、黒服は奇妙な笑い声を残して消えてしまった。

一体、なんだったんだろうか。

 

キーアは医療科の方にかけていった。


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