Kranteerl y io dyin   作:witoitaa

65 / 73
アンポールネム 28

仮設棟が爆破された事を知ったアルシー、フェリーサ、フィッサは燃え広がる炎を前に消火に務めると共に生存者を探していた。

消火器の中身が無くなり、ホースも近くに無い状態ではどうしようもなかったため、一度フィスルクーフェーとアクリニーの居た中央棟に戻ることになった。一体事故なのか、誰かの攻撃なのか一切情報が分らなかったからであった。

中央棟の付近は火災が広がっては居なかった。爆発が起きた第二仮設棟からは遠く離れていた。火災箇所についてはここのユーゲ人職員が対応に追われているところに何があったか聞くと教えてもらえた。アルシーが中央棟のフィスルクーフェーの居た部屋に入って行こうとドアをあけると、誰か人が目の前に倒れていた。フェリーサは直ぐに駆け寄ると、体を起こして誰かを確認した。

 

「フィスルクーフェー……」

思わず、アルシーは口に漏らしてしまう。腰の辺りと肩の辺りから出血している。紛れも無くフィスルクーフェーだった。倒れながらも、顔の威厳を崩さない辺り上官という感じが強かった。

 

「中将、一体誰にやられたんですか。」

フィッサも近寄って問う。フィスルクーフェーは、痛みに苦しみ、声が掠れながらも、答えた。

「ティーアだ……奴と……フィーウはターフ・リーダの協力者だった。」

一同は驚く。そんな上手いこと、在るはず無いと思ったが、実際に怪我をしている人間がそんな嘘をつくはずが無かった。

「奴は、アクリニー……を拉致するつもりだ。直ぐに行け、Xelken.alesにアクリニーを取られると……不味い事になる。」

フェリーサは直ぐに立ち上がって、フィッサに向き直る。

「少佐、中将の手当てを頼む。アルシーと私は、リーダの協力者を探しに行く。」

「しょ、承知した。」

フィッサが気圧されながら応答する。フェリーサのこんな剣幕はどうやらアルシーだけでなく、xelkenのメンバー達も見た事が無かったようだった。

 

 

 

事を整理すると人の慈善精神を利用して、ティーア=クントイタクテイはフィスルクーフェーにxelken.valtoalの事務所か、とにかくアルシーを拉致できる場所まで連れてくる予定であったというあたりか、奴は幸運にも元の拉致目標であったアクリニーの居る場所を引き当てた。

そんなことを仮設棟を捜索するフェリーサは考えていた。フィスルクーフェーを、自分の上官、愛しい可愛らしい上官を虚仮にして、挙句の果てに対面で殺そうとした。

そんな奴をのうのうとこの世に生きさせる訳には行かない。ターフ・リーダとかxelken.alesがどうだとか、そういう話ではない。人間としてのやり方が間違っている。xelkenならば正々堂々と対面で勝負して、華々しく振舞うべきだ。

 

「奴は、WP可能化剤のアンプルを持っているから、見つけても勝手に行動しちゃダメだから。とりあえず、見つけたら報告を。」

無線を通して、アルシーに呼びかける。アルシーとフェリーサは第一仮設棟と第二仮設棟を二人で分かれて、捜索をしていた。見つけたら絶対に殺す。私の恋慕い人を嘲笑し、利用し、殺そうとしたのならば、それ相応の罰を受けてもらうしかない。

 

 

 

 

アレフィス様は最後の預言者であるレチに次のように言っている。

『爭ひ、全ての志を果たすべし。』と。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。