Kranteerl y io dyin 作:witoitaa
フィスルクーフェーはとりあえずアルシーと仲間たちをアクリニーに匿ってもらいアクリニーと話の席についていた。アクリニーとアルシーの関係について聞かねばならなかった。
「つまり、どういうことだ?」
「あの子がデュインに行った後私たちはxelken.alesに追われたの、私たちのウェールフープ学的な知識とその技術をxelkenは奪おうと考えていた。」
アクリニーは、瞑目する。
「あの子の父親はもう既に殺されていたわ。私は一応の形でx.a.とは繋がりを持っているけど、x.v.の勢力が強力なADKまで亡命してきた。そしたら、ユーゲ人が差別されていた。今はそれを助け、王国へ戻す。それだけで精一杯。」
「安心しろ。俺たちもユーゲ人をハタ王国に戻そうとしていたところなんだ。」
アクリニーは目を見開いてフィスルクーフェーを見る。驚いている様子であった。
「なぜ?」
「私個人としての仁義だからだ。xelkenの組織としては全く関係ない。」
「もし、組織に知れたら?」
フィスルクーフェーは臆せず言う。
「Xelkenから御役御免されるか、少なくとも左遷されるだろう。」
沈黙が流れた。アクリニーは苦虫を噛み潰したような顔で悩んでいた。
「まあ、あなたたちがどうしようと私たちにはスカルムレイ陛下の力がある。一応信用はするけど、裏切った時に王国がxelkenとADKに向って何を考えるのか分るわよね?」
「裏切りはしないから、そんなことは考える必要も無い。」
フィスルクーフェーが言うとティーアがお茶らしきものを机に置く。確かユーゲ人はエーシャ、ユーゴック語で言うとアチェアという茶を飲む。ヴェフィス人は大好物らしいが、リパラオネ人には「ケートニアー科の藪医者がWPo回復薬に薬草を手当たり次第入れて煎じたような味」とまで形容されるものだった。
とはいえ、一口も口にしないのもなんなので、少しだけ飲むことにした。
「……苦い。」
つい言葉にしてしまうほど、苦い、渋い。王国人はこんなものを嗜好していると考えるとなんだか凄い民族に見えてくるものだ。
「ティーアが生きていたのには驚いたわ。」
「は?」
アクリニーは近くの本棚から一つのファイルを取り出す。
「ここに書いてあるでしょ。」
ファイルを開き、一枚の薄っぺらい紙を見せられる。
そこにはティーア=クントイタクテイの名前とWantegga(死亡)の文字が書かれていた。
「これは、どういうことだ?」
アクリニーはファイルに紙を戻して言う。
「私たちは間者を放ってユーゲ人やコンガーの動きを調べていた。そのなかで、ティーア=クントイタクテイはあなたたちがこのスキ・カラムディアに入国するより前に当局に逮捕され、処刑されたという記録になってるの。まあ、間違いはあるだろうし、確実とは言えない情報といえばそれはそうなのだけど」
そこまで言うと、爆音と揺れが建物を襲った。
「何だ。」
xelken.valtoalの追っ手か、コンガーか、いずれにしてもいいお客さんではなさそうだ。
誰かがアクリニーに向って走ってきた。
「報告します!第二仮設棟が爆破し全壊、第一仮設棟にも火が回っているようです。」
「第二仮設棟……火災を早急に食い止めて。あと直ぐに移動の準備を、当局に嗅ぎ付かれる前に逃げるわよ。」
第二仮設棟といえば、ティーアが居る棟だった。それが爆発した?
信じられない事態であった。
「もしかしたら、ティーア=クントイタクテイは本当に死んでいたかもしれないわね。」
「どういうことだ?」
アクリニーはフィスルクーフェーを睨みつけた。
「どこかの誰かが最近自殺を趣味にし始めたコンガーを間違えてのこのことここまで誘導させたかもしれないということよ。」
そういい残してアクリニーは部屋を去って行った。