Kranteerl y io dyin   作:witoitaa

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美術部とチェッカー部

エレーナは校庭に出るなり、職員室へ向かった。

「美術室のカギを貸してください」

美術室に行くのだろうか。ということは美術部に入っている可能性が高い。しばらくすると先生が出てきて鍵をエレーナに渡した。

「ファリーア君、腕は上がったかい?」

鍵を渡すなり、先生はエレーナに話しかけた。

「え、まあ。最近は新しい攻め方を習いましたからね」

え、攻め方?絵をかくときの攻め方ってなんだろう。ペンを相手に投げるなんてそんな王国人みたいなことはあるまい。エレーナは俺に「行こうか」と言い、俺はそのあとをついていった。

辿り着いたのは美術室。やはり美術部なのだろうか。すると入るなり横に進み、ドアに入った。美術準備室みたいな感じだろうか。

「何を取り出すんだ」

出てくるころには、エレーナは段ボール箱を持っていた。

「何が入っているの?」

「ボードと駒」

「え?」

意味が解らない。美術部ではないのか?すると横の教室を、美術室のカギとは別にひっついていた鍵を使って隣の部屋のかぎを開けた。そこには椅子や机が適当に並んでいる部屋で、多目的室のような感じだった。

「あれ、美術室じゃないの?」

「ああ、美術室のカギをとりに行ったけれどボードと駒を美術準備室に置かせてもらっているだけでほんとはチェッカー部なの」

どうやらフェイントだったらしい。だが、他に先輩などが待っている気配がない。

「部員は、エレーナだけ?」

「キーアが入っているけれどあいつはいつも終了直前に来るのよ」

とりあえず、俺は椅子に座って準備を見ることにした。すると、背の高い男性が入ってきた。

「ん、今日はやけに人数が少ないな」

部員なのだろうか。顧問なのだろうか。

「ん、君は仮入部かな。」

「あ、はい。留学生のアルシー=ケンソディスナルです。」

「四年生のヴァレス・ファルザー。チェッカー部の副部長をしているよ。エレーナちゃん、彼は友達?」

「あ、いや、今日転校してきたばかりで、私となれ合ったのでついてきたんです。」

「ふ~ん・・・」

この、ヴァレスという人はどうも、部員らしい。しかも副部長。部長はどんな人なのだろう。

「ヴァレスさん。この部では普段なにをしているんですか?」

「まあまあ、仮入部よ。顧問がもうすぐ来るからその時に説明する」

顧問がいるらしい。どんな顧問なんだろう。それまで、俺はせっかくなのでエレーナと一戦交えることにしたが、負けてしまった。

「うわーやっぱり強いな」

「エレーナちゃんは一年生の中では一番強いんじゃないかな」

しばらくしているとさらに三人入ってきた。三人とも女性である。三人は俺を見て副部長に話しかけた。

「うわっ、副部長、仮入部の子ですか?」

「アルシー=ケンソディスナル君だよ。王国から留学してきた。」

すると三人の女性は自己紹介を始めた。

「へぇ~、私二年のフィシャ・エレン。戦闘開発科だよ」

「私はアレス・ノアファ。同じく戦闘開発科よ。」

「ボクはファリーア・ズュラファ。医療科だよ。」

なんと、戦闘開発が二人もいる。戦闘開発の生徒は運動部にはいるものだと思っていた。医療科は初めて聞いただろうか。眼鏡をかけており、見るからに頭がよさそうである。

「そういえば、ヴァレスさんは何科なんですか?」

「ん、俺は論理科。」

「アルシー君だっけか?論理科の子はキチガイが多いから近づかない方がいいよー」

フィシャ・エレンがヴァレスを見て話した。

「おいおいなんだよそれは」

「ちなみにー、アルシー君は?」

「化学科です」

「あ、エレーナちゃんと同じなんだねー」

さっきからフィシャさんが一人で話している。おそらくこの人はよく話す人なのだろう。この部のムードメーカーかと推測できた。

すると、扉が開いた。入ってきたのはここデュインに来て最初に会ったヴィオク・ラツ先生であった。


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