Kranteerl y io dyin 作:witoitaa
「長らく学校内でさんざんにらみを効かせてきたけれど、いよいよこうして戦う時が来たわね」
凍った腕は動かないが、麻痺したわけでもどこかに固定されたわけでもない。今まで通り動かせる。それで殴り返されたら堪ったものじゃない。
「久しぶりね。ホワ玉ちゃんは元気?」
「あの方なら、アルシーのことを待っているところ。早めに終わらせてもらおうか・・・ラツの仇もとらせてもらう!」
「あら、あの男は・・・死んだの?それは可愛そうね」
アルシーは「ラツ」という言葉を聞いて、驚いた。
「ら、ラツ先生が・・・負けた・・・?」
この戦争が始まってすぐ、フェリーシャが攻撃を仕掛けてきた。そこをなぜか救ってくれたのがラツ先生である。納得がいかないのは、彼も同じようにリーダたちの仲間で、自分を狙っているらしいということ。アルシーは、ラツがいったい何者なのか再び考えた。
「ヴィオク・ラツは私たちXelken.alesの幹部の一人。今回の私たちのチームの人事でもあった。アルシーの『招致係』といったところだったかしら。対して強くなかったけれど確かな外交能力の持ち主である彼を失った損害は大きいわ。どう責任とってくれるのかしら!?」
凍らされた手をフェリーシャの方にぶつけて、殴ろうとする。思いがけない攻撃に、フェリーシャ含めてXelken.valtoal全員が見切ることができなかった。フェリーシャ以外の見物客であっても。
「無駄よ」
フェリーシャはすぐに対応し、氷結を解いた。そして、振りかぶった手を片手で受け止めた。
「・・・さすがは『部長』。あの口だけの三人組とは違うわね」
「それは私も同意見よ」
フェリーシャの次なる攻撃。開いている片手を握りしめて高速で前に突き出した。思いがけない攻撃に避けられず、まともに喰らった。リーダは吹き飛ばされた。
すかさずフィスルクーフェーは動き始める。
「今だ!アルシーをADKへ送還しろ!」
「はーい♪」
フェリーサがアルシーを後ろから抱きしめる。両手を封じてもはや動けないようにした。
「行きますよ?送還っ♪」
「先に行け!我らも後から合流する!」
ファルザーが言った。
まずはフェリーサがウェールフープで移動を試みる。
「させない!」
リーダがフェリーシャとの戦いから抜けようとしてアルシーとフェリーサを抑止しようと近づくが、どうもフェリーシャから逃げるのは難しい模様。
音と光の後、フェリーサとアルシーは姿を消した。ADK――スキカラムディアに向かったのだ。
「クッソ・・・」
後を追うために、リーダも用意をする。四次元移動など久々に行うであろう。
そんなとき、ファルザーがフェリーシャに言った。
「部長、俺たちもリーダを食い止めたほうがいいか?」
「いいわよファルザー、アルシー君を追いなさい。彼が今回の戦争の最終目標なのよ。私たちのね」
「させない。なんとしても通してもらう」
リーダは手を握り、その場から姿を消した。
「・・・!?まさか四次元移動?」
フェリーシャは焦った。そんなに瞬間的に四次元移動ができるはずがない。きっとどこかに隠れたのだろう。辺りを見渡していると、後ろから同志が倒れる音が聞こえた。
「え・・・」
「先を急いでいるの。部長さん。アルシー=ケンソディスナルをx.aに加入させるためにね」
リーダが指を鳴らす。気がついたらファルザーとフェリーシャ以外の同志が皆倒されていた。それらの遺体が、リーダの号で一気に動き始めた。
「なっ・・・」
「私の能力を知らなかったのかしら?生物操作よ」
ファルザーは操られていないとはいえ、状態が危ないことは知れていた。
「こいつ意外と強い・・・ファルザー!早く逃げて!ここは私が食い止める!」
「大丈夫なのか・・・?姐さん!」
「大丈夫よ・・・早く行きなさい」
ファルザーは言葉を返さずにテレポートをした。
フェリーシャの周りの空気が一瞬にして凍りついた。ついさっきまで味方していたx.vの人間達がリーダの手で一斉に動き始め、フェリーシャをその目に捉える。
「さあ、始めましょうか。チェッカー部の最後のお祭りをね」