Kranteerl y io dyin 作:witoitaa
「全小隊準備完了、降下開始。」
フィッサは無線を通じて呼びかけた。
パラシュートもつけずにフィッサとフェリーサはヘリから降下した。所謂、ヘリボーンである。この小隊はデイシェスに居るxelken同志のうちケートニアーを集めたものだ。パラシュートなんぞいらない。
フィッサは直ぐに着地して衛兵を射殺して行く。
『……護衛機は200秒後に爆撃を行います。それまで戦線を維持してください。200……199……198……』
無線からカウントダウンする声が聞こえた。元々ここまで送ってきたx.v.の航空部隊は武装ヘリばかり。余ったハードポイントにロケット弾やらを詰め込んだらしく、それをぶちかまして防衛するx.a.の前線兵士ごと装備を吹き飛ばした後に施設内に乗り込む。それまでに爆撃位置より前に出てくる奴等は抹殺する必要がある。
フィッサは走ってフェリーサと共に銃撃でxelken.ales兵を牽制する。
「進むな!現在位置を維持して殺しまくれ!」
フィッサが無線のスイッチを入れて叫ぶ。
「スカースナ・ハルトシェアフィス姉貴ぃ~、奴等ロケット砲とかもってたら護衛機がおじゃんでっせ。」
フェリーサがセミオートで射撃しながら言う。確かに、x.a.が対空砲を持っていないとは限らない。そのうえ、これは連邦とのラファンカ戦後だ。FLT-300IK-H 対空歩兵用ロケット発射やFLT-300-H 対戦車歩兵用ロケット発射装置、1.55 ARC 自走ロケット砲やなんといっても1.56 ARC 自走小型WPミサイルのような面倒な連邦軍兵器を奪取していたとしてもおかしくは無い。
「フェリーサ、FLTやARCが確認できるか。」
「少佐ちゃん、こちらからは確認できないのよ。無線で呼びかけてみれば?」
ちっ、と舌打ちをして無線のスイッチを入れる。
「こちら、スカースナ・ハルトシェアフィス少佐、残り100秒だが敵が連邦兵対空兵器を持っている可能性がある。確認でき次第破壊しろ。」
了解、了解と各小隊の声が聞こえてくる。再び確認して銃撃しようとすると頭の上を多数の白い煙の帯が伸びる。近くの兵士が古理語で"アヒューデゥス イフスス ツェルクド アルーエウスイ!"と、つまり「攻撃機が敵兵器を攻撃する!」と歓喜に満ちた声が聞こえる。しかし、攻撃にしては早すぎる。
一体。
瞬間上空の機体が爆発する。何が起きたのか。瞬間着弾が観測されたが、後ろからはヘリが次々と墜落し、水没する音しか聞こえなかった。
「観測は何やってるの?暇人ねぇ。」
フェリーサがぼやく。
「いや、FLTやARCの発射音すら聞こえなかった……ま、まさかっ!」
「そのまさかのようですよ。少佐。」
フェリーサが指す先は先程の着弾地点だった。砂煙の中に人影が見える。
「何だあいつは、ターフ・リーダじゃないか?」
「もといアレス・エストヴァツァ・メスレネザアファですなあ。」
フェリーサが言う。
「あの偽装胸め、ぶっ殺してやる。」
フェッサが先に、フェリーサがその後について突撃した。