Kranteerl y io dyin 作:witoitaa
ユスツァープローサの騎行
「俺は!」
前に立っている身長180センチは優に超すような大男が軍服を身にまとい部隊を統括するかのように声を張り上げた。
「俺は本志願兵部隊の長官であるヴェフィサイト・ヴェルガナーフィス・イレーだ!本部隊に志願した以上、僻地出身のお前等にはしっかりとしごきを受けてもらう。」
その冷たい目がアルシーに向けられる。
「まあ、一名ほどどこの国の馬の骨か良く分からない野郎が居るようだが、構わん。聞いておけ、お前等は国の武器に過ぎない。お前等が生き残りたいと思うのなら、これはただ単に武器になる仕事と思うことだ。以上だ、ポンコツどもが!これから基礎体力訓練と共にこの基地の周りを見て回る。精々早く熟して戦線に出ることだな、さもなくばお前等に待っているのは特別警察の再教育機の回線スパゲッティだぞ!さあ、動け!行動開始!」
直ぐに皆が動き出した。アルシーとキーアも自室に戻って準備を済ませる。
「なあ、本当にこれでよかったと思うか。」
「さあな、じきに分かると思うよ。」
そんな一言、二言を終えて二人は集合場所へ向った。
――あれから数日後
様々な訓練を受けた。もう、以前の僕たちとは全然違う。そうはっきりと思い浮かぶほど酷いしごきであった。アルシーもキーアも同じ道――つまり、ユエスレオネ陸軍――に志願することになった。
戦況は刻々と変化し続けていた。シェルタズャートゥンデでの大規模空戦、そして王国とスキ・カラムディア社会主義共和国の参戦、反連邦派の占領区域はどんどんと広がるばかりであったがサラリス――デュインの北洋、おより北西地域――に置ける戦線突破により、ラファンカの防衛が最重要な課題となった。
ラファンカには連邦側が保持するNZWPやDIRAMALINERウェールフープ反応系ミサイルを大量に保管している。これらが反連邦派に渡れば、これまで見てきたよりも多くの人々が死に苦しむことになる。このために連邦は、この誰も見向きもしないであったはずの孤島を他の勢力から防衛、また必要があれば奴等から奪還する必要がある。
「行くぞ。」
そうキーアが言う。自分も武器を持ち直して、揚陸船に乗り込む。
「この作戦成功すると思うか?」
隣に居た名も知らない兵士が言う。
「成功するかしないかじゃない、させるんだ。俺たちが。」
「ふむ。」
キーアは下を向いたまま答えていた。まるで何かに怯えているかのようであった。小型ボートを携えた我等が揚陸艦は定時通りデイシェス港を出発した。