Kranteerl y io dyin   作:witoitaa

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第46話

「アルシー君?ずいぶんと険しい顔しているみたいだけれど、キーア君と何をしたの?」

クッキーの袋をもって、エレーナはアルシーの顔をじっと見つめていた。

アルシーは考える。ポスターに、今すぐ集まれ的なことが書いてあったかどうか。どうにもそんな記述はなかったみたいだ。明日でも志願兵は受け付けている。今はこの三人で、いつものメンバーでクッキーを嗜もう。

「あとで事情を話すから、クッキー食べよう?」

「あ、うん、そこに座って」

「エレーナ、俺も食べる」

 

部屋の真ん中にエレーナが座る。手元でクッキーの袋を広げ始めたので、他三人もそれを取り囲むようにしてしゃがんだ。

「12枚焼いたから、一人4枚ずつね」

「へぇ~計算早いね」

「キーア、大丈夫か?」

「何、冗談さ」

エレーナは料理ができそうなイメージがあるが、本当に料理はできるようだ。

そんなキーアとアルシーの和みたい気分を無視して、エレーナはアルシーの持つ紙を指摘してきた。

「その紙は?」

キーアはどうしてもこの空気を壊したくないので先にカバーをしようとした。

「ああ、この紙はさっき俺らが絵しりとりを・・・」

「連邦と王国が兵士を募集しているんだ。俺もそこに参加する。兵士になって、連邦と王国の安全を守って、人を助けるんだ」

アルシーの目は本気だった。

キーアはアルシーの目を見つめる。友人として、こいつを止めるべきなのか止めてはいけないのか、その判断がつかない。自分にとって、数少ない友人。失うよりかは、無理にも抑えたほうがいいかもしれない。

「アルシー、やっぱり俺はお前が兵士になるのを認めたくはない」

「どうしてだ?」

「・・・死ぬかもしれないんだぞ。ハタ王国とは違って、俺らは集団で戦うんだ」

「俺が死ぬかどうかは、もう問題じゃないんだ」

キーアは、その言葉を聞いて、吹っ切れた。

目を見開いて、アルシーの愚行を悔やんだ。こいつは、こんなやつではない、と思い込んだ。どうしてこうなったんだ。

何があっても生き抜こうとする、そのために危ない道は歩かない。これは思い込みだろうか。

「キーア君、彼にはもう未練がないのよ」

エレーナが口をはさんだ。

「いや、今本心を明かしてくれていればの話だけれど・・・もしそうでないなら、これは私とキーア君の願望だけれど・・・」

よほど重要なことを口にしようとしているのだろうか。エレーナは唇が震えていた。

「アルシー君に・・・離れてほしくない、アルシー君を放したくないの。キーア君もそう思ってきっと・・・」

アルシーははっとしてキーアを見た。

「じゃあ、俺は必ず戻ってくると信じていてくれ。必ず生きて帰ってきてみせると」

一斉に、そんなことできるわけがないという表情を二人ともした。ほとんど命を国に預けるのだ。自分が預かっている普段の生活とは違う。

何かを腹に決めたキーアは、少し大きな声でアルシーに言った。

「それなら、俺も志願兵になるぞ。お前と運命を共にする。お前のことを忘れてこれから今まで通りに生き延びることなんて、できないからな」

「私は、特別警察として、誰かの役に立ちたい。みんな条件はそろったよ?アルシー君、キーア君、志願兵の集合に行かないの?」

「ははっ、君ら二人が足止めしてたんだろう。今から行くさ」

食べかけのクッキーを置いて、外に出た。紙に書かれている集合場所を見ながら、走った。


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