Kranteerl y io dyin   作:witoitaa

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第40話

「特別警察だ!殺せ」

突然誰かが奇声を上げた。さっきXelkenと名乗った集団の一人の声だろう。Xelkenか。その名前をきいたときは正直どうなってしまうんだろうと不安が募るばかりであったが、特別警察の凄い人が来てくれたのでその不安は和らいだ。

「やはりケートニアーか・・・」

クラディアはどこからかかっさらってきた救命ボートを取り出して海に放り投げた。この船についているものなのだろうか?

「避難民の皆さんはボートに逃げてください。私が彼らを食い止めます」

避難民はその言葉を信じてボートに乗り込んだ。アルシーもエレーナもそこに乗り込んだ。逃げようとする避難民を逃がすまいと、Xelkenの兵たちが襲い掛かるが、誰かがそれを食い止めた。シェルケン・スカーナは手持ちの小型WP拳銃を乱射した。

「一気に片付けさせていただきます」

その瞬間、敵の船の辺りの海が凍りついた。物理的に。

「ッ!?」

一面の海が凍りついたことにより体積が増した。それによって相手の船はひびが入り、見る見るうちに沈んでいった。氷結の能力か。フェリシーヤと同じ。

「さすがレシェールさん・・・」

驚嘆の声を上げたのはエレーナである。もしかしたら上司か何かなのかもしれない。キーアにも聞いてみようとしたが、なぜかそこにはキーアの姿がなかった。

「あれ、あいつどこ行った?」

そんな独り言をエレーナは丁寧に拾い上げた。

「あれ、キーア君?」

「いつからいなくなったんだ?まさか、振り落とされた?」

友人に対する不安が募る。周りはクラディアが追撃を加えるべく、船に対する一方的破壊をまじまじと見ていた。特別警察もあんな顔して意外とえげつないことをしでかすものだ。全滅させる気ではなかろうか。

「特別警察・・・私たちの邪魔をしないでちょうだい・・・」

三つくらいに割れてしまった相手の船から、一隻の船が現れた。

「リーダ副隊長!太陽様!」

沈没船やその残骸からよくわからない歓声が聞こえた。すべてXelken.alesの方から聞こえてくる声だ。一隻の船は初めは水しぶきなどで誰が載っているのかわからなかったが、それが徐々に近づいてくると、その姿は見て取れた。

それに気が付いた特別警察のクラディアは、その名前を出した。その名前はアルシー達も知っていたし、姿が見えた時から察知していた。

「ターフ・リーダ・・・カーナ・ドヴィエダフィス・・・まさかこのXelken部隊にそこまでの有能兵士たちが乗り込んでいたとは」

「ターフ・リーダ・・・あのホワ玉・・・」

それは、たしかにフェグラダでも一度会った。初めて会った同級生の姿である。その姿を見たエレーナはアルシーの数倍驚いた。

「あ、アルシー!危ない!」

アルシーへの注意を喚起したと思ったら、何者かに海に引きづりこまれてしまった。アルシーはあわてた。どうすればこの現状を打開できるか。だが、一つアルシーには欠けている「自覚」があった。

「ほとんど丸腰ね。覚悟しなさい」

リーダが迫る。あまりにも速すぎて、丸ですでに捕えられたような感覚だった。

しかし、その魔の手は止められた。

「そうはさせません」

「邪魔をしないでって・・・」

リーダの表情が一変した。

「俺は言ったぞ!!!」

今のは確かにリーダの声だった。


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