Kranteerl y io dyin   作:witoitaa

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特別警察

 

アルシーたちは連邦兵に従って、客室に戻ることにした。そんな中、艦船は大きく揺れ、右往左往を繰り返していた。どうやら、回避行動のようである。しかし、敵も只では帰してくれないようで、十分ほどそんなことを繰り返していると、頭に響く不快な高音と振動が部屋を襲った。

 

「なんだ?船がお古なのか?」

キーアは天井を見上げながら嘲るように言う。確かに埃が落ちてくるような気がした。と、思った瞬間爆音と共に船が大きく揺れる。

「うっ!?」

大きな揺れに足を取られて、転倒して頭を打つ。一体何が起きたんだ。

 

『……避難民に通告します。本船はxelken.alesによる追撃を受けて、船底に被弾し、既に傾斜しているため、放棄します。このため避難民はデッキに移動して救難ボートへの乗船を行ってください。冷静に行動してください。』

上部に備えられたスピーカーからノイズまじりの音声が聞こえる。デッキに移動しなければ。

「こりゃまずいことになったな」

放送に耳を傾けないでいたキーアが窓の外から何かを確認していた。

「キーア!早くデッキに移動するぞ、うわっ!?」

爆発音と衝撃、至近に着弾したか。ともかく、デッキに向わなくては。

 

 

「はぁ。」

デッキには数人の避難民が集まっていた。見たところ幸いこの船に乗っているのは数十名レベル、某時のネステル・イルキスの門の前の様に超満員で息も出来ない状態ではないようで、整列作業もすぐに進んだ。連邦兵が大きく手を振って、少しずつ乗ってゆく。アルシーたちは、またも幸いながらユミリアと再会して、ボートに乗り込んで行った。

「このボート、どこに行くのだろう。」

「xelkenがまだ近くにいるから、まずはすぐにここを離れて行くんだと思う。」

キーアは珍しく冷静だ。その冷静さに相反してxelkenの攻撃はさっぱり鳴り止まなかった。

 

---

 

「艦長、避難民の避難を完了しました。艦長も避難を。」

そう連邦兵が言う。しかし、艦長はその顔を少しも変えずに言った。

「私はこの艦に残る。」

「艦長!駄目です!」

艦長は連邦兵を優しい目で見つめた。

「私は避難民の避難に失敗した。帰っても、一生非難されつづける。ならば、私は愛艦と共に海に沈むさ。これは命令だ。私を置いて脱出しろ。」

艦内の兵士がじわじわと集まってくる。

「しょうがないですね。艦長。」

「ああ、もう行っていいぞ。私のことは気にするn」

「ですが、その命令には従えません。」

連邦兵が冷静に言う。艦長が目を見開く。

「艦長が残ると言うのなら我々も残ります。なぁ、そうだろう皆!」

おぉと大声の応答が聞こえた。艦長は小声で笑う。

「どいつもこいつも馬鹿者ぞろいか。」

「艦長に似て、ですね。」

集まった兵士の一人が言う。

「総員に告ぐ、本艦はxelken.valtoal艦隊を突っ切る。なんとしても避難民に被弾させるな。」

空気を揺らす程の号令が艦の先まで通った。

 

---

 

「キーア、しっかりと掴まれ!」

「う、わわっ、お落ちる!落ちる!」

「五月蝿いぞ!ちゃんと掴まってろ!」

避難ボートは乗っていた護衛艦の護衛によってxelkenの追撃を受けずに漂流していた。護衛艦がその後どうなったのかは分からない。xelken.valtoal艦隊にそのまま突っ込んでいったようなことも聞いたが良く分からない。で、現状その避難ボートが嵐に突っ込んでいることは誰も予想できなかったであろう。かれこれ30分は、流されているであろう。そんななか近くに光が見えたのは救いだった。

 

光が近づいて、私たちを確認すると、その光はさらに近づいてきた。漁船であった。漁船の乗組員ははボートから人々を救出するとさらに速度を上げて進んでいった。

「あなたたちは一体誰なんですか?」

アルシーは漁船に元々乗り込んでいた人間に尋ねた。

「ん、そうだねxelken、って行ったら分かるかい?」

乗組員は言った。瞬間幾つか居る乗組員皆がWPライフルを避難民に向ける。

「これから君たちは、xelken.alesの捕虜として古理語の復興のために特別言語を学んでもらう。ハハハ!愉快だ愉快ハッハッハッハ、ぶっ」

乾いた破裂音と共に喋っていた乗員の頭が破裂する。

「だ、誰だ!?」

他の乗員も警戒態勢となりWPライフルを構える。それはいきなり、そして突然空から降ってきた。銀髪の女性であった。

 

「レシェール・クラディア、現時刻より海賊の取締任務を開始します。後続してください。」

 


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