Kranteerl y io dyin 作:witoitaa
アルシは前に出て自己紹介をした。
「アルシ=ケンソディスナルです。ハタ王国から来ました。今日から宜しくお願いします。」
教室がざわざわする。いきなりのリパライン語を流暢に話せる外国人留学生の登場に驚きを隠せない様子であった。
「じゃあ、アルシ君はそこの席に座ってくれるかい?」
「はい。」
スカースナが指示した席の横には背のすこし低い少女が座っていた。アルシはその少女に「よろしく」と言う。
「!!……よ、よろしく。」
「名前は?」
「え、あ、ファリーア・カーナ・エレーナです。」
「俺はアルシ=ケンソディスナルだ。よろしくな。」
「え、あ。」
少々恥ずかしがりやなのかエレーナは顔を背けてしまった。今日の授業はウェールフープ化学の入門であるモーニの状態についてらしい。モーニの陰陽の関係は知っていたがその状態による影響やWP波が与えるモーニへの影響などを加えて学んだ。
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「……という訳で、以上だ。」
そういって、スカースナが教室を出てゆく。昼飯の時間だ。アルシが教室から出る。放送スピーカーから軽快な音楽と共に誰かの声が流れる。
「はい!昼食りふぁーんらじお!今日も張り切って私、リファン・リファーリン・リファーンがみんなのお便りを読んでいくよー!」
良く分らないが、リファン・リファーリンという人がこの放送をしているらしい。しかし、放送に皆怯えている気がする。中には目を光らせてスピーカーを眺めている人間も居た。その理由はすぐに分った。
「はーい、化学クラスのくらでぃえちゅきちゅきさんからの投稿です。僕はWP化学のA先生が嫌いです。いつも、野郎はWP爆弾を投げてきます。どうすればいいでしょうか。っと……゛あ?」
「!?」
リファンの語調が少し変わった。
「てめぇ、WP化学なめてんの?お前、そんな野郎嫌いだったらWP爆弾投げ返すか殺せやごら。あ?PMのくらでぃえちゅきちゅきってなんだよ。もう、Kranteerl y io kladi'eの時代は終わってるんだよ。これからはKranteerl y io dyin。これ重要ね。ともかく、気が弱いからそんなことやってると死ぬよ。」
Kranteerl y io kladi'eというとユエスレオネで人気のKranteerlシリーズの一作品か。アルシもそれは読んだことがあった。くらでぃえというとKranteerl y io kladi'aの主人公であるラシェール・クラディエか。Kranteerlシリーズの新作は聞いてなかったな。
そんなことを思いながら、スピーカーの前に目をやるとリファンが「すこし大きい声出しちゃいましたね。とにかく、がんばってくださいねぇ~!」と言っているスピーカーに「ありがとございまぁああああす!!!」などと土下座しながら喜んでいる奴が居る。どんな変態だ。
そんな変態と放送を無視しながら騒音と非日常の光景から意識を逸らせる場所を探そうとしていたところ、屋上への扉が開いていることに気付いた。ここなら、人も居なさそうで、静かそうだ。
そう思って、ドアを開ける。するとそこにはエレーナが居た。
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