Kranteerl y io dyin   作:witoitaa

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クランタル区庁占領事件

「やっと着いた……。」

クランタル区庁にアルシー、エレーナ、キーアの三人は居た。豪雨の中を走りぬけ、やっと着いた区庁は混乱を極めていた。資料は舞い、職員が役所の中を走り回っていた。アルシー達はそれを眺めながらとりあえず、近くにあったベンチに座った。

 

「どうする?」

「とりあえず、区民保安課に行こう。」

そういって、アルシーは立ち上がった。三人ともびしょびしょに濡れた様子であった。走りながら何かを処理している職員をよけながら区民保安課のブースへ向かう。

 

ブースの椅子には誰も居なかった。奥のほうで電話対応と地図を広げる職員が居た。

「あの!あのぉ!」

キーアが叫ぶ、すると一人の職員が出てきた。

「君は、フェグラダ生か。どうしたんだ。今は忙しいんだ。」

「フェグラダが武装組織に占領されたんです。」

「あ、ああ。聞いてるよ。クランタル区は、今xelken.alesによるゲリラ攻撃を各所で受けている。」

キーアの職員を見る目は驚異そのものの感情を表していた。

「忙しいので良いかな。とりあえず、二階で」

そう言いかけた瞬間、複数の銃声が聞こえた。銃弾は区庁の水晶のような自動ドアに亀裂を走らせ、破壊した。地面を叩く雨音と冷気が空間に流れ込んだ。息を止めたかのように皆が、動きを止め、雷光に照らされるその正体を目の当たりにした。

 

「どうも、クランタル区庁の皆さん。現在からここはXelken.alesの占拠地になります。」

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「よし、これでとりあえずは大丈夫だ。」

そう黒マントの男は言った。

アルシーらと区庁の職員は一階の一箇所にまとめられていた。銃を向けられた一部の職員は区庁の設備を二階に持ち上げていた。多分、二階に通信などの施設を建ててるのだろう。

 

これから、一体どうなるのだろうか

そういう不安が募っていた。一人職員が銃をつきつけられながら、荷物をまた上に持ち上げていった。そのとき一人職員が外を見ていた。

 

緑色に塗装され頑丈そうな車が、区庁に接近し泥を撥ねながらドリフトして停止した。xelken.ales兵は気づいていないようであったが、その車からは人が降りてきていた。

 

「!?」

瞬間かすっとした音が聞こえ、一気にxelken.ales兵が倒れる。後にどたどたと兵士が入ってくる。そして彼らは胸に三本の蒼帯と星からなる国籍マークをつけていた。そうだ。彼らは。

「連邦デュイン軍です、早くここから脱出してください。」

そうデュイン軍兵士はまとめられていた市民を区庁外に出し、装甲車に乗せてゆく。アルシー達も乗り込むために連邦兵にエスコートされる。兵士が皆撃ち殺された一階は静寂を極めていたが、外は暗く大きな雨音が地面を今だ打ち付けていた。装甲車に乗り込もうとするその瞬間二階の窓から何かが黒光りするのを感じた。

「危な、ぐあッ!」

一瞬の出来事であった。二階から黒光りしていたのは銃口であった。Xelken.ales兵は確かに上部に基地を立てていたが連邦兵を銃撃に階段を下らず上から銃撃の瞬間を待っていたのだ。そして、アルシーはというと気になって振り向いた矢先に連邦兵に覆いかぶさられ、連邦兵が変わりに被弾していた。

 

「隊長ぉ!?」

「大丈夫だ、早く車両に乗せろ!」

Xelken.ales兵は何故かそれ以降撃っては来なかったが、連邦兵たちは人質であったアルシーたちと市民を幾つかの車両に収容して、車両を出発させた。

 

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道中、アルシーたちは暗い車両の中で、雨によってぐちゃぐちゃになった悪道に揺れていた。隣には二人、薄光の中確認できた連邦軍章を持ちWPライフルを抱える男に今まで何が起こったのかを確認しようと思った。

「一体何が起こっているんですか?」

「え、ああ。そうだなぁ。なんて説明すれば良いのか分からないが、クランタル自治区が全体的にxelken.alesに占領されたんだ。だから、俺らはクランタルの庁舎に残る人質を保護し、この島のギリギリを通ってクランタル海軍が死守しているクランタル軍港から海軍兵ごとデイシェス側に逃げる。そういう予定だ。」

ごとごとと音を立てながら進んでいく車両であったが、中は意外と快適であった。温度も一定に保たれているようで、兵士がレーションを分けてくれた。紐をひっぱると暖められるタイプの弁当で良くあるタイプだった。暖かいショーラだし味噌汁に乾豆腐をつけて食べる。このレーションはどうやらラネーメ風を志向しているようであった。

 

長時間拘束された人たちにこのレーションは、救いのようであった。数人の兵士と共にいずれこの紛争も連邦の勝利に終わるであろう。デュイン戦争のようにxelkenに有無を言わせず降伏させるであろう。そんなことを思いながら、車の中の時間は平和に流れた。助かったんだ、自由になれたんだ。良かったと。

 

 

あの海戦が始まるまでは。


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