Kranteerl y io dyin 作:witoitaa
まるで計算されたかのような、宣戦布告の仕方である。何せ、今年からもう新年なのだ。しかし、古理派の戦士であるフェリーシャはそんな悠長なことを言ってられず、それよりADLPの誕生の方が重要な日である。
ユミーレはかつての顧問の先生――ラツ先生――と、殺し合いを繰り広げていた。
「学校ごっこは楽しかったかい?シェルケン・ヴァルトル・フェリーシャ」
「・・・今のあんたと雑談する気は起きないわ。あんたたちはドヴィエダフィスと"ターリー"とともに死んでもらうわ」
「ドヴィエダフィス・・・様だ。あの方の分も返さないとな」
ラツは手を合わせ、一瞬のうちに電撃を繰り広げた。たちまち辺りの照明はショートする。光速の電撃を避けるため、ユミーレは目にもとまらぬ速さで避けきった。しかし、いつまでもここで戦っているわけにはいかない。
「あんたと遊んでいる暇はないの。すぐにアルケンを追ってx.vに引き込む。ついでにキーアもよ。x.aには一切関与させないわ」
「それはどうだろうね。我々x.aはもうすでにいくつもの支部を張り巡らせt」
ラツが言い終わる前に、フェリーシャは光速で氷塊を生成し頭蓋骨を数発殴った。
「先を行かせてもらうわ」
フェリーシャは飛び立ち、天井を突き抜けて屋上へ移動した。そこには弟のファルザーもいた。
「ファルザー・・・いや、シェルケン・ヴァルトル・フィスルクーフェー。アルケンを追うわよ。」
「さっき下で何をしていたの?」
「ラツ先生・・・いや、ラツが襲いかかってきたから」
「・・・殺したのか?」
「しらない。きっと生きているわよ。さあ、おうわよ」
若干ファルザーは後ろ髪引かれた思いだった。
――
「なんでこんなことに・・・」
「俺が聞きたいよそれは」
アルシー、キーア、エレーナは途方に暮れていた。どこかに避難所、あるいは軍事務所、とにかく匿ってくれるようなところはないだろうか。とにかく大人の人が必要だ。ここから一番近い大人を探すしかなさそうだ。
「タリエ・・・のところに行ってみる?」
「工具屋?」
ジェットコースターの建材でお世話になった、工務店である。タリエのところに行けば何とかなるかもしれない。ここから一番近い大人のいる建物である。
「・・・駄目よ。タリエは、ラツ先生の仲間。アルシー君が向こうにいって何をされるか・・・」
「ん、そうなのか・・・。じゃあどこに行くんだ?」
「たしかこの近くにクランタル区庁があったはず。」
エレーナはすごいと思った。自分たちはデュインに来たばかり。これでも留学者なのでデュインは初めてなのだ。なのに、キーアがこのあたりの地理をよく理解できていないのはなぜだろうか。思えばここにきて学園の外に出たことはなかった。タリエのところに行ったくらいか。
フェグラダからクランタル区庁へは30分ほど歩けばつくらしいが、そんな郵貯に歩いている暇はないということで、エレーナの指示で全員走らされた。その分早く到着するはずである。
「はあ、はあ、はあ」
「エレーナ。ウェールフープで飛んでいけばいいんじゃないか?」
「キーア君、これを見て」
そういいながらエレーナは四角い機械を取り出した、まるでリモコンのような形状をしている。が、見てみると数字のメーターがあった。
「ウェールフープ波の検出装置よ。すでにそこらじゅうにウェールフープトラップが仕掛けられていて、飛んだりでもすれば気付かれる。何かウェールフーポの交換を伴うことがしたら反応する仕組みのようね。」
「お、おう。エレーナ凄いな」
アルシーはそれしか言うことがなかった。
「私は・・・アルシー君を守りたいから。」
――
元チェッカー部の部長副部長のフェリーシャとフィスルクーフェーはクランタルの町を走っていた。
「ともかく基地へ報告しないと。おそらくウェールフープを使ったら検知される。さっき反応があったから間違いないわ。」
「電通の方が効率的というわけか。今から基地に連絡する。とにかくアルシーを追うんだ。」
「アルケンよ、アルケン」
「どっちでもいいよ。通信機持っているでしょ?俺がかける」
クランタルは強烈な豪雨であった。おそらく防水機能を持つ通信機を持ちながら、ファルザーは通信を飛ばした。
「もしもし、Xelken.valtoalデュイン支部か。こちらフェグラダ部隊。報告する。アルシー=ケンソディスナルを逃した。只今追跡中。何か指示をどうぞ」
「フェグラダ部隊か。こちらXelken.valtoalデュイン支部。アルシー=ケンソディスナルの捕獲はお前たちに任せた。だが気を付けろ。クランタル区x.aの通信を盗聴した限りだと、アルシーら三人はクランタル区庁に向かおうとしているとのことだ。クランタルにつく前に捕えないと。奴らが蔓延っている。気を付けろ」
「はあ、はあ、なぜです?」
「クランタル区庁を奴らが占拠したとの情報が入った。」
三人は地獄へ突っ込もうとしていることにまだ気づいていない。