Kranteerl y io dyin   作:witoitaa

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文化祭の最後のピース

「これは……」

文化祭は一週間前に迫っていた。

アルシーも全快し、キーアと共にジェットコースターの作成に携わっていた。

「これは……結構進んできたんじゃないか?」

自分たちのクラスはジェットコースターの担当であったが、以外に計画の進行は早かった。ジェットコースター自体は完成間近であった。ただ一つだけ問題があった。

 

「アルシー、そういえば演技の面はどうなっている?」

「演技?」

そういえば、ジェットコースターの本体が完成しても、それだけでこの計画が終わるわけではなかった。アルシーは事前に、クラスからメシェーラで出来る演技について、考案するように役目付けられていた。

 

「まだ全然考えてなかったのか。まぁ、しょうがないよな。俺のせいで……。」

「いや、それはいいんだって。キーアのことが、一つ知れた。それだけで十分だ。」

「アルシー……。」

 

「感動シーンのところ済まないけど、企画。ちゃんとやってくださいね。」

そう横から言ってきたのは、学級委員のレヴィアであった。

「ああ、完成させるよ。アルシーがな。」

胸を張って他人の完成を約束するな。やるのは俺なんだからな。

 

呆れながらも、レヴィアはジェットコースターの制作組へと戻っていった。

「それでアルシー、どうする気なんだ。」

「どうしようかなぁ、実はさっぱり考えてないんだ。」

メシェーラの演技の件は、案が出て、スカーナ先生と話して、結局今まで明確な案は出せずに居た。

 

「とりあえず、色々な人に聞いてみないか。ちなみにエレーナは俺のものだ。」

「そうだな。色々な人に聞いていこう。ちなみにエレーナは本当は俺のものだ。」

「!?」

「嘘だ。真に受けるなよ。」

「!?!?!?」

 

----

「という、訳なんですよ。」

「はぁ、よくもまぁ、良く分かりもしないもので演技をしようと思ったな。」

「は、はぁ……。」

アルシーとキーアは、ラツに相談していた。ちょうど、廊下を歩いていたので適当に声を掛けてみたが、いつもと同じような感じだ。

「一つだけ言わせて貰うが、文化祭で達成感が欲しいならばクラス全員の方向を一つにするべきだ。誰か一人でも方向から逸れる者が居れば、達成感は得られない。まぁ、お前達が無難な文化祭を選ぶか、達成感を選ぶか、それともこれまでに無い何かを作り上げるか。それは私が決めることではない。考えたまえ、文化祭と言う根本的なものをな。」

そういって、ラツは廊下を歩いて二人の前を去っていった。

 

「やけに語っていたな。」

キーアが言う。

「ラツ先生、文化祭で何かあったのか?」

「さぁな、俺は良く知らない。次行くか。」

「お、おう。」

さっきのことは深く考えずに、次に向かうことにした。

 

----

 

とりあえず、キーアと来たのは保健室であった。

あのイヴァネが何か良い案を出すかもとのことだったが、アルシーとキーア自身知り合いが少ないのだから、それくらいにしか聞き様が無かったと言うことも表していた。

 

「文化祭の演技?」

「はい、メシェーラを使った何か、ということなんですけれど。」

イヴァネは頭を傾けた。

「まず、メシェーラって演技できるものでしたっけ、筆記用具では?」

おお、良く知っている。メシェーラとはハタ王国で使われる筆記用具である。

「いえ、今回は光るメシェーラというものを使おうかと思っていて。」

「光るメシェーラ?」

キーアが手をくるくると回しながら話し始める。

「メシェーラにWP構造を持たせたもので、メシェーラを振ることでさまざまな効果を持たせることが出来るものです。発光、音の再生などに使えると思って。」

「新体操のリボンみたいなことをやるの?」

「えぇっと……」

ジェットコースターの横で新体操のリボン?いやいや、必死で演技しているところを一瞬で通過されては元も子も無い。

「やることがちゃんと印象に残るか考えたほうが良いわ。それでこそ評判が良くなるものよ。」

イヴァネは言った。ごもっともの言葉だった。

「はい、ありがとうございました。」

そういって二人は事実に気づいた。

 

「メシェーラで演技できなくない?」

「あ、ああ、俺もそれを考えていたところだ。」

キーアが言う。

「じゃあ、どうするんだよ。」

「メシェーラで演技をするんじゃない、メシェーラに演技をさせるんだ。」

「は?」

 

「WP回路の専門家が必要だな。」

「お、おう。」

キーアの発案は奇想天外なものであった。


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