Kranteerl y io dyin 作:witoitaa
「どういうことですか…?」
アルシーはユミーレ、ファルザーに言い迫る。何を言ったのか、一瞬でも良く分からなかったが、確かに彼女は俺の両親が行方不明だ。と言ったのだ。
「……。」
ファルザーは黙ったまま、ばつが悪そうにユミーレを眺める。ユミーレは、確固としてアルシーを目に据えていた。
「この学校の外国人留学者の所属する部活からは、月次で活動内容のレポートを出さないといけないの。」
ユミーレは椅子から立ち上がり、アルシーに近づく。
「レポートをこちらから出そうとウェールフープ通信で呼び出してもずっと不在。何時までも不在で、こちらからフェグラダ・ヴェイユファイト・ア・ネスタオの方に協力を得て捜索をしてもらっているところよ。」
「そんな……。」
「信じられないかもしれないが、事実だ。」
ファルザーが背中を見せながら言う。その言音に嘘である証拠は見出せなかった。
「残念だけど、これ以上私たちに出来ることは無い。FVANの後続の情報、王国警察の情報を待つしかない。」
「とりあえず、アルシー君は文化祭の準備に戻っていいよ。これだけだから、本当にいきなりですまなかった。」
「い、いえ、わざわざありがとうございました。」
そういって、アルシーは部室を後にした。
「……行ったか。」
ファルザーがユミーレを見る。
「……。」
夕焼けが部室のガラスを照らし透過した絶妙な光が床に写し取られる。
ユミーレは黙って、それを眺めていた。
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荷物をとって、寮に帰ろうとしたところ、エレーナとキーアにあった。
「あ、アルシー君。」
「アルシー、お前どこ行ってたんだ?」
エレーナとキーアが駆け寄ってくる。
「ちょっと、部室に。部長に呼ばれたからな。」
「そっか。」
「あっ。」
エレーナが学校のほうに振り返る。
「ちょっと用事を思い出しちゃったから、ちょっと学校に戻るね。先に行ってて。」
「お、おう。」
キーアが、答えた。
そのままエレーナは学校方向へ走っていった。
キーアとアルシーは寮までの道を歩いていっていた。
「なぁ、キーア」
「なんだ、エレーナは渡さんぞ。」
話は最後まで聞け。
「そういえば、なんでキーアはそんなにエレーナにこだわるんだ?」
「……。」
「どうした、キーア?」
キーアは立ち止まった。
「なんでエレーナに拘るのか……か。」
「え?」
「そうだな、そういえばアルシーにはこの話はしていなかったな。」
そういって、キーアはアルシーを見上げた。どこかで見たことがあるような表情をしながら。
「俺は彼女の正体を知っているんだ。実は。」