Kranteerl y io dyin 作:witoitaa
「それじゃあ、私と対局してみる?」
そういったのはエレンであった。エレンは部室の奥にある準備室に向かい、その扉を開ける。
「あら。」
「みゅーふにぇぇー!?!?」
そこにはユミーレと丸いほわほわした物体が居た。
「ふにぇーふにょー@%g&s$#d*!」
ほわほわがそんな風な鳴き声を上げながらユミーレとエレンの顔の上を移動してゆく。ユミーレは顔を上げてエレンを退け、ほわほわを追い駆ける。
「待て!待ちなさい!!」
その場にへたり込んだエレンは呆然としていたが、一人その存在を知っている者が居た。
「ねぇ、アルシー君あれリーダちゃんのほわ玉じゃない?」
エレーナが声を上げる、確かにどこかで見たと思ったら最初のほうで見たほわ玉じゃないか。
「止まれっ!」
そういってユミーレが、ポケットから何かを取り出す。それは紛いも無くWP拳銃だ。ユミーレが拳銃をほわ玉に向ける。
「ちょ、ちょっと!?ユミーレ先輩!?」
一発、二発、ユミーレはほわ玉を撃ち抜こうとするが当たらない。それでも、撃ち続けるフェリーサをラツが止めに入る。
「やめろ!撃つんじゃなっ、ぐはっ」
「くっ。」
ユミーレが押さえられた瞬間、拳銃から放たれた銃弾が跳弾してラツの胸を貫通した。ほわ玉は部室のドアの隙間を通って逃げていってしまった。ラツは立ち上がり、ユミーレを睨む。
「どういうことだか説明してもらおうか、ユミーレちゃん。」
「ああ、先生!ユミーレ姉さんはちょっと昨日からちょっと疲れてて……。」
「……。」
ユミーレはバツが悪そうに下を向いている。今にも泣き出しそうに地面を見つめている。
「……しょうがない。今回の件は水に流してやる。ユミーレは校内兵器利用規則をちゃんと読み直すこと。」
「は、はい……」
そういったあと、ラツはツュラファに連れられて医療学科棟に向かった。ユミーレも走って部室を出て行ってしまった。ファルザーも「姉さん待ってよ!」と言いながら追い駆けていく。
そして、部室に静寂が訪れた。
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学校の大花畑、雛菊を基点に多くの花が咲いている。そのベンチにユミーレは座っていた。ファルザーもユミーレに追いつき、すぐ横に座る。
「……どういうつもりだ?」
ファルザーが問う。顔が怒りに埋まっている。
「目に涙をためる演技、また上手くなったわ。」
ユミーレがおどけて答える。ファルザーがベンチから立ち上がり、ユミーレの肩を掴む。
「ふざけるんじゃない!奴を殺すのは計画範囲内、しかしあんな中途半端なところでWP拳銃を使ってまで殺そうとする理由はッ」
「無いわ。」
ユミーレが言う。
「では、なんであんな事をした。自分達の身がバレることを危ないと思わないのか!」
「彼は私が殺すの。私のものだから。」
ファルザーが身を引く。
「ちっ、またそれか。私情なんてどうでもいいが、計画に支障をきたすような行動は控えろ。」
「……、ファルザー、私たちは何のために戦っているのかしらね。」
「そんなの、組織のためじゃ。」
ユミーレが顔を上げファルザーを見つめる。
「私たちのためでもあるのよ。」
花畑には爽快な風が吹いていた。