ガンダムビルドファイターズ ダークレイヴン   作:級長

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 ミッション名:カップル殲滅
 報酬:無し
 依頼主:ネオティターンズ
 概要
 みんな、忘れているかもしれないが、あの前作『模型戦士ガンプラビルダーズビギニングR』で主人公とオンライン対戦をしたネオティターンズだ。
 今日はバレンタイン。本来なら恋人を密かに結婚させて処刑された聖人バレンタインの命日であり喪に服すべき日だ。だが、カップル共は聖バレンタイン氏への恩を忘れ、浮かれている。
 それどころか、我々独身者の最後の牙城であるガンプラバトルの世界にすら進攻しつつある。皆、ルナツー付近に現れるカップルを殲滅するぞ!


EXミッション3.バレンタインバトル

 ルナツー付近 ルナベース

 

 ガンダムで有名なカップルであるガロードとティファが月に縁のある人物だからなのか、ルナツー付近ではカップルが仲良くガンプラで宇宙遊泳をしていた。

 『機動戦士ガンダム』を始めとする宇宙世紀の施設であるルナツーの隣に『機動戦士ガンダムAGE』のルナベースがある光景は中々シュールだが、そのルナベースにモテない男達のガンプラが集結していた。

 『諸君、今日は集まってくれてありがとう。我々モテない男のオアシスを占拠するカップルを殲滅する! 作戦は問わない!』

 演説をしていたのはヘイズル2号機。両手にライフル機能を持たせた改造シールドブースターを持つ、殲滅専用カスタム機だ。

 ネオティターンズのリーダーが操る機体で、今回の首謀者でもある。隣に立つギャンバルカンは、誰もが知るあの人物からだ。

 『今回はなんと世界大会ベスト16のサザキ・ススム氏が来てくれたぞ!』

 『おお!』

 『ご一緒出来て光栄です!』

 サザキは本来この場にいるべき人物ではない。妹から毎年チョコを貰うからだ。だが、その妹が練習試合の相手に惚れてしまったのだから仕方ない。

 『諸君! 盾の魅力をカップルに見せようではないか!』

 『さらに! あの「黒い鳥」もいるぞ!』

 盾を掲げるギャンの隣にいた黒地に深い緑のペイルライダーは、二年前に世界を荒らした『黒い鳥』の機体だ。

 『カップルを全て焼き尽くす!』

 『シャレにならねぇ!』

 『さらに、あのデッドエンドのサガも参戦だ!』

 その隣にいるマントのガンプラは『デッドエンドのサガ』、アドウ・サガが使うガンダムジ・エンドだ。もうカップルに勝ち目が無い。

 『意外だな。こういうの興味ないと思ってたのに』

 『俺だって、多少はモテたいんだ。それなのに学園の奴ら、キジマばかり……!』

 柄にも無い事を言いながら、黒い鳥の言葉にサガは返した。いかに戦闘狂のサガとはいえ、年頃の男子なのだ。

 『行くぞ、出撃!』

 ガンプラ達は思い思いのタイミングで出撃した。早速ぶっ放したのはサガだ。

 『デッドエンド……フィンガー!』

 ガンダムフェイスの付いた手から文字通りのゲロビが吐かれる。一気に素組のベアッガイ達やら射線上のガンプラを溶かしていくが、途中で何かに弾かれる。

 『Gポータント……シアか! お前ら、あいつはサガに任せるぞ!』

 『はい!』

 ガンプラ学園のメンバーが登場したことにより、全員に緊張が走る。アドウを止めに入ったのは、他に2機のガンプラだ。どちらも青いガンダムタイプである。

 『トランジェントにライトニングだと? サガ、特にライトニングからとんでもない殺気を感じる。気をつけろ!』

 『おいおい、どうしたんだよコウサカ・ユウマ!』

 ライトニングからただならぬ気配を感じ、黒い鳥はペイルライダーを動かして撤退する。アドウもライトニングから何かを感じていた。ライトニングガンダムはバックウェポンシステムもライフルも持たない素の状態だが、何かヤバい。

 『アドウ、年貢の納め時だな』

 『キジマまでどうした?』

 『せっかくミライさんと二人きりの宇宙遊泳だったのに……貴様ァ!』

 ライトニングがビームサーベルを抜き、ジエンドに斬りかかる。アドウとの通信回線を開いていた全員が、彼の悲鳴と撃墜を示す通信ノイズを聞いた。

 『サ、サガァアアァァ!』

 ペイルライダーが手を伸ばすも、ジエンドは解体されて爆発した。これには参加者に動揺が走る。

 『サガがデッドエンドされた!』

 『ライトニングには近付くな!』

 全員がライトニングから距離を取るも、追加で出撃したらしいライトニングBWSMkⅡとドッキングしてフルバーニアンになったライトニングガンダムに、次々と参加者が刈られていく。

 『データはバッチリ、いくぞ!』

 『おう!』

 『SDがいなきゃ怖くねぇ!』

 ガンダムEZ-SRが勇敢にもライトニングへ立ち向かう。だが、何処からか飛んで来たビームに撃墜された。

 『スターウイニング! リアルモード!』

 それはスターウイニングガンダムの攻撃だった。ウイニングに反応したのはペイルライダーだった。

 『ホシノ・フミナ……リベンジマッチというわけ……』

 『ウイニングビーム!』

 ペイルライダーは問答無用で撃ち抜かれた。コワイ!

 『て、撤退だ!』

 切り札をやられ、ヘイズルは撤退を指示する。だが、それも遅く、ギャンバルカンの首を取った黄色いベアッガイに撃たれた。

 『ぎゃあ!』

 こうして、非モテ同盟は壊滅したとさ。くじけちゃダメだよ、人生とはそういうものだから。チャンチャン。

 

 一時間後 ニールセンラボ

 

 「って、お祭り騒ぎもいいよねー」

 ヤジマ商事の研究室で、ニルスにコーヒーを飲みながら提案する人物がいた。この白衣の女性は星影雪菜。そのお祭り騒ぎがあった世界を生み出した人物だ。

 「そうだニルス君。カフェの人からチョコ貰ったんだ。食べる?」

 「いや、それはあなたが食べて下さい」

 雪菜は何の疑問も無く、ニルスにチョコを奨める。ニルスはこんな年上の部下と、プラフスキー粒子の復活を含め7年も仕事をしている。

 「え? 甘い物嫌いだっけ?」

 「あのですね……」

 普通、上司が年下だとプライドが許さない人の方が多いだろう。だが、この雪菜は職場であるPPSEがヤジマ商事に吸収されようが、研究主任から降格してニルスの部下になろうが、変わらず『楽しいガンプラバトル』を追い求めている。

 三十路という歳の割に無邪気で、外見も綺麗な事からラボに併設されたカフェの店員含め言い寄る男も少なくないが、この始末では諦めた方がいいだろう。

 星影雪菜がプラフスキー粒子の復活に欠かせない役者の一人であるのはニルスも認めるが、天才とは馬鹿でもあるのだ。




 勢力戦キーマン図鑑
 デッドエンドのサガ
 アドウ・サガの異名。数多くのガンプラを破壊してきた故にこう呼ばれる。
 強い相手を求め、勢力戦やアリーナバトルにも出没する。

 黒い鳥
 黒基調に深い緑のカラーリングの機体を操るファイター。過去に起こした事件から『アーマードコア・ヴァーディテクトデイ』で語られたこの異名が与えられた。

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