ガンダムビルドファイターズ ダークレイヴン   作:級長

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 ミッション名:バレンタインイベント
 報酬:ゴデ〇バのチョコレート
 依頼主:チョコレート仮面
 概要
 今年もこの日が来たな。バレンタインだ。チョコを貰えなかった諸兄も多いことだろう。そこで、チョコを貰えなかった諸君にリベンジの機会を与えよう。
 参加してみる気はあるかね?


EXミッション8.バレンタインバトル! 出撃グリムゲルデ!

これは、バレンタインの翌日の話である。

「マクギリスの奴、急になんなんだ?」

パーティ会場へ入ったのは、ガエリオ・ボードウィンのそっくりさんである。この日は友人のマクギリスのそっくりさんに呼ばれ、この会場へ来たのだ。

ここはかつて、メイジン杯の授賞式が行われた会場でもある。つまり、会場中にバトルシステムが敷き詰められているのだ。ガエリオは嫌な予感しかしなかった。

他にも呼ばれた人がいる様で、会場は賑わっていた。だが、これから天下分け目の決戦でもしそうなくらい、二つのグループに分かれていてピリピリしている。

「フハハハハ! ようこそみなさん!」

その時、ステージ上にいた仮面の男がマイクを手に司会進行をした。ガエリオには、それがマクギリスの変装した姿だと一発でわかった。わざわざ元ネタと同じ姿に変装すること無いのに。

「今日はチョコを貰えなかった皆さんが、貰えた皆さんに恨みつらみをぶつける会です」

「どういうつもりだマクギリス!」

なぜマクギリスがこんな真似をしたのか、ガエリオにはわからなかった。マクギリスなら自分の妹であるアルミリアからチョコを貰ったはずだ。

「それは私がチョコレートの人だからだ! 人類全てにチョコを配るのが私の使命だ!」

「ああ、チョコの食べ過ぎでおかしくなったのか……」

ガエリオはだいたい察した。アルミリア以外からも結構チョコを貰っているマクギリスは、それら全てを腐らない様に早めに食べた結果頭がおかしくなったのだ。

「いいぞマクギリス。このまま来年のバレンタインを中止にしたくなる凄惨な宴を催せ」

マクギリスの隣にいるのは、彼の父であるイズナリオだ。

『battle start!』

勝手にシステムが起動し、会場中が戦場になる。そしてマンロディとグシオンリベイクが早速争っている。宇宙空間かつデブリ帯なのが妙に原作再現である。

『チョコってなんだよ……。兄貴、友チョコと義理チョコと、それだけだったよ、俺のチョコ』

『待て昌弘! これは姉さん達がくれた義理チョコなんだ信じてくれ!』

アルトランド兄弟骨肉の争いが先陣を切り、あちこちで戦闘が勃発していた。

『ペドロぉおおお!』

『なんでお前だけチョコ貰ってんだぁあ!』

マンロディ同士の醜い争いも起きていた。

『お前らもっと気合入れて突っ込むんだよ!』

チョコ貰って無い派のリーダーはガンダムグシオン。操るのはクダル・カデルのそっくりさんだ。

本当はいい人なのに、顔のせいで皆に怖がられている。当たりを柔らかくするために女口調にしても逆効果という悲しみを背負っていた。

「なんだこれは……」

「特務三佐!」

ガエリオが醜い戦いに愕然としていると、アインとクランクがやってきた。

「アイン! それにクランクさん!」

「この争いを止めるぞ。チョコ一つで犠牲を出すことはないのだ」

とにかくこのバトルは止めなければならない。ガエリオはキマリスで参戦した。クランクは剣と盾を持ったグレイズ、アインは角を取って緑に塗ったシュヴァルベで飛び込む。

『ペドロおおお!』

『しまった!』

いつの間にかペドロが追い詰められていた。ペドロのマンロディに向かって、他のマンロディがナタを振り上げる。プラスフキー粒子が空気を読み、『オルフェンズの涙』を流し始めていた。

その時、遠くで光が煌めいた。かっ飛んできた何者かがマンロディを貫き、ペドロを助けたのだ。

『三日月さん!』

『大丈夫?』

それはやはりというべきか、三日月とバルバトスであった。

『過ちは、繰り返させない!』

ガロードのDXがサテライトキャノンで敵を一掃するなど、貰っている派も攻勢に出ていた。

「いたぞ!」

ガエリオはマクギリスの物とみられるグリムゲルデを見つけて戦闘を仕掛ける。ガエリオのキマリスが足のブースターを展開して突撃するも、グリムゲルデはそれを剣で受け止めた。

「バカな事はやめさせろマクギリス!」

『商業主義に毒されたバレンタインなどは無くさねばならない!』

一方、ガンダムとシャア専用ザクが遠くで争っていた。

『この私、シャア・アズナブルが粛清しようというのだよ、アムロ!』

『エゴだよそれは!』

『ならば全人類にチョコを授けてみろ!』

『お前を倒した後にやってやるさ!』

会話は逆シャアだが、戦闘はファーストという妙な状態であった。それでも、ガンダムはG3でかつライフルにナパームを取り付け、腰にはバズーカとハンマー、手にはビームスピアという装備。シャアザクもオリジン版装備で対抗とカオスな絵面になっていた。

『なんなんだこいつらはよぉ!』

クダルは三日月に圧されていた。護衛機が次々に瞬殺されていく様子は恐怖でしかないだろう。

改造されたグレイズがバルバトスに向かっていく。グレイズは膝のクタン参式接続ジョイントを利用して脚にシールドを装備、バズーカラックの肩に換装しつつも、オプションセットの大気圏用ブースターと背中に宇宙用ブースターを装備、両手にハルバードを持っていた。

その改造されたグレイズは三日月のバルバトスと打ちあう。メイスとハルバードがぶつかり合い、火花を散らした。

『こいつ……』

グレイズはハルバードで器用にメイスを引っ掛け、バルバトスから奪い取る。なかなかの腕前である。

『三日月!』

その時、クタン参式を装備した流星号が下から三日月に向かってある武器を投げた。

『シノ!』

『受け取れ!』

グレイズは武器を避けたが、バルバトスがそれを受け止める。その武器は、バルバトス新形態が使う恐竜の顔をしたハンマーであった。

三日月はそれをグレイズに向けて突き出す。

恐竜の顔が開き、グレイズをはさみ込む。顔の中にあるチェーンソーがグレイズを削り取り、ハサミの様に両断した。

マクギリスとガエリオの戦闘もまだ続いていた。ガエリオのキマリスが何度目かの突撃を放った際、マクギリスのグリムゲルデは剣でそれを受け流す。そして、背後を取った。

「しまった!」

『君はいい友人だったがね』

キマリスは自慢の旋回力で振り向くが、遅い。グリムゲルデは両手の剣を振り上げていた。

その時、遠方から太いピンクのビームが二本グリムゲルデ目掛けて放たれる。

『くっ、新手か!』

マクギリスはそれを寸前で回避する。その隙にキマリスが槍を突き出し、攻撃する。

「浅いか!」

左腕のシールドを破壊はしたが、直撃ではない。だが、その足の止まった瞬間を新手は逃さない。またも二本のビームがグリムゲルデを狙う。

『ほう、少しは出来るようだな』

マクギリスが確認すると、その新手はプロトGNキャノンを二つ装備した、灰色のアストレアであった。

アストレアはキャノンをパージすると、流用パーツから作ったと思われるGNソードを展開してグリムゲルデに斬りかかる。

マクギリスは左腕の剣でそれを受け止めると、定石通り残った右手の剣で突きを放つ。だが、アストレアもそれをシールドで受け流した。鉄板ともいえる攻めを防いだアストレアに、マクギリスは息を飲む。

それもつかの間、アストレアはシールドでグリムゲルデを押し返し、そのまま再度ソードを振るう。だが、マクギリスも左腕のシールドを使って受け、そのままアストレアを蹴り飛ばそうとした。

アストレアは黙って蹴られるはずもなく、後ろに引いて蹴りを空振りさせる。これにはマクギリスも驚いたが、次の手を用意しない彼ではない。

マクギリスは蹴りの勢いを利用し、剣を投擲していた。その剣がアストレアを貫き、決着がついた。

時間にしてわずか数秒。濃密な攻防戦であった。

「よくやったぞ、そこのアストレア!」

その数秒はガエリオに突撃の時間を与えた。ガエリオのキマリスは既に最高速に達し、グリムゲルデに突撃をかましていた。

『なんの!』

マクギリスも何百回と戦った友人の癖は理解しており、キマリスの槍を軽々受け止める。それこそガエリオもマクギリスがそうすることは予想ができた。

「これで!」

キマリスは足をグリムゲルデに向ける。そして、バーニアを展開した。キマリスのスピードを生む大出力のバーニアが、そのままグリムゲルデを焼いた。

『しまった!』

「悪く思うなよ、マクギリス!」

その勢いで再度距離を取ったキマリスが、今度こそ突撃を決めた。ガエリオとマクギリスの戦いは、グリムゲルデが貫かれて決着となった。

 

『ああもう! チョコが……チョコが欲しいよぉ!』

グシオンは護衛機を潰され、孤立無縁のまま三日月と戦っていた。原作の様に太刀で装甲の隙間を狙うなどということはしない。新型ハンマーで叩くまでだ。

なんとかグシオンはバルバトスの腕を掴み、競り合おうとする。

『おい、お前! 楽しんでるだろ! バレンタインをよぉ!』

『はぁ?』

だが、三日月のバルバトスは即座にその手を振りほどく。そして、ハンマーを振り上げる。

『まぁいいや。こいつは、チョコ貰えない奴だから』

無慈悲にもハンマーでグシオンは粉砕された。

 

チョコ貰えない派の不甲斐なさに業を煮やしたのか、ついにイズナリオが戦場に姿を現した。

搭乗機はジオングの様に見える何かだ。よく見ると、細部ディテールからしてガンダムフレームにジオング着せている様だ。

『ビックボックスへようこそ。歓迎しよう、せいだいにな。これがギャラングだ。私はこいつと遂に一体になった。もう止めることはできない。死ね』

さらに、足元には砲台のついたビルらしき建物があった。

『あれは……ビックボックスか?』

居合わせた戦には、それがORCA旅団の本拠地であることがわかった。戦はグレイズ改を一部黒くした『グレイズ・イェーガー』を使っている。

グレイズ改の白い部分、膝、アンクルガード、そしてバズーカラックの肩が黒色だ。背部バーニアは技術的問題で黒くしてはいない。

戦が狙撃しようとギャラングをロングレンジライフルで狙った瞬間、ギャラングの頭に三日月のハンマーが食いついた。

『なっ!』

『尺がない』

イズナリオは史上稀に見る慌てぶりを見せた。まだビックボックスも披露していないのだ。

『ま、待て! 落ち着け……ビックボックスとギャラングで一年作るのに時間かかったんだぞ、仕事が忙しくてな! まだ何もしてないんだ、落ち着け!』

だが、三日月はイズナリオの懇願を一切聞かずに頭をメリメリ潰していく。

『あー! お客様困ります! あー!』

そして、ギャラングは弾の一つも撃つことなく頭を粉砕された。

『アッー!』

『battle ended!』

ギャラングの撃破と同時にバトルが終了、システムが止まった。

「くっ……クリスマスこそはリア充共に復讐を……」

「父さん、次はパーフェクトギャラングを……」

イズナリオはうなだれこそすれ、まだ懲りていない様子であった。それはマクギリスも同じであった。

「全く、こんなバレンタインは二度と御免被る」

ガエリオもこれにはため息をつくしかなかったという。




 お茶会
 ???「そんなことがあったのか」
 戦「いやマジで。金持ちの考えることはわからんわ。イズナリオとかいうお偉いさんの声、聞き覚えあるんだがな」
 ???「ラインアーク方面もきな臭いし、いよいよ俺の出番か? この、ロイ・ニールセンのな!」

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