ガンダムビルドファイターズ ダークレイヴン   作:級長

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 人型機動兵器『アーマード・コア』。コアを中心とした組み替えにより高い汎用性を誇り、戦術面では最強とされている。
 アーマード・コアを駆る傭兵達を人は『レイヴン』と呼んだ。


プロローグ レイヴンとファイター

 東京 ガンプラバトル大会

 

 『Please set your GP-Base. Beginning [Plavsky particle] dispersal』

 7年前のアリスタ暴走事故により、ガンプラバトルの存続が危ぶまれた。しかし、ニルス・ニールセンの研究によりガンプラバトルが復活。1年の空白がより、ガンプラバトルを白熱させた。

 『GANPRA BATTLE.Combat Mode.Damage Level,Set to B』

 老若男女問わずガンプラバトルは人気、というわけではない。残念ながら。ガンダム自体が男の子向けコンテンツ扱いであり、ガンプラも男児向け玩具に分類する小売店が殆どだ。

 『Field1,Space.Please set your GUNPLA』

 『これより、渋谷109主催、女の子限定ガンプラバトル大会を行います』

 大型のバトルシステムに多数の参加者が並ぶ。若者の町渋谷の109で行われるバトル大会だけあり、髪を染めた派手な服装の女性が多い。

 その中に一人、黒髪の少女がいた。ブレザーの制服を着て、この中に混ざると地味に見える。が、彼女は髪の艶やかさもあり、他と引けを取らないほど目立っていた。

 『BATTLE START』

 「如月葉月、ビルドアカツキガンダム、出る!」

 ただ一人だけ発進コールを行い、白いビルドアカツキガンダムが宇宙に飛び出す。

 大半の機体は素組のベアッガイⅡ。茶色の熊達は宇宙だと見え難く、逆にアカツキは目立っている。

 「そこか!」

 だが、せっかく目立ち難いのにラインストーンでデコっているため、すぐに見付かる。両手に装備したビームライフルで、アカツキは次々と熊狩りをする。素組では耐久性も低い。

 目の前に熊が現れても、葉月は慌てない。右手のビームライフルが剣山の様にサーベルを出し、熊を貫く。

 「後ろか!」

 アラートを聞き、葉月はシールドで後ろからの攻撃を防ぐ。ビーム兵器は弾速が速いのだが、熱センサーで感知されやすい。また反動が無いという特性から、敵の射線を辿ればなんの問題もなく反撃が可能ということもある。

 「そこっ!」

 撃ったら動く、という動作さえすれば何の問題も無い弱点だが、それが出来ない熊は反撃で撃ち抜かれてしまう。

 (ぬるい……)

 次々に熊を撃ち落としながら、葉月は心で呟いた。背中のビルドブースターはあまり活用されていない。

 (もっと強いファイターはいないの?)

 葉月は不満があった。全国大会が3人一組のチーム戦になったせいで、チームメンバーの揃わないお嬢様学校では出場そのものが怪しい。

 そのため個人の大会に出てはいるが、近所の大会は女子限定を銘打っているせいかベアッガイだらけでレベルも高くない。

 (本気で楽しめるバトルは、どこにあるの?)

 この白いアカツキを越えるガンプラを、葉月は当然用意していた。だが、それを使うほどの相手がいるのだろうか。白いアカツキは虚しくも望まず、相手を蹂躙してしまう。

 『BATTLE END』

 最後の熊が爆散した。白いアカツキは、宇宙を漂い続ける。

 

 グラン採掘場

 

 『戦闘システム、起動』

 『レイヴン! 東の出口は使えない! 南の出口を使うから援護してくれ』

 採掘場から撤退する作業員を複数のマシーンが追撃していた。そのマシーンにミサイルが飛び、撃墜していく。

 ミサイルを放ったのは黒を基調に暗い緑が部分的に入った、人型のロボットだった。背中の右側に付いたミサイルと肩に付いたミサイルが同時に放たれる。

 手にしたマシンガンでマシーン達を蜂の巣にしていく。皿の様な頭が敵を睨んでいた。作業員を乗せたトラックに迫るマシーンは、左手の篭手みたいなレーザーブレードで片付ける。

 次々に現れる敵をマシンガンが狙い撃った。乱射する武器ではあるが、無駄弾が少ない。

 『もう残っている作業員はいないな。レイヴン、世話になった!』

 『コーテックスより通信です。クレスト社より緊急の依頼が入ったそうです。特例としてこの場での依頼受託を認めます。依頼を受ける場合はこのまま中央の通路に向かってください』

 そのロボットは作業員の撤収と敵の殲滅を確認すると、通路に向かって飛んでいく。

 

 そのロボットは人型機動兵器アーマード・コア、通称AC。それを駆る傭兵を人はレイヴンと呼んだ。

 

 『我々は重要機密を持ち逃げしたACを追っている。雑魚には構うな』

 柱が並ぶ通路を、先程作業員を護衛したアーマード・コアが疾走していた。通信の指示通りに雑魚は無視し、先へ進む。

 『レイヴン……後は頼む……!』

 『雑魚め……』

 通信が途絶える。通信を寄越したクレスト社の警備隊は撃墜された様だ。通路を曲がり、部屋に入る。そこには四本脚で腕がマシンガンのACがいた。

 『レイヴン、お前なら楽しめそうだ』

 『ランカーAC、チェーンインパクトを確認』

 狭い上に柱が一本ある部屋で、そのACは腕と一体化したマシンガンを放つ。だが、それは軽々避けられ、皿頭のACはマシンガンで追撃する。ミサイルも使い、敵のACを熱暴走させた。

 『馬鹿な、この俺が……』

 遂にACが爆散する。皿頭がそれを見下す様に見ていた。

 

 「何だか、練習しても本番がないのはな……」

 それは全て、ゲーム内での話だった。家のテレビにプレステ3を繋ぎ、少年がゲームをしていた。

 少年がしていたゲームは『アーマード・コア3&サイレントライン』。アーマード・コアシリーズは作品毎に世界観を一新する場合があり、世界観とシステムを共有する『3系』2作品をまとめたHDバージョンだ。『3』の続編『サイレントライン』から本格化した追加要素である銃を両手に持つダブルトリガーを『3』の時点からそのレベルで使え、『サイレントライン』クリア後なら『3』のミッションでも『サイレントライン』で追加されたパーツが使えるなど、移植らしい遊び方が出来る。

 ガンプラバトルという天敵を得たロボットゲームは様々な方法で顧客を獲得しようとした。ここ最近のアーマード・コアシリーズのリメイクも、その作戦の内だ。

 少年はこのアーマード・コアも好きではあったが、元々はガンプラバトルの練習に始めたものだった。それがついぞバトルの機会を得られず、いつの間にかレイヴンが本職になりつつあった。

 「あー、ガンプラバトルやりたいなー」

 

 同じ空の下、不満を抱えたレイヴンとファイターがいた。その二人が出会う時、世界を変えるイレギュラーが発生する。




 イェーガー
 羽黒戦がゲーム中で使用する、中量二脚に分類されるAC。中量二脚がこれといった特徴を持たないため素直にプレイヤーの技量を反映する。どちらかと言えばミッション向けに調整している。
 ミサイル迎撃機能と緊急移動機能『オーバードブースト』を持つクレスト製コアを中心に、マシンガンと小型ミサイルで敵を撃墜、AC相手なら追加ミサイルを使って火力を上げる。肩のミサイルは撃ち尽くしたらパージする。
 平たく言えば右手にマシンガン、左手にブレード、肩に追加ミサイル、背中の右に小型ミサイル、左にレーダーを装備した皿みたいな頭のAC。
 アセンブル
 これで君も『アーマード・コア3』で戦のイェーガーを再現しよう!
 HEAD:CHD-04-YIV
 CORE:CCL-01-NER
 ARMS:CAM-11-SOL
 LEGS:CLM-03-SRVT
 FCS:AOX-X/WS-3
 GENERTOR:KGP-ZS4
 BOOSTER:MBT-OX/002
 RADIATOR:RMR-SA44
 EXTENSION:CWEM-R20
 BACKUNIT R:CWM-S40-1
 BACKUNIT L:CRU-A102
 ARM UNIT R:CWG-MG-500
 ARM UNIT L:CLB-LS-1551
 OPTION:OP-S-SCR、OP-E/SCR、OP-S/STAB、OP-L/TRN

 カラー(R/G/B)
 ベース 0/0/0
 エイド 0/20/0
 オプショナル 20/20/20
 ディテール 100/0/0
 それ以外は初期カラー。
 頭はベースも0/20/0
 武装は黒

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