ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

舞翼です!!

後日談、第一弾始まります!!
今回は、キャリバー編の続きですね。

誤字脱字がごめんよ。

それではどうぞ


後日談 大学編
第96話≪君と送る年、迎える年≫


今は、2025年12月31日21時。

年越しまで、あと三時間だ。

 

「お兄ちゃんー! 木綿季ちゃんー! 年越し蕎麦(そば)食べよー!」

 

直葉の言葉に、木綿季が応じた。

 

「今行くよー! スグちゃんー!」

 

「じゃあ、下に行くか」

 

「うん、行こっか!」

 

俺と木綿季は座っているベットの上から腰を上げ、手を繋いでから、一階の居間に向かう為歩き出した。

 

「和人と年を越すのも、今年で三回目だね♪」

 

「そうだな。 SAOの中では、お前と一緒に年を越したな。 確か、12月31日は攻略を休みにして、年越しのカウントダウンをしたよな」

 

「覚えててくれたんだ!」

 

木綿季は、とても嬉しそうな顔をして俺の顔を見た。

 

「まぁな。 俺が攻略に行こうって言ったら、『今日は攻略休もうよ~』、ってメチャクチャ甘えたよな」

 

「うん……。 ねぇ、和人」

 

「……いいぞ」

 

俺と木綿季がキスをしようとしたその時、再び直葉の声が届いた。

 

「お兄ちゃんー! 木綿季ちゃんー! 何やってるのー? 早く年越し蕎麦を食べようよーっ!」

 

俺と木綿季は苦笑いをしてから階段を下り、直葉が待つ居間へ向かった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

居間で待っていた人物は直葉だけではなく、母の翠と、父の峰高も居たのだ。

峰高は、今日の為に海外から帰国したらしい。

木綿季は、峰高と数える程しか会って居ないが、人懐っこく明るい性格もあり、最初に会った時に打ち解けていた。

今の峰高は、木綿季を娘のように可愛がっているのだ。

 

「久しぶり、お義父」

 

木綿季は、峰高にぺこりと頭を下げてから、ニッコリと笑った。

 

「木綿季、久しぶり。 和人との新婚生活は楽しいか?」

 

「うん、とっても楽しいよ!」

 

「いや、まだ結婚はしてないから。 大雑把に言えば、新婚生活になるけどさ」

 

「早く年越し蕎麦を食べようよ」

 

そう直葉に言われ、俺と木綿季は用意されていた席に座り、それから翠が音頭を取り、年越し蕎麦を食べ始めた。

それから交互に入浴をしようとした時、木綿季が、『和人。一緒に入ろうか!』、というダイナマイト級の爆弾を落としていったが。

一緒には入ってないぞ! いや、入りたかったけどさ。

ともあれ、“約束の時刻”が近づいてきた。

 

「そろそろ時間だな」

 

「あ、そうだね」

 

「お義母さん、お義父さん。これから予定があるから……その」

 

「あ、そうだったわね。 ALOで年越しのイベントがあるんでしょ。 私と峰高さんは、夫婦水入らずで年を越させて貰うわ。 三人とも行ってらっしゃい」

 

「そうだな、三人とも行ってきなさい。 皆が待っているんだろ」

 

翠と峰高は、俺たちがALOにログインするのを、即OKしてくれた。

 

「私たちも来年からALO始めようかしら?」

 

「それもいいな。 和人と木綿季の子供、ユイちゃんに会ってみたいしな」

 

「ユイは可愛いぞ。 自慢の娘だ!」

 

「うんうん、ユイちゃんは世界一可愛い、ボクと和人の子供だよ!」

 

最早、俺と木綿季の会話は、親バカの域に達していた。

まぁ、解っていた事なんだが。

 

「お義母の種族は、ボクと同じ闇妖精族(インプ)がいいかな~」

 

「父さんは、影妖精族(スプリガン)がいいかもな」

 

俺たちの会話に、直葉が遠慮がちに入ってきた。

 

「……お兄ちゃん、木綿季ちゃん。 時間が……」

 

「「ハッ! そうだった!」」

 

それから、俺と木綿季と直葉は急いで居間から出た。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

廊下を数歩歩いた時、直葉がわざとらしい咳払いをした。

 

「うおっほん!」

 

「「スグ(ちゃん)?」」

 

「えっと……今日は大晦日だし……、二人は一緒にダイブしてもいいんじゃないかなー、とか思ったり」

 

これは直葉の気遣いなのか、それとも細やかなプレゼントなのか。

どちらにせよ、有り難いには事には変わりないので、俺と木綿季は笑顔で礼を述べた。

 

「ありがとな、スグ。 お言葉に甘えさせてもらうよ」

 

「ありがとね、スグちゃん」

 

今日は時間が無いから、あれ(・・)をするのは後になるな。

 

「……和人、今何を考えたかここで言ってあげようか」

 

「丁重にお断りします」

 

俺がそういうと、木綿季が俺の耳元で囁いた。

 

「時間があったらね」

 

「りょ、了解です」

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

~第22層、森の家ログハウス~

 

「パパ、ママ、おかえりなさいです♪」

 

「ただいま、ユイ」

 

「ただいま、ユイちゃん。 待ったかな?」

 

「全然待ってないですよ。 パパ、ママ」

 

新生アンクラッド第22層、《森の家》にログインした俺とユウキは、愛娘のユイの頭を優しく撫で、ユイは眼を細めて気持ち良さそうにしてくれた。

 

それから、アスナ、ラン、リズ、シリカ、シノン、リーファ、クライン、エギル、レコンと、続々とログハウスにログインした。

青と黒のロングヘアを揺らしながら、アスナとランがこちらに歩み寄ってきた。

 

「こんばんは。 ユイちゃん」

 

「こんばんは。 今日のお祭りが楽しみだね、ユイちゃん」

 

ランに続き、アスナが言った。

二人も俺たちと同じく、ユイを溺愛しているのだ。

 

「ねぇねぇ、アスナさん。 こんばんはです♪」

 

「ユイちゃん、今日は楽しみましょうね」

 

「楽しもうね、ユイちゃん」

 

「はいです!」

 

そうこうしてると、リズが今後の予定を聞いた。

 

「今から、お祭り兼年越しのカウントダウンよね?」

 

リズの問いに答えたのは、ソファーの上に座り、ピナをもふもふしているシリカだった。

 

「そうですよ。 前の忘年会でキリトさんが言っていたじゃないですか」

 

「あれ、そうだっけ。――今日のイベントで、私に運命の出会いがあるかも」

 

シノンがリズの顔の前で、右手を左右に軽く振った。

 

「ダメだわ。 自分の世界に入っちゃってるわね」

 

と言い、軽く息を吐いた。

後方ではレコンが、「リーファちゃん、一緒にお祭り周ろうよ」と言い、リーファが、「嫌よ。 一人で周りなさい、私は皆と周るんだから」、と言っていたが。

 

この状況を見ていたクラインは、

 

「……ちきしょう、リア充共めェ」

 

「オレが思うに、お前のそういう所が原因じゃないのか?」

 

と、エギルがクラインに突っ込んでいたが。

それから全員はログハウス出て、庭で大きく翅を震わせて、お祭り兼カウントダウンが行われる、アルンまで飛翔を開始した。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

アルンの広場には、全ての妖精たちが、普段以上に賑わっていた。

俺たちは世界樹の木の根元に着陸し、周りを見渡した。

 

「すごいです!! お店屋さんがあんなにあります!! パパ、ママ!!」

 

ユイは、初めて見る光景に興奮気味だ。

因みに、ユイの姿は小妖精の姿ではなく、白いワンピースに上着を羽織った少女の姿だ。

 

「よし! 時間まで、自由行動にしようか」

 

俺の言葉に、皆が笑顔で頷いた。

 

「じゃあ、ここで一度解散!」

 

ユウキの言葉で、皆は行きたい場所へ向かった。

 

「ボクたちも行こうか」

 

「おう、行くか」

 

「はいです!」

 

俺とユウキは、ユイが真ん中になるように手を繋いで、屋台へ向けて歩き出した。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

最初に向かった屋台は、わたあめ屋だった。

ユイはわたあめを買い、ぱくぱくと食べていた。

ユイが右手で持っていたわたあめ棒を、俺の口許まで持ってきた。

 

「パパ、あ~ん」

 

「あ~ん」

 

俺は大きく口を開けて、ふわふわの部分にかぶり付いた。

 

「うん、旨いな。 ここまで味を再現するとは。 正直驚いたよ」

 

今食べたわたあめは、現実世界の味と遜色がなかったのだ。

ユウキが頬を少し膨らませた。

 

「ずるい。 ボクにもやってよ」

 

「ママには、パパが“あ~ん”をしてください」

 

「え、俺か」

 

「はいです!」

 

俺は、ユイからわたあめ棒を右手で受け取り、それをユウキの口許まで持っていった。

 

「ほら、ユウキ。 あ~ん」

 

「あ~ん」

 

ユウキは、ふわふわにかぶり付いた。

すると周りから、『あれって、最強夫婦じゃないか』、『黒の剣士と絶剣だぜ』、『二人の間に子供が居るっていう噂、本当だったんだ』、等々の声が上がってきた。

俺とユウキは顔を見合わせてから、苦笑いをした。

 

「ボクたちって、ここまで有名だったんだ」

 

「有名すぎないか……」

 

「流石、私のパパとママです!」

 

ユイはこの声を聞いて、とても喜んでいた。

それからは、金魚掬いや射的、輪投げなど、沢山の屋台を周り、一生の思い出を作った。

今年の残り時間が三十分といった所で、俺たちは集合場所の世界樹の木の根元へ戻った。

集合場所の世界樹の木の根元には、既に全員が集合していた。

 

「みんな、お待たせ」

 

「集合時間ぴったりだな」

 

「みなさん、お待たせしました~」

 

ユウキに続いて、俺とユイだ。

それから皆は、《その時》が来るまで軽く談笑をした。

新年まで残り五分といった所で、世界樹の巨大な幹にスクリーン映像が展開され、イベントの主催者のGMが映し出された。

 

『アルヴヘイム・オンラインをプレイしている皆様こんばんはー。 新年まであと数分となりましたね。 今年も皆さんお疲れ様でした。 おっと、残り30秒で新年ですよ! それじゃあ皆さん、カントダウンを開始しましょうか。 せーの!』

 

「「「「「5」」」」」

 

「「「「「4」」」」」

 

「「「「「3」」」」」

 

「「「「「2」」」」」

 

「「「「「1」」」」」

 

「「「「「明けましておめでとうございます!!!!!」」」」」

 

俺たちは全員揃って、新年の2026年1月1日を無事に迎えることが出来た。

全員で新年の挨拶を交わすと、第22層のログハウスに戻り、ログアウトした。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

賑やかなイベントを終えた翌朝――2026年1月1日。

俺はベットから起き上がり、大きな欠伸をしてから、大きな伸びをした。

 

「ふぁ~……」

 

眼を覚ましてすぐに、木綿季に新年(現実世界)初の挨拶をしよう思い隣を見たんだが、木綿季は既に起きたのか、隣はもぬけの空だった。

俺はスウェットの服装まま階段を下りダイニング足を向けると、ダイニングには峰高が居た。

 

「おはよう、父さん。 明けましておめでとう」

 

「明けましておめでとう、和人。 食事は居間で摂るから、顔を洗ったら来なさい」

 

「おう」

 

峰高はそう言い残して、居間へ行ってしまった。

俺は顔を洗い、眠気が完全に取れていない状態で居間へ向かった。

だが、居間に入った瞬間、俺の眠気は一気に覚めた。

 

『「「(和人)(お兄ちゃん)(パパ)、明けましておめでとうございます!!」」』

 

そこには花柄の振袖を身に纏った木綿季と直葉、タブレットの中で花柄の振袖を身に纏っているユイが姿勢を正して座っていた。

俺は一定の距離を取った後正座し、三人に向き合って今年最初の挨拶を交わす。

 

「木綿季、スグ、ユイ、明けましておめでとうございます」

 

それから、遅れてやって来た翠にも挨拶をした。

皆で軽く談笑した後、桐ケ谷家族は集合写真を撮ることになったので、俺と峰高は(はかま)に、翠は振袖に着替え、中庭に集合した。

 

「よし! 撮るぞ、準備はいいか?」

 

『「「「おう(はい)」」」』

 

配置は左から、翠、直葉、木綿季&ユイ、俺、峰高だ。

峰高は、カメラの自動シャッターを回し、俺の隣に立った。

その直後、シャッターが切られた。

 

「OKだ。 じゃあ、皆で雑煮を食べるか」

 

翠と峰高と直葉は、家の中へ戻っていった。

中庭に残されたのは、俺と木綿季、ユイになった。

 

「木綿季、ユイ。 今年もよろしくな」

 

「うん、ボクの方こそよろしくね」

 

『パパ、ママ。 今年もよろしくお願いします』

 

こうして、俺たちの新たな年が始まった。




まだ7月(リアルで)なのに、お正月ネタだよ\(◎o◎)/
うん、早すぎるね(笑)
でもまぁ、今後が書きやすくなったかも。
そして、爆弾発言が多々出ましたね。てか、あれってなんのことなんだ!?
お祭りは、ロストソングを参考にしました~。

木綿季ちゃんと峰高さんは、GGOとキャリバーの間の時間に会ってますよ。

ご意見、ご感想、評価、よろしくお願いします!!

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