心が折れそうでも投稿する舞翼です!!
まぁ、うん、気合で頑張ったよ……。
作者は強い!!(自分で言うのもなんだが……)
まぁ、作者の愚痴はこれくらいにして。
誤字脱字があったらごめんよ。
それではどうぞ。
氷の居城《スリィムヘイム》に突入してから、既に二十分が経過している。
《湖の女王ウルズ》が言っていた通り、ダンジョン内の
フロアの中ボスも半分は不在だ。
現在俺たちは、第一層のボスであり、圧倒的攻撃力を持つ、右手にハンマーを持つ
「ぼるぉぉぉぉ!!」
「俺とリズでハンマーを弾く。 奴が仰け反ったら、皆で攻撃してくれ!!」
全員が俺の指示に頷いた。
指示が終わったと同時に、単眼巨人はハンマーを振り下ろしてきた。
俺とリズは奴のハンマーに対し、二刀のロングソードとメイスを衝突させ、それを弾く。
お互い仰け反る体勢になるが、ユウキとラン、リーファ、クラインが斬り込み、アスナとシリカは、支援魔法で全員のスターテスアップと回復。 シノンは弓を使用し援護射撃だ。
「ぼるぉぉぉぉ!!」
単眼巨人は野太い声を上げ、ハンマーを頭上に掲げる。
すると部屋全体に冷気が漂い、部屋の天井に
「来るぞ!」
奴がハンマーを振り下ろすと、氷柱が降り注いでくる。
俺とユウキ、ラン、クライン、アスナは、天井から降り注いでくる氷柱を弾きながら、単眼巨人に突進し、他のメンバーは回避行動を取る。
突進した五人は、無防備状態になった単眼巨人に様々なソードスキルを繰り出す。
「はああぁぁああ!」
最後に、ユウキが繰り出した単発重攻撃《ヴォーパル・ストライク》を受け、ポリゴン片へ爆散させた。
「やった♪」
それから全員でハイタッチを交わした。
「よし、次行こうか!」
第一層のボスを倒し回復を終えた後、第二層を駆け抜けて、再びボス部屋まで辿り着き、ボス部屋の中へ入った。
其処で俺たちを待ち受けていたのは、
右が全身黒色、左が金色、武器は双方共巨大なバトルアックス。
「うわ~、大きいね」
「……だな」
俺は金色の、ユウキ黒色のミノタウロスに突進し、攻撃を撃ち込む。
だが、金色のミノタウロスHPは、数ドットしか削れなかったのだ。
「なッ!?」
「……まじかよ。 キリトの攻撃が全然効いてないぞ!?」
俺とクラインは驚愕した。
一方、ユウキが攻撃した黒色のミノタウロスには、ダメージが通っていた。
これを見ていたユイが、大きな声で叫んだ。
「パパ、ママ。 どうやら金色のミノタウロスは《物理耐性》が、黒色のミノタウロスは《魔法耐性》が異常な高さで設定がされているようです!」
「「……なるほど(な)(ね)」」
俺とユウキは後方に飛び、元居た場所へ着地した。
金ミノは、巨大なバトルアックスを振り上げた。
「これは……ヤバくないかな……」
「ああ、ヤバいな……」
俺はユウキの問いに頷いた。
「衝撃波攻撃二秒前! 一、ゼロ!」
俺の頭に乗るユイが、小さな身体から精一杯の大声を振り絞る。
カウントに合わせて、前衛、中衛、後衛の九人が左右に大きく飛ぶ。
その
「キリトくん。 黒いのを倒してから、金色をじっくり攻めた方がいいかも!」
「よし! 黒色を集中攻撃だ!」
俺たちアスナの提案を受け入れ、黒ミノに集中攻撃を掛けるが、黒ミノのHPが減ると、金ミノが乱入して守りに来るのだ。
その間に黒ミノは後方で身体を丸め、瞑想をしてHPを回復させてしまう。
ならば、黒ミノが瞑想している間に、金ミノを集中攻撃で片付けようと考えたのだが、余りにも物理耐性が高くてHPがろくに削れない。
当然此方のHPも、範囲攻撃のスプラッシュ・ダメージでがりがり持って行かれて、アスナとラン二人のヒールでは、長時間支えきれないのは明白だ。
「キリトくん、今のペースだと、あと百五十秒でMPが切れる!」
「私も、アスナさんと同じです!」
こういう耐久戦で、ヒーラのMPが尽きれば、待っているのはパーティーの壊滅――すなわち《ワイプ》だ。 誰か一人でも生き残れば、
俺の懸念を読んだかのように、右隣でリーファが囁いた。
「メダリオン、もう七割以上黒くなってる。 《死に戻り》している時間はなさそう」
「……解った」
頷き、大きく息を吸った。
此処が《旧アンクラッド》なら、撤退の指示を出している所だ。
あの世界では、《可能性に賭ける》などという真似は許されなかった。
しかし今のALOは、デスゲームではない。 だからこそ、可能性に賭ける事が出来る。
そこには、自分と仲間の力を信じる、という要素も含まれるはずだ。
「全員、金色にソードスキルの集中攻撃を仕掛けるぞ!!」
ALOに導入された《ソードスキル》。 そこに追加されたのが、《属性ダメージの追加》だ。
現在の上級ソードスキルには、“地”、“水”、“火”、“風”、“雷”、“闇”、“聖”の魔法属性を備えている。
そしてその魔法ダメージが、金色ミノタウロスに
だが、連撃数が多いソードスキルは、技後の硬直時間が長い。
其処に巨大バトルアックスが直撃すれば、HPが丸ごと持って行かれ、即死だ。
しかし皆は、それを理解したうえで、頷いた。
「うっしゃァ! そのひと言を待ってたぜ、キリの字!」
右翼で、クラインが愛刀を大上段に据えた。
左に飛んだリーファも、長剣を腰溜めに構える。
俺の背後で、ランが片手剣を、アスナが細剣を、リズがメイスを、シリカがダガーを、シノンは弓を構えた。
隣に居るユウキが、小声で囁いた。
「キリト、あれ使うの?」
「ああ、使うぞ。 お前はどうするんだ?」
「ボクも使うよ」
「了解」
俺はユウキとの会話を終えてから、指示を出した。
「シリカ、カウントゼロで《泡》を頼む!――二、一、ゼロ!」
俺の指示で、シリカが叫んだ。
「ピナ、《バブルブレス》!」
ピナは、いっぱいに開いた口から虹色の泡を発射した。
宙を滑った泡が、大技を繰り出そうとしていた金ミノの鼻先で弾けた。
魔法耐性の弱い金ミノは、ほんの一秒程であったが、幻惑に囚われ動きを止めた。
「今だ!」
クラインの持つ刀は炎に包まれ、リーファが持つ長剣からは疾風が巻き起こり、ランの持つ片手剣からは聖の光が、アスナが持つ細剣は氷を纏い、シリカが持つダガーは水飛沫を散らした、五人の剣が金ミノを切り刻み、リズが持つメイスが雷光を放ちながら唸り、抉る。
シノンは、弱点と思われる氷結属性の氷矢を後方から放ち、急所の鼻の頭を正確に貫く。
「う……おおッ!」
まずは高速五連突きから斬り下ろし、斬り上げ、そして上段斬り。 片手剣八連撃ソードスキル、《ハウリング・オクターブ》。 属性は物理四割、炎六割。
最後の上段斬りを放つ直前、右手で放ったソードスキルへのイメージをカットし、即座に命令を左手に集中させ、新たなソードスキルを放つ。
大型モンスターに有効な三連撃攻撃、《サベージ・フルクラム》。 物理五割、氷五割。
スキルが続いたことにより、右手で放ったソードスキル後に課される
左手が止めの一撃を決める寸前、再びイメージカットを行い、バックモーションの少ない垂直斬りから、上下のコンビネーション、そして全力の上段斬り。 高速四連撃、《バーチカル・スクエア》。 物理四割、風六割。
《バーチカル・スクエア》を出始めた所で、皆のスキルディレイが終了し、新たなスキルを放つ。
四撃目の上段斬りが入る直前、またイメージカットを行い、左手に新たなスキルを発動させる。 単発重攻撃、《ヴォーパル・ストライク》。 物理三割、炎三割、闇四割の攻撃を金ミノに命中させ、巨体を激しくノックバックさせる。
クラインたちの二回目のソードスキルも終了している。 今度こそ俺のアバターも長いスキルディレイに固められる。
金色ミノタウロスのHPゲージは、僅か二パーセントを残して停止した。
「ユウキ! 止めだ!」
「はああぁぁああ!」
俺の後方からユウキが駆け抜け、右手に握られた片手剣が、眼にも止まらぬ速度で突き込まれる。 OSS《マザーズ・ロザリオ》計十一連撃。 物理六割、闇四割。
この攻撃を受け、金色ミノタウロスのHPゲージはゼロになり、ポリゴン片へと爆散させた。
その彼方で、瞑想を続けていた黒色ミノタウロスが驚くように硬直した。
ディレイの硬直が解けた九人の視線が一斉に向けられた。 武器にライトエフェクトが纏う。
「よーし、牛野郎。 そこで正座だ」
クラインが言い放ち、黒色ミノタウロスに突撃した。 クラインに続き、俺たちも突撃を開始した。 その間、黒色ミノタウロスが怯えた悲鳴を上げたいたような気がするが……。 まぁ気にすることはない……。
巨体をポリゴン片に爆散させた後、俺とユウキに視線が向けられた。
♦♦♦♦♦♦♦♦
物理耐性の低い黒色ミノタウロスを倒し終え、戦闘が一段落した所で、クラインが俺とユウキに詰め寄った。
「キリの字! オメェ何だよさっきのは!?」
その言葉が、俺が使用した、片手剣二刀装備によるソードスキル連携攻撃を指している事は明らかだったが、技の仕組みを一から説明するのは大変面倒なので、面倒くさそうな顔を作ってから言う。
「……言わなきゃだめか」
「ったりめぇだ! 見たことねぇぞあんなの!」
俺は、やむなく簡潔に答えた。
「システム外スキルだよ。
「ンじゃ、最後ユウキちゃんが放ったあれは、何なんだ」
「ボクのは、OSS《マザーズ・ロザリオ》だね」
おー、という声がリーファ、リズ、シリカ、シノンの口から流れると、不意にアスナとランが右のこめかみに指先を当てて唸った。
「う……なんかわたし今、すごいデジャブったよ……」
「ええ……わたしもです……」
「気のせいだ」
「そうそう。 気のせいだよ」
俺とユウキは肩を竦め、ランとアスナの問いに答えた。
俺が声を発した。
「さぁ、のんびり話している余裕はないぜ。 リーファ、残り時間はどれくらいだ?」
リーファは左腰の鞘に長剣を音高く収め、首に下げたメダリオンを持ち上げた。
離れた位置からも、嵌め込まれた宝石がどんどん光を失っているのが見て取れる。
「……今のペースのままだと、一時間あっても二時間はなさそう。 急いだ方がいいかも」
「そうか、わかった。――ユイ、このダンジョンは全四層構造だったよな?」
俺の問いに、小妖精ははきはきと応じた。
「はいです。 三層の面積は二層の七割程度、四層のほとんどはボス部屋だけです」
「そうか」
左手を伸ばして、ユイの頭を優しく撫でながら、俺は状況を整理した。
今頃、遥か下方のヨツンヘイムフィールドでは、《霜の巨人族》側のクエストを受けたプレイヤーたちの動物型邪神狩りの勢いを増しているはずだ。 クエスト側に参加する人数は、増えこそはするが、減りはしないだろう。 残り時間は、一時間あるかどうかと見積もっておくべきだ。 ラスボス――、《王スリュム》との戦闘に三十分掛ると予想すると、三十分で三層、四層を突破しなければならない。
此処からは、時間との勝負になる。
四層のボス部屋まで辿り着いても、この九人だけで《王スリュム》に立ち向かうしかないのだ。
リズベットが俺の背中を叩き、叫んだ。
「……こうなったら、邪神の王様だかなんだか知らないけど、当って《砕く》だけよ!」
俺を含むメンバーも頷いた。
「よし、全員、HPMPは全快したな。 それじゃ、三層はさくさくっと片付けようぜ!」
「それじゃあ、レッツゴー♪」
ユウキの掛け声と同時に、九人は床を蹴ると、第三層に続く階段目掛けて走り始めた。
今回のお話は、キリト君の剣技連携とユウキちゃんのOSS《マザーズ・ロザリオ》でしたね。
今回は、ご都合主義満載やで~。
あと、バーチカル・スクエアの割合と、第一層のボスの戦いは、オリジナルですよ~。
キリト君とユウキちゃん、チートだよね(笑)
次の投稿も頑張る。うん、頑張る……。
ご意見、ご感想、評価、よろしくお願いします!!