ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

心が折れそうでも投稿する舞翼です!!
まぁ、うん、気合で頑張ったよ……。
作者は強い!!(自分で言うのもなんだが……)

まぁ、作者の愚痴はこれくらいにして。

誤字脱字があったらごめんよ。
それではどうぞ。


第91話≪新たな技術≫

氷の居城《スリィムヘイム》に突入してから、既に二十分が経過している。

《湖の女王ウルズ》が言っていた通り、ダンジョン内の敵影(てきえい)は相当に手薄くなっており、通路での雑魚Mob(モンスター)とのエンカウントはほぼゼロ。

フロアの中ボスも半分は不在だ。

現在俺たちは、第一層のボスであり、圧倒的攻撃力を持つ、右手にハンマーを持つ単眼巨人(サイクロプス)型ボスと交戦中だ。

 

「ぼるぉぉぉぉ!!」

 

「俺とリズでハンマーを弾く。 奴が仰け反ったら、皆で攻撃してくれ!!」

 

全員が俺の指示に頷いた。

指示が終わったと同時に、単眼巨人はハンマーを振り下ろしてきた。

俺とリズは奴のハンマーに対し、二刀のロングソードとメイスを衝突させ、それを弾く。

お互い仰け反る体勢になるが、ユウキとラン、リーファ、クラインが斬り込み、アスナとシリカは、支援魔法で全員のスターテスアップと回復。 シノンは弓を使用し援護射撃だ。

 

「ぼるぉぉぉぉ!!」

 

単眼巨人は野太い声を上げ、ハンマーを頭上に掲げる。

すると部屋全体に冷気が漂い、部屋の天井に氷柱(つらら)が形成される。

 

「来るぞ!」

 

奴がハンマーを振り下ろすと、氷柱が降り注いでくる。

俺とユウキ、ラン、クライン、アスナは、天井から降り注いでくる氷柱を弾きながら、単眼巨人に突進し、他のメンバーは回避行動を取る。

突進した五人は、無防備状態になった単眼巨人に様々なソードスキルを繰り出す。

 

「はああぁぁああ!」

 

最後に、ユウキが繰り出した単発重攻撃《ヴォーパル・ストライク》を受け、ポリゴン片へ爆散させた。

 

「やった♪」

 

それから全員でハイタッチを交わした。

 

「よし、次行こうか!」

 

第一層のボスを倒し回復を終えた後、第二層を駆け抜けて、再びボス部屋まで辿り着き、ボス部屋の中へ入った。

其処で俺たちを待ち受けていたのは、牛頭人身(ミノタウロス)型の大型邪神、二体だった。

右が全身黒色、左が金色、武器は双方共巨大なバトルアックス。

 

「うわ~、大きいね」

 

「……だな」

 

俺は金色の、ユウキ黒色のミノタウロスに突進し、攻撃を撃ち込む。

だが、金色のミノタウロスHPは、数ドットしか削れなかったのだ。

 

「なッ!?」

 

「……まじかよ。 キリトの攻撃が全然効いてないぞ!?」

 

俺とクラインは驚愕した。

一方、ユウキが攻撃した黒色のミノタウロスには、ダメージが通っていた。

これを見ていたユイが、大きな声で叫んだ。

 

「パパ、ママ。 どうやら金色のミノタウロスは《物理耐性》が、黒色のミノタウロスは《魔法耐性》が異常な高さで設定がされているようです!」

 

「「……なるほど(な)(ね)」」

 

俺とユウキは後方に飛び、元居た場所へ着地した。

金ミノは、巨大なバトルアックスを振り上げた。

 

「これは……ヤバくないかな……」

 

「ああ、ヤバいな……」

 

俺はユウキの問いに頷いた。

 

「衝撃波攻撃二秒前! 一、ゼロ!」

 

俺の頭に乗るユイが、小さな身体から精一杯の大声を振り絞る。

カウントに合わせて、前衛、中衛、後衛の九人が左右に大きく飛ぶ。

その間隙(かんげき)を、轟然(ごうぜん)と振り下ろされた斧の刃と、其処から生まれたショックウェーブが一直線に駆け向け、背後の壁を激しく叩く。

 

「キリトくん。 黒いのを倒してから、金色をじっくり攻めた方がいいかも!」

 

「よし! 黒色を集中攻撃だ!」

 

俺たちアスナの提案を受け入れ、黒ミノに集中攻撃を掛けるが、黒ミノのHPが減ると、金ミノが乱入して守りに来るのだ。

その間に黒ミノは後方で身体を丸め、瞑想をしてHPを回復させてしまう。

ならば、黒ミノが瞑想している間に、金ミノを集中攻撃で片付けようと考えたのだが、余りにも物理耐性が高くてHPがろくに削れない。

当然此方のHPも、範囲攻撃のスプラッシュ・ダメージでがりがり持って行かれて、アスナとラン二人のヒールでは、長時間支えきれないのは明白だ。

 

「キリトくん、今のペースだと、あと百五十秒でMPが切れる!」

 

「私も、アスナさんと同じです!」

 

こういう耐久戦で、ヒーラのMPが尽きれば、待っているのはパーティーの壊滅――すなわち《ワイプ》だ。 誰か一人でも生き残れば、残り火(リメインライト)を一つずつ回収して蘇生させることも不可能ではないが、手間と時間が掛かる。 そして全滅すれば、央都アルンのセーブポイントから出直しになる。 問題は、それをしている時間が残されているかどうかだが――。

俺の懸念を読んだかのように、右隣でリーファが囁いた。

 

「メダリオン、もう七割以上黒くなってる。 《死に戻り》している時間はなさそう」

 

「……解った」

 

頷き、大きく息を吸った。

此処が《旧アンクラッド》なら、撤退の指示を出している所だ。

あの世界では、《可能性に賭ける》などという真似は許されなかった。

しかし今のALOは、デスゲームではない。 だからこそ、可能性に賭ける事が出来る。

そこには、自分と仲間の力を信じる、という要素も含まれるはずだ。

 

「全員、金色にソードスキルの集中攻撃を仕掛けるぞ!!」

 

ALOに導入された《ソードスキル》。 そこに追加されたのが、《属性ダメージの追加》だ。

現在の上級ソードスキルには、“地”、“水”、“火”、“風”、“雷”、“闇”、“聖”の魔法属性を備えている。

そしてその魔法ダメージが、金色ミノタウロスに(とお)るはずだ。

だが、連撃数が多いソードスキルは、技後の硬直時間が長い。

其処に巨大バトルアックスが直撃すれば、HPが丸ごと持って行かれ、即死だ。

しかし皆は、それを理解したうえで、頷いた。

 

「うっしゃァ! そのひと言を待ってたぜ、キリの字!」

 

右翼で、クラインが愛刀を大上段に据えた。

左に飛んだリーファも、長剣を腰溜めに構える。

俺の背後で、ランが片手剣を、アスナが細剣を、リズがメイスを、シリカがダガーを、シノンは弓を構えた。

隣に居るユウキが、小声で囁いた。

 

「キリト、あれ使うの?」

 

「ああ、使うぞ。 お前はどうするんだ?」

 

「ボクも使うよ」

 

「了解」

 

俺はユウキとの会話を終えてから、指示を出した。

 

「シリカ、カウントゼロで《泡》を頼む!――二、一、ゼロ!」

 

俺の指示で、シリカが叫んだ。

 

「ピナ、《バブルブレス》!」

 

ピナは、いっぱいに開いた口から虹色の泡を発射した。

宙を滑った泡が、大技を繰り出そうとしていた金ミノの鼻先で弾けた。

魔法耐性の弱い金ミノは、ほんの一秒程であったが、幻惑に囚われ動きを止めた。

 

「今だ!」

 

クラインの持つ刀は炎に包まれ、リーファが持つ長剣からは疾風が巻き起こり、ランの持つ片手剣からは聖の光が、アスナが持つ細剣は氷を纏い、シリカが持つダガーは水飛沫を散らした、五人の剣が金ミノを切り刻み、リズが持つメイスが雷光を放ちながら唸り、抉る。

シノンは、弱点と思われる氷結属性の氷矢を後方から放ち、急所の鼻の頭を正確に貫く。

 

「う……おおッ!」

 

まずは高速五連突きから斬り下ろし、斬り上げ、そして上段斬り。 片手剣八連撃ソードスキル、《ハウリング・オクターブ》。 属性は物理四割、炎六割。

最後の上段斬りを放つ直前、右手で放ったソードスキルへのイメージをカットし、即座に命令を左手に集中させ、新たなソードスキルを放つ。

大型モンスターに有効な三連撃攻撃、《サベージ・フルクラム》。 物理五割、氷五割。

スキルが続いたことにより、右手で放ったソードスキル後に課される遅延時間(ディレイ)を、左の剣のソードスキルが上書きし、連続でスキルを放つことが出来る。

左手が止めの一撃を決める寸前、再びイメージカットを行い、バックモーションの少ない垂直斬りから、上下のコンビネーション、そして全力の上段斬り。 高速四連撃、《バーチカル・スクエア》。 物理四割、風六割。

《バーチカル・スクエア》を出始めた所で、皆のスキルディレイが終了し、新たなスキルを放つ。

四撃目の上段斬りが入る直前、またイメージカットを行い、左手に新たなスキルを発動させる。 単発重攻撃、《ヴォーパル・ストライク》。 物理三割、炎三割、闇四割の攻撃を金ミノに命中させ、巨体を激しくノックバックさせる。

クラインたちの二回目のソードスキルも終了している。 今度こそ俺のアバターも長いスキルディレイに固められる。

金色ミノタウロスのHPゲージは、僅か二パーセントを残して停止した。

 

「ユウキ! 止めだ!」

 

「はああぁぁああ!」

 

俺の後方からユウキが駆け抜け、右手に握られた片手剣が、眼にも止まらぬ速度で突き込まれる。 OSS《マザーズ・ロザリオ》計十一連撃。 物理六割、闇四割。

この攻撃を受け、金色ミノタウロスのHPゲージはゼロになり、ポリゴン片へと爆散させた。

その彼方で、瞑想を続けていた黒色ミノタウロスが驚くように硬直した。

ディレイの硬直が解けた九人の視線が一斉に向けられた。 武器にライトエフェクトが纏う。

 

「よーし、牛野郎。 そこで正座だ」

 

クラインが言い放ち、黒色ミノタウロスに突撃した。 クラインに続き、俺たちも突撃を開始した。 その間、黒色ミノタウロスが怯えた悲鳴を上げたいたような気がするが……。 まぁ気にすることはない……。

巨体をポリゴン片に爆散させた後、俺とユウキに視線が向けられた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

物理耐性の低い黒色ミノタウロスを倒し終え、戦闘が一段落した所で、クラインが俺とユウキに詰め寄った。

 

「キリの字! オメェ何だよさっきのは!?」

 

その言葉が、俺が使用した、片手剣二刀装備によるソードスキル連携攻撃を指している事は明らかだったが、技の仕組みを一から説明するのは大変面倒なので、面倒くさそうな顔を作ってから言う。

 

「……言わなきゃだめか」

 

「ったりめぇだ! 見たことねぇぞあんなの!」

 

俺は、やむなく簡潔に答えた。

 

「システム外スキルだよ。 剣技連携(スキルコネクト)

 

「ンじゃ、最後ユウキちゃんが放ったあれは、何なんだ」

 

「ボクのは、OSS《マザーズ・ロザリオ》だね」

 

おー、という声がリーファ、リズ、シリカ、シノンの口から流れると、不意にアスナとランが右のこめかみに指先を当てて唸った。

 

「う……なんかわたし今、すごいデジャブったよ……」

 

「ええ……わたしもです……」

 

「気のせいだ」

 

「そうそう。 気のせいだよ」

 

俺とユウキは肩を竦め、ランとアスナの問いに答えた。

俺が声を発した。

 

「さぁ、のんびり話している余裕はないぜ。 リーファ、残り時間はどれくらいだ?」

 

リーファは左腰の鞘に長剣を音高く収め、首に下げたメダリオンを持ち上げた。

離れた位置からも、嵌め込まれた宝石がどんどん光を失っているのが見て取れる。

 

「……今のペースのままだと、一時間あっても二時間はなさそう。 急いだ方がいいかも」

 

「そうか、わかった。――ユイ、このダンジョンは全四層構造だったよな?」

 

俺の問いに、小妖精ははきはきと応じた。

 

「はいです。 三層の面積は二層の七割程度、四層のほとんどはボス部屋だけです」

 

「そうか」

 

左手を伸ばして、ユイの頭を優しく撫でながら、俺は状況を整理した。

今頃、遥か下方のヨツンヘイムフィールドでは、《霜の巨人族》側のクエストを受けたプレイヤーたちの動物型邪神狩りの勢いを増しているはずだ。 クエスト側に参加する人数は、増えこそはするが、減りはしないだろう。 残り時間は、一時間あるかどうかと見積もっておくべきだ。 ラスボス――、《王スリュム》との戦闘に三十分掛ると予想すると、三十分で三層、四層を突破しなければならない。

此処からは、時間との勝負になる。

四層のボス部屋まで辿り着いても、この九人だけで《王スリュム》に立ち向かうしかないのだ。

リズベットが俺の背中を叩き、叫んだ。

 

「……こうなったら、邪神の王様だかなんだか知らないけど、当って《砕く》だけよ!」

 

俺を含むメンバーも頷いた。

 

「よし、全員、HPMPは全快したな。 それじゃ、三層はさくさくっと片付けようぜ!」

 

「それじゃあ、レッツゴー♪」

 

ユウキの掛け声と同時に、九人は床を蹴ると、第三層に続く階段目掛けて走り始めた。




今回のお話は、キリト君の剣技連携とユウキちゃんのOSS《マザーズ・ロザリオ》でしたね。
今回は、ご都合主義満載やで~。
あと、バーチカル・スクエアの割合と、第一層のボスの戦いは、オリジナルですよ~。
キリト君とユウキちゃん、チートだよね(笑)

次の投稿も頑張る。うん、頑張る……。

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