ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

舞翼です!!

今回は、ユウキちゃんが大胆発言?

それではどうぞ。


第75話≪武装選びとUntouchable!≫

三人の美少女は、曲がりくねった路地や階段を次々通り抜け大通りに出た。

正面には、煌びやかな店舗が見える。

女の子が店舗に指差し、

 

「あそこがガンショップだよ」

 

女の子の背中を追って、俺たちは店内に足を踏み入れた。

店内は様々な色と光と喧騒で満ち、アミューズメントパークのようだった。

NPC店員は揃って露出の大きいコスチュームを纏った美女たちで、天真爛漫な営業スマイルを振りまいているのだが、彼女たちの手には物騒な黒光りする拳銃や機関銃が握られている。

 

「……何だか、凄い店だね。 ユウ姉」

 

「そうだね。 シオリ(・・・)ちゃん」

 

……シオリとは、俺の偽名だ。

これは、黒歴史になるな。

俺たちが言うと、女の子が苦笑した。

 

「本当は、こういう初心者向けの総合ショップよりも、専門店の方が掘り出し物があったりするんだけどね。 まぁ、此処で好みの銃系統と見つけてからそういうとこ行ってもいいしね」

 

確かに、店内をうろついているプレイヤーは、ビギナーっぽい印象が多い。

 

「さてと、貴女たちのスターテスは、どんなタイプ?」

 

最初に俺が答えた。

 

「えっと、筋力優先、その次が素早さかな」

 

「うーん、ボクは素早さ優先で、その次が筋力かな」

 

「二人とも、AGI型に近いわね。 じゃあ、ちょっと重めのアサルトライフルか、もうちょっと大口径のマシンガンをメインアームにして、サブにハンドガンを持つ中距離戦闘タイプがいいかなぁ……。 あ……でも、貴女たちコンバートしたばかりだよね? てことは、お金が……」

 

「「……あ」」

 

俺とユウキは右手を振り、ウインドウを開いた。

コンバートをすればキャラクターの能力は引き継がれるが、アイテムや所持金は引き継がれない。

つまり、必然的にゲームを始めた時の初期金額になるということだ。

 

「「……千クレジット(だね)」」

 

二人の金額を合わせても、二千クレジットしかない。

こんな金額で買い物が出来るのか……??

 

「……ばりばりの初期金額だね」

 

女の子は唇の下に人差し指を当て、首を傾げた。

 

「う~ん、……その金額だと、小型のレイガンしか買えないかも……。 実弾系だと、中古のリボルバーが……どうなかぁ……。――あのね、もしよかったら……」

 

俺とユウキは女の子が今から言う事を察し、首を横に振った。

ここまで助けて貰って、会ったばかりの人にお金を貸してもらうなど以ての外だ。

 

「い、いや、いいですよ。 そこまでは。 えっと……何処かに、ドカンと手っ取り早く儲けられるような場所ってないですか? 確か、この店にはカジノがあっるって聞いたんですが……」

 

「えっ、カジノがあるの!!?? 見てみたいな~~」

 

ユウキは眼を輝かせているね。

こいつはイベントゲームが大好きだからなー。

 

「ああいうのは、お金が余っている時に挑戦した方がいいよ。 確かに、この店にカジノはあるけどさ……」

 

女の子は視線を巡らせ、店の奥を指差す。

 

「ほら。 あそこにギャンブルゲームがあるよ」

 

指差す先には、壁際の一画を占領する大きな代物が輝いていた。

金属タイル敷いた床の奥に、NPCガンマンが立っている。

そのガンマンの後ろには無数の弾痕に刻まれたレンガの壁と、その上部にピンクのネオンで≪Untouchable!(アンタッチャブル)≫の文字。

 

「あれは何??」

 

ユウキの問いに、女の子が解説してくれた。

 

「手前のゲートから入って、奥のNPCガンマンの銃撃を躱しながら何処まで近づけるか、っていうゲームだね。 今までの最高記録があそこだね」

 

女の子が指を指した先には、赤く発光するラインが引いてあった。

全体の三分の二といった所だ。

何か、俺も興味が出て来たな。

俺は女の子に聞いてみた。

 

「あれをクリアすると、幾ら貰えるんです??」

 

「えっと、確かプレイ料金が五百クレジットで、十メートル突破で、千クレジット。 十五メートル突破で、二千クレジットかな。 もしガンマンに触れば、今まで注ぎ込んだお金が全額バックね」

 

「「ぜ、全額!!??」」

 

「ほら、看板の所にキャリーオーバー表示があるよ。 えっと、今は六十万ちょいか。 でも、クリアするのは不可能ね」

 

「何でですか??」

 

俺が聞くと、女の子は肩を竦めた。

 

「あのガンマン、八メートルを超えるとインチキな早撃ちになるんだ。 リボルバーのくせに、無茶苦茶な高速リロードで三点バースト射撃するの。 予測線が見えた時には、もう手遅れよ」

 

「予測線……」

 

女の子が俺たちの肩を叩き、

 

「ほら、またプール額を増やす人が居るよ」

 

俺たちの視線の先には、三人連れの男たちが映った。

その内の一人がゲートの前に立ち、(てのひら)をパネルに添えた。

同時にゲーム開始のファンファーレが響き渡った。

この音を聞き、店内に居たプレイヤーたちが集まってくる。

NPCガンマンが英語で『へぇい。 てめぇのケツの穴を吹き飛ばしてやるぜ』的な言葉を放った後、ホルスターからリボルバーを抜いた。

ホログラフの数字が【0】になり、ゲートの金属バーが開いた。

男は『ぬおおぉぉりゃぁああ』と叫びながら、ガンマン目掛けてゲートを走る。

一メートル走った所で男は左足を上げた。

次の瞬間、ガンマンがリボルバーから銃弾を発射し、男が上げた左足の下を銃弾が通り抜けて行った。

男には、弾丸が通るコースが解っていたようだ。

 

「……今のは」

 

俺が呟くと、女の子は小声で答えてくれた。

 

「今のが、≪弾道予測線(バレッド・ライン)≫による攻撃回避」

 

男はガンマンまで残り五メートルという所で、三点バーストによって沈められていた。

男はとぼとぼとゲートから出て、元の場所に戻った。

女の子は再び肩を竦めてから、

 

「ね? 無理でしょう。 左右に動けるならともかく、殆んど一直線に突っ込まなきゃならないんだから。 絶対にあの辺が限界なのよ」

 

「シオリちゃん。 ちょっと耳貸して」

 

ユウキに言われ、俺は耳を貸した。

 

「(あのゲームにクリア出来たら、何でも一つだけお願いを聞いてあげるよ)」

 

と言ってから、ユウキは顔を離した。

 

「……本当に??」

 

「うん、本当だよ」

 

……うん。 絶対にクリアする。

やばい……燃えてきた……。

女の子が、俺の変わりように首を傾げていた。

 

「……ねぇ、何でそんなにやる気になっているの……??」

 

俺の耳には、彼女の言葉は届かない。

どうやってあれをクリアするか考えていないからだ。

 

ユウキは微笑みながら答えた。

 

「えっとね。 ボクが魔法を掛けたんだよ」

女の子は、再び首を傾げていたが。

 

「よしッ!! じゃあ、行ってくるね。 ユウ姉」

 

「行ってらっしゃい~」

 

ユウキは手を振り、俺を送り出してくれた。

このゲームは予測線が見えた時点で、クリアが出来なくなっているはずだ。

なら、答えは一つだ。

予測線を予測すればいい話だ。

 

「ねぇ、貴女の妹さん。 クリア出来るの……??」

 

「うん。 100%クリアするね」

 

という声が後ろから聞こえたが。

俺はゲートの前に立ち、パネルに手を添えた。

次いで、賑やかなサウンドが鳴り響く。

同時にカウントダウンが始まった。

カウントが【0】に成り、ゲート前の金属バーが開いたと同時に、床を蹴った。

ガンマンがリボルバーの照準は頭、右胸、左足をポイントしているはずだ。

それを予測し、思い切り左に跳ぶ。

直後、予想した場所を銃弾が通り過ぎた。

それを確認した後、思い切り跳び中央に戻る。

飛び道具を攻略する手段は、相手の《眼》見て射線を読むことだ。

SAOではモンスター《眼》を見て、先読みをしたものだ。

このシステム外スキルには、何度お世話になった事か。

このまま先読みを続けながら左右に跳び、弾丸を躱していった。

残り八メートルになると、女の子が言っていた三点バーストのインチキな早業になった。

これも躱して、残り二メートル半。

今、最後の銃弾を避けたので弾切れのはずだ。

だが、弾切れの筈なのにNPCガンマンが――にやりと笑った気がした。

突進してガンマンにタッチしようとしたが、嫌な予感がしたのでジャンプに変更。

ジャンプした途端、俺が居た場所にノーリロードでレーザーが放たれた。

俺は心の中で『そりゃないでしょ』と叫びつつ、空中で一回転半してガンマンの隣に着地し、肩にタッチした。

すると、ガンマンが頭を抱え、

 

「オーマイ、ガ―――――ッッッ!!」

 

と叫び、膝を付いたと同時にファンファーレの音が鳴り響き、ガンマンの背後のレンガが崩れ、そこから大量のコインが流れ出した。

ウインドウが出現し、金額入手ボタンに触れた。

するとコインが消滅し、ストレージの中に約六十万クレジットが収納された。

よっしゃッッ!! 金とお願い券が手に入った。

まさに、一石二鳥だね。

俺はゲートから出て二人の場所に戻った。

 

「お疲れさま」

 

「あれ、ユウ姉もクリア出来るよ。 私が出来たんだし」

 

「う~ん、でもどうやって??」

 

「あれはね。 弾道予測線を予測すればクリア出来るよ」

 

「なるほどね。 そういう攻略方があったのね」

 

そう言ってから、俺とユウキはハイタッチをした。

何か、妹の振りをするのが慣れてきたような……。

思い過ごしであって欲しい……。

水色髪の少女が声を枯らしながら、言った。

 

「……あなた。 弾道予測線を予測して、あのゲームをクリアしたの……??」

 

「え、まぁ、そうです」

 

「……貴女たち姉妹って、何者……」

 

「「えっと……私(ボク)たちは、ユウ姉(シオリちゃん)が大好きな姉妹だけど……」」

 

俺たちの言葉を最後に、ギャラリーたちが口を開けて黙り込んでしまった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

数分後。

周りに居たギャラリーたちが散ったガンショップの一角で、ライフルを順に眺めていた。

 

「ユウ姉。 どんな銃にすればいいか解らないね……」

 

「メインアームはアサルトライフルかマシンガンがにいいって言っていたけど……。 何か、しっくりこないんだよね……」

 

「「う~ん……」」

 

少女は水色髪を揺らしながら、俺たち二人を『じーっ』と見ていた。

 

「……ねぇ、あなたもあんな回避技術持っているの……??」

 

この言葉は、ユウキに向けられた言葉だ。

 

「うん、持ってるよ。 シオリちゃんに出来る事は、ボクも出来るからね」

 

「……貴女たちって、前はどんなゲームに居たの?」

 

俺が少女の問いに答えた。

 

「よくある、ファンタジー系のやつですよ。 私たちは二つ名持ちでしたね」

 

「そう……。――BOBの予選では、貴女たちの戦闘力を見せて貰うね」

 

それから、ショーケースの前をゆっくり歩き始めた。

どれにしようか迷いながら唸っている内に、一番端の陳列棚まで来てしまった。

その一番端の陳列棚には、銃と明らかに異なる、金属の筒が並んでいた。

俺が少女に聞いた。

 

「あの……これは?」

 

彼女は肩を竦め、

 

「ああ……これは光剣よ。 正式名称は《フォトンソード》だけど、みんなレーザーブレードとか、ライトセーバーとか、ビームサーベルとか、適当に呼んでる」

 

「け、剣!!?? この世界にも剣があるんですか。 ユウ姉!!」

 

「うん!! これにしようよ!!」

 

そう言ってから俺とユウキは、黒い塗装の筒の画面をワンクリックし、出てきたポップアップメニューから【BUY】を選択した。

それからNPCの店員がやって来て、スキャナ画面を表示させた。

それに掌を押しあて、《フォトンソード》を実体化させてから手に取り持ち上げた。

NPC店員は『お買い上げありがとうございました~』と笑顔で一礼してから、元の定位置まで戻った。

 

「……あーあ、二人して買っちゃった。 ま、戦闘スタイルは自由だけどさ。 貴女たちは、戦闘スタイルも似てる気がするね」

 

「ま、まぁ、確かに。 私たちは戦闘スタイルも似てますね」

 

「だねー。 ボクとシオリちゃんは、二人で一人って感じだからね」

 

そう言ってから親指でスイッチを入れ、エネルギーの刃をが一メートルほど伸長して周囲を照らした。

 

「「おお」」

 

何度か光剣を振ってから、エネルギー刃を収納させた。

 

「サブに、ハンドガンは持っていた方がいいわよ。 牽制に使えるしね」

 

「「……確かに」」

 

「もう、お願いしようか。 ユウ姉」

 

「そうだね」

 

「あの、もう、お任せします」

 

女の子は銃が並んでいる陳列棚をゆっくり歩き、その内の一つを指差す。

 

「貴女たちにはこれがいいわね。《FN・ファイブセブン》」

 

少女が言った《FN・ファイブセブン》と予備弾倉、防護ジャケット、ベルト型の《対光学銃防護フィールド発生器》を二つずつ購入したら、先程のゲームで稼いだ六十万が綺麗に消えてしまった。

 

「一通り買い終えましたね」

 

「ありがとう。 助かったよ」

 

少女にお礼を述べると、

 

「いいよ、こっちもやることが無くて暇だったしね。 エントリーまで時間があるけど、店の中を見て行く??」

 

「いや、いいですよ」

 

「総督府に行こうよ」

 

「わかったわ。 それじゃあ、行きましょうか」

 

美少女三人は総督府に向けて足を進めた。

 




武装選びが終わりましたね。
あと、シオリの漢字の書き方は士織ね。
ゲームは、キリト君がクリアしましたね。

つか、キリト君。妹キャラが板に付いてきてるね(笑)
ユウキちゃんが、お姉さんっって感じだもんね。

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