ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

舞翼です!!

頑張って書きました。

それではどうぞ。


第74話≪銃の世界と黒髪美少女≫

俺たちはセレブ御用達の店を出てから、エギルが経営するカフェ兼バーの≪Dicey Cafe(ダイシー・カフェ)≫に向かっていた。

 

理由は、ALOでエギルが経営している店に、アイテムを預かって貰う許可を得る為だ。

ドアを押し開けたと同時に、備え付けられていたベルが“カランカラン”と音を立て、店内に響いた。

カウンターでグラスを磨いていた、巨漢の男がニヤっと笑いこちらを見た。

 

「いらっしゃい。 キリトにユウキちゃん」

 

俺たちは近くのスツールに腰を下ろした。

 

「エギル。 ジンジャエール」

 

「ボクも同じのお願い」

 

数分後。

眼前に炭酸の気泡を、シュワシュワと音を立てたグラスが置かれた。

一口飲んで喉を潤す。

俺たちは一息吐いてから、口を開いた。

 

「エギル。 実はALOから、キャラクターをコンバートさせる事になったんだ」

 

「だから……アイテムの事なんだけど。 二、三日の間だけ預かってくれないかな……」

 

エギルは一つ頷いてから、

 

「まぁ、それはいいが……また危ない事に、首を突っ込んでるんじゃねぇよな?」

 

「「ギクッ!?」」

 

エギル、勘が鋭すぎるよ……。

 

「大丈夫だ。 危険な事は無いはずだ」

 

「ちょっとだけ、他のゲームのリサーチをしてくるだけだから」

 

「……なら、いいけどよぉ。 何かあったら俺たちを頼れ、いいな??」

 

「「ああ(うん)」」

 

俺と木綿季は、『いい仲間を持ったな』、と改めて実感したのだった。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

俺たちは今、菊岡に指定された入院病棟三階にやって来ていた。

ドアの隣のネームプレートに患者の名前は書かれていない。

ノックの後、ドアを引き開けた。

 

「おっす! 桐ケ谷君、お久しぶり!」

 

俺を出迎えた人物は、長いリハビリの期間にお世話になった、女性看護婦の安岐さんだ。

俺は軽く頭を下げた。

 

「あ……ど、どうも、ご無沙汰してます」

 

安岐さんは、俺の隣に眼をやった。

 

「そっか~、君が紺野木綿季ちゃんだね。 桐ケ谷君がリハビリ期間中、何時も君の事を言っていたね。『俺の大切な人だ』ってね」

 

人に言われると恥ずかしいな……。

あの時は早く歩けるようになって、木綿季に会いに行くことしか頭になかったからな。

 

「こんにちは、桐ケ谷(・・・)木綿季です。 和人がお世話になりました」

 

そう言ってから、木綿季はぺこりと頭を下げた。

安岐さんは首を傾げた。

 

「ん、桐ケ谷……紺野じゃなくて……」

 

安岐さんは手を打ってから、

 

「あ、そういうことね……。 二人はできているのね……。 なるほど、桐ケ谷君の必死さが解ったわ」

 

安岐さんは少し考えてから、

 

「二人は、もう経験済みなのね」

 

「「いや、まだです(けど)」」

 

「結婚の約束もしているんでしょ。 早めに終わらせときなよ」

 

木綿季が爆弾を投下した。

 

「誘っているんですけど。 和人は中々の奥手で」

 

嫌な予感がする。

 

「ほほう。 美少女の誘いを断るなんて、桐ケ谷君……いや、和人君も中々やるね」

 

「いや、そういうのは、もう少し大人になってから……。 木綿季も待ってくれるらしいので……」

 

安岐さんは笑みを浮かべた。

 

「まっ、頑張りなさい。 君たちはお似合いのカップルよ」

 

俺は自分を立て直してから、安岐さんに聞いた。

 

「……あと、今日なんですけど」

 

「あの眼鏡のお役人さんから話は聞いているよー。 何でも、お役所の為に仮想……ネットワーク?の調査をするんだって? 君たちが《あの世界》から帰って来て一年も経っていないのに、大変だねぇ。取り敢えず、これからよろしくね。 桐ケ谷夫婦」

 

「「こ、こちらこそ……よろしく(お願いします)……」」

 

俺は気になる事を聞いてみた。

 

「……で、眼鏡の役人は来てないんですか?」

 

「うん、外せない会議があるとか言ってた。 伝言、預かってるよ」

 

渡された茶封筒を開き、手紙を引っ張り出す。

 

【報告書は店で渡したアドレスに頼む。 諸経費は任務終了後、報酬と併せて支払うので請求すること。 追記――美人看護婦と婚約者と個室だからといって、若い衝動を暴走させないように】

 

「……あのやろう」

 

一瞬で封筒ごと握り潰し、ポケットに放り込む。

俺は強張った笑みで、安岐さんを見た。

 

「あー……それじゃあ、早速ネットに接続をお願いできますか……」

 

「あ、はいはい。準備出来てます」

 

俺たちが案内されたベッドの脇には仰々しいモニターの数々が並び、ベッドレストの上には新しいアミュスフィアが置かれている。

 

「じゃあ脱いで、桐ケ谷夫婦。 電極を貼るから」

 

「「は」」

 

「早く早く、カーテンあるから」

 

電極を貼ってから、俺たちはベットに横になった。

 

「何で、一緒のベッドに寝れるのかな~」

 

安岐さんは、ニヤニヤと笑みを零していた。

 

「ま、まぁ、色々あるんですよ……」

 

俺は言葉を濁した。

何か、色々とばれてる気もするが……。

 

「安岐さん。 ボクたちの体、お願いしますね」

 

「多分、五時間位潜りっぱなしだと思いますが……」

 

「はーい。 君たちの体はしっかり見てるから、安心して行ってらっしゃい」

 

それから俺たちは眼を閉じ、銃の世界に赴くコマンドを唱えた。

 

「「リンク・スタート」」

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

数秒後。 俺は銃の世界に降り立った。

この世界の空一面は、薄く赤味を帯びた黄色に染まっていた。

GGOの舞台である地は、最終戦争後の地球という設定だ。

この空は、黙示録的雰囲気を出す為の演出なのかもしれない。

俺は改めて、眼前に広がるGGO世界都市、《SBCグロッケン》の威容に眼を向ける。

メタリックな質感を持つ、高層建築群が天を衝くように黒々と聳え、それらを空中回廊が網目のように繋いでいる。

ビルの谷間を、ネオンカラーのホログラム広告が鮮やかに流れている。

俺が立っている場所は、金属プレートで舗装された道の上だった。

どうやら此処が、初期キャラクターの出現位置らしい。

俺は両手を広げて見た。

俺はそれを見て、嫌な予感がした……。

両手の肌は白く滑らかで、指も吃驚するほど細い。

視点からして、そんなに身長は高いとは思えない。

すると、後ろから声を掛けてきた人物が居た。

振り向くと、漆黒の大きな眼に長い黒髪を揺らした、女性プレイヤーであった。

 

「あの~、貴方のお名前を伺ってもよろしいでしょうか??」

 

「えっと、キリトですけど……。貴方は??」

 

「ボクの名前は、ユウキでs」

 

「「え、ええええぇぇぇぇええええ―――――ッッッ!!!!!」」

 

よく見てみたら、ユウキだ。

現実世界の容姿に酷似している。

この世界では、敵を怯えさせる外見がパラメーターになる。

男たちは濃い無精髭(ぶしょうひげ)を伸ばし、或いは顔に目立つ傷痕を刻んでいる。

だがユウキのアバターは、一言でいえば美少女だ。

 

「え、本当にキリトなの!!?? ボクの婚約者のキリトだよね!!??」

 

「あ、ああ、そうだぞ……。 どうしたんだ、そんなに取り乱して……??」

 

俺はユウキに手を引かれ、近場にあるガラスに自身を映した。

そして、眼を見開いた。

 

「な……なんじゃこりゃ!!??」

 

映っていたのは、ユウキと同じく美少女だった。

長い黒髪が、頭頂部から肩甲骨あたりまで滑らかに流れている。

顔は手と同じで、透き通るような白、唇は紅、漆黒の瞳。

 

すると、俺たちに駆け寄るプレイヤーが居た。

 

「おお、お姉さん運がいいね! そのアバター、F一三〇〇番系でしょ! め~~~たに出ないんだよ、そのタイプ。 どう、アカウントごと売らない? 二メガクレジット出すよ!」

 

え……お姉さん??

俺は放心していたが、すぐに我を取り戻し、ある事故が起きていないか調べる為、両手で自身の胸をまさぐった。

幸い、そこには平らな胸板があった為、危惧した事には成らなかった。

次の言葉が俺の胸を貫く。

 

「おじさん、この子はボクの可愛い()なの!」

 

……ユウキさん、今何と仰いました。 俺の耳が確かなら、妹って。

うん。 腹を括るしかない……。

少し声のキーを上げて、

 

「……ユ、ユウ姉(・・・)。 怖いよ~」

 

と言い、俺はユウキに抱き付いた。

ユウキは、俺の頭を撫でてくれた。

 

「そ、そうなのか……。 姉妹(・・)なのか、悪かった」

 

……今のおじさんが姉妹だってよ。

てか、傍から見れば姉妹に見えるんだね……。

 

男はそれを聞き、残念そうにこの場から去って行った。

だがまぁ、一つだけ良かったことがある。

この世界に来た目的は、噂の《死銃》と接触して、正体を探ることでもある。

その為には、とにかく強いアピールをし、目立たなくてはならない。

この姿で勝ち続ければ目立つことが出来る、と言う事だ。

……俺って、妹キャラを通すのか……。

自分で言うのも何だが、こんなに可愛い子が銃をぶっ放すなんて、シュールすぎるだろう……。

 

「なぁ、ユウキ。 俺って妹キャラを通していくのか……??」

 

「この世界に慣れるまでは、姉妹で通そうよ!!」

 

ユウキさん、何かテンション上がってませんか??

そう言えば、前から妹が欲しいとか言ってたな。

……この世界に慣れるまで、ユウキの妹で通すか。

 

「この世界に慣れるまでは、俺はお前の妹でいくか……」

 

「姉妹なんだから、手を繋いで移動しようか」

 

そう言ってから、ユウキは手を差し出して来た。

俺は手を取り、握り返した。

 

「行こうか」

 

「おう」

 

それから、俺たちは移動を開始した。

 

――数分後、あっけなく道に迷った。

 

SBCグロッケンと言う都市は、どうやら広大なフロアが幾つも重なる、多層構造をしているらしい。

簡単に言えば、ダンジョンを彷徨っているみたいだ。

メインメニューから詳細なマップを呼び出す事は可能だが、表示される現在地と、実際に広がる光景を照合するが容易ではない。

だが、此処はMMOだ。

ここで取るべき手段は一つ。

俺たちは一人の後ろ姿に駆け寄り、背後から声を掛けた。

 

「「あの~、すいませーん。 道を……」」

 

振り向いたのは、女の子だ。

細い青い髪は無造作なショートで、くっきりとした眉の下に、猫科な雰囲気を漂わせる藍色の大きな瞳が輝き、小ぶりな鼻と薄い唇。

首には、サンドカラーのマフラーを巻いている。

彼女には警戒の色が見えたが、すぐにそれは消え去った。

彼女に眼には、女の子が映っていたからだろう。

……俺は男なんだが。

彼女を騙す事になってしまうけど、姉妹で通そう。

 

「……このゲーム、初めて? 何処行くの?」

 

「はい、初めてなんです。 おr……私たち、道に迷ってしまって……」

 

「何処か安い武器屋さんと、あと総督府、って所に行きたいな」

 

と言い、美少女二人は首を傾げた。

 

「総督府? 何しに行くの?」

 

「えっと、バトルロイヤルイベントのエントリーに……」

 

それを聞いた途端、彼女は眼を丸くした。

 

「え……ええと、今日ゲームを始めたんだよね? その、イベントに参加するには、ちょっとステータスが足らないかも……」

 

ユウキが、彼女の問いに答えてくれた。

 

「大丈夫だよ。 コンバートだから」

 

「へぇ、そうなんだ」

 

彼女から笑みが浮かんだ。

 

「聞いていい? 何で貴方たち姉妹は、こんな埃っぽくて、オイル臭いゲームに来ようと思ったの」

 

「それは……ええと、私たちは、ずっとファンタジーなゲームばっかりやっていたんですけど。 たまには、サイバーっぽいのが遊びたいなってね。 ね、ユウ姉」

 

「うんうん。 銃を使うゲームに、興味もあったしね」

 

「そっかー。 それでいきなりBOBに出ようなんて、根性あるね」

 

彼女は大きく頷き、

 

「いいよ、案内してあげる。 私も総督府に行く所だったんだ。 その前にガンショップだったね。 好みの銃とか、ある?」

 

「「え、えっと……」」

 

俺たちは言葉に詰まった。

俺とユウキは、銃の事は全くの無知なのだ。

解るとしても、アサルトライフルとサブマシンガン位だ。

女の子は微笑をした。

 

「じゃあ、大きいマーケットに行こう。 こっち」

 

美少女三人(・・・・・)は、マーケットに歩を進めた。

 




遂に、GGOにログインしましたね。

この世界では、キリト君はユウキちゃんの妹?なんですかね(笑)

あと、キリト君はユウキちゃん以外の人に話す時は、キーが高くなっているということで。

シノンの過去の話を飛ばしてしまったが……。

何処かで書ければ書きますね。

ご意見、ご感想、評価、よろしくお願いします!!

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