ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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どもっ!!

舞翼です!!

頑張って書きました。

うん。 やっぱ小説書くのって難いね。

誤字脱字があったらごめんよ。

それではどうぞ。


第70話≪攻略記念パーティー≫

オフ会を開催する場所は、エギルが経営している≪Dicey Cafe(ダイシー・カフェ)≫。

店のドアには、無愛想な文字で《本日貸切》木札が掛けられている。

俺は隣の直葉に顔を向け、言った。

 

「スグは、エギルと会ったことあったっけ?」

 

「うん、向こうで二回くらい一緒に狩りをしたよ。 おっきい人だよね~」

 

「言っとくけど、本物もあのマンマだからな。 心の準備しておけよ」

 

直葉の向こうで、木綿季がクスクス笑った。

 

「最初見た時は驚いたよ」

 

「俺も最初はびびったな~」

 

驚いた顔をする直葉の頭に手を置いて笑いかけると、俺は一気にドアを押し開けた。

店の奥では《SAO攻略記念パーティー》と書かれた横断幕が掲げられ、皆の手には飲み物のグラスが握られており、かなり盛り上がっていた。

 

「おいおい、俺たちは遅刻してないぞ」

 

「うん。 ボクたちは、時間通りに来たはずだよ」

 

俺とユウキがそう言うと、リズベットが進み出て来て言った。

 

「主役は最後に登場するものですからね。 あんた達には、ちょっと遅い時間を伝えてたのよん。 さ、入った入った」

 

俺たち三人は店内に引っ張り込まれた後、飲み物を受け取った。

リズがステージの上に立つと、店内に流れるBGMが途切れた。

 

「えー、それでは皆さん、ご唱和ください。……せーのぉ!」

 

「「「「「「キリト、ユウキ、SAOクリア、おめでとー!!!!!!」」」」」」

 

全員の唱和。 盛大なクラッカーの音。 拍手。

今日のオフ会――《アインクラッド攻略記念パーティー》。

店内には、俺の予想を遥かに上回る人数が参加していた。

ステージに立っているリズが言ってきた。

 

「さ、キリトとユウキで、乾杯の音頭をとって」

 

「「……え」」

 

これは、予定に無かったはずだ……。

参加しているメンバーが歓声や、口笛を吹きながら、俺とユウキを壇上に押し上げた。

俺とユウキが『せーの』と息を合わせ、

 

「「それでは皆さん、乾杯―!!」」

 

「「「「「「「カンパーイー!!!!!」」」」」」

 

乾杯の後、エギル特製の巨大ピザの皿が何枚も登場する辺りで、パーティーは完全なカオス状態に突入した。

ユウキは、リズに連行されていたが……。

余計な事は言うなよ。

俺はカウンターに辿り着き、スツールに腰を下ろした。

 

「マスター、バーボン。 ロックで」

 

いい加減なオーダーと告げると、白シャツに黒の蝶ネクタイ姿の巨漢が俺を見下ろしてから、本当にロックアイスに琥珀色の液体を注いだ、ダンブラーが滑り出てくる。

恐る恐る舐めてみれば、ただの烏龍茶だった。

ニンマリ笑う店主を見上げて、唇を曲げていると、スーツ姿にネクタイを締め、額に趣味の悪いバンダナを巻いている男が、俺の隣に座った。

風林火山ギルドリーダー、クラインだ。

 

「エギル、オレには本物をくれ」

 

「おいおい、いいのかよ。 この後会社に戻るんだろう」

 

「へっ、残業なんて飲まずにやってられるかっての」

 

それから反対側のスツールに、もう一人の男が腰を降ろした。

元《軍》の最高責任者、シンカーだ。

俺はグラスを掲げると、言った。

 

「そういえば、ユリエールさんと入籍したそうですね。 遅くなりましたが――おめでとう」

 

俺はグラスを合わせた。

シンカーは照れくさそうに笑った。

 

「いやまぁ、まだまだ現実に慣れるのに精一杯って感じなんですけどね。 ようやく仕事も軌道に乗ってきましたし……」

 

クラインもダンブラーを掲げ、身を乗り出した。

 

「いや、実にめでたい! そういえば、見てるっすよ、新生《MMOトゥデイ》」

 

シンカーは再び照れた笑顔を浮かべた。

 

「いや、お恥ずかしい。 まだまだコンテンツも少なくて……それに、今のMMOの事情じゃ、攻略データとかニュースとかは、無意味になりつつありますしねぇ」

 

「まさしく宇宙誕生の混沌、って感じだもんな。 そういえば、キリの字よ。 今のユウキちゃんとは、どういう関係なんだ??」

 

「え、うん、まぁ、《婚約者》だ」

 

「じゃあ、籍を入れられる年齢になったら、入れるつもりですか??」

 

シンカーは笑みを浮かべて言っていた。

 

「まあ、はい」

 

クラインは、俺の肩を掴んで、

 

「――ちきしょー、リア充爆発しろ!! それにしても……いいねぇ……」

 

鼻の下を伸ばしまくるクラインに、俺は溜息を吐くと烏龍茶の入ったダンブラーを呷った。

確かに、眼の保養と言いたくなる光景ではあるな。

ユウキ、ラン、アスナ、リズベット、シリカ、サーシャ、ユリエール、リーファと、女性プレイヤーが勢揃いしている光景は、写真に撮って飾っておきたいほどだ。

――実際、ユイの為に録画をしているんだが。

 

 

Side ユウキ

 

このテーブルには、ボクと姉ちゃん、アスナ、リズ、シリカちゃん、リーファちゃん、サーシャさん、ユリエールさんが集まっている。

此処のテーブルには、女性プレイヤー陣が揃ったことになるね。

 

「そういえば、ユウキちゃん。 キリト君一緒に住んでいるんでしょ??」

 

アスナがボクにそう言ってきた。

う~ん、これ位なら言ってもいいかな。

みんな、ボクたちの関係知っているしね。

 

「うん、一緒に住んでいるよ。 ボクは今、和人のお家でお世話になっているよ」

 

リーファちゃんが、ボクに続いて言った。

 

「もう家では、『お義姉ちゃん』って感じですね」

 

「(スグちゃんは、ボクのことをそういう風に見ていてくれたんだ。 嬉しいなー。)」

 

リズがグラスを掲げながら、ボクの前まで出て来た。

 

「ちょっと待ちなさい。 一緒に暮らしているの!!?? ラン、あんたはこの事知っていたの!!??」

 

姉ちゃんには報告したから知っているよね。

『ボクと和人は、正式な婚約者になりました』って、同棲している事も伝えたっけ。

姉ちゃんは笑みを浮かべながら、言った。

 

「知っていたわよ。 あとこれも言っとこうかしら。 私はキリトさんには振られたわ。 この子には敵わなかった。 あの世界では、一緒に暮らしていたわよ。 とても楽しかったわ。 ユイちゃんにも会えたしね」

 

「「「「「「振られたの、一緒に暮らしていたの!!!!!?????」」」」」」

 

驚きの声が一斉に上がった。

 

「キリトさんを責めないであげてくださいね。 告白したのは私からなんですから。 吹っ切れているから、ネタにしてもいいわよ。 でも、キリトさんに迷惑は掛けないようにね」

 

「「「「「「えーーーーーーーーー!!!!!」」」」」」

 

姉ちゃんの言葉で、本日二度目の驚きの声が上がったね。

姉ちゃんが、ボクを見て言った。

 

「そういえばユウキ。 キリトさんとは何時頃結婚するの??」

 

「う~ん、結婚出来る年齢になったらするつもりだよ。 先に籍を入れてからだけどね」

 

「幸せになりなさいよ」

 

「うん。――姉ちゃんも、王子様を見つけないとね」

 

「もう、余計なお世話よっ」

 

その後、ボクはへろへろに成るまで質問をされた。

きちんと全部答えたけどね。

それから、覚束無い足取りで和人が座っているスツールに向かった。

 

Side out

 

 

「和人~、疲れたよ~」

 

「おう、お疲れ」

 

ユウキは自然に、俺の膝の上に座った。

俺も自然に、腰に手を回した。

 

「和人ー、この烏龍茶飲んでいいかな? 喉が渇いちゃって」

 

「いいぞ」

 

ユウキは、俺の飲み掛けの烏龍茶を一気に飲んでしまった。

これを見ていたエギル、シンカー、クラインは眼を丸くしていたが。

シンカーは、気を取り直して俺を見てきた。

 

「キリトさん。 あの時、助けてくださって本当にありがとうございました」

 

そう言ってから、シンカーは座りながら頭を下げた。

多分、地下で救出した時の事を言っているんだろう。

 

「いえ。 あの時は、二人の協力があったからですよ」

 

「あ、そういえば、もう一人方とは、どうなったんですか?」

 

シンカーは、ランとユウキを一瞥してから聞いてきた。

てか、其処を聞いてくるか……。

 

「えーと、察してください……」

 

「……なるほど」

 

シンカーは大人だ、今ので伝わるとは。

 

「くそう、俺も《あっち》で相手を見つけとけばよかったぜ。 キリの字。 てめぇー、羨ましすぎるぞ!!」

 

「クラインさんも、いい相手が見つかるよー」

 

ユウキは、クラインを慰めるように言っていた。

俺はそれを見てから、エギルの顔を見た。

 

「エギル、どうだ? その後――《種》のほうは」

 

エギルは笑みを浮かべると、愉快そうに言った。

 

「すげえもんさ。 今、ミラーサーバーがおよそ五十……ダウンロード総数は十万、実際に稼働している大規模サーバーが三百ってとこかな」

 

《世界の種子》――。

それは茅場の開発した、フルダイブ・システムによる全感覚VR環境を動かす為の物。

《ザ・シード》と名付けられた、一連のプログラム・パッケージだった。

《カーディナル》システムを整理し、小規模サーバーでも稼働出来る、その上で走るゲームコンポ―ネントの開発支援環境もパッケージリングした。

VRワールドを作りたいと望む者は、パッケージをダウンロードして、回線のそこそこ太いサーバーに接続すれば、それだけでVRワールドが誕生する。

《真なる異世界》を求め続ける、果てしない夢想だ。

俺は事前にエギルに依頼し、《ザ・シード》を全世界にばら撒きサーバにアップロードし、個人でも落とせるように完全開放させた

死に絶えるアルヴヘイム・オンラインを救ったのが、この《ザ・シード》だ。

それから、次々にVRサーバーが稼働したのだ。

《ザ・シード》の利用法は、ゲームだけに留まらなかった。

教育、コミュニケーション、観光。

これにより、カテゴリーのサーバーが誕生し日々新たな世界が生まれるのだ。

シンカーは苦笑しながらも、何処か夢見る眼差しで言った。

 

「私たちは、多分いま、新しい世界の創生に立ち会っているのです。 その世界を括るには、もうMMORPGという言葉では狭すぎる。 私のホームページの名前も新しくしたいんですがね……なかなか、これ、という単語が出てこないんですよ」

 

「う~…………む……」

 

腕組みしながら考え込むクラインに、俺は笑いながら言った。

 

「おい、ギルドに《風林火山》なんて名前付けるやつのセンスには誰も期待してないよ」

 

ユウキがフォローするように言った。

 

「でも、ボクはカッコいい名前だと思うけどな~」

 

「お、ユウキちゃんは解ってくれるか!!」

 

それを見て苦笑してから、再びエギルに向かって言った。

 

「おい、二次会の予定は変更無いんだろうな?」

 

「ああ、今夜十一時、イグドラシル・シティ集合だ」

 

俺は声を潜めた。

 

「アレは、動くのか?」

 

「おうよ。 新しいサーバー群を丸々一つ使ったらしいが、何せ《伝説の城》だ。 ユーザーもがっつんがっつん増えて、資金もがっぽりがっぽりだ」

 

「そう上手く行きゃいいけどな」

 

俺はそれを聞き、店の天井を見詰めた。

今日《伝説の城》が彼方から現れる――。

 

「おーい、キリト、ユウキ。 また詳しく話を聞かせて貰うから、こっちこーい!!」

 

リズベットが手を振って、俺とユウキを呼んだ。

俺はエギルに聞いた。

 

「……あいつ、酔ってるよな……?」

 

彼女はピンク色の飲み物が入った、グラスを片手に掲げている。

あれ、酒だよな……?

エギルが澄まし顔で言った。

 

「一パーセント以下だから大丈夫だ。明日は休日だしな」

 

「おいおい……。はぁ~、行こうか」

 

俺はユウキの肩に手を置いた。

 

「ん、了解」

 

俺とユウキは立ち上がった、長い夜になりそうだ。

 




ユウキちゃんだけ、リアルの呼び方にしました(キリト君の)
キャラネームだと、違和感がありまして。
店に入ってからは、キャラネームということで。
あと、女性陣の声は男性陣には、ただの世間話に聞こえていたということで。

さて、ALOも残す所、あと一話だね。

ご意見、ご感想、評価、よろしくお願いします!!

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