舞翼です!!
頑張って書きました。
うん。 やっぱ小説書くのって難いね。
誤字脱字があったらごめんよ。
それではどうぞ。
オフ会を開催する場所は、エギルが経営している≪
店のドアには、無愛想な文字で《本日貸切》木札が掛けられている。
俺は隣の直葉に顔を向け、言った。
「スグは、エギルと会ったことあったっけ?」
「うん、向こうで二回くらい一緒に狩りをしたよ。 おっきい人だよね~」
「言っとくけど、本物もあのマンマだからな。 心の準備しておけよ」
直葉の向こうで、木綿季がクスクス笑った。
「最初見た時は驚いたよ」
「俺も最初はびびったな~」
驚いた顔をする直葉の頭に手を置いて笑いかけると、俺は一気にドアを押し開けた。
店の奥では《SAO攻略記念パーティー》と書かれた横断幕が掲げられ、皆の手には飲み物のグラスが握られており、かなり盛り上がっていた。
「おいおい、俺たちは遅刻してないぞ」
「うん。 ボクたちは、時間通りに来たはずだよ」
俺とユウキがそう言うと、リズベットが進み出て来て言った。
「主役は最後に登場するものですからね。 あんた達には、ちょっと遅い時間を伝えてたのよん。 さ、入った入った」
俺たち三人は店内に引っ張り込まれた後、飲み物を受け取った。
リズがステージの上に立つと、店内に流れるBGMが途切れた。
「えー、それでは皆さん、ご唱和ください。……せーのぉ!」
「「「「「「キリト、ユウキ、SAOクリア、おめでとー!!!!!!」」」」」」
全員の唱和。 盛大なクラッカーの音。 拍手。
今日のオフ会――《アインクラッド攻略記念パーティー》。
店内には、俺の予想を遥かに上回る人数が参加していた。
ステージに立っているリズが言ってきた。
「さ、キリトとユウキで、乾杯の音頭をとって」
「「……え」」
これは、予定に無かったはずだ……。
参加しているメンバーが歓声や、口笛を吹きながら、俺とユウキを壇上に押し上げた。
俺とユウキが『せーの』と息を合わせ、
「「それでは皆さん、乾杯―!!」」
「「「「「「「カンパーイー!!!!!」」」」」」
乾杯の後、エギル特製の巨大ピザの皿が何枚も登場する辺りで、パーティーは完全なカオス状態に突入した。
ユウキは、リズに連行されていたが……。
余計な事は言うなよ。
俺はカウンターに辿り着き、スツールに腰を下ろした。
「マスター、バーボン。 ロックで」
いい加減なオーダーと告げると、白シャツに黒の蝶ネクタイ姿の巨漢が俺を見下ろしてから、本当にロックアイスに琥珀色の液体を注いだ、ダンブラーが滑り出てくる。
恐る恐る舐めてみれば、ただの烏龍茶だった。
ニンマリ笑う店主を見上げて、唇を曲げていると、スーツ姿にネクタイを締め、額に趣味の悪いバンダナを巻いている男が、俺の隣に座った。
風林火山ギルドリーダー、クラインだ。
「エギル、オレには本物をくれ」
「おいおい、いいのかよ。 この後会社に戻るんだろう」
「へっ、残業なんて飲まずにやってられるかっての」
それから反対側のスツールに、もう一人の男が腰を降ろした。
元《軍》の最高責任者、シンカーだ。
俺はグラスを掲げると、言った。
「そういえば、ユリエールさんと入籍したそうですね。 遅くなりましたが――おめでとう」
俺はグラスを合わせた。
シンカーは照れくさそうに笑った。
「いやまぁ、まだまだ現実に慣れるのに精一杯って感じなんですけどね。 ようやく仕事も軌道に乗ってきましたし……」
クラインもダンブラーを掲げ、身を乗り出した。
「いや、実にめでたい! そういえば、見てるっすよ、新生《MMOトゥデイ》」
シンカーは再び照れた笑顔を浮かべた。
「いや、お恥ずかしい。 まだまだコンテンツも少なくて……それに、今のMMOの事情じゃ、攻略データとかニュースとかは、無意味になりつつありますしねぇ」
「まさしく宇宙誕生の混沌、って感じだもんな。 そういえば、キリの字よ。 今のユウキちゃんとは、どういう関係なんだ??」
「え、うん、まぁ、《婚約者》だ」
「じゃあ、籍を入れられる年齢になったら、入れるつもりですか??」
シンカーは笑みを浮かべて言っていた。
「まあ、はい」
クラインは、俺の肩を掴んで、
「――ちきしょー、リア充爆発しろ!! それにしても……いいねぇ……」
鼻の下を伸ばしまくるクラインに、俺は溜息を吐くと烏龍茶の入ったダンブラーを呷った。
確かに、眼の保養と言いたくなる光景ではあるな。
ユウキ、ラン、アスナ、リズベット、シリカ、サーシャ、ユリエール、リーファと、女性プレイヤーが勢揃いしている光景は、写真に撮って飾っておきたいほどだ。
――実際、ユイの為に録画をしているんだが。
Side ユウキ
このテーブルには、ボクと姉ちゃん、アスナ、リズ、シリカちゃん、リーファちゃん、サーシャさん、ユリエールさんが集まっている。
此処のテーブルには、女性プレイヤー陣が揃ったことになるね。
「そういえば、ユウキちゃん。 キリト君一緒に住んでいるんでしょ??」
アスナがボクにそう言ってきた。
う~ん、これ位なら言ってもいいかな。
みんな、ボクたちの関係知っているしね。
「うん、一緒に住んでいるよ。 ボクは今、和人のお家でお世話になっているよ」
リーファちゃんが、ボクに続いて言った。
「もう家では、『お義姉ちゃん』って感じですね」
「(スグちゃんは、ボクのことをそういう風に見ていてくれたんだ。 嬉しいなー。)」
リズがグラスを掲げながら、ボクの前まで出て来た。
「ちょっと待ちなさい。 一緒に暮らしているの!!?? ラン、あんたはこの事知っていたの!!??」
姉ちゃんには報告したから知っているよね。
『ボクと和人は、正式な婚約者になりました』って、同棲している事も伝えたっけ。
姉ちゃんは笑みを浮かべながら、言った。
「知っていたわよ。 あとこれも言っとこうかしら。 私はキリトさんには振られたわ。 この子には敵わなかった。 あの世界では、一緒に暮らしていたわよ。 とても楽しかったわ。 ユイちゃんにも会えたしね」
「「「「「「振られたの、一緒に暮らしていたの!!!!!?????」」」」」」
驚きの声が一斉に上がった。
「キリトさんを責めないであげてくださいね。 告白したのは私からなんですから。 吹っ切れているから、ネタにしてもいいわよ。 でも、キリトさんに迷惑は掛けないようにね」
「「「「「「えーーーーーーーーー!!!!!」」」」」」
姉ちゃんの言葉で、本日二度目の驚きの声が上がったね。
姉ちゃんが、ボクを見て言った。
「そういえばユウキ。 キリトさんとは何時頃結婚するの??」
「う~ん、結婚出来る年齢になったらするつもりだよ。 先に籍を入れてからだけどね」
「幸せになりなさいよ」
「うん。――姉ちゃんも、王子様を見つけないとね」
「もう、余計なお世話よっ」
その後、ボクはへろへろに成るまで質問をされた。
きちんと全部答えたけどね。
それから、覚束無い足取りで和人が座っているスツールに向かった。
Side out
「和人~、疲れたよ~」
「おう、お疲れ」
ユウキは自然に、俺の膝の上に座った。
俺も自然に、腰に手を回した。
「和人ー、この烏龍茶飲んでいいかな? 喉が渇いちゃって」
「いいぞ」
ユウキは、俺の飲み掛けの烏龍茶を一気に飲んでしまった。
これを見ていたエギル、シンカー、クラインは眼を丸くしていたが。
シンカーは、気を取り直して俺を見てきた。
「キリトさん。 あの時、助けてくださって本当にありがとうございました」
そう言ってから、シンカーは座りながら頭を下げた。
多分、地下で救出した時の事を言っているんだろう。
「いえ。 あの時は、二人の協力があったからですよ」
「あ、そういえば、もう一人方とは、どうなったんですか?」
シンカーは、ランとユウキを一瞥してから聞いてきた。
てか、其処を聞いてくるか……。
「えーと、察してください……」
「……なるほど」
シンカーは大人だ、今ので伝わるとは。
「くそう、俺も《あっち》で相手を見つけとけばよかったぜ。 キリの字。 てめぇー、羨ましすぎるぞ!!」
「クラインさんも、いい相手が見つかるよー」
ユウキは、クラインを慰めるように言っていた。
俺はそれを見てから、エギルの顔を見た。
「エギル、どうだ? その後――《種》のほうは」
エギルは笑みを浮かべると、愉快そうに言った。
「すげえもんさ。 今、ミラーサーバーがおよそ五十……ダウンロード総数は十万、実際に稼働している大規模サーバーが三百ってとこかな」
《世界の種子》――。
それは茅場の開発した、フルダイブ・システムによる全感覚VR環境を動かす為の物。
《ザ・シード》と名付けられた、一連のプログラム・パッケージだった。
《カーディナル》システムを整理し、小規模サーバーでも稼働出来る、その上で走るゲームコンポ―ネントの開発支援環境もパッケージリングした。
VRワールドを作りたいと望む者は、パッケージをダウンロードして、回線のそこそこ太いサーバーに接続すれば、それだけでVRワールドが誕生する。
《真なる異世界》を求め続ける、果てしない夢想だ。
俺は事前にエギルに依頼し、《ザ・シード》を全世界にばら撒きサーバにアップロードし、個人でも落とせるように完全開放させた
死に絶えるアルヴヘイム・オンラインを救ったのが、この《ザ・シード》だ。
それから、次々にVRサーバーが稼働したのだ。
《ザ・シード》の利用法は、ゲームだけに留まらなかった。
教育、コミュニケーション、観光。
これにより、カテゴリーのサーバーが誕生し日々新たな世界が生まれるのだ。
シンカーは苦笑しながらも、何処か夢見る眼差しで言った。
「私たちは、多分いま、新しい世界の創生に立ち会っているのです。 その世界を括るには、もうMMORPGという言葉では狭すぎる。 私のホームページの名前も新しくしたいんですがね……なかなか、これ、という単語が出てこないんですよ」
「う~…………む……」
腕組みしながら考え込むクラインに、俺は笑いながら言った。
「おい、ギルドに《風林火山》なんて名前付けるやつのセンスには誰も期待してないよ」
ユウキがフォローするように言った。
「でも、ボクはカッコいい名前だと思うけどな~」
「お、ユウキちゃんは解ってくれるか!!」
それを見て苦笑してから、再びエギルに向かって言った。
「おい、二次会の予定は変更無いんだろうな?」
「ああ、今夜十一時、イグドラシル・シティ集合だ」
俺は声を潜めた。
「アレは、動くのか?」
「おうよ。 新しいサーバー群を丸々一つ使ったらしいが、何せ《伝説の城》だ。 ユーザーもがっつんがっつん増えて、資金もがっぽりがっぽりだ」
「そう上手く行きゃいいけどな」
俺はそれを聞き、店の天井を見詰めた。
今日《伝説の城》が彼方から現れる――。
「おーい、キリト、ユウキ。 また詳しく話を聞かせて貰うから、こっちこーい!!」
リズベットが手を振って、俺とユウキを呼んだ。
俺はエギルに聞いた。
「……あいつ、酔ってるよな……?」
彼女はピンク色の飲み物が入った、グラスを片手に掲げている。
あれ、酒だよな……?
エギルが澄まし顔で言った。
「一パーセント以下だから大丈夫だ。明日は休日だしな」
「おいおい……。はぁ~、行こうか」
俺はユウキの肩に手を置いた。
「ん、了解」
俺とユウキは立ち上がった、長い夜になりそうだ。
ユウキちゃんだけ、リアルの呼び方にしました(キリト君の)
キャラネームだと、違和感がありまして。
店に入ってからは、キャラネームということで。
あと、女性陣の声は男性陣には、ただの世間話に聞こえていたということで。
さて、ALOも残す所、あと一話だね。
ご意見、ご感想、評価、よろしくお願いします!!