ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

ALO編を書き終わったら、ゴールしちゃおうかなー、と思っている舞翼です!!

書きあげました。

誤字脱字があったらごめんよ。

それではどうぞ。


第66話≪閃光となって≫

ドームから脱出した俺とユウキは、大きな息を吐いた。

背後の眼を向けると、巨大な石扉が自動的に閉まっていった。

世界樹攻略のイベントが終了したのだろう。

それを見てから、視線をSAOメンバーとリーファに向けた。

 

「助かったよ、みんなありがとう」

 

「うん、本当にありがとう。 もう少しで、ボクとキリトが()られちゃう所だったよ」

 

俺とユウキは、小さくお辞儀をした。

俺が頭を上げた途端、火妖精族(サラマンダー)の刀使いが、肩に手を回してきた。

頭には、趣味の悪いバンダナを巻いている。

 

「キリの字よ。 お前、無茶しすぎだぞ。 もうちぃと、俺たちを頼ってもよかったじゃねぇか。 オレは、何時でもお前らの力になるのによぉ」

 

隣に立っていたユウキも、ピンク色のふわふわヘアーが特徴的な、鍛冶妖精族(レプラコーン)のメイス使いに肩に手を回されていた。

 

「そうよ。 あたし等は、あんたらの味方なんだからね。 頼ることを覚えなさいな」

 

「「……う、ごめん……」」

 

そう言われてしまえば、ぐうの音も出ない。

そう言ってから、二人は手を離した。

青い竜が、俺の頭に乗ってきた。

 

「こらっ、ピナ。 キリトさんの頭に乗ったらダメでしょ。 キリトさん、ごめんなさい。――あと、キリトさんユウキさん。 私のことも頼ってくれてもいいんですよ。 微力ながらお手伝いします」

 

「きゅる~」

 

どうやらピナも、シリカの言葉に賛同しているようだ。

シリカは、ニッコリと笑ってくれた。

それからピナは、シリカの元に戻った。

シリカの言葉が終わると、大柄でスキンヘッドが似合う、土妖精族(ノーム)が話し掛けてきた。

 

「案の定無茶をしたな、キリトにユウキちゃん。 オレも店を閉めて助太刀に来たぜ」

 

エギルは親指をぐっと立てた。

此処に集合してくれたメンバーは、剣の世界で共に戦った仲間たちであった。

エギルから情報を得て、ランとアスナの救出の為に、此処まで駆けつけてくれたのだ。

――すると、頭上から飛竜の雄叫びが聞こえた。

――次いで、濃緑色の鎧を身に纏ったシルフの団体が姿を現した。

 

「すまない、遅くなったな」

 

「ごめんネー。 全ての装備を準備するのに、時間がかかっちゃったヨー」

 

――シルフ族の領主サクヤと、ケットシー領主のアリシャ・ルーの姿であった。

 

「私も世界樹攻略に協力するよ、キリト君、ユウキちゃん」

 

リーファも、俺とユウキを見て言ってくれた。

 

「リーファちゃ~~ん。 僕、此処まで追い付いたよ~~。……え、これ、どういう状況なの……」

 

手を左右に振って走って来た人物は、《スイルベーン》の風の塔の上で別れたレコンであった。

レコンは、此処に集結しているメンバーを見て驚いている。

 

「あ、レコン」

 

「え、え、何が起こっているの。 何で此処にサクヤさんとケットシー領主がいるのさ……。 あと、この人たちは……誰なの……??」

 

「みんな仲間よ。 これから世界樹を攻略するのよ、このメンバーでね。 もちろんあんたも入っているわよ」

 

「えーーーッ!!……世界樹攻略!!??」

 

「そうよ。 いいとこ見せなさいよ」

 

「……善処します……」

 

それから、レコンとリーファに、ランとアスナが世界樹の上に捕まっていることを話た。

リーファとレコンも同意したのを確認してから、胸ポケットに隠れていた、ユイに話し掛けた。

 

「ユイ、いるか?」

 

すると光の粒が凝集し、ピクシー姿のユイが出現した。

両手に腰を当て、唇を尖らせている。

 

「もー、遅いです! パパたちが呼んでくれないと出てこられないんですからね」

 

「悪い悪い」

 

「ごめんね、ユイちゃん」

 

俺とユウキは苦笑しながら、ユイに謝った。

俺は改めてユイの顔を見た。

 

「それで、あの戦闘で何か解ったか」

 

「はい。 あのガーディアン・モンスターは、ステータス的にはさほどの強さではありませんが、湧出パターンが異常です。 ゲートへの距離に比例してポップ量が増え、最接近時には秒間十二体にも達していました。 あれでは……攻略不可能な難易度に設定されているとしか……」

 

すると、ユウキが周りを見渡した。

 

「皆の力を合わせれば、突破できるよ」

 

「ああ、そうだな」

 

リズがウインドウを操作し、何かを取り出した。

――それは、純白の片手剣一本と漆黒の片手剣二本であった。

 

「私が今打てる最高の剣よ、世界樹攻略に使いなさい。 今のあんたらの武器より性能がいいはずだから」

 

「ああ、ありがとう」

 

「ありがとう、リズ」

 

俺とユウキはリズに礼を言ってから、渡された片手用直剣を装備した。

俺は純白の片手剣と、漆黒の片手剣を背に交差して吊り、ユウキも漆黒の片手剣を腰に装備した。

 

「おっしゃーーッ!! オレ様のカッコいい所を見せて、惚れさせてやるぜぇッ!!」

 

「いや……。 それは無理だから」

 

「そんな~……」

 

クラインとリズが漫才を繰り広げていた。

それを見て、此処に居る全員が笑ってしまっていた。

俺は真剣な表情になり、言った。

 

「世界樹の上には、俺とユウキの大切な人たちが囚われているんだ。 その人は世界樹の上で、俺とユウキの到着をずっと待っているんだ。 だから、みんなの力を貸してくれ」

 

「私とルーは、君たちの仲間から大体の事情は聴いたよ。 世界樹攻略に協力する」

 

「私とサクヤちゃんは、君たちに命を救われているからネ。 その恩返しをしないとネ」

 

サクヤとアリシャに続いて、SAOで共に戦ったメンバーと、リーファとレコンが頷いてくれた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

『未だ天の高みを知らぬ者よ、王の城へ致らんと欲するか』

 

みんなが頷いてから、俺はイエスボタンに触れた。

それから、左の石像が大音声を発した。

 

『さればそなたが背の双翼の、天翔に足ることを示すがよい』

 

重々しく、左右の扉がゆっくりと開いていく。

先頭に立った俺が、背に吊った純白の剣と漆黒の剣を放剣した。

次いで、隣に立っているユウキが放剣する。

 

俺とユウキに続くように、此処に居るメンバーが放剣した。

 

「行くぞッ!!」

 

「みんな、行くよッ!!」

 

俺とユウキの掛け声と共に、一気にドーム内に突入した。

俺とユウキはドームに入った瞬間に地を蹴り、翅を大きく広げて、猛烈な加速で天蓋のゲート目指して急上昇を開始した。

白い窓からは、白銀の騎士の軍勢が姿を現す。

 

「おおぉぉぉおおおッ!!」

 

「はあぁぁぁあああッ!!」

 

俺は《二刀流》を駆使して、交差した白銀の騎士を沈めていく。

沈める事が出来なかった騎士たちは、後ろから追随してくるユウキが沈めていった。

横から突撃してくる騎士たちは、クラインの刀の斬撃と、エギルの振るう両手斧の一撃で真っ二つにする。

後方の支援にはシリカとリズベットが回り、魔法攻撃で叩き落とす。

 

「さて――我々も行こう!!」

 

「そうだネ、サクヤちゃん!!」

 

領主二人が中央まで急上昇すると、ケットシー領主アリシャ・ルーが高く右手を上げ、よく通る声で叫んだ。

 

「ドラグーン隊! ブレス攻撃用――意!」

 

翼を大きく広げ飛竜は、長い首をS字にたわめ、牙の奥からオレンジ色の光を微かに洩らす。

次いで、シルフ領主サクヤが朱塗りの扇子をさっと掲げた。

 

「シルフ隊、エクストラアタック用意!」

 

密集方形陣に固まったシルフ部隊も、突進しつつ右手の長剣を頭上に翳す。

その刀身を、エメラルド色の電光が網目のように包み込む。

 

「ファイアブレス、撃て――――ッ!!」

 

直後、飛竜が、溜め込んで紅蓮の劫火を一斉に吐き出した。

眩い光が、ドーム内を照らした。

紅蓮の劫火を受けた騎士たちは、白い炎を引いて、燃えて尽きていく。

 

「フェンリルストーム、放てッ!!」

 

シルフ部隊が一糸乱れぬ動作で長剣を鋭く突き出し、剣それぞれから眩いグリーンの電光が迸り、宙を切り裂いて白銀の騎士たちに深く貫通した。

騎士たちを粉々に吹き飛ばしていく。

 

「「(シルフ)(ケットシー)隊。 全員、突撃!!」」

 

 

Side リーファ

 

――今しかない。

私はそう思い、突進を開始しようとした。

不意に、レコンが私の右手を掴んだ。

驚いて振り向くと、緊張に震えた声で、しかし何時になく真剣な表情を浮かべつつ言った。

 

「リーファちゃん……、僕、さっきの話聞いてもよく解んないだけど、これ、大事なことなんだよね?」

 

「――そうだよ。 ゲームじゃないのよ、今だけは」

 

「……わかった。 僕も道を開くよ」

 

レコンはそう言ってから、コントローラを握り、正面から白銀の騎士たちに向かって行く。

 

「ば、ばかっ……」

 

レコンは、風属性の範囲魔法を詠唱し、正面から騎士たちに浴びせていく。

同時にターゲットがレコンに移る。

レコンは時々掠める攻撃でHPバーをじわじわ減少していくが、ふらふら飛行しながら先頭に立ち、長い詠唱を開始した。

体を、深い紫色のエフェクト光が包む。

 

「……!?」

 

――あれは、闇属性魔法の輝き。

たちまち、複数の魔法陣が展開される。

その大きさから、かなりの高位呪文だ。

魔法陣は、全方位から押し寄せる騎士の群れを包みこんだ。

複雑な光の紋様が小さく凝縮し――次いで恐ろしいほどの閃光を放った。

すさまじい爆音が轟き、ドーム全体を激しく振動させた。

レコンの姿は、其処には無かった。

代わりに、小さな緑色のリメインライトがポツンと漂っている。

 

「――自爆魔法……!?」

 

私は呆然と呟く。

そう言えば闇魔法に、そのようなものが存在するとは、昔聞いた記憶があった。

しかしあれは、死ぬと同時に通常の数倍のデスペナルティを課せられる、言わば禁術だったはずだ。

たかがゲーム、たかが経験値、でもその為にレコンが費やした努力と熱意だけは、本物の犠牲だ。

もう、ここから撤退の二文字は許されない。

そう決意して、上空を凝視する。

翅を大きく広げ、上空に飛翔する。

――私の向かうべき場所は、キリト君とユウキちゃんの元だ。

 

Side out

 

 

「お兄ちゃん、木綿季ちゃん」

 

「スグ――後ろは頼んだ!!」

 

「スグちゃん――後ろは任せたよ!!」

 

「任せて!!」

 

俺とユウキは背中を預け、前方を見据えた。

リーファに背中を預けたまま、急上昇していく。

クライン、エギル、シリカ、リズベットが、俺とユウキとリーファに、襲い掛ってくる騎士たちを沈めていく。

仕留め損ねた騎士は、リーファが沈める。

 

「行くぞ、ユウキッ!!」

 

「うん。わかったッ!!」

 

リーファの背から離れ、俺とユウキが二つの閃光となって、肉壁の間隙に突進を開始した。

 

「うおぉぉぉおおお!!」

 

「はあぁぁぁあああ!!」

 

途中で襲って来た騎士たちは、俺とユウキの超高速斬撃に巻き込まれ、紙くずのように引き千切られ、周囲に散った。

二つの閃光は、光の尾を引き、ゲートに向かって飛翔していく。

――そして、抜けた。

一瞬開いた隙間を、白銀の騎士たちが、幾重にも重なり埋め尽くした。

それを見届けたサクヤが、後方から叫んだ。

 

「全員反転、後退!!」

 

 

Side リーファ

 

身を翻し急降下に入った私は、一瞬、天蓋の方向を振り返った。

ガーディアンの壁に阻まれて姿を見る事が出来なかったが、私の眼には、高く、高く、かつて誰も達したことのない場所を目指して舞い上がって行く、黒衣の少年と紫の少女の姿が映った。

 

飛べ――飛べ――空を翔けて――どこまでも高く――世界の核心まで――!!

 




今回は、みんながメインでしたね。

レコン、かっこいいぜ!!
お前の犠牲は無駄じゃなかったぜ。
あと、レコンは爆発には、誰も巻き込まれてませんよ。

遂に、世界樹の上に辿りつきましたね。
領主二人は、キリト君とユウキちゃんが離れた時に、事情を聴いたということで。

ここからは、流れしか考えていないんですよね~。
さて、どうしようか。

ご意見、ご感想、評価、よろしくお願いします!!

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