ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

舞翼です!!

そろそろ、ALOも終盤に入ってきたね。

それでは、本編をどうぞ。


第65話≪グランドクエスト≫

病院から帰った俺たち三人は、定期メンテナンスが終わったALOに戻る為、自室に戻って来た。

俺と木綿季はベットに横になり、妖精の世界にダイブする言葉を唱える。

 

「「リンク・スタート」」

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

眼を開けると、既にリーファが立っていた。

リーファが差しだす手を握り、俺とユウキは軽く引っ張られて立ち上がった。

俺は上空を見渡し、言葉を発した。

 

「ユイ、いるか?」

 

三人の真ん中の空間に光が凝集し、ユイがピクシー姿で出現した。

 

「ふぁ~~~……。……おはようございます、パパ、ママ、リーファさん」

 

目許を擦り、大きな欠伸(あくび)をしながら、俺の肩の上に着地した。

俺たち三人は頷いてから、ウインドウを出して武装を完了させた。

 

「さて、行こうぜ!!」

 

「「うん!」」

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

街の外は、週に一度の定期メンテナンス終わった直後だったので、多くのプレイヤーがログインしていた。

消耗品の補充をしながら大通りを進んでいると、前方に大きな石段と、その上に大きなゲートが見えてきた。

あれを潜ればアルヴヘイムの中心、アルン中央市街に到着する。

―――門を潜った、その時であった。

ユイが空を見上げて叫んだ。

 

「この上に、ねぇねぇとアスナさんがいます!!」

 

「本当に!!??」

 

ユウキは空を見上げた。

 

「はい、間違えありません! このプレイヤーIDは、ねぇねぇとアスナさんのものです……座標はまっすぐこの上空です!」

 

ユウキは翅を大きく広げ、破裂音と共に地上から姿を消した。

 

「ユウキッ!!」

 

俺も翅を大きく広げ、ロケットブースターのように急上昇するユウキに追随する。

 

「ちょ……ちょっと、二人とも!!」

 

リーファも慌てて後を追い、叫びかける。

 

「気をつけて、キリト君、ユウキちゃん!! すぐに障壁があるよ!!」

 

直後、衝撃音がこのアルン中央市街に響いた。

ユウキが障壁によって弾かれた音だ。

ユウキはすぐに意識を取り戻し、上昇を開始する。

俺はユウキの元まで移動し、叫びかける。

 

「一人じゃ無理だ!!」

 

「ボクが、ボクが助けないと!! だから行かないと!! 今度はボクが助ける番だよ!!」

 

ダメだ、完全に血が上っている。

ユウキを後ろから抱きしめ、優しく囁きかけた。

 

「落ちつけ、落ちつくんだ」

 

すると、ユウキの体からゆっくりと力が抜けていった。

ユイが、俺の胸ポケットから飛び出した。

そうだ……。 ユイなら、この障壁を突破できるかもしれない。

だが、システム属性のユイの小さな体を、眼に見えない障壁が冷酷に拒んだ。

ユイは必死の面持ちで障壁に両手を突き、口を開いた。

 

「警告モード音声なら届くかもしれません……! ねぇねぇ!! アスナさん!!」

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

~世界樹 鳥籠内部~

 

Side ラン

 

テーブルに座っていた私とアスナさんは、弾かれたように立ち上がった。

 

「ランさん、今の声って!?」

 

「きっと、ユイちゃんの声だわ!!」

 

ユイちゃんが居るということは、きっと傍に、キリトさんとユウキが居るはず。

 

「ユイちゃんって、ランさんの妹ですよね!?」

 

私はアスナさんの問いに頷いた。

私はアスナさんに、ユイちゃんの事を鳥籠内部で話ていた。

ユイちゃんが、私にとってどんな存在なのか。

私は、格子の壁に駆け寄った。

アスナさんも私の後に続いた。

 

『ねぇねぇ……アスナさん……ここ……ここにいるよ……!!』

 

「ユイちゃんは私のことを知っているの!? なら、そこ居る人は!?――ランさん。 何か、何か、メッセージを届ける物はありませんか!?」

 

私たちが今メッセージに使える物……。

――1つだけある。

それは私とアスナさんが、此処から自力で脱出した時に入手した、銀色のカード。

 

「アスナさん、これなら」

 

私は、銀色のカードを取り出した。

 

「それは確か、研究施設から私たちが命懸けで取ってきた物ですね」

 

私とアスナさんは頷いてから、私が右手に握っていた銀色のカードを手放した。

 

「アスナさん。 あの子たちが、すぐそこまでやって来ています。 あと少し頑張りましょうね」

 

「はい!!」

 

アスナさんは、涙を零しながら頷いてくれた。

――信じていますよ、キリトさん、ユウキ。

 

Side out

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

俺はゆっくり、ユウキを抱きしめていた腕を解いた。

 

「ユウキ、落ち着いたか?」

 

「……うん。 なんとか……」

 

俺は上空にある世界樹を睨めつけた。

――その時だった。

俺とユウキの視界に、銀色に輝く物が舞ってきた。

 

「あれは……?」

 

「あれは何……?」

 

俺とユウキは、それを凝視した。

それは、ゆっくりとゆっくりと、こちらを目指して舞ってくる。

俺は手を差し伸べ、それを手の中に収めた。

俺の隣に居たユウキがそれをじっと見つめた。

そして左からユイ、右からリーファが覗き込む。

 

「……カード……?」

 

ユウキがポツリと呟いた。

カード型オブジェクトであった。

透き通る銀色の表面には、文字や装飾の類は何もない。

俺はリーファに聞いてみた。

 

「リーファ、これ何だかわかる……?」

 

「ううん……こんなアイテム見たことないよ。 クリックしてみたら?」

 

カードをクリックしてみたが、出現するはずのウインドウが表示されることは無かった。

その時、ユイが身を乗り出し、カードの縁に触れながら言った。

 

「……これは、システム管理用アクセス・コードです!!」

 

「「ッ!?」」

 

俺とユウキは、銀色のカードを凝視した。

それから、俺が口を開いた。

 

「……じゃあ、これがあればGM権限が行使できるのか?」

 

「いえ……これを使ってゲーム内からシステムにアクセスするには、対応するコンソールが必要です」

 

「そうか……。 でも、そんな物が理由もなく落ちてくるわけがないよな。 これは、多分……」

 

「はい。 ねぇねぇとアスナさんが、わたし達に気付いて落としたんだと思います」

 

すると、ユウキが俺を見てきた。

 

「キリト……」

 

「……ああ」

 

このカードはきっと、ランとアスナが俺たちに託した物だ。

二人は囚われの身になっても戦っている、この世界で。

このカードからは、彼女たちの意思がおぼろげに感じ取れるような気がした。

次いで、カードをユウキに手渡した。

ユウキは、カードを握り締めた。

俺はリーファに聞いた。

 

「リーファ、教えてくれ。 世界樹の中に通じているっていうゲートはどこにあるんだ?」

 

「え……あれは、樹の根元にあるドームの中だけど……」

 

「そうか、根元か」

 

「じゃあ、ここから先はボク達だけで行くよ」

 

そう言ってから、ユウキはカードをポケットに収めると、翅を鳴らして急降下に入った。

俺もユウキに続いて急降下に入る。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!!」

 

俺とユウキはリーファの叫び声には振り返らず、降下スピードを上げた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

急降下を数十秒続けると、やがて世界樹の根元が姿を現した。

大きく広げた翅でブレーキをかけながら、両足を突き出し、大きな衝撃音と共に着陸した。

ユウキが俺の肩に乗っているユイに話し掛けた。

 

「ユイちゃん。 ドームの入口の道、わかる?」

 

「はい、ママ。 前方の階段を登ればすぐです。 でも―――今までの情報からすると、パパとママでもゲートを突破するのは、かなり難しいと思われます……」

 

「何とかなるさ」

 

「うん、パパとママが力を合わせれば何とかなるよ。 今までもそうだったしね」

 

俺とユウキは、ユイの頭を撫でた。

 

「……はい」

 

目の前の大きな階段を、俺とユウキは歩き出した。

そこはもう、アルン市街区の最上部らしかった。

その壁の一部に、プレイヤーの十倍あろうかという身の丈の、妖精の騎士を象った彫像が二体並んでいる場所があった。

像の間には、華麗な装飾を施した石造りの扉が(そび)えている。

 

「(待っていろよ、ラン、アスナ。 すぐ助ける)」

 

「(待っててね、姉ちゃん、アスナ。 今行くよ)」

 

更に数歩歩き、大扉に前に立った途端、右の石像が低音を轟かせながら動き始めた。

石像は兜の奥の両目に青白い光を灯しながら、こちらを見下ろし、口を開いた。

 

『未だ天の高みを知らぬ者よ、王の城へ致らんと欲するか』

 

同時にウインドウが開き、最終クエストの挑戦意志を質す為のイエス、ノーボタンが表示された。

俺とユウキは顔を見合わせてから頷き、イエスボタンに手を触れる。

 

『さればそなたが背の双翼の、天翔に足ることを示すがよい』

 

大扉の中央がぴしりと割れ、左右に開いていく。

 

「行くぞ、ユウキ。―――ユイ、しっかり頭を引っ込めてろよ」

 

「わかった、行こうキリト。―――ユイちゃんは、しっかり隠れているんだよ」

 

「パパ、ママ。 がんばって」

 

胸ポケットに収まったユイを確認してから、背中の剣を抜き放つ。

隣に立っていたユウキも、腰の鞘から剣を抜き放つ。

内部は完全な暗闇であった。

剣を構えた直後、眩い光が頭上から降り注いだ。

そこは、とてつもなく広いドーム状空間だ。

天蓋(てんがい)の頂点に、四枚の石盤がぴたりと閉ざしている。

おそらくあの先で、ランとアスナが俺たちの到着を待っている。

 

「行くぞッ!!」

 

「わかったッ!!」

 

俺とユウキは、四枚の翅を大きく広げ、咆哮と共に地を蹴った。

飛び上がってからすぐに、白く光る窓から、白銀を纏った騎士が現れた。

右手には、巨大な大剣を携えている。

間違いなく、あれがリーファの言っていたガーディアンだろう。

ユウキが騎士の剣を弾いてから、俺が振り下ろす大剣で屠る。

次いで、凄まじいライトエフェクト。

 

「ゴガァァアア!!」

 

白銀の騎士は絶叫を上げ、ポリゴンの破片を爆散させる。

一対一なら、こちらに分がある。

こちらに向かってくるガーディアンは、すべて切り捨てる。

俺とユウキは翅を震わせ、猛烈な突進を開始する。

光る窓から生み出された騎士が、数を増やしていく。

 

「そこをどけえぇぇぇぇッ!!」

 

「そこをどいてぇぇぇぇッ!!」

 

俺とユウキは剣を振りかぶり、白銀の騎士に振り下ろす。

白銀の騎士は、(ゆが)んだ悲鳴と共に爆散する。

一撃でガーディアンを沈め、上昇していく。

 

――行ける!!

 

俺とユウキは同時にそう思った。

だが、天蓋近くのステンドグラスの殆どの全ての窓から、白銀の騎士が現れた。

その数は、数十――いや数百か。

 

「うおぉぉぉおおお!!」

 

「やあぁぁぁあああ!!」

 

俺とユウキは叫び、空気を切り裂き加速する。

向かって来るガーディアンを沈めていく。

騎士の攻撃が掠り、徐々にHPバーを減少させていくが、俺とユウキは加速を緩める事は無い。

白銀の騎士たちが詠唱して、光の矢を放つ。

今放たれた光の矢の数は、全て回避することは不可能な数だ。

だが俺とユウキは、HPが減少しているのにも関わらず、猛烈に突進する。

突進しながら、飛んでくる光の矢を弾いていく。

すでに俺とユウキのHPバーは、レッドに突入している

 

「うおぉぉぉおおお!!」

 

「はあぁぁぁあああ!!」

 

光の矢の第二波が、俺とユウキに向かって殺到してくる。

それを見て、俺とユウキは歯軋りした。

――くそ、ここまでなのか。

と、その時。

 

「ピナ、バブルブレス!!」

 

「キリトとユウキちゃんに、手ぇ出すんじゃねぇぇええ――ッ!!」

 

「おおおぉぉぉッ!!」

 

後ろを振り返って見ると、青い竜が無数の光の矢を消し飛ばし、残りの光の矢は刀の斬撃と、両手斧の強烈な暴風で消滅させた。

右手にメイス、左手に盾を持った、工匠妖精族(レプラコーン)が話し掛けてきた。

 

「やぁ、二人とも」

 

「「って、リズ!!??」」

 

「また無茶したのねぇー、あんたらは。――取り敢えず、まず此処から脱出しましょうか」

 

「キリト君、ユウキちゃん、無事?」

 

リーファが心配そうにやって来た。

 

「ああ」

 

「大丈夫かな」

 

俺とユウキは短く答えた。

俺たちの元に駆けつけてくれたのは、シリカ、クライン、エギル、リズベット、リーファであった。

俺とユウキは後退する中で、天蓋のゲートを見上げていた。

すでに、天蓋のゲートは無数の騎士が密集し、幾重(いくえ)もの肉の壁を作り上げていた。

援護に駆けつけてくれたみんなが、俺とユウキを守るようにして後退していく。

俺とユウキは危機一髪の所を助けられ、ドームの外に脱出することに成功した。

 

 




ピナ強ッ!!

残りの光の矢は、ほぼ、エギルとクラインが処理しましたね。
他のメンバーも弾き落していましたよー。

やっぱり、二人では世界樹の攻略が出来ませんでしたね。

カード取得は、カットしちゃいました。(書くのが難しすぎて、諦めました)

SAOメンバーがそろいましたね(笑)

さて、ここからどうしようか。

ご意見、ご感想、評価、よろしくお願いします!!

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