ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

舞翼です!!

この挨拶が定着したね(笑)

うん。 今回の投稿はマジで頭を抱えながら考えたね。
橋の上の戦闘より抱えたかもしれん。

オリキャラ出したしね(笑)
これが今の戦闘描写の限界だね(前にも同じことを言ったが)

誤字脱字があったらごめんよ。

それではどうぞ。




第61話≪最強夫婦 vs 最強サラマンダー≫

空気の塊を切り裂き飛翔しながら、俺が呟いた。

 

「サラマンダーの大部隊より先行しているか微妙だな」

 

俺に続いてユウキが呟いた。

 

「うーん、警告が間に合えばいいんだけど」

 

「警告が間に合っても全員でケットシー領に逃げ込めるか、もしくは揃って討ち死にか、どっちかだと思うよ。……最悪、領主だけ逃がせればいいんだけど」

 

リーファの言葉に、俺が思案顔で顎を撫でていたら、ユウキが口を開いた。

 

「むっ、それはキリトとボクが倒されちゃうってこと」

 

「リーファは俺たちの事は心配してないと思うぞ」

 

自分で言うのもなんだが、俺とお前が組めば敵無しって気がするんだよな。

まぁ、気のせいかもしれんが。

 

「うん、心配してないよ。 てか、キリト君とユウキちゃんって、最強夫婦だもん」

 

俺たち会話をしていた、その時――。

 

「あ、プレイヤー反応です!」

 

不意にユイが叫んだ。

 

「前方に大集団――六十八人、これがおそらくサラマンダーの強襲部隊です。 さらにその向こう側に十四人、シルフ及びケットシーの会議出席者と予想します。 双方が接触するまであと五十秒です」

 

その言葉が終わると同時に、視界を遮っていた雲の塊が切れた。

限界高度を取って飛んでいた俺たちの眼下に、緑の高原が広がる。

その一角に飛んでいる無数の黒い影。

多分、この集団がサラマンダーの強襲部隊だろう。

視界の向こうには、白く横たわる長テーブル、あの場所が即席の会談場と言った所だろう。

椅子に座る領主たちは、会談に夢中になっていて、サラマンダーの強襲部隊に気付いていない。

 

「――間に合わなかったね」

 

リーファが俺たちに向かって呟いた。

 

確かに、今からサラマンダーの強襲部隊を追い越し、領主を逃がす事は不可能だ。

だから、俺とユウキがやる事は決まっていた。

 

「さてと、行くか。――準備はいいか?」

 

後半はユウキに向けた言葉だ。

 

「OKだよ。 ユイちゃんはリーファちゃんの傍から離れないでね」

 

「了解です、ママ!」

 

ユイはそう言って、リーファの肩にちょこんと座った。

俺とユウキは翅を思い切り震わせ、猛烈な加速を開始し、急角度のダイブに入っていた。

 

「ちょ……ちょっとぉ!! なによそれ!!」

 

リーファも慌ててダイブに入った。

 

次の瞬間、大きな爆発音が鳴り響いた。

俺とユウキが速度を緩めず着陸したからだ。

その場に居る全ての者が、凍り付いたように動きを止めていた。

俺とユウキは大きく息を吸いこんで、

 

「「双方、剣を引(け)(いいて)!!」」

 

俺とユウキの声は、空気をビリビリ震えさせた。

サラマンダーの強襲部隊は動揺して僅かに後退る。

 

 

Side リーファ

 

私は会談場所に着陸し、旧友の居る場所まで移動し、話し掛けた。―――シルフ族の領主サクヤだ。

 

「サクヤ、無事?」

 

声を掛けると、呆然とした表情で振り向き、私を見て眼を丸くする。

 

「リーファ!? どうして此処に―――!? い、いや、そもそもこれは一体―――!?」

 

「うーん、簡単には説明出来ないのよ。 ひとつ言えるのは、あたしたちの運命はあの人たち次第、ってことだわ」

 

「……何がなにやら……」

 

サクヤは再び、こちらに背を向けて屹立(きつりつ)する、少年と少女に眼を向ける。

私はその心中を思いやりながら、改めて会談場を見やった。

此処にはシルフ、ケットシーが七名ずつ。

その内のシルフ、ケットシーの六人は護衛だろうか?

武装して領主を守るように立っている。

シルフの領主サクヤは、髪は黒色に近いダークグリーンの艶やかな直毛を背に長く垂らし、整った顔立ちをしている、何より特徴的なのは緑色の和服の長衣だ。

 

サクヤの隣に視線を向けると、小柄な女性プレイヤーが眼に入った。

身に纏うのはワンピースの水着に似た戦闘服に、とうもろこし色に輝くウェーブヘア、両脇から突き出た大きな耳、お尻からは長い尻尾が伸びている、ケットシーの証だ。

おそらく彼女がケットシー領主、アリシャ・ルーだろう。

 

私は二人の領主を確認すると、キリト君とユウキちゃんに眼を向けた。

そして再び、キリト君とユウキちゃんが口を開いた。

 

Side out

 

 

「指揮官に話がある!!」

 

「うん。 指揮官の人、前に出てきて」

 

俺とユウキの、余りにふてぶてしい声と態度に圧倒されたように、サラマンダーのランス隊の輪が割れ、一人の大柄な男が進み出て来た。

この男が指揮官だな。

俺とユウキは、並んで翅を羽ばたかせている。

俺とユウキの前に立った大男が口を開き、よく通る太い声が流れた。

 

「スプリガンにインプがこんな所で何をしている。 貴様らが何を企んでいるか知らんが、その度胸に免じて話だけは聞いてやろう」

 

俺は臆することなく、大声で答えた。

 

「俺の名はキリト、こいつはユウキ。 スプリガン=ウンディーネ同盟の大使だ。 この場を襲うからには、我々四種族との全面戦争を望むと解釈していいんだな?」

サラマンダーの指揮官は、絶句した。

 

「スプリガンとウンディーネが同盟だと……。 なら、其処(そこ)に居るインプはなんだ」

 

「ボクは大使キリトの護衛として雇われたんだよ。 此処に来た理由は、シルフとケットシーとの貿易交渉らしいよ」

 

よくフォローしてくれた。

つか、よく思いついたな。

まぁ、ウンディーネの姿が無いんだけどね。

俺が言葉を続けよう。

 

「そうだ。 此処には貿易交渉に来ただけだからな。 だが会談が襲われたとなれば、四種族で同盟を結んでサラマンダーに対抗することになるだろう」

 

暫しの沈黙が流れた。――やがて、

 

「たった二人、たいした装備も持たない貴様らの言葉を、そう簡単に信じる訳にはいかないな」

 

サラマンダーの大男は突然背に手を回すと、巨大な両刃直剣を音高く抜き放った。

 

「オレの攻撃とオレの懐刀のこいつの攻撃を、三十秒耐え切ったら、貴様らを大使と、その護衛だと信じてやろう」

 

すると、隊の輪を中から、一人の男がこちらにやって来た。

男性プレイヤーだ。

 

「こんにちは、僕の名前はシンと言います。 僭越(せんえつ)ながら僕がどちらかの相手になります」

 

そう言ってから、俺とユウキに頭を下げ、腰に装備していた鞘から刀を抜剣した。

 

「へー、三十秒か。 ずいぶん気前がいいね」

 

「じゃあボクは三十秒、シン君の相手をするよ」

 

俺とユウキも武器を抜剣した。

 

 

Side リーファ

 

緊迫した空気の中、私の隣に立つサクヤが低く囁いた。

 

「まずいな……」

 

「え……?」

 

「あの大男が装備している両手剣、あれは《魔剣グラム》だ。……大男の方は《ユージーン将軍》だろう。 もう一人の人物は将軍の懐刀《シン》だな。 知っているか?」

 

「……な、名前くらいは……」

 

「サラマンダーの領主《モーティマー》の弟……リアルでも兄弟らしいがな。 知の兄に対して武の弟、純粋に戦闘力ではユージーン将軍の方が上だと言われている。 それに、ユージーン将軍の懐刀シンは、戦闘力は解らないが、相当なものだろうな」

 

「……じゃあ、全プレイヤー最強と、その最強プレイヤーの懐刀が出て来たって言うことなの……?」

 

「ってことになるな……。 とんでもないのが出て来たもんだな」

 

「(大丈夫、キリト君とユウキちゃんは絶対に勝ってくれる。 最強夫婦だもんね)」

 

私は両手を胸の前でぎゅっと握りしめた。

 

Side out

 

 

空中で対峙する俺とユウキは、実力を計るように長い間相手を見ていた。

最初に動いたのは、ユージーン将軍だった。

予備動作なく、超高速で突進を掛ける。

大きく振りかぶった大剣が俺に襲い掛る。

だが、俺も《あの世界》で培った反応速度を以て迎撃態勢に入った。

無駄のない動作で頭上に巨剣を掲げ、剣を受け流し、カウンターの一撃を撃ち込む為に。

その直後、

 

「!?」

 

ユージーンが振り下ろした大剣が、俺が携えてる巨剣と衝突するその瞬間、刀身が透過し、再び実体化。

俺は胸の中央に炸裂した斬撃で地面に叩き落された。

轟音が響き、次いで土煙。

 

「キリトッ!!」

 

ユウキが俺を追う為、急ダイブに入ろうとするが、それをもう一人が許さなかった。

 

「何処に行く気ですか? えっと、ユウキさん?」

 

「うん。 ボクの名前はユウキで合っているよ、シン君」

 

二人は武器を構えて、睨み合う。

最初に動いたのはシンだ。

翅を強く鳴らして、突進してきた。

ユウキも突進を開始。

シンは刀を横薙ぎに繰り出す。

それをユウキが、受け止め、迎撃に入る。

次いで、火花が飛び散る。

凄まじい斬撃の応酬が始まった。

 

 

Side リーファ

 

「な……いまのは!?」

 

絶句する私の問いに応えたのはケットシー領主、アリシャ・ルーだった。

 

「魔剣グラムには、《エセリアルシフト》っていう、剣や盾で受けようとしても非実体化してすり抜けてくるエクストラ効果があるんだヨ」

 

「そんな無茶苦茶な」

 

隣に居るサクヤが呟いた。

 

「ユージーン将軍もそうだが、シンと言うプレイヤーも中々やるぞ、私にはあの斬撃の応酬が霞んで見えるぞ。 もう、次元が違う戦いだよ」

 

「(まさか、キリト君とユウキちゃんが苦戦するなんて、……二人とも頑張って)」

 

Side out

 

 

俺はホバリングするユージーン目掛けて一直線に突進していく。

 

「ほう……よく生きていたな!」

 

さっきの斬撃は、ぎりぎりの所で後方に身を引いて、ダメージを軽減したからな。

 

「まぁな、それよりもなんだよ、さっきの攻撃は!」

 

そう言ってから、お返しとばかりに巨剣を叩きつける。

翅を強く鳴らし超加速移動を繰り返しながら、斬撃の応酬が続いた。

俺の連続攻撃をユージーンが両手剣で弾き返していく。

この斬撃の応酬は、他のプレイヤーの眼から見たら、霞んで見えるはずだ。

ユージーンは僅かな隙を見つけて、魔剣グラムのエクストラ効果を使用し、攻撃をヒットさせてくる。

 

「……効くなぁ……おい、もう三十秒経ってんじゃないかよ!」

 

「悪いな、やっぱり斬りたくなった。 首を取るまでに変更だ」

 

「この野郎……絶対泣かせてやる……」

 

俺とユージーンが一定の距離を取る。

 

「キリトっ!!」

 

後方からユウキも合流して来た。

ユウキの力を持ってしても、シンと名乗る男は倒せなかったようだ。

ユウキのHPバーを確認したら、イエローゾーンまで落ちていた。

まぁ、此処で戦っている四人とも、イエローまで落ちているんだが。

 

「キリト、“あれ”を使わないと勝てないかもよ」

 

「じゃあ、お前も“あれ”を使うのか?」

 

「うん」

 

「わかった。―――行くぞ!!」

 

俺は右手を突き出した。

その手が黒く輝き、ボン、ボボボボボ!と周囲の視界を真っ黒に染め上げた。

眼くらましの魔法だ。

俺はすでに詠唱を終えていたのだ。

俺は急ダイブに入り、リーファからあるものを借りる。

 

「リーファ、ちょっと借りるぜ」

 

「わっ!?」

 

どうやら吃驚(びっくり)させてしまったようだ。

でもまぁ、これで準備完了だ。

 

「時間稼ぎのつもりかァ!!」

 

ユージーンの叫び声が響き渡ると、赤い光の帯が迸り、黒煙を切り裂いた。

しかし、黒衣の少年と紫の少女の姿は、何処にも見当たらなかった。

空をホバリングするのは、ユージーンが将軍と、将軍の懐刀のシンだけだ。

 

「ジンさん。 あいつらは逃げていないよ、何処からか現れるよ」

 

そう言って、ユージーンとシンは武器を構え直した。

 

すると、照射される太陽光の中から、少年と少女が力強く翅を鳴らし、近づいて行く。

どんどん、どんどん大きく。

 

「ちッ」

 

「行きますよ」

 

ユージーンとシンがそう言ってから、急上昇を始めた。

 

ユージーンとシンは急上昇をしながら、迎撃の態勢に入っていた。

流石と言うべきか、普通なら此処で太陽光線を避けるため水平移動しようとし、そこを上から叩き落されていたはずだ。

ユージーンは俺に、シンはユウキに武器を振り下ろしてくる。

ユージーンの必殺の一撃は、これまで常に両手で握られていた黒い巨剣に、そして魔剣グラムのエクストラ効果で透過させたが、“左手”に握られていた長剣によって阻まれていた。

《二刀流》――、“あの城”で勇者が取得したスキル。

驚愕の気配を洩らすユージーンに向けて、俺は雷鳴のような雄叫びを放った。

 

「お……おおおおああああ――――!!」

 

直後、両手の剣を、霞む程の速度で次々に打ち出した。

俺はこの剣技を模倣した。

《二刀流》上位剣技、『スターバースト・ストリーム』計十六連撃。

ユージーンも対抗するが、二段構えのパリィに次々に弾き返される。

 

「ぬ……おおおお―――!!」

 

地上に向けてどんどん押し込まれるユージーンが野太い咆哮を放った。

彼が身に着けている防具の効果なのか、薄い炎の壁が半球状に放射され、僅かに俺の体を押し戻した。

 

「落ちろおおぉぉおお!!」

 

ユージーンは、魔剣の小細工抜きの大上段に構え―――。

大音響と共に、真正面から撃ち込んだ。

だが俺は臆することなく突進で距離を詰め、エセリアルシフトが発動するより速く攻撃を叩き込む。

 

「ら……ああぁぁぁぁ!!」

 

最後の突き攻撃が、真っ直ぐに突き込まれた。

それから素早く剣を引き戻し、右肩から斜めに体を切り裂いた。

凄まじい爆発音と共に、ユージーンはエンドフレイムを巻き上げながら、燃え尽きた。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦

 

「嘘だ。ジンさんがやられた」

 

先の戦闘に気を取られてしまったシンは、振り下ろした刀を途中で止めてしまっていた。

 

「ほら、シン君。 余所見はダメだよ」

 

「えっ」

 

「はああぁぁぁああ―――!!」

 

ユウキが放った攻撃は、先の戦闘で使用した剣技の模倣、《黒燐剣》最上位剣技、『マザーズ・ロザリオ』計十一連撃。

 

「あああぁぁぁあああ―――!!」

 

シンも叫びながら何とか突き攻撃をパリィしていたが、やはりと言うべきか、神速に近い速度にはついて行けなかった。

凄まじい突き攻撃がシンの体に叩き込まれる。

この攻撃を受けて、握っていた手から刀が零れ落ちた。

攻撃を止める為に、ユウキの腕を掴もうとするが、そんな事をしても無意味であった。

地上に向けてどんどん押し込まれていく。

 

「やぁぁぁあああ―――!!」

 

気合いの入ったユウキの大きな声が、空気にピリピリと響いた。

そして最後の突き攻撃と同時に、凄まじい爆発音。

シンの体がエンドフレイムに包まれ、燃え尽きた。

俺はそれを見届けてから、剣を左右に振り払い、巨剣の方を背に収めた。

こうして最強サラマンダーと、最強夫婦の戦いに終止符が打たれた。

 




また出しちゃいました。

《二刀流》上位剣技、『スターバースト・ストリーム』

《黒燐剣》最上位剣技、『マザーズ・ロザリオ』
キリト君とユウキちゃんの必殺技ですね。

つか、オリキャラのシンくん強すぎ(だって、書いてて思ったもん)。
まぁ、ユージーン将軍の方が一枚上手なんだが。

ご意見、ご感想、評価、よろしくお願いします!!




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