ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

なかなかスランプから抜け出せない舞翼です!!

今回の投稿も滅茶苦茶不安だな。

でも、頑張って書いたよ。

誤字脱字があったらごめんよ。

それではどうぞ。


第57話≪いざ、鉱山都市へ≫

~中立域 《古森》上空~

 

Side リーファ

 

私は半ば感嘆し、半ば呆れながらキリト君の戦闘を眺めていた。

今私たちが相手にしているモンスターは、羽の生えた単眼の大トカゲ《イビルグランサー》。

シルフ領の初級ダンジョンならボス級の戦闘力を持っている。

紫の一つ目から放つ《邪眼》――カース系の魔法攻撃が命中すると一時的に大幅なスターテスダウンを強いられる。

ユウキちゃんは、魔法攻撃の事を考えて一定の距離を保ちながら戦っているけど、キリト君の戦闘は、ヒットアンドアウェイの法則を無視して、次々に大トカゲを斬り伏せていく。

キリト君に魔法攻撃が命中するたびに、私とユウキちゃんで解呪魔法をかけてあげているんだけど……正直言ってその必要があるのか怪しい。

キリト君の戦闘は、剣を振り回しながら突進し、時には暴風に巻き込み、切り刻む。

当初は五体居たイビルグランサーを四体屠り、最後の一匹は残り二割程度に減らされた所で逃走に移った。

 

「やべ。 一匹逃がした」

 

「リーファちゃん、行ったよ」

 

「了解―」

 

情けない悲鳴を上げながら森に逃げ込もうとする奴に向かって、私は左手をかざすと、遠距離ホーミング系の攻撃魔法放つ。

緑色に輝くブーメラン状の刃が宙を奔り、イビルグランサーがポリゴンの欠片となって四散した。

 

Side out

 

 

俺とユウキは武器を収めてからリーファの元に向かい、

 

「おつかれ!」

 

「援護サンキュー!」

 

「援護ありがとね!」

 

手を上げてから、手の平を打ち付け合う。

 

「しっかしまぁ……何ていうか、ムチャクチャな戦い方ねぇ」

 

俺はリーファに言われ頭を掻いた。

 

「そ、そうかな」

 

「そうだよ。 何時もボクがサポートに回っているんだからね」

 

「……まぁ……そうだけどさ」

 

「今みたいな一種構成のモンスターならそれでもいいけどね。 近接系と遠距離型の混成とか、もしプレイヤーのパーティーと戦闘になった時は、どうしても魔法で狙い撃たれるから気を付けないとだめだよ」

 

「魔法ってのは回避できないのか?」

 

「遠距離攻撃魔法には何種類かあって。 威力重視で直線軌道の奴は、方向さえ読めれば避けられるけど、ホーミング性能のいい魔法や範囲攻撃魔法は無理ね。 それ系を使うメイジがいる場合は常に高速移動しながら交錯タイミングをはかる必要があるのよ」

 

「じゃあ、タイミングを合わせて魔法を斬ればいいんだね!」

 

ユウキさん。 満面の笑みですごい事をさらりと言ったね……。

……お前になら出来るかもな、すぐには無理かもしれんが。

 

「……ユウキちゃん、凄い事を考えるね。……あれ……デジャブったよ……」

 

リーファと会った中立の深い森の中で、同じようなやり取りをしていたな。

 

「キリトは出来るんじゃないかな? 魔法を斬るの。 SAOでは、武器破壊とかやっていたんだから」

 

「じゃあ、ユウキも出来るんじゃないか? お前も武器破壊出来ていたしな」

 

俺とユウキの会話に、リーファは口をポカンと開けてしまっていた。

 

「き、キリト君とユウキちゃんは、そんなことが出来たんだ……」

 

「ま、まぁ」

 

「うん。 最初にこの技を編み出したのはキリトだけど」

 

リーファの顔が少し引き攣っているよ。

……もしかして……異常な技なのかな……。

 

「……とっ、とりあえず、先に進もうか?」

 

「「おう(うん)」」

 

頷き合い、俺たちは翅を鳴らして空中移動を開始した。

その後はモンスターに出会うこと無く、古森を脱して山岳地帯に入った。

 

「あ、そろそろ翅が限界ね。 一度着陸しましょうか?」

 

「「わかった」」

 

リーファが先に降下したのを確認してから、俺とユウキも降下を開始する。

地面に着陸した俺とユウキは、腰に手を当てて背筋を伸ばした。

 

「疲れた?」

 

「いや、大丈夫だぞ」

 

「ボクも大丈夫」

 

「頑張るわね二人とも、でも空の旅はしばらくお預けよ」

 

「「なんで(だ)?」」

 

「見えるでしょう、あの山」

 

草原の先にそびえ立つ、真っ白に冠雪(かんせつ)した山脈をリーファが指差した。

 

「あれが飛行限界高度よりも高いせいで、山越えには洞窟を抜けないといけないの。 シルフ領からアルンへ向かう一番の難所、らしいわ。 あたしも此処からは初めてなのよ」

 

「そうなんだ。 結構長い洞窟なの?」

 

「かなり。 途中に中立の鉱山都市があって、そこで休めるらしいけど……。 キリト君、ユウキちゃん。今日はこれから予定ある?」

 

俺はウインドウを開き、時計を確認する。

 

「リアルだと夜七時か。 俺とユウキは大丈夫だ」

 

「わかった。 それじゃあ、もうちょっと頑張ろうか。 一旦《ローテアウト》しよっか」

 

「「ろ、ろーて?」」

 

「ああ、交代でログアウト休憩することだよ。 中立地帯だから、即落ちできないの。 だからかわりばんこに落ちて、残った人が空っぽのアバターを守るのよ」

 

「なるほどね。 ユウキとリーファからどうぞ」

 

「お言葉に甘えて。 二十分ほどよろしく! そうだ、作り置きしておくから後で食べてね」

 

「じゃあ、ボクもお言葉に甘えるね」

 

そう言って、リーファとユウキはウインドウを出してからログアウトボタンを押し、現実世界へ帰還した。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

桐ケ谷家 

 

Side 直葉

 

ベットの上で目を覚ました私は、アミュスフィアを急いで外して一階に駆け降りた。

すでに、一階のキッチンには木綿季ちゃんの姿があった。

木綿季ちゃんは、夕食の準備に取り掛かっていた。

 

「ご、ごめん、木綿季ちゃん。 手伝うよ」

 

「あ、スグちゃん。 ベーグルサンドでいいかな?」

 

そう言って、木綿季ちゃんは首を傾げた。

その仕草は、とても可愛かった。

う~ん、こんなに可愛い子をお兄ちゃんはどうやって落としたんだろう?

ALOで少し聞いてみようかな。

 

「うん。 私はそれで大丈夫だよ」

 

「了解―。 スグちゃんは先にシャワーを浴びてきなよ。 ボクがやっておくから」

 

「い、いいの」

 

「いいよー」

 

う~、私より出来た子だな~。

お兄ちゃんが羨ましい!

 

「じゃあ、お言葉に甘えるね」

 

そう言って、私はお風呂場に向かった。

私は手早くシャワーを済ませから、ジャージに着替え、キッチンに戻ると、テーブルの上に完成したベーグルサンドを並べている木綿季ちゃんの姿があった。

お皿の上に乗っていたベーグルサンドは、ハム、チーズ、マスタード、野菜類が挟んでありとても美味しそうだ。

 

「どうぞ。……何か簡単すぎる気がするけど」

 

「いたただきま~す」

 

その後、私はベーグルサンドを食べ、食器を片付け、自室に戻った。

木綿季ちゃんが作ったベーグルサンドはとても美味しかった。

木綿季ちゃんは、シャワーを浴びてからALOに戻るらしい。

私は自室に戻ってから、アミュスフィアを装着し、妖精の世界に舞い戻った。

 

 

♦♦♦♦♦♦♦♦

 

Side リーファ

 

「お待たせ! モンスター出なかった?」

 

キリト君は、片膝立ちでしゃがみ込んだ格好から立ち上がり、口から緑色のストロー状の物を離し、頷いた。

 

「おかえり。 静かなもんだったよ」

 

「……それ、ナニ」

 

「雑貨屋で買い込んだんだけど……スイルベーン特産だってNPCが言っていたぜ」

 

「あたし知らないわよ、そんなの」

 

キリト君は、それを私にひょいっと放ってきた。

それを一息吸うと、甘い薄荷の空気が口の中に広がった。

 

「じゃ、今度は俺が落ちる番だな。護衛よろしく」

 

「うん、行ってらっしゃい」

 

キリト君はウインドウを出し、ログアウトボタンを押し、現実世界に還った。

 

「戻ったよー」

 

ユウキちゃんが、キリト君と代わるようにALOに戻った。

私とユウキちゃんが、ぼんやりと空を眺めていたら、キリト君の胸ポケットからユイちゃんが姿を現した。

 

「……ゆ、ユイちゃん、ご主人様いなくても動けるの?」

 

ユイちゃんは当然といった顔で小さな手を腰に当て、頷いた。

 

「そりゃそうですよー。 わたしはわたしですから。 それとご主人様じゃなくて、パパです」

 

そう言って、ユイちゃんはユウキちゃんの肩に乗ってから言った。

 

「こちらがママですよ」

 

「そうだね。 ボクはユイちゃんのママだよ」

 

ユウキちゃんは、ユイちゃんの頬を優しく突いている。

 

「そういえば……なんでユイちゃんは、キリト君とユウキちゃんのことをパパとママって呼ぶの? あと、ねぇねぇって誰のことなの?」

 

「パパとママとねぇねぇは、私を助けてくれたんです。 わたしのことを俺の子供だ、娘だ、お姉さんだ、ってそう言ってくれたんです。 だから、パパとママとねぇねぇです」

 

「ごめんね、リーファちゃん。 ねぇねぇはまだ紹介できないの」

 

ユウキちゃんの表情は少し悲しそうだった。

どうしたんだろう……?

 

「う、うん……」

 

う~ん、やっぱり事情が飲み込めないな。 色々あったんだろうな。

私は、ユイちゃんに訊ねてみた。

 

「……パパとママとねぇねぇのこと、好き?」

 

「はい! 大好きです!」

 

ユイちゃんは、満面の笑みで私の質問に応えてくれた。

 

「ユウキちゃん、一つ聞いていいかな?」

 

「どうしたの~」

 

「どうやって、キリト君のことを好きになったの?」

 

ユウキちゃんは、顎に手をやって少し考えてから口を開いた。

 

「色々な出来事を一緒に経験してから、ボクにとってかけがえのない存在になったんだよ。 あと、キリトとボクは二年間離れることはなかったよ。 う~ん、答えになっているかな」

 

「キリト君とユウキちゃんは、《あのゲーム》が始まってからずっと一緒だったんだー……あっ、ごめん」

 

「大丈夫だよ、リーファちゃん。 途中から、ねぇねぇも一緒だったけどね」

 

「そ、そうなんだ」

 

それから数秒後、キリト君がログインして戻って来た。

 

「ただいま……あれ、何かあったの?」

 

「ボク達の話をしていたんだよ」

 

「そうか。 あ、作り置きありがとな、美味しかったよ」

 

「うん。 ボクの愛情がたっぷり入っていたからね」

 

「はいはい。 私の前でいちゃつこうとしない」

 

「「……ごめん」」

 

「じゃあ、出発しましょうか。 遅くなる前に鉱山都市まで辿り着けないと、ログアウトに苦労するからさ。 さ、洞窟の入口までもう少し飛ぶよ!」

 

「「おう(うん)」」

 

そう言って、私たちは翅を広げ、軽く震わせる。

キリト君とユウキちゃんが、今まで飛んで来た森の方向に振り向いた。

 

「どうしたの、二人とも?」

 

「いや……」

 

「……誰かに見られた気がするんだ」

 

キリト君とユウキちゃんは、木立の奥を見据えている。

 

「ユイ、近くにプレイヤーは居るか?」

 

「いいえ、反応はありません」

 

ユイちゃんは小さな頭をふるふると動かした。

だけどキリト君とユウキちゃんは、なおも納得出来ない様子で森の奥を見ている。

 

「見られた気が、て……。 この世界にそんな第六感みたいもの、あるの?」

 

「これが中々バカに出来ないんだよ。 特にユウキの勘はな」

 

「でも、ユイちゃんが見えないなら誰も居ないんじゃないかな」

 

「うーん、ひょっとしたらトレーサーが付いているのかも……」

 

私が呟くとキリト君が眉を上げた。

 

「そりゃ何だ?」

 

「追跡魔法よ。 使い魔の姿で、術者に対象の位置を教えるのよ」

 

「へー、便利な魔法があるんだね。 それは解除出来ないの?」

 

「トレーサーを見つければ可能だけど、術者の魔法スキルが高いと対象との間に取れる距離も増えるから、こんなフィールドだとほとんど不可能ね」

 

「そうか……取り敢えず先を行こうぜ」

 

「そうだね」

 

「うん。 じゃあ、二人とも行くよ」

 

「「おう(うん)」」

 

私たちは頷き合い、地面を蹴って浮かび上がった。

それから翅を大きく震わせ空中移動を開始した。

 




こんな感じに書き上げましたー。

今回はリーファちゃん視点が多かったね(笑)

ユウキちゃんも武器破壊出来たんだね(笑)

やばい、今後の展開あんまり考えていないのよね……。

まぁ、頑張って考えるよ。

次回も頑張って投稿するね。

うん。 頑張る。

えッ……ランキングに載ってた……めちゃくちゃ嬉しいーよ。

ご意見、ご感想よろしくお願いします!!

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