ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

舞翼です!!

今回は早く書きあげられたのかな?

誤字脱字があったらごめんよ。

それではどうぞ。


第52話≪火妖精族と風妖精族≫

Side リーファ

 

私は今、サラマンダーの部隊に追われている。

逃亡を図りながら風属性の防御魔法を張っておいたお陰でHPバーには余裕があるものの、シルフ領はまだまだ遠い。

その上、滞空制限時間ときた。

 

「くっ」

 

樹海へ逃げ込む為、急角度のダイブ。

私は樹海の木に隠れ、スペルを唱え、薄緑色の膜で体を隠した。

これで敵の視界からはガードされる。

 

「このへんにいるはずだ! 探せ!!」

 

「いや、シルフは隠れるのが上手いからな。 魔法を使おう」

 

すると、サラマンダーの男が詠唱を始めた。

この詠唱は……火属性の看破魔法だ。

この魔法は、数十匹のコウモリのサーチャーを放ち、隠形中のプレイヤーまたはモンスターに接触すると燃え上がり居場所を教える魔法だ。

一匹のコウモリが、私の体を覆っている薄緑色の膜に接触した。

コウモリが甲高い鳴き声を上げて燃え上がり、居場所を知らせる。

 

「いたぞ、あそこだ!!」

 

「くっ」

 

私は木の陰から飛び出し、放剣して構える。

サラマンダーも立ち止まりランスを向けてくる。

 

梃摺(てこず)らせてくれるじゃねーの」

 

一人のサラマンダーが興奮を隠しくれない様子で言った。

中央に立つリーダー格が言葉を続ける。

 

「悪いがこっちも任務だからな。 金とアイテムを置いていけば見逃す」

 

「なんだよ、殺そうぜ!! オンナ相手超ひさびさじゃん」

 

《女性プレイヤー狩り》

VRMMOで、女性プレイヤーを殺すのはネットゲームにおける最高の快楽とうそぶく連中。

正常に運営されているALOですらこうである。

 

いまや伝説となった《あのゲーム》の内部はさぞ……と思うと背筋が寒くなる。

 

私はおとなしく殺される気はない。

私は、愛剣のツーハンドブレードを大上段に構え、サラマンダーを睨んだ。

 

「あと一人は絶対に道連れにするわ。 デスペナルティの惜しくない人からかかってきなさい」

 

「諦めろ、もう翅が限界だろう。 こっちはまだ飛べるぞ」

 

確かに、飛行する敵に地上で襲われるのは絶対的に不利なポジションだ。

それに三対一なら尚更だ。

だけど、お金を渡して命乞いなんてもってのほかだ。

 

「気の強い子だな。 仕方がない」

 

リーダー格が肩を竦め、ランスを構え、翅を鳴らして浮き上がった。

それに倣って、二人のサラマンダーも続く。

敵が三方から私を取り囲み――今まさに突撃しようという、その時だった。

突然後ろの草むらが揺れ、人影が二つ飛び出でてきた。

一人は、派手な音を立てて草の中に墜落していた。

予想外のことに、私とサラマンダーの動きが止まり、草むらを凝視した。

 

Side out

 

 

俺は盛大な音を立てて草むらの中に墜落した。

 

「うう、いてて……。 着地がミソだなこれは……」

 

言うと、隣に着地した木綿季に言われた。

 

「大丈夫」

 

「……おう」

 

「で、助けるんでしょ」

 

さすが木綿季。 俺がやろうとした事を即座に理解するとは、俺は起き上がり言った。

 

「だな。 女の子を助けよう」

 

「了解したよ」

 

 

Side リーファ

 

緊張感のない声で話しているプレイヤーは、つんつんと尖った髪型、やや吊り上った大きな眼、どことなくやんちゃな少年と言った男性プレイヤーだ。

もう一人は、黒く長い髪、漆黒の大きな目、とても活発そうな女性プレイヤーだった。

二人の背から伸びる、黒く透き通る鋭い羽根は、闇妖精族(インプ)影妖精族(スプリガン)のものだ。

インプとスプリガンがなんでこんな中立域の奥深くに居るの??

それにどう見ても初期装備のままだ。

二人とも簡素な胴着(ダブレット)にズボンのみでアーマーの類はなく、武器は貧弱な片手用直剣一本だけ。

 

「何しているの! 早く逃げて!!」

 

だが、二人は動じる気配もない。

インプの少女は、少年の肩に寄り添っている。

スプリガンの少年が私と上空のサラマンダーたちを見渡し、声を発した。

 

「重戦士三人で女の子一人を襲うのはちょっとカッコよくないなぁ」

 

「なんだとテメェ!!」

 

三人のサラマンダーの内一人が声を上げ、二人のサラマンダーが空中を移動して少年の前後で止まり、ランスを構え、突進の姿勢を取る。

 

「くっ……」

 

助けに入ろうにも、リーダー格の男がこちらを牽制しているため、うかつに動けない。

 

初心者(ニューピー)二人がノコノコ出てきやがって馬鹿じゃねぇのか。 その内の一人は女じゃねぇかよ。 お望みどおり狩ってやるよ!」

 

とその時、少年から殺気が放たれた。

 

「ボクは大丈夫だよ」

 

と少女が言った直後、少年の殺気が霧散した。

 

「ああ、そうだな。――さてと、さっさとかかってきな」

 

「やろうッ!!」

 

少年の前方を陣取ったサラマンダーが、音高くバイザーを降ろした。

直後、大きく翅を広げて突撃を開始する。

後方の一人は、少年と少女が回避した所を仕留めるべく時間差で襲いかかるつもりらしい。

前方のサラマンダーのランスが当たる――その寸前。

――信じられないことが起こった。

サラマンダーの必殺の威力をはらんだランスの先端を掴んだのだ。

ガードエフェクトの光と音が空気を震わせる。

 

「よっと」

 

少年はサラマンダーの勢いを利用して、掴んだランスごと背後に居るサラマンダーに目掛けて放り投げた。

 

「わぁぁぁぁぁ」

 

悲鳴を上げながら吹っ飛んだサラマンダーが、背後に待機していた仲間と衝突し、両者は絡まったまま地面に墜落した。

金属音が重なって響く。

 

「ええと……あの人たち、斬ってもいいのかな?」

 

と少年が私に聞いてきた。

 

「……そりゃいいんじゃないかしら……。 少なくても先方はそのつもりだと思うけど……」

 

と私は呆然と答える。

 

「ボクも斬りたいな」

 

「じゃあ、俺は左を」

 

「ボクは右だね」

 

少年と少女は剣を抜き、消えた。

衝撃音と共にサラマンダーが小さな炎に包まれた。

少年と少女は、遥か離れた場所に停止していた。

 

――速すぎる!!

 

この世界でキャラクターの運動速度を決定しているものは唯一つ、フルダイブシステムの電子に対する反応速度である。

私とサラマンダーのリーダーが唖然とした。

二人のサラマンダーのHPバーは、全快状態でこそなかったものの、まだ半分は残っていた。

それを一撃で吹き消すとは尋常じゃない。

ALOにおいて、攻撃ダメージの計算はそれほど複雑なものではない。

武器自体の威力、ヒット位置、攻撃スピード、被ダメージ側の装甲、それだけだ。

それに対してサラマンダーの装甲はかなりの高レベルだったはず、つまりそれをあっさり覆すほど少年と少女の攻撃精度と、何よりスピードが驚異的だったというわけだ。

 

「どうする? あんたも戦う?」

 

「うん。 おじさんも戦う?」

 

その、あまりにも緊張感のない少年と少女の言葉に、我に返ったサラマンダーが苦笑した。

 

「いや、勝てないな、やめておくよ。 アイテムを置いていけというなら従う。 もうちょっとで魔法スキルが九〇〇なんだ、死亡罰則(デスペナ)が惜しい」

 

「正直な人だな」

 

「そうだねー」

 

少女が私に聞いてきた。

 

「そっちのお姉さんはどうするの? 彼と戦いたいなら邪魔はしないけど」

 

「あたしもいいわ。 今度はきっちり勝つわよ、サラマンダーさん」

 

「正直君ともタイマンで勝てる気はしないけどな」

 

言うと、翅を広げ、燐光を残して飛び立った。

あとには私と少年と少女、二つの赤いリメインライトだけが残された。

それらも一分が経過すると共にふっと消えた。

 

「……で、あたしはどうすればいいのかしら。 お礼を言えばいいの? 逃げればいいの? それとも戦う?」

 

少年は右手に握っている剣を左右に切り払うと、背中の鞘に音を立てて収めた。

 

「うーん、俺的には正義の騎士が悪漢からお姫様を助けた、っていう場面なんだけだな」

 

片頬でニヤリと笑う。

 

「感動したお姫様が涙ながらに抱きついてくる的な……」

 

「ば、バッカじゃないの!!」

 

私は思わず叫んでいた。顔がかあっと熱くなる。

 

「ははは、冗談冗談」

 

と、その時。

少女が少年から数歩下がり、片手剣の刀身を向けていた。

黒いオーラを出して……。

 

「冗談だってッ…冗談だから!…」

 

「……浮気はダメだよ」

 

「大丈夫だ。 俺が愛しているのは木綿季だけだ」

 

「もう、和人は。 平気でそういうこと言うんだから」

 

と言い、少女は黒いオーラを収め、片手剣の刀身を腰に装備している鞘に収めた。

 

「パパ、浮気はダメですよ!!」

 

「あっ、こら、出てくるなって」

 

少年の胸ポケットから小さな、何やら光るものが飛び出してきた。

 

「パパにくっついていいのはママとねぇねぇとわたしだけです!!」

 

「ぱ、ぱぱぁ!?」

 

私は警戒を忘れ、声の発生源をまじまじと見つめた。

小さな妖精だ。

てか、さっき和人って、木綿季とも言っていたし。

確認してみようかな。

 

「ねぇ、確認したいことがあるんだけど……?」

 

少年と少女は首を傾げた。

 

「スプリガンの男の子って、お兄ちゃん? さっきインプの女の子が和人って言っていたから」

 

「……お兄ちゃん?……もしかして……スグか?」

 

「うん。 妹の桐ケ谷直葉だよ。 ってことは、インプの女の子は木綿季ちゃん?」

 

「うん、そうだよ。 スグちゃん」

 

「そうなんだ! てか、なんでこんなところに居るの?」

 

「う~ん、ログインした場所が深い森の中だったんだよ」

 

とお兄ちゃんが言った。

小さな妖精がお兄ちゃんの肩に乗ってきた。

 

「パパの妹さんでしたか」

 

「そうそう、お兄ちゃん、木綿季ちゃん。 パパとママとねぇねぇってどういうことなの?」

 

私はすご~く気になる疑問を、お兄ちゃんと木綿季ちゃんにぶつけた。

 

「えーと、ユイちゃんはボクと和人の子供かな。 あと、ユイちゃんにはお姉さんがいるよ」

 

「そっそうなんだ」

 

「「おう(うん)」」

 

ん~、どう言うことなのかな……?

 

Side out

 

俺と木綿季とスグとユイは、改めて自己紹介をした。

 

「お兄ちゃん、木綿季ちゃん。 これからどうするの?」

 

「装備を整えたいかな」

 

確かに、この武装じゃ心もとないからな。

 

「そうだな」

 

「じゃあ、遠いけど北の方に中立の村があるから、そこまで飛ぼうか?」

 

「あれ、スイルベーンって街のほうが近いんじゃあ?」

 

あれ、スグに呆れられたぞ。

何でだ……?

 

「そうだけど……お兄ちゃん、あそこはシルフ領だよ」

 

「何か問題あるのか?」

 

あっけからんとした俺の言葉にスグが絶句した。

 

「……問題っていうか……街の圏内じゃお兄ちゃんと木綿季ちゃんはシルフに攻撃できないけど、逆はアリなんだよ」

 

「そうなんだ。 でも、デュエルを申し込めばボク達も攻撃できるよ」

 

お、ナイスアイディアだな。

さすが木綿季。

 

「……木綿季ちゃん。 すごいこと考えるね」

 

「まぁね~」

 

「でも、別にみんなが即襲ってくるわけじゃないんだろう? スグもいるし」

 

「ボクはシルフの国を見てみたいなぁ~」

 

「命の保証までできないからね。 あ、あとここではリーファでお願いね」

 

「おう。じゃあ、俺のことはキリトって呼んでくれ」

 

「ボクはユウキで」

 

「じゃあ、スイルベーンまで飛ぼうか?」

 

リーファは、透き通る緑色の翅を広げて軽く震わせた。

 

「あれ、ス……リーファは補助コントローラなしで飛べるの?」

 

「あ、まぁね。 お……キリト君は?」

 

「ちょっと前にこいつの使い方を知った所だからなぁ」

 

俺は左手を動かす仕草をする。

 

「ユウキちゃんは?」

 

「ん、ボクは完璧だよ」

 

ユウキは感覚でほぼ出来ていたからなぁ~。

 

「ユウキちゃんはOKね。 キリト君、コントローラを出さずに、後ろを向いてみて」

 

「あ、ああ」

 

リーファはくるりと体を半回転させた、俺の背中の肩甲骨の少し上に手を添える。

肩に座ったユイが興味津々といった風に見ている。

隣に居るユウキも同様だ。

 

「今触っているの、わかる」

 

「うん」

 

「ここのところから、仮想の骨と筋肉が伸びていると想定して、それを動かすの」

 

「仮想の骨と……筋肉……」

 

すると、俺の肩甲骨辺りから伸びる灰色の翅がぴくぴくと動き、小刻みに震える。

 

「おっ、そうよ、そんな感じ。 今の動きをもう一度、もっと強く!」

 

「むむむ……」

 

俺は唸りながら両腕を引き絞った。

先程より強く翅が振動し始めた。

と、その時。

リーファに背中をどんっ、と思い切り押し上げられた。

 

「うわ!?」

 

俺はロケットのように真上に飛び出した。

 

「うわあああぁぁぁぁ!?」

 

俺の体はあっという間に上空に消えていった。

リーファとユウキとユイは顔を見合わせた。

 

「やばっ」

 

「あっ」

 

「パパー!!」

 

三人は同時に飛び立ち、後を追う。

ぐるりと夜空を見渡すと、スプリガンの少年が右へ左へとふらふら移動する姿を見つけた。

 

「わあああああぁぁぁぁぁ………止めてくれえええええぇぇぇぇぇ!!」

 

再びリーファとユウキとユイは顔を見合わせ、同時に吹き出した。

 

「「あはははは」」

 

「ご、ごめんなさいパパ、面白いです~~」

 

並んで空中にホバリングしたまま、リーファとユウキとユイは、お腹を抱えて笑う。

すると、ユウキが俺の襟首を捕まえて停止させてくれた。

 

「ありがとう。 ユウキ」

 

「どういたしまして」

 

十分ほどのレクチャーで如何にか自由に飛べるようになったな。

 

「おお……これは……これはいいな!」

 

俺は、旋回やループを繰り返しながら大声で叫んだ。

 

「そーでしょ!……それじゃあ、このままスイルベーンまで飛ぼっか。ついてきて!」

 

「「おう(うん)!!」」

 

四人は真横一列になってシルフ領の首都スイルベーンまで空中移動を開始した。

 

 




なんか中途半端でおわっちゃったかな(;_;)

まぁ、ここら辺が区切りが良かったんよ。

次回あたりに鳥籠の内部書こうかな?ww

やっぱり、もうちょい先かな。

ご意見、ご感想よろしくお願いします!!


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