舞翼です!!
今回の話はユイちゃん回です!!
あっ、あとホロウフラグメント編はやりませんよ~。
上手く書けたかな?
誤字脱字があったらごめんよ…。
それでは、どうぞ~。
翌日。
俺たち三人は、ソファーに腰を下ろして話していた。
「それで、今日は何処の森に探検に行くんですか?」
とランが俺に聞いてきた。
俺はにやりと笑い、左手を振ってマップを呼び出した。
可視モードにし、ユウキとランに場所を示す。
「此処の森なんだけどな」
指差したのは、俺たち三人の家から少し離れた森の一角だ。
「この場所には、噂があるんだよ……」
「なになに噂って」
ユウキは興味津々だ。
「出るんだってさ……」
「何が出るんですか?」
ランは首を傾げて聞いてきた。
ランはどんなしぐさをしても可愛いね。
ユウキも可愛いけどさ。
「……人間の、幽霊。 女の子だって」
「きゃーー」
俺の隣に座っていたユウキが、俺の胸に飛び込んできた。
俺は、胸の中に飛び込んできたユウキを優しく受け止めた。
ユウキは、俺の顔を見上げてきた。
頭をくしゃくしゃと撫でてあげる。
「えへへ~」
ユウキは目を細めて気持ち良さそうにしていた。
「む~~」
ランは、俺とユウキを見て頬を膨らませていた。
うん、可愛いね。
「ほら、ランはここだ」
俺は自身の足の膝の上をポンポンと叩き、膝の上に座るように促した。
ランは立ち上がり、俺と向き合うように膝の上に座った。
俺はランの頭を撫でてあげた。
「気持ちですー」
ランも目を細め気持ち良さそうにしていた。
二人とも小猫みたいだな。
それから数分間、頭を撫でてあげた。
「もういいか?」
「「うん」」
俺たち三人は立ち上がり、玄関の扉へ向かった。
「じゃあ、行こうか?」
「「はーい」」
♦♦♦♦♦♦
俺たち三人は、手を繋ぎ目的地まで移動していた。
勿論、俺が真ん中だ。
「わぁ、いつ見ても綺麗だね」
ユウキが見ている湖は、太陽の光が反射し光り輝いている。
ランも光輝いている湖に視線を向ける。
「綺麗ですねー」
「だな」
俺は、二人の言葉に同意した。
ここの層に越してきて正解だったな。
釣りをしていたプレイヤー達が、手を繋いで歩いている俺たちに気づき手を振ってきた。
ユウキとランは、釣りをしているプレイヤー達に手を振り返した。
「キリトも手を振りなよ」
「そうですよ」
「……嫌だ」
俺たち三人は、手を繋ぎ直し目的地の森へ足を向けた。
♦♦♦♦♦♦♦
「まだ着かないの~??」
とユウキに聞かれた。
俺は左手を振り、マップで現在位置を確認する。
「う~ん、そろそろ着くはずなんだけどな……」
「そういえば、どんな噂話だったんですか??」
ランが俺に聞いてきた。
「ええと、一週間くらい前、
「「それでそれで!!」」
ユウキとランは、こういう話が大好きなんだよな。
「モンスターかと思って慌てたけど、どうやらそうじゃない。 人間、小さい女の子に見えたって言うんだな。 長い黒い髪に、白い服。 ゆっくり、木立の向こうを歩いて行く。 モンスターでなけりゃプレイヤーだ、そう思って視線を合わせたら……、カーソルが出ない」
「……ねぇ、キリト。 もしかして“あれ”のこと……??」
「嘘だろ……」
ユウキの視線の先には、白いワンピースを纏った幼い少女が無言で佇み、俺たち三人をじっと見ている。
ふらりと少女の体が揺れた。
少女の体は地面に崩れ落ちた。
俺たち三人は、倒れた少女へと駆け寄って行く。
「大丈夫かな??」
ユウキは、少女の顔を覗き込みながら言った。
俺は少女の体を抱え起こした。
少女の意識は戻っていない。
長い
俺も少女の顔を覗き込みながら言った。
「うーん。 でもまぁ、消滅していない……っことは生きているって、ことだよな。 しかしこれは……、相当妙だぞ……」
暫しの沈黙の後、ランが口を開いた。
「確かに妙ですね……。 カーソルが出ないんですから……」
ランも少女を覗き込みながら言った。
アインクラッドに存在する動的オブジェクトならプレイヤー、モンスター、NPCはターゲットにした瞬間必ずカラー・カーソルが出現する。
だが、少女からはカーソルが出現しなかったのだ。
「とりあえず、家に連れて帰りましょう。 目を覚ませばいろいろ判ると思いますし」
俺とユウキは、ランの言葉に頷いた。
俺は少女を
♦♦♦♦♦♦♦
俺は二階の寝室に少女を横たえ、毛布を掛けてから一階のリビングに向かった。
俺たち三人は、指定された椅子に座り少女のことを話していた。
「まず一つだけ確かなのは、こうして家まで移動させられたからにはNPCじゃないよな」
「でも、カーソルが出なかったんだよね??」
ユウキは首を傾げていた。
「妙ですね」
ランも首を傾げていた。
「十歳はいっていないよな……。 八歳くらいかな??」
「それくらいだね」
「ですね」
「うーん、考えても仕方ないよな……」
「とりあえず、お昼ゴハンにしようか」
ユウキの言葉で、俺たち三人は昼食を摂ることにした。
時間が過ぎ去っても少女は変わらず眠り続けていた。
少女のことはユウキとランに任せることにして、俺は一階のソファーで寝ることにした。
♦♦♦♦♦♦♦
「キリト!! 起きて!!」
俺はユウキの声によって目を覚まし、ソファーから起き上がった。
「……おはよう。 どうかしたのか??」
「あの子が瞼を閉じたまま、ボクの起床アラームに合わせて歌っていたんだよ!」
「とりあえず、 二階に行くか」
俺とユウキは、一緒に二階の寝室に向かった。
俺は寝室に足を踏み入れ、少女の隣まで移動し顔を覗き込んだ。
「おーい、起きてくれー」
やがて、長い睫毛がかすかに震え、ゆっくり持ち上がった。
黒い瞳が、至近距離から真っ直ぐに俺の目を射た。
数度の瞬きに続いて、色の薄い唇がほんのわずかに開かれる。
「あ……う……」
少女の声は極薄の銀器を鳴らすような、儚く美しい響きだった。
少女の隣に座っていたランが、少女の体を抱き起こした。
ユウキも俺の隣までやって来た。
「……自分がどうなったか解るか??」
俺は少女に問いかける。
少女は数秒のあいだ口をつぐみ、小さく首を振った。
「じゃあ……、名前は……??」
今度は、ユウキが少女に問いかけた。
「二人とも、いきなり質問攻めはよくないですよ」
「「ごめんなさい……」」
ランに怒られてしまった。
「お名前は? 言える?」
ランは優しい声音で少女に問いかけた。
「……な……まえ……。わた……しの……なまえ……」
少女が首を傾げると、艶やかな黒髪がひと筋頬にかかった。
「ゆ……い。ゆい。 それが……なまえ……」
「ユイちゃんね。いい名前ね。 私はラン」
「ボクはユウキだよ」
「俺はキリトだ」
俺たち三人は、ユイに自己紹介をした。
「りゃ…ん。 ゆぅ…き。 き…と」
たどたどしく唇が動き、切れ切れの音が少女の口から発せられる。
「どうしてあの森にいたんだ?」
俺が一番聞きたい疑問をユイに問いかけた。
ユイは目を伏せ、黙り込んでしまった。しばらく沈黙を続けた後、ふるふると首を動かす。
「わかん……ない……。 なん……にも……、わかんない……」
♦♦♦♦♦♦♦
俺たち三人は、ユイを連れてリビングまで移動した。
ユイを椅子に座らせ、温めて甘くしたミルクを勧めると、カップを両手で抱えるようにして飲み始めた。
その様子を目の端で見ながら、離れた場所で意見交換をすることにした。
「どう思う??」
俺は、ユウキとランに問いかけた。
「記憶喪失なのかな??」
ユウキも俺と同じ事を考えていたのか。
「私たち三人で、出来る事をやりましょうか??」
「「だ(な)(ね)」」
俺とユウキは、ランの言葉に頷いた。
俺たち三人はリビングまで移動し、椅子を移動させてから、ユイに向い合うように座った。
俺は明るい声でユイに話し掛けた。
「やぁ、ユイちゃん。……ユイって、呼んでいい?」
カップから顔を上げたユイが、こくりと頷く。
「そうか。 じゃあ、ユイも俺のこと、キリトって呼んでくれ」
「き……と」
「キリト、だよ。 き、り、と」
「…………」
ユイは難しい顔をして黙り込んでしまった。
「……きいと」
俺は立ち上がり、ユイの頭に手を置いた。
「ちょっと難しかったかな。 何でも、言いやすい呼び方でいいよ」
再びユイは長い時間考え込んでいた。
やがてユイはゆっくり顔を上げると、俺の顔を見て、恐る恐る、というふうに口を開いた。
「……パパ」
次いでユウキを見上げて、言う。
「ゆぅ…きは……ママ」
ユウキの隣に座っていたランにも言う。
「りゃ…んは……ねぇねぇ」
ユウキとランは、微笑みとともに頷いた。
「そうだよ。 ボクがママだよ、ユイちゃん」
「じゃあ、私はユイちゃんのお姉さんね」
それを聞くと、ユイは初めて笑顔を浮かべた。
「ママ! ねぇねぇ!」
ホットミルクを飲み、小さな丸パンを一つ食べると、ユイは椅子の上で頭を揺らしはじめた。
眠くなってきたのだろう。
俺はユイの隣に椅子を移動させてから座り、俺の肩に寄り掛かるようにした。
ユイは、俺の肩に寄り掛かり寝息をたて始めた。
俺はユイをゆっくりと横抱きし、ソファーの上に寝かせ毛布を掛けてあげた。
俺は座っていた椅子まで移動し、椅子に腰を下ろしてから二人に問いかけた。
「で、どうする」
「まず、お母さんとお父さんを探さないとね」
「とりあえず、はじまりの街に行きましょうか?」
「だな」
♦♦♦♦♦♦♦
ユイは昼食の準備が終わる頃に目を覚ました。
テーブルについたユイは、俺がかぶりつくマスタードたっぷりのサンドイッチに興味を示し、俺たち三人を慌てさせた。
「ユイ、これはな、すごく辛いぞ」
「う~……。 パパと、おんなじのがいい」
「そうか。 そこまでの覚悟なら俺は止めん。何事も経験だ」
俺はユイにサンドイッチを一つ差し出した。
ユイは小さな口を大きく開けてサンドイッチにかぶりついた。
俺たち三人が固唾を呑んで見守るなか、口をもぐもぐさせていたユイは、ごくりと喉を動かすとにっこり笑った。
「おいしい」
「中々根性のある奴だ」
俺は笑いながらユイの頭をぐりぐりと撫でる。
「晩飯は激辛フルコースに挑戦しような」
「「そんなもの作りません!!」」
「……あい」
ユウキとランに全力で拒否されてしまった…。
結局残りのサンドイッチは、俺とユイで全て平らげてしまい、満足そうにミルクティーを飲むユイに向かって、ユウキが言った。
「ユイちゃん、午後はパパとママとねぇねぇでお出かけしよう!」
「おでかけ?」
ユイは、ユウキの言葉にきょとんとした。
「ユイの友達を探しに行くんだ」
「ともだち……って、なに?」
俺たち三人は、顔を見合わせた。
記憶喪失がここまで酷いのか……。
記憶がところどころ消滅しているような感じだな……。
「お友達っていうのは、ユイちゃんのことを助けてくれる人のことだよ」
ユウキは、優しい声音でユイに言った。
ユイは、こくりと頷いて立ち上がった。
「とりあえず、厚手のセーターに着替えをようか」
ユウキが俺のことを見て言ってきた。
「キリト……」
「……了解です」
俺は着替えが終わるまで、二階の寝室に移動した。
数分後。
「降りてきてー」
俺はユウキに呼ばれたので、一階のリビングまで移動した。
「どうしたんだ?」
「これを見て下さい」
ランに言われ、視線をユイの可視モードになっているアイテムウインドウを覗き込んだ。
基本は他人のスターテスを見るのは重大なマナー違反であるが、こういう状況だ、仕方がないだろう。
「なんだこれ!?」
メニューウインドウのトップ画面は、基本的に三つのエリアに分けられている。
最上部に名前の英語表示と細いHPバー。EXPバーがあり、その下の右半分に装備フィギア、左半分にコマンドボタン一覧という配置になっている。
だが、ユイのウインドウの最上部には《Yui-MHCP001》という奇妙なネーム表示があるだけでHPバーもEXPバーも、レベルの表示すら存在しなかった。
僅かに《アイテム》と《オプション》の二つだけが存在するだけ。
「……システムのバグか??」
「ボクにはバグというよりは、もともとこういうデザインになっている様にも見えるけど……」
とユウキが言い、
「ユイちゃんが、アイテムウインドウを開くことを難しかしそうにしていたんですよ」
ランが言った。
「……これ以上考えても仕方ない」
「そうだね」
「ですね」
二人が同意したのを確認してから、俺は二階の寝室に向かった。
ユイがまだ着替えていないからだ。
数分後。
「いいよー」
俺はユウキに呼ばれ、一階のリビング向かった。
俺たち三人は、ユイを連れて玄関の扉まで向かおうとした。
俺は、ユイに服の袖を掴まれた。
ユイは、俺に向かって両手を広げた。
「パパ、だっこ」
俺は、苦笑しながらユイの体を横抱きにして抱え上げた。
「本当のパパみたいだね」
ユウキがこちらを振り向いて言ってきた。
「ユウキはママだろ」
「えへへ~」
ユウキは、満面の笑みを浮かべていた。
ランもこちらを振り向いて言ってきた。
「私は、キリトさんとユウキの子供になっちゃうわね」
「だな。 ランはユイの姉だからな」
俺たち三人は顔を見合わせ笑い合った後、玄関の扉まで足を向けた。
「じゃあ、行こうか」
「だね」
「ですね」
俺は、玄関の扉をゆっくり開けた。
「キリト、そのまま動かないでね」
「動かないでくださいね」
突然、ユウキとランに呼び止められた。
どうしたんだ??
すると、両頬から柔らかい感触が伝わって来た。
俺は顔を真っ赤にした。
ユウキとランにキスをされたのだ。
「パパ、どうしたの??」
ユイが首を傾げて聞いてきた。
「なっなんでもないぞ……」
「ユイちゃんは、まだ覚えなくていい事だよ」
「大きくなったら覚えようね」
俺たち三人は、はじまりの街に足を向けた。
どうでした?
上手くイチャイチャが書けたかな?
後、噂はキリト君が釣りに行ったときに聞いたって事にしといてください。
ご意見、ご感想よろしくおねがいします!!