ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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どもっ!!

どうやって、大きなフラグを立てようか考えている舞翼です!!

今回は結構書きました。

なので、ぐだぐだになっていないか不安です…。

あと、ご指摘をくれた方々に感謝です!!

次回から参考にさせていただきます!!

今回は勘弁してください(汗)

誤字脱字があったらゴメンナサイ…。

では、どうぞー。


第38話≪純色の殺意≫

第47層「フローリア」

 

昨日の騒ぎがあった為、俺とユウキはホームに帰れなくなっていた。

なので、ランの家を避難場所にしていた。

俺は、第55層「グランザム」の血盟騎士団ギルド本部に赴き、任務内容を聞き、一日だけ任務をこなす事になっていた。

ギルドの制服には、袖を通していない。

いつも通り、黒いコートに袖を通している。

制服を袖に通していない理由は、今着ているコートの方が動きやすいし防御力があるからって言って、ヒースクリフから許可を貰ったんだよな。

血盟騎士団ギルド本部なんて行きたくねぇー。

 

「キリト。 準備出来たの?」

 

「出来たんですか?」

 

ユウキとランがリビングから出てきて玄関付近の椅子に座っている俺に言ってきた。

 

「出来たよ……」

 

俺は、ため息を吐き出して立ち上がった。

 

「ほらッ、しゃきっとして」

 

ユウキは、前屈みになっていた俺の背筋を真っ直ぐ伸ばす。

 

「今日、一日だけなんだから我慢しようね……。 いい?」

 

「我慢しましょうね。……いいですか?」

 

二人は、上目使いで俺を見上げて来た。

 

「わっわかった」

 

俺は、頷き言葉を返していた。

お前達、美少女に上目使いをされたらどんな男でも頷いてしまうよ。

 

「じゃあ、行ってくるわ」

 

「「いってらっしゃい!!」」

 

俺は玄関の開け外に出た。

 

「さて、行くか」

 

俺は、第55層「グランザム」に足を向けた。

 

 

第55層「グランザム」血盟騎士団ギルド本部

 

ギルド本部で俺を待っていた言葉は任務ではなく訓練だった。

 

「訓練……?」

 

「そうだ。 私を含む団員四人パーティーを組み、ここ55層の迷宮区を突破して56層主街区まで到達してもらう」

 

そう言ったのは、もじゃもじゃの巻き毛を持つ大男で斧戦士だ。

彼は血盟騎士団の前衛の指揮を執っている人物だ。

名前はゴドフリー。

 

「では、集合場所に行こうか」

 

「ああ」

 

集合場所は、血盟騎士団本部の西門であった。

俺は、集合場所で最も見たくなかった人物の顔を見ることになった。

そこには、クラディールの顔があったのだ。

 

「……どうゆうことだ」

 

俺はゴドフリーに小声で尋ねた。

 

「ウム。 君らの間の事情は承知している。 だがこれからは同じギルドの仲間、ここらで過去の争いは水に流してはどうかと思ってな!」

 

「……俺は、今日だけしかギルド加入しないぞ」

 

血盟騎士団の仲間入りなんて絶対にお断りだ……。

 

「そうだったのか。 それは失礼した。 では訓練を始めようか」

 

すると、クラディールがゆっくりとこちらに進み出てきた。

俺は、反射的に身構える。

だが、俺の予想を裏切る行動を取った。

突然頭を下げたのだ。

 

「先日は……、ご迷惑をお掛けしまして……」

 

俺は、突然の事に驚き、口をぽかんと開けてしまった。

 

「二度と無礼な真似はしませんので……、許していただきたい……」

 

「……ああ」

 

だが微かに、今の言葉には殺意が籠っていた。

この訓練、嫌な予感がする。

 

「よしよし、これで一件落着だな!!」

 

しばらくすると残り一人の団員もやってきて、俺達は迷宮区目指して出発することになった。

歩き出そうとした俺をゴドフリーが引き留めた。

 

「……待て。 今日の訓練は限りなく実践に近い形式で行う。 危機対処能力も見たいので、諸君らの結晶アイテムは全て預からせてもらおう」

 

「……転移結晶もか?」

 

俺の問いに、当然だと言わんばかりに頷く。

俺は、かなりの抵抗を感じた。

クリスタル、特に転移結晶は、このデスゲームにおける最後の生命線だからだ。

俺とユウキはストックを切らした事は一度もなかった。

俺は、クラディールと一人の団員を見た。

血盟騎士団の二人はゴドフリーに全ての結晶アイテムを手渡していた。

 

「さぁ、早くお前も渡せ」

 

「断る! このストレージは、俺だけのストレージじゃないからな!!」

 

これはもう、俺一人のストレージでは無い。

ユウキとストレージを共通化しているのだ。

 

「何を言う。 早く渡さんか!」

 

「嫌だね。 そんなに渡して欲しいならユウキに許可を貰え」

 

「貴様―!!」

 

ゴドフリーは爆発寸前だ。

 

「じゃあ、俺が今からメッセージ送るから待ってくれ」

 

俺は、ユウキにメッセージと飛ばした。

『結晶アイテムが全て奪われた。 アイテムの補充を頼む。 後、俺の位置追跡をしてから、継続してモニタリングしてくれ』と送った。

俺は、返事が返って来る前に全ての結晶アイテムを実体化させゴトフリーに手渡した。

 

「ウム、よし。 では出発」

 

ゴドフリーの号令に従い、四人グランザム市を出て彼方に見える迷宮区目指して歩き出した。

俺は、その最後尾でユウキからのメッセージを待っていた。

鈴の音が鳴り、メッセージが飛んできた。

俺は、三人に見えない様に確認した。

『アイテムの補充は全て完了したよ。 後、モニタリングも実行しているよ。 何か遭ったら、すぐに飛んで行くからね。 任務頑張ってね』

俺は、続いてアイテムのウインドウを確認した。

アイテムもしっかり補充されていた。

『助かったよ。 ありがとうな』と、俺は送り返した。

 

55層のフィールドは植物の少ない乾いた荒野だ。

俺は早く帰りたかったので迷宮まで走っていくことを主張したが、ゴトフリーの一振りで退けられてしまった。

どうせ筋力パラメータばかり上げて敏捷度をないがしろにしているんだろうな。

筋力値重視の脳筋だな。

何度かモンスターに遭遇したが、こればかりはゴトフリーの指揮に従う気にならず、俺は、ユニークスキルの二刀流を使用し、モンスターがPOPするたびに二刀流ソードスキル全方位攻撃《エンドリボルバー》を繰り出した。

この攻撃を受け、モンスターは一撃で葬り去っていた。

早く帰りたいなー、と思っていたら灰色の岩造りの迷宮区が姿を現した。

 

「よし、ここで一時休憩」

 

ゴドフリーが野太い声で言い、パーティーは立ち止った。

 

「では、食料を配布する」

 

ゴドフリーはそう言うと、革の包みを四つオブジェクト化し、一つをこちらに放ってきた。

片手で受け取り、中身を開けた。

中身には水の瓶とNPCショップで売っている固形パンだった。

本来ならユウキの手作りサンドイッチが食べられるはずだったのに、と自分の不運、と言うより、あの時に口約束をしなければよかったなと考えながら、瓶の栓を抜いて一口呷る直前に、一人離れた岩の上に座っているクラディールの姿が目に入った。

奴は何か持っている。

俺は咄嗟に水の瓶を投げ捨てた。

周りを見渡すとクラディールと俺を除く全員がその場に崩れ落ちていた。

倒れた二人のHPバーは、普段は存在しないグリーンに点滅する枠に囲まれている。

間違いない。 麻痺毒だ。

俺は、グラディールの真正面に立ち同時に背中に装備している二刀を同時に抜き放った。

 

「どういうつもりだ!」

 

「クッ……クックックッ……クハッ! ヒャッ!ヒャハハハハ!!」

 

岩の上でクラディールが両手で自身の体を抱え、全身をよじって笑った。

落ち窪んだ三白眼に、狂喜の色が浮かんでいる。

ゴドフリーが茫然とした顔でそれを眺める。

 

「ど……どういうことだ……この水を用意したのは……クラディール……お前……」

 

「早く解毒結晶を使え!!」

 

俺は、ゴドフリーに向かって叫んだ。

俺の声に、ゴドフリーはようやくのろのろとした動作で腰のポーチを探り始めた。

 

「ヒャーーーーーーッ!!」

 

クラディールは岩の上から跳び上がり、俺の頭上を飛び越えゴドフリーの左手をブーツで蹴り飛ばした。

その手からは、緑色の結晶がこぼれ落ちる。

この行為により、ゴトフリーのHPが僅かに減少し、同時にクラディールを示すカーソルがグリーンから犯罪者を示すオレンジに変化した。

だが、それは事態に何ら影響を与えるものではない。

こんな攻略完了層のフィールドを都合よく通りがかる者などいるはずがないからだ。

 

「ゴドフリーさんよぉ、馬鹿だ馬鹿だと思っていたがあんた筋金入りの筋肉脳味噌(ノーキン)だなぁ!!」

 

クラディールの声が荒野に響く。

 

「あんたにも色々言ってやりたいことはあるけどなぁ。……オードブルで腹いっぱいになっちまっても困るしよぉ……」

 

言いながら、クラディールは両手剣を腰の鞘から引き抜いた。

体をいっぱいに反らせ、大きく振りかぶる。

 

「ま、まてクラディール! お前……何を……。 何を言っているんだ……? く……訓練じゃないのか……?」

 

「うるせぇ。 いいからもう死ねや」

 

同時に両手剣が振り下ろされた。

それと同時に俺も動き出した、二刀流突撃技《ダブルサーキュラー》を放つ。

しかし、ここからでは距離が開き過ぎていた

俺の二刀は、クラディールに綺麗に避けられてしまったのだ。

 

「黒の剣士、お前は後だ」

 

俺は、すぐにクラディールに向き直る。

 

「死ねーーッ!!」

 

クラディールの声が響いたと同時に無造作に両手剣が振り下ろされた。

鈍い音が響き、ゴドフリーのHPバーが大きく減少した。

ゴドフリーはようやく事態の深刻さに気付いたらしく、大声で悲鳴を上げ始めた。

 

「ぐあああああああ!!」

 

「やめろーーォォ!!」

 

俺は、クラディールに向かい叫んだ。

だが、グラディールは二度、三度、ゴドフリーの身体に剣を突き刺しHPバーを確実に減らし続ける。

HPが赤い危険域に突入して動きを止めた。

だが、ゆっくりとゴドフリーの体に突き立てた。HPがじわじわ減少する。

そのまま剣に体重をかけていく。

 

「ヒャハアアアアア!!」

 

剣先はじわじわゴドフリーの身体に食い込み続け遂にHPバーゼロにした。

無数の破片となって飛び散る。

ゴドフリーの身体は消滅したのだ。

クラディールは地面に突き刺さった両手剣をゆっくりと抜くと、機械仕掛けの人形のように動きで、首だけをもう一人の団員のほうに向けた。

 

「ヒッ!! ヒッ!!」

 

クラディールがゆっくり近づいて行く。

 

「……お前にゃ何の恨みもねぇけどな……。 俺のシナリオだと生存者は俺一人なんだよな」

 

クラディールは両手剣を振りかぶる。

 

「ひぃぃぃぃっ!!」

 

「いいか~? 俺達のパーティーはァー」

 

俺は次の瞬間、奴が無造作に振り下ろしてきた両手剣と団員の間に潜り込み両手に持つ剣を交差させて受け止めた。

 

「逃げろッッ!!」

 

俺は、団員に叫んだ。

団員は全身を震わせながら頷き、グランザム市の方向に走った。

姿が見えなくなるのを確認してから口を開いた。

 

「なんでこんな事をした!!」

 

「お前ぇを殺したかったからだよ。 ヒャヒャヒャ」

 

クラディールは両手剣の剣先を俺に向けて応じた。

 

「あのデュエルの時にいた、絶剣のお嬢ちゃんと剣舞姫のお嬢さんの悲しむ顔が見たいからねぇ。あの美貌が崩れる姿を堪能したいからなぁ、クックック」

 

クラディールは尖った舌で唇を嘗め回した。

ユウキとランのこと言われ殺意が湧いてきた。

だが、一つだけ聞きたいことがあったので殺意を抑えて口を開いた。

 

「……お前みたいな奴がなんでKoBに入った?」

 

「クッ、決まってんじゃねぇか。 あの女だよ」

 

あの女?

アスナのことか!?

こいつは、屑野郎だな……。

 

「……お前のような屑野郎は犯罪者ギルドがお似合いだ……」

 

俺は、殺気の籠った声音で言った。

 

「おもしれー事言ったなぁ、黒の剣士さんよぉ!」

 

「……事実だろう」

 

「褒めているんだぜぇ? いい眼しているってよ」

 

クラディールは突然左のガントレットを除装した。

純白のインナーの袖をめくり上げ、露わになった前腕の内部を俺に向ける。

 

「…………!!」

 

俺が見たものは、タトゥーだ。

カリカチュアライズされた漆黒の棺桶図案。

蓋にはにやにや笑う両眼と口が描かれ、ずれた隙間からは白骨の腕がはみ出している。

 

「その……、エンブレムは……≪笑う棺桶(ラフィン・コフィン)≫の……?」

 

掠れた声でそう口走った俺に、クラディールはにんまりと頷いてみせた。

《笑う棺桶》。

それは、かつてアインクラッドに存在した、最大最凶の殺人ギルドの名前だ。

俺は《ラフィン・コフィン》討伐作戦で、メンバー二人の命を奪ってしまった。

 

「これは……、復讐なのか? お前はラフコフの生き残りだったのか?」

 

掠れた声で訊いた俺に、クラディールは吐き捨てるように答えた。

 

「ハッ、違げーよ。 そんなだせぇことすっかよ。 俺がラフコフに入れてもらったのはつい最近だぜ。 さっきの麻痺テクもそん時教わったんだぜ……、と、やべぇやべぇ」

 

「誰から教わったんだ!?」

 

「言うわけねぇだろうが、クックック」

 

俺とクラディールは一定の距離を取り武器を構え直した。

俺とクラディールは同時に地面を蹴った。

俺の二刀と奴の両手剣がぶつかり火花を散らした。

次の瞬間、背後から小さなナイフが飛んできた。

クラディールに気を取られていた為、背後から飛んできたナイフに反応が出来ず、背中にナイフが突き刺さった。

HPゲージを、緑色に点滅する枠が囲っている。

麻痺毒だ。

背後から飛んできたナイフは、麻痺毒ナイフだったのだ。

俺は、全身の力が入らなくなりその場に崩れ落ちた。

 

「ワーン、ダウン」

 

俺の背中に麻痺毒ナイフを投躑した人物は《笑う棺桶》幹部プレイヤー、ジョニー・ブラックであった。

その隣には、相棒の赤目のザザも立っている。

 

「オマエ、なに失敗しているんだよ」

 

ジョニー・ブラックはクラディールに向かって言葉を発した。

 

「悪りぃ悪りぃ」

 

「まぁ、いいや。 早くやっちゃえ」

 

ジョニー・ブラックは甲高い声でクラディールに指示をした。

右手の大剣を引きずり耳障りな音を立てながら、奴がゆっくりとこちらに歩み寄って来た。

ラフコフの二人は、俺の前まで移動してきた。

俺の消滅する瞬間を見物する為だろう。

俺は、前に移動してきたラフコフの二人に声を掛けた。

 

「なんで此処にいる……」

 

「んー。 ヘッドに言われてお前の消滅を確認しにきたんだよ」

 

「その、とおりだ」

 

何だと、PoHとこいつらは一緒に行動していたのか?

なら何で、あの時PoHの姿が確認できなかった?

もしかして、討伐隊に見つからない様に逃げていたのか?

俺は、這いつくばりながら聞いた。

 

「なんであの時PoHは姿を見せなかった?」

 

「俺達二人が、先にヘッドを逃がしたからだよ」

 

「そうだ」

 

ラフコフの二人は俺の問いにこう答えたのだ。

待てよ。 じゃあ、この訓練は最初からPoHが糸を引いていたのか!?

クラディールに指示を出して。

 

「おしゃべりもこの辺にしねぇと毒が切れちまうよ。 デュエルん時から、毎晩夢に見ていたぜ……。この瞬間をな……」

 

クラディールは剣先を俺の右腕に突き立てた。

そのまま二度、三度とこじるように回転させる。

 

「…………ッ!!」

 

痛みはない。

だが、強力な麻痺をかけた上で神経を直接刺激されるような不快な感覚が全身を駆け抜ける。

剣が腕を抉るたび、俺のHPが僅かだが確実な勢いで減少していく。

ラフコフの二人は、俺の苦悶の表情を見てにやにや笑っていた。

クラディールは一度剣を抜くと、今度は左足に突き下ろしてきた。

再び神経を痺れさせるような電流が走り、無慈悲にダメージが加算される。

 

「どうよ……、どうなんだよ……。 もうすぐ死ぬってどんな感じだよ……。教えてくれよ……。 なぁ……」

 

クラディールは、そう言いじっと俺の顔を見つめている。

とうとうHPバーがイエローゾーンに突入した。

 

「おいおい、なんとか言ってくれよぉ。 ホントに死んじまうぞォ?」

 

クラディールの剣が足から抜かれ、腹に突き刺された。

HPが大きく減少し、赤い危険域へと達した。

俺は両目を見開き、自分の腹に突き刺さっていたクラディールの剣の刀身を左手で掴んだ。

力を振り絞り、ゆっくりと体から抜き出す。

 

「お……お? なんだよ、やっぱり死ぬのは怖ぇってかぁ?」

 

「そうだ……。 まだ……、死ねない……」

 

俺は、ユウキを現実世界に還すって決めているんだ。

こんな所で死ねない。

 

「カッ!! ヒャヒャッ!! そうかよ、そう来なくっちゃな!!」

 

クラディールは怪鳥じみた笑いを洩らしながら、剣に全体重を掛けて来た。

それを片手で必死に支える。

だが、剣先は徐々にだが、確実な速度で再び下降を始めた。

 

「死ねーーーーーッ!! 死ねーーーーー!!」

 

一センチ、また一センチと、切っ先が俺の体に潜り込んでいく。

その時、一陣の疾風が吹いた。

 

「な……ど……」

 

驚愕の叫びとともに顔を上げたその直後、クラディールは剣ごと空高く跳ね飛ばされた。

俺は目の前に舞い降りた人影を声も無く見つめた。

 

「「……間に合った……間に合った……よ(わ)……」」

 

二人は、黒いロングヘアーを揺らしながら呟いた。

 

「「遅くなって……ごめん(ね)……」」

 

ユウキとランは泣きそうになり俺に駆け寄って来た。

 

「……助かった」

 

俺は掠れた声で呟いた。

すると、俺の処刑を見ていたジョニー・ブラックが言った。

 

「やべーよ。《絶剣》と《剣舞姫》だ。……離脱するぞ」

 

ジョニー・ブラックは煙幕を使い、赤目のザザと一緒にこの場から姿を消した。

俺達三人は、その場所を一瞥した。

ラフコフの二人が消えたのを確認するとユウキがアイテムストレージからピンク色の結晶を取り出し、俺に向けて「ヒールー!」と叫んだ。

結晶が砕け散り、俺のHPバーが一気に右端までフル回復する。

 

「「……監獄に行ってもらうよ(わ)」」

 

ユウキとランは、立ち上がりクラディールに剣先を向けた。

声には怒気が含まれていた。

ユウキとランは同時に飛び出し、クラディールに向かって片手剣を振った。

この攻撃により、クラディールの両手両足がポリゴンを四散させた。

クラディールは両手両足を無くした為、地に崩れ落ちた。

 

「「直に軍がこっちに来るから、おじさん(あなた)は軍のお世話になりなよ」」

 

ユウキとランの声はとても冷ややかな声であった。

 

「このアマァァァァ!! 殺す、絶対に殺すッッ!!」

 

クラディールは叫んだ。

 

 

5分後。

軍が到着した。

クラディールは回廊結晶で監獄に送られた。

軍のプレイヤー達は、クラディールを監獄に送った後この場から姿を去った。

この場には、俺達三人が残された。

 

「助かったよ……。 ありがとう、二人とも……」

 

「うん……。 キリトが無事でよかった……」

 

「……無事でよかったです……」

 

ユウキとランが、俺に抱きついて来て言った。

心配してくれてありがとな。

 

「なんで、俺がこうなっているって判ったんだ」

 

俺は、疑問をぶつけてみた。

 

「キリトの位置がいきなり停止したからだよ」

 

「後、HPが減少したからですよ」

 

そういうことか。

位置追跡をしていた俺がいきなり止まったからか、この二人とは、パーティーを組み続けていたから俺のHPバーが見えていたのか。

もう、前線で戦う事に疲れたな…。

 

「なぁ、三人で攻略を休まないか?」

 

俺は言葉を続ける。

 

「今日、三人で住める大きさの家を買える金が溜まったんだ。 三人で引っ越さないか?もう物件は抑えてあるんだ。 確か第22層のプレイヤホームだったな。 森林と水で覆われた綺麗なフロアだ。 三人でそこに引っ越そう。 そこは、静かでモンスターも出現しないしな」

 

俺は頬をポリポリ掻きながら言う。

もう、あの家には帰れないし。

ランの家も、直に見つかってしまうだろう。

 

「う、うんっ! そうしよっか!」

 

「そ、そうしましょうか!」

 

ユウキとランは、頬を赤らめた。

その表情は、笑顔で幸せに満ち溢れていた。

 

「じゃあ、帰ろうか?」

 

「「うん! 帰ろう!」」

 

俺達は手を優しく繋ぎ、グランザム市街に向かい歩き出した。

 




ラフコフを再登場(PoHは出していないけど)させましたー(笑)

戦わず逃げたけどねー(笑)

ザザ影薄っ!

まぁー、あのまま戦っていたらキリト君が危なかったしね。

PoHとジョニーとザザさんは、討伐作戦時に逃げてますからな(笑)

そして合流してるって…。

クラディールが、ラフコフの幹部とリーダーにすでに会っていた(笑)

ゴドフリーさんゴメンナサイ。

キリト君は、ゴドフリーさんが殺されるのを見ていただけになってしまった(汗)

団員さんの麻痺は、ゴドフリーが消滅と同時に解けたということで。

麻痺の意味がない気がするが…。

ご意見、ご感想よろしくお願いします!!

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