ソードアート・オンライン ~黒の剣士と絶剣~   作:舞翼

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ども!!

舞翼です!!

今回は早く書き上げる事ができました。

今回は二人の思いが爆発します(笑)

それでは、どうぞ。


第25話≪事件解決と二人の思い≫

丘から上からお墓の前まで移動してきたグリムロックはかなりの長身だ。

裾の長い、ゆったりとした前合わせの革製の服を着込み、つばの長い帽子を被っている。

陰に沈む顔のなかで、時折月光を反射して光るのは眼鏡をかけているからであろうか。

鍛冶屋というよりも香港映画に出てくる兇手(ヒットマン)を思わせる雰囲気だ。

シュミット、カインズさん、ヨルコさん、最後にグリセルダさんが眠っているお墓を見てから言葉を発した。

 

「やぁ……、久しぶりだね、皆」

 

「グリムロック……さん。 あなたは、ほんとうに……、グリセルダさんを……。それに……、私達まで……」

 

グリムロックの言葉にヨルコさんが応じた。

ヨルコさんが聞きたいことは、なぜ、グリセルダさんを殺害してまで指輪を奪ったのか。

なぜ、此処に居る三人を消そうとしたのか、ということだろう。

 

「……誤解だ。 私はただ、事の顛末(てんまつ)を見届ける責任があると思ってこの場所に向かっていただけだよ。 それに誤解を正したかったからだ」

 

この言葉は嘘だな。

笑う棺桶≫(ラフィン・コフィン)に依頼して、真相を知る三人を殺害しようとしたことは言い逃れができない真実だ。

こいつがこの場にいるのは、此処に居る三人が本当にこの世界から消えたか確認する為だろうな。

グリセルダさんを殺した犯人を永遠に判らなくするために、だから俺達の言葉はグリムロックの発言を否定した。

 

「お前は三人が殺害されるまで、隠蔽スキルで隠れて見ているつもりだったんだろう」

 

「それになんで、ボク達に見つからないように丘の上に隠れていたの?」

 

俺達は、索敵スキルをコンプリートしているから見つけることが出来たんだがな。

俺達の言葉にグリムロックは口を閉ざしてしまった。

 

「………………」

 

「……なんで……、なんでなの、グルムロック。 なんで、グリセルダさんを殺してまで、指輪を奪ったの!!??」

 

ヨルコさんは声を荒げてグリムロックに聞いた。

そしてグリムロックは乾いた声でこう言ったのだ。

 

「指輪の件は関係していないよ……」

 

グリムロックは言葉を続ける。

 

「私は、どうしても彼女を殺さなければならなかった。 彼女がまだ私の妻でいるあいだに」

 

グリムロックはグリセルダさんが眠るお墓を見てからこう言ったのだ。

 

「グリセルダは現実でも私の妻だった」

 

ここに居るメンバーは全員驚愕(きょうがく)してしまった。

当然だ、現実世界でも妻であった彼女を殺害したのだから…。

 

「私にとっては、一切の不満のない理想的な妻だった。 夫唱婦随(ふしょうふずい)という言葉は彼女のためにあったとすら思えるほど、可愛らしく、従順(じゅうじゅん)で、ただ一度の夫婦喧嘩すらもしたことがなかった。 だが……、共にこの世界に囚われたのち……彼女は変わってしまった……」

 

グリムロックは低く息を吐き言葉を続ける。

 

「強要されたデスゲームに怯え、怖れ、(すく)んだのは私だけだった。 戦闘能力に於いても、状況判断に於いてもグリセルダ……。 いや《ユウコ》は大きく私を上回っていた。 彼女は、やがて私の反対を押し切ってギルドを結成した。 彼女は……現実世界にいたよりも、生き生きとしていた。 私は認めざるを得なかった。私の愛した《ユウコ》は消えてしまったんだとね……」

 

前合わせの長衣(ながぎぬ)の肩が小刻みに震える。グリムロックは囁くように言葉を続ける。

 

「……ならば……いっそ、まだ私が彼女の夫でいるあいだに。 そして合法的殺人が可能なこの世界にいるあいだに、ユウコを永遠の思い出の中に封じてしまいたいと願った私を…誰が責められるだろう?」

 

「……奥さんに……、反対を押し切られたから……。 そんな理由であんたは殺したのか? SAOに囚われた人達の解放を願っていた人を、あんたは……、そんな理由で」

 

俺はこんな理由で彼女を殺害したこいつを今ここで切り刻んでやりたくなった。

俺の手はもうすでに背中に装備している剣の柄を握っている。

 

「ここでこの人を斬っても何の解決にもならないよ……」

 

だが、ユウキの言葉によって俺はこの衝動を抑え、手を下ろす事に成功した。

グリムロックは眼鏡の下端だけわずかに光らせて、俺に囁きかけた。

 

「そんな理由? 充分すぎる理由だよ。 君もいつか解るよ、そこいるお嬢さんもね。 愛情を手に入れそれが失われようとしたときにね」

 

この言葉を聞き、此処に居る全員は口を閉ざしてしまった。

この静寂をこれまで黙りこんでいたシュミットが破った。

 

「……キリト、ユウキさん。 この男の処遇は俺たちに任せてもらえないか。 死刑にかけたりはしない。 しかし罪は必ず償わせる」

 

「解った。 任せる」

 

「わかりました」

 

シュミットはグリムロックの右腕を掴んで立たせ『世話になったな』と短く言い残して俺達の横を通りすぎて行く。

その後に、ヨルコさんとカインズさんも続いた。

ヨルコさんは俺達の前で立ち止り深く一礼すると口を開いた。

 

「ユウキさん、キリトさん。 本当に、なんてお詫びしていいか……。 お二人が駆けつけてくれなければ、私たちは殺されていました。 本当にありがとうございました」

 

「気にしなくていいよ、ボク達が勝手にやったことだしね」

 

「だな」

 

ヨルコさんはもう一度俺達に頭を下げ俺達の横を通りすぎて行った。

俺達は、その場に立ったままヨルコさん達の背中が見えなくなるまで見送り続けた。

 

「この事件はこれで本当に終わったな」

 

「そうだね」

 

 

Side ユウキ

 

今なら聞けるかな? キリトにとってボクはどんな“大切な存在”なのってね?

聞いてみよう。

 

Side out

 

 

「ねぇ、キリト。 君にとってボクはどんな“大切な存在”なの?」

 

「俺にとってのお前は“かけがえない存在”だ。 それにお前とは生涯一緒にいたいな」

 

「……そうなんだ」

 

「ああ」

 

 

Side ユウキ

 

キリトには自覚がないかもしれないけど、これってプロポーズの言葉になるよ……。

ボク達って両想いだったんだね。

でも、今はこのままでいいんだよ。

いつか、ボクの気持ちも聞いて欲しいな。

愛しているよ、キリト。

 

Side out

 

 

Side キリト

 

つい、俺の本音が漏れてしまったな。

こいつは、俺のことをどう思っているんだろうな……。

近いうちに聞ければいいな。

その時がきたら俺の秘密を全て打ち明けるよ。

愛しているよ、ユウキ。

 

Side out

 

 

「行こうか、ユウキ。 前線から三日も離れてしまったからな」

 

「そうだね」

 

俺達が街に戻ろうとした瞬間、お墓の傍らに人影を発見した。

薄い金色に輝き、半ば透き通る、一人の女性プレイヤーの姿があった。

彼女の瞳にはこのデスゲームを終わらせるという強い意思が秘められていた。

 

「あなたの意思は……、“俺達”が確かに引き継ぐよ。 いつか必ずこのゲームをクリアして、みんなを解放してみせる」

 

「約束するよ。 だからボク達を見守っていてね、グリセルダさん」

 

女性剣士の顔は、にっこりと大きな笑みを向けてくれた。

俺達は手を優しく握り微笑んで言った。

 

「街に帰ろうよ」

 

「そうだな」

 

俺達は主街区を目指して歩き始めた。

 




ついに爆発してしまいましたね(笑)

さてさて、これからどうなるんでしょうね(笑)

妄想が膨らみますね。

次回も頑張って投稿します。

ご意見、ご感想、よろしくお願いします!!

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